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野性刑殺  作者: のりまき
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宿敵襲来!

【前回のあらすじ】

 靖利やすり達の前に突然現れた少年を異物として除去すべく、世界システムは異形の宇宙甲虫を放つ。

 初めて目にする難敵に大苦戦を強いられる御丹摩ごたんま署の面々だが、目覚めた少年は虫と同じ姿に変身すると、あっという間に撃退してしまった。

 自らを『No.7』と名乗った彼には以前の記憶が何もなく、何処から来たのかすら皆目不明だが、人知を超えたその存在は明らかにこの世のものではなかった。


 なし崩し的に同署の刑殺官に任命されたセブンは、当面の面倒をみることになった靖利やボン子と共に、今後の生活に必要な日用品を買い揃えるために街へと赴く。

 そこでも矢継ぎ早に数々の事件に遭遇した一行は、老朽化した廃ビルの倒壊に巻き込まれてしまうが、駆けつけた熊田や葉潤はうる達との連携で見事に危機を脱したのだった。





「結局タダ働きみてぇなモンかよ…クソッタレが…っ!」

「まあまあ、多少の色は付いたじゃない?

 んじゃみんな、また後でね〜♩」


 不満タラタラな熊田をなだめつつ、皆に手を振った葉潤は、連れ立って現場を去った。

 いつも陽気な後者はともかく、前者もあれでも機嫌が良かったほうだ。じゃなきゃこっちにもとばっちりが来る。


「相変わらず鮮やかなお手なみですねぇ〜♩」

「アレの口の巧さは、もはや職人芸だな…」


 いくら何でも無報酬はあんまりだろうと葉潤がニャオに掛け合った結果、次の任務まで現場待機と相成り、一杯引っかけに行った次第である。

 飲食代もちゃっかり経費扱いで。常識の範囲内で必要最低限に…という制限はあるが。

 現在の警察官なら、職務中に酒煽ったりギャンブルに興じたりなんて何処ぞの長期連載漫画のポリ公みたいな真似しようもんなら速攻でニュース沙汰な挙句、懲戒免職モノだろうが…

 こっちの世界の刑殺官は、職務に支障をきたさない限りは個人の裁量に任されており、職務規定など有って無いほどユルユルだ。

 それでもやはり飲酒は褒められたものではないが、普段からイカレてるあの二人なら大差はあるまい。

 たとえ獣人とはいえ、そしてそんな御時世とはいえ、人を手にかけてシラフでいられるほど胆力のある者などそうそう居やしないからな…。


 あと、熊田がキレ気味なのはカネよりも、刑期に何の温情も無かったことのほうが大きいが…

 いかにニャオとはいえ、個人的な依頼で特定の署員のペナルティを操作することは適わないのだ。

 刑殺官は国家公務員…その実態は『囚人』だからして、全てはその管理者である国の胸先三寸である。

 …にしても、昨日セブンが現れてから時間的には丸一日も経過しないうちに、この立て続けな慌ただしさは一体なんなのか?


「…まいっか。こっちはとりあえず買い物優先だな!」

「必要経費のメドも立ちましたしねぇ〜♩」


 こちらも負けじとニャオに散々愚痴ってやった靖利達は、根負けした彼女から今回の買い物に掛かった諸費用を経費として認める確約をせしめた。

 タダより怖いものは無いが、それでもロハなら、もう何も怖くないっ☆

 そう呟いた某デカチチのように、直後に頭から喰われる心配も無いだろうし、天下無敵の乙女心である。


「…あれ? なんか雰囲気変わった…?」


 なおも歩き続けるうちに、いつの間にか街並みがガラリと様変わりしたことにセブンが気づいた。

 無数のバラック小屋が無秩序にひしめいていた混沌とした風景から一転、小綺麗な店舗が整然と建ち並ぶ表通りに差し掛かったのだ。

 ここいら一帯の建物には自己修復機能や自動警備システムがいまだ活動し続けているものが多く、まだ人間達が世界に溢れていた頃の古き良き街並みを維持している。

 道行く人々の服装もいかにもシャレオツで高級なものとなり、獲物を狙ってギラついていた賊の視線もピタリと止んだ。


「あたい的には、いつ来ても落ち着かねーけどな…」


 ド田舎育ちの靖利にとってはまさに別世界。

 ボン子がいなければ一生近づくことも無かっただろう界隈だ。


「そろそろ車を捕まえても大丈夫そうですけどぉ…せっかくだから、このまま歩きましょーかぁ? お店はもうすぐですしぃ〜♩」


 とのボン子の提案で、自動運転車がゆったりと行き交う通りを、ウインドウショッピングを楽しみながら練り歩く。

 すっかりおのぼりさんモードのセブンは、首が捻じ切れそうになるほどあちこちキョロキョロ興味深げに見回している。

 が、街の雰囲気に呑まれたからか、もう手当たり次第に駆け寄ったりはしなくなった。

 そんな一行に次々注がれる好奇の視線…。

 とりわけ靖利へと向けられる目が立って多い気がする。


「…な、なあ…何で今日はこんなにジロジロ見られてんだ?」

「そろそろ皆さんも、お姉さまの本当の魅力に気づいたみたいですねぇ〜♩」


 そんな視線の痛々しさに耐えかねて肩身が狭い靖利とは対照的に、ボン子は鼻高々で喜んでいる。

 今までは田舎娘丸出しのジャンキーな格好ばかりだった靖利が、今日は比較的洗練された服装なものだから、生来の彼女の魅力がより際立っているのだ。

 なにしろ以前は無防備すぎる胸元ばかり悪目立ちしていたのが、それなりにガードが高くなった結果、視線誘導ポイントが程よく分散され…

 鮫型獣人ならではの高身長に、水泳で鍛え抜かれたメリハリあるスタイルの良さが加わり、しっとり黒くてサラサラな二律背反のロングヘアーに、意志の強さを漂わせるハンパない目力…。

 さらに今日は「せっかくですからぁ〜♩」とボン子に強引にナチュラルメイクを施された結果、いつものスッピンからは見違えるほどの自然派美人へと豹変。

 どっから見ても、もぉプロのトップモデルぢゃんコレ☆

 それに加えて、これまたとびきり高性能飛なファンネル二機を従えてるもんだから、注目するなってほうが無理である。


「ぅぅぅぅ…店はまだかよ?」


 だが自己評価がやたらと低めな靖利は、視線の重圧に耐えかねていた。

 若くして同窓生大虐殺をやらかした前科者の身だから無理もないが…。

 それにいつもは表通りに入ったらすぐに車を拾って、あとはアクビしてる間に着くのだが…文明の利器はやはり偉大だ。


「あ〜お店なら、もぉ見えてますよぉ〜♩」


 とボン子が指差す方へ目を向ければ…周囲の他店舗よりも明らかに巨大で瀟洒な、ほとんど宮殿みたいなヤツがドデデーンッ!と聳え立っていた。


「でっか!? え…こんな大きかったっけ?」


 田舎者には強敵すぎるその威容に、靖利は思わず尻込みしてしまう。

 いつもは車で正面玄関まで乗りつけて、あまりキョロキョロしてるとバカにされそうだからと慌てて入店してたから気づかなかったが。

 そしてそんな貧乏性な行動心理こそ、まさしく田舎者の証なのだが。


「いらさいませ七尾様、鰐口様! 本日はどのようなモノをお探しでせうか〜?」


 ボン子の到着を見越して、すかさず店内からタヌキ型獣人の店長以下数名のスタッフが飛び出してきて、揉み手で出迎えてくれた。

 当たり前だが、通常はここまで丁重な接客はしない。それだけボン子が上得意様ってことだ。

 こういうとき、彼女は本当にお嬢様なんだな〜…ってことを靖利は実感する。

 それがたとえ無期懲役を喰らった刑殺官であろうとも、持つ者と持たざる者の明確な差というものだ。


「この子の服とか日用品とか、色々ですかねぇ〜? あ〜ついでにあたし達のもぉ…テキトーにお任せしますぅ〜♩」


 なんともフワッとした要望だが、ボン子のような生粋のお嬢様はいちいち細々とした指示などしないものだ。

 『本物』を知っているからね。


「承りました! それでは皆様、どうぞこちらへ♩」





 通された店内は外観以上に絢爛豪華で、今どきのホストクラブでもここまで成金仕様な場所はそうそう無いだろうと呆れるほどの落ち着かなさ。

 この店舗、前世紀には割とどこでも見かける中規模なショッピングモールだったらしいが、現在のタヌキ親父…いやオーナーの趣味が大爆発した結果、ここまで化けた次第である。

 そしてボン子は数世紀前、家族がまだ地球上にいた頃から此処に足繁く通っていたという、もはや伝説級の顧客なのだ〜よ☆


「それでは皆様、どうぞごゆるりとおくつろぎくらさいまーせー♩」


 タヌキ親父は売り場の担当者に手短かに指示を済ますと、そそくさと身を引いた。

 見た目は胡散臭さの塊みたいな輩だが、そこはさすがに熟練の商売人だ。

 そもそもボン子の人を見る目は確かだから、本当にどーしょーもなく慇懃無礼な奴には近づくはずもない。

 田舎娘の靖利でも、なんの偏見も持たずにすんなり受け入れてくれたのがその証拠だ。


「じゃあまずは、そちらのお嬢様のお召し物からお選び致しますねー♩」


 担当の猫型獣人の女性店員が、テキパキと仕事を進める。

 こっちは店長とは逆に人懐っこくて気さくな印象だが、なかなかのやり手っぽい雰囲気だ。

 が、そこで、


「…あ、あの…ボク、男です。」


 お嬢様呼ばわりされたセブンが思わず挙手して反論すると、


「あらら…大変失礼しました。それでは、『男の娘』なカワイイお客様にはー…♩」


 …なんだか盛大な誤解を産んでしまったらしい。若干そそっかしい感じではある。

 だがそこはさすがにやり手、ちゃんとセブンの要望も汲んで、男女どちらでも違和感なく袖を通せるユニセックスな商品を見繕ってくれた。

 そこで掴んだ彼の好みから、雑多な日用品へと自然に話を振っていく。その上、彼が興味なさそうなモノまで強引に押しつけようとはしない。

 タヌキ親父の社員教育が抜け目ないのか、はたまたこの女性店員が凄腕なのか…客にとってストレスのないショッピング、誠に天晴あっぱれ


「で、そちらのカッコイイお姉様にはー…♩」


 次第に場の空気に馴染んできたセブンが、ボン子と一緒に自ら店内を巡り始めたタイミングを見計らって、猫娘はすかさず矛先を靖利へと向け直す。

 なんでか異性より同性に好かれる傾向の彼女に声をかける機会を、今か今かと見計らっていたようだ。

 てゆーか呼び方が既にボン子と同じである。


「へ? あーいや、あたいはただの付き添いで…」


「普段はどのようなお召し物をー?」


「あ、いつもこんな感じだけど…」


 嘘つけ田舎モン。


「うーんそれもイイですけどー…お姉様にはもっとスタイリッシュでガーリーなスタイルがお似合いかもしれませんねー?

 身長がお有りだから、きっと注目の的ですよー♩」


「あ、えーと…いやその…なんつーか…」


 ファンネルを失った状態の靖利は、ここぞとばかりにベテランパイロットの餌食にされて、怒涛の連射の前に早くも火だるま状態。

 聞き慣れない用語ばかり並べられるのは田舎モンにはかな〜りキツイし、そもそも注目されるのは大の苦手なのに…。

 だいたいガーリッシュなんて形容は、自分には最も縁のないものに思える。

 見るからに小柄で可愛いボン子やセブンや、故郷の幼馴染みのあの子ならいざ知らず…


「…あ、丁度いっか?」


 ふと思いついた靖利は、キラーシャークな自分に果敢に食いつくプリティキャットな店員の肩にそっと手を添えて、


「…任せた。ちょっと席を外すけど、その間に良さげなモンを選んどいてくんないかな?

 …信頼してるからサ☆」


 とにかくまずは射程圏外へと逃げ延びたい一心でウインクをかますと、


「…ハイーお姉様♩」


 思くそ目をハートマークにしたネコ店員は健気に頷き返すのだった。





 皆の隙をついてトイレの個室に立て篭もった靖利は、パンツもパンツも…いや二枚履きな訳ではなくジーパンも下着も下ろさずに、蓋が閉まったままの便器に腰掛けると、懐からスマホを引っ張りだした。

 刑官専用の通信端末に似ているが、それとは別の昔からの愛機だ。当然だが勤務中には携帯不可だが、今は非番中である。

 チャットアプリを起動し、フレンドリストを検索。

 …あの事件以降、あらゆるリストから大半の連絡先を消去したが…

 どうしても消せずに残しておいた、ほぼ唯一の過去の知り合いと、ここ最近ようやく連絡が取り合えるようになった。


〈急にごめん。今いいかな?〉


《いつでも大丈夫だよ。まだ学校には行けてないから》


 間髪入れずに返事が来た。それはそれで心配だが…それでもやっぱりホッとする。


〈何か変わったコトあった?〉


《部長さん家、ついに引っ越した》


 なるほど…まあ自業自得だしな。

 察しの良い向きには説明不要だろうが…

 メッセージ相手の名前は『ピン子』。

 何処ぞの大物女優ではなく、あのペンギン型獣人の幼馴染みだった。

 そして話題の部長ってのは、かつて靖利が所属し、半身不随にしてやった水泳部のシャチ型獣人の部長だ。

 事の経緯は第一話をご参照頂くとして…一時は完全に途絶えたかに思えた靖利とピン子との交流は、こうして少しずつ復活しつつある。

 長年培ってきた彼女達の友情は、時々は揺らぎこそすれ、ちょっやそっとじゃ壊れなかったのだ。


 靖利のしでかした事は確かに許されることではないが、ピン子にしてみれば自分を必死に守ろうとした結果のことであって、何の責任も感じない訳ではなかった。

 だからこそ、こうしてどちらからともなく呼びかけ合って…チャットアプリ越しなら、なんとか普通に会話できるまでに回復した。

 しかし彼女が受けたPTSDは凄まじく、今でも時々発作的に半狂乱に陥ることがあるため、通学はおろか外出もままならないとか。

 それも泳げない彼女にとっては、靖利が生徒達を次々に喰い殺したことよりも、大勢に寄ってたかって暗く冷たい海の底に引きずり込まれたことのほうがショックが大きかったらしい。

 以来すっかり対人恐怖症に陥ってしまい、靖利とも直に顔を合わせることは無論、電話口に出ることすらまだ当分は無理そうだという。


〈あたいもアレはやりすぎたと思ってる。たとえ生きる価値のないクズどもだったとしても。

 でも正直、あのクソ部長だけは今でも許す気になれないし、その話もザマァ見ろって思う〉


 だから一人だけ半殺しで済ませてやったのだ。一生苦しみ続けて死んでいくように…。


《私も。不謹慎だとは思うけど、あの人達には同情する気にもなれない》


 ピン子のおかげで、靖利がこちらに来て以降の島の状況を詳細に知ることができた。

 それによれば…


 島の歴史始まって以来の凄惨すぎる大事件には、全国的に好奇の視線が集中した。

 靖利の家族はすぐさま逃げるように島を離れ、何処に行ったか判らないという。

 現に、靖利にもいまだ一切の連絡は無い。

 その靖利に下半身を食いちぎられたことで将来の夢が断たれたばかりか、生涯を車椅子で過ごすことになってしまった部長に、事件直後は世間の大半が同情し、靖利は完全に悪役呼ばわりされていたという。


 ところがそれを良いことに、すぐ調子に乗り始めた彼女は再びワガママ放題の贅沢三昧。

 いくら身体が不自由だからってこれはヒドイと、すぐに悪評が高まった。

 そんな顛末を不審に思ったマスコミがよくよく調べ始めると…まぁ〜次から次へと出るわ出るわ、部長とその取り巻き達の黒い噂が!

 それまでの実績から周囲にチヤホヤされすぎて、すっかり天狗になってしまった彼女は、相当悪どいコトをやらかしまくっていたのだ。

 その取り巻きも、どいつもこいつもその栄光を笠に着てやりたい放題に暴れまくってやがったならず者ばかりで…

 彼らに脅迫されたりイジメられたりした挙句、自殺や登校拒否に追い込まれた者が、それこそ数えきれないほど居たことが明るみに出てしまったのだ。


《それに靖利ちゃん、スゴイ人気者だったしね♩》


 本人はまるで意識してなかったが、ルックス抜群で、性格も部長とは比較にならないほど良かった靖利の潜在的ファン人口は驚くべき数に上っていたのだ。

 事件直後こそは、あまりにもショッキングなその内容に誰もが口を噤まざるを得なかったが…

 時が経つにつれ、あの気前が良かった靖利が、何故あそこまで暴れまくったのかと疑問に思う者が日増しに増えていき…

 やがてマスコミの調査結果が公表されると、形勢は一気に逆転した。


"あんなクズどもは食い殺されて当然だ!"

"部長もその程度で許してもらえて、むしろありがたいと思え!"

"つーか死ね、今すぐ死ね!"

"死んだ奴らも、もう一度死ね!"

"鮫の嬢ちゃんは、よくやってくれた!!"


 世論というものはこれだから恐ろしい。倫理観のタガが外れかけた獣人なら尚更だ。

 そして遂には靖利ファン達が中心となり、彼女の減刑を嘆願する署名活動にまで発展した。

 とはいえ、いくらなんでも殺人罪ではどうにもならないことは誰もが承知していたが…

 そのやるせなさを更に逆撫でする事態が発生する。


"以降の署名活動を全面的に禁止する"

"違反者は犯罪に加担したものと見做し検挙する"


 そう言い出したのは、靖利が生まれる以前から島の長の座に君臨し続けてきた市長だった。

 島の治安維持を担う立場としては当然の措置だろうが…

 その発言が島民達の猛反発をくらうと、自らマスコミの前にしゃしゃり出て、声高に叫んだ。


"あの鮫娘は大勢の生徒を喰い殺し、私の娘に大怪我を負わせた凶悪犯罪者だぞ!?

 獣人の風上にも置けんゴミだ! カスだ! 今すぐ死刑にすべき社会のクズだ!!

 そんなクズの肩を持つ奴も、全員クズの犯罪者に決まっとるだろうが!?

 私の方針に逆らうなら、今すぐ島から出ていけッ!!"


 責任ある立場の者が、おおよそ絶対口にしてはいけない文言をすべて詰め込んだような、歴史的に超ぉ〜頭ワルイ迷会見だった。

 そして、それ以上に島民達の癇に障ったのが、彼がシャチ型獣人だったことである。

 …そう、彼は部長の父親だったのだ。

 そもそも、その出自自体が問題だらけ。

 海のギャングの呼び名のごとく、先祖代々、島の物流のすべてを掌握してのしあがった一族は、時流に乗って政界へと進出。

 今では彼らに粗相をして目を付けられてしまった者は、もう島では生きていけないとさえ言われていた。


 …だが、その天下もその時までだった。

 日常的なパワハラや妨害工作等、既に周りが見えないまでに増長していた彼らの悪どい手口に長年虐げられてきた島民達は、そんな市長の独善的な口ぶりにブチ切れ、一気にヒートアップ!

 もはやクーデターと言っても過言ではないほどの激しい抗議活動が巻き起こり、直接的な嫌がらせは無論、役場や市長邸への放火も連日発生した挙句、本物のシャチを惨殺した生首が議会に投げ込まれるという猟奇事件まで発生。

 議会はそんな異常事態を引き起こした市長の責任を追及し、遂には満場一致の不信任案可決で玉座から引きずり下ろしたのだった。めでたしめでたし♩


 てゆーかそんだけ散々やらかしてんのに、なんで処刑対象にならないのか不思議なくらいだが…政治家がまんまと無罪放免逃げ仰せてしまうのは今に始まったことでもない。

 それに合わせて学校側も、その愛娘の素行の悪さを理由に、やっと部長を退学処分にして追い出すことに成功した。

 国破れて山河あり、傲れる者は久しからず。

 すっかり四面楚歌状態に陥った市長一家は、終いには自らの土地を追われてしまった…という次第である。


《ハッキリ言ってスッとした。

 やっと邪魔者がいなくなったってお父さん達も喜んでる》


 こうして平和が訪れた島に、靖利も晴れて大腕を振って凱旋…とはいかないのが現実の厳しいところ。

 忘れてはいけないが、靖利は事実上の『囚人』なのだ。

 犯罪イコール処刑となった現在では、そもそも刑事裁判が存在しないため、刑殺官の刑期はニャオシステムによる累積方式により決定される。

 殺人罪は最も重く、一人殺害につき最低でも百年。業務上過失致死による減刑はあるが、情状酌量などという曖昧な基準は廃止された。

 そして靖利は優に十人以上は喰い殺してるから…。

 加えて、任務達成報酬による減刑の算定基準は不明確で、しかも加算時よりも理不尽に低い。

 おそらく…刑殺組織は刑官達を未来永劫、手放すつもりが無いのだろう。生かしておいて貰えるだけありがたいと思えってか?

 だから…今後も靖利とピン子が直に再会することは、永遠に無いだろう。





《靖利ちゃんのほうはどう?》


 しばらく間が空いた後、ピン子が話題を切り替えた。


〈まあ、ぼちぼちかな?〉


《職場の先輩にいびられたりしてない?》


 実際にはそれどころではないが…仕事の愚痴を伝えたことは、まだ一度もない。

 靖利が刑殺官となり、それが途轍もなくハードな仕事だということは、ピン子も既に知っている。

 テレビドラマの刑殺モノは人気ジャンルの一つだが、だからって刑官になりたいと願う者はなかなか現れないのが現実だ。

 同様に『刑殺二十四時』などのドキュメンタリー番組もおおむね高視聴率で、常に危険と隣り合わせな命懸けの仕事だと誰もが知っているから…。

 しかしそれでも、こっちに来てすぐにボン子という心強い味方が出来たことは、まだ明かしていない。

 今後も当面は孤独に過ごさざるを得ないピン子に悪い気がして…。

 なんで前科者の自分がそれなりの暮らしを手に入れて、被害者の彼女がいまだに苦しみ続けなければならないのか…?

 世の中は本当にままならないものだ。


《好きな人はできた?》


 ハイ出た! お年頃の女子同士の密会では必ず話題に上る不可避なこの質問が…!

 男勝りな靖利はこの手の話題にてんで弱いが、残念ながら相手は青春真っ盛りのJKだ。…今のところ引き篭もり中ではあるが。


〈前にも言ったけど、同僚は獣臭いオッサンばっかだぞ?〉


 辟易しながらそう返事したところで…ふとイタズラ心が湧き起こる。


〈そういや昨日、ちょっとした事件に巻き込まれちまってな。

 おかげでイ〜イ男と知り合えたぜ…ホラ♩〉


 と、彼の顔写真を添付した。

 言うまでもないだろうが…セブンの顔だ。

 刑殺官登録する際に撮影した正面写真用のをガメたものである。

 彼の存在は一応機密扱いなので守秘義務が存在するが、新米で職務規定などうろ覚えな靖利は知ったこっちゃない。

 第一、これで万一身に危険が及んだところで、どうにかなる彼ではあるまい。

 そもそも自分で自分の身を守るのは獣人でなくとも常識であり、それを忘れて他人ばかりアテにするゴミクズ野郎が大半となったことこそ、この世の悲劇であーるっ!

 何かにつけて「皆のことは皆の責任」だなんて全体主義的なことを声高に叫んで焚きつける輩がいるけど、それって要は「赤信号みんなで渡れば怖くない」と同じ危険思想だからな!?

 そーゆー奴に限って、いざ事に及んでも自分自身はな〜んもしないし!

 …閑話休題。実は民間人のピン子とこうして連絡を取り合うことも本当は禁止だが…まあ彼女に限っては精神的にも物理的にも、他人に口外することはあるまい。


《何々この子カワイイ!! え、これでホントに男の子!? まぢ!?》


 文字だけでもピン子の狂喜乱舞っぷりが手に取るように判る。これが本来の彼女の姿であり、また昔に戻れたみたいで靖利はちょっとほんわかできた。

 …が。


《なるほど。靖利ちゃん、カワイイ子大好きだもんね》


 あれ? てっきりフザケんなってキレられるか、大爆笑間違いなしだと思ったのに…?


《学校にいた頃から男子にもモテモテだったのに、全然浮いた話が出てこないなーって思ったら…》


〈モテモテ? そんなん初めて聞いたぞ。

 告白とか一度もされたことねーし〉


 そりゃ〜これだけスタイルが良いのに無防備すぎる天然娘を、男子達が見逃すはずもない。

 だが…それ以上に靖利を『女装のイケメン(?)』と慕う狂信的な女性ファンが多く、彼女が預かり知らない所で常にガッチリガードされていたため、誰も近づけなかっただけである。

 …実はピン子はその筆頭の開祖だったりするが。一番ヤバイのがすぐ隣にいた。

 それだけの人気者ならもちろんアンチも多く、部長などはその最たるものだったが。

 彼奴の場合は靖利のそれほどの人気を前においそれとは手が出せず放置し続けた挙句、ついに辛抱たまらなくなって、姑息にもピン子を人質に取ったのが運の尽きだった。

 信者の結束をアマく見過ぎたツケが後々回ってきたのだ。


《もうチューした?》


 これまたお決まりの質問だが、さっきから靖利にはまるで意味が解らない。

 確かにセブンの可愛さにはついつい理性を狂わされがちだが、だからってあんなお子様相手に何をどうしろと?


《まだかー。ま、靖利ちゃんはこれでけっこーウブだもんね♩》


 しばらく面食らって返事し損ねたせいで、あからさまに小馬鹿にされてイラッと来た。

 本当のところはピン子も、靖利が他の子に奪られやしないかとヤキモキしていたのだが…そんな親友の心情をおもんばかるだけの余裕は、もう靖利には無い。


〈たしかにチューはしてないけど…

 一緒に風呂に入ったし、乳だって吸われたし、色んなトコおっ広げられたぞ!〉


 思わず張らんでもいい見栄を張ってしまったせいで、今度はピン子の返事がたっぷり一分は止まった。既読が付いてるから生きてはいるんだろうけど…。

 お子様相手にそこまで大それた事でもないだろう…と靖利的には思っていたらしいが、さすがに普段から大それた格好で街を出歩いていた天然娘は一味違う。


《おっきくなった? 濡れた? した?》


 そしてピン子はついに壊れた。

 そして靖利にとってはますます意味不明な文面に。

 まあ確かに、乳吸われて先端が腫れたし、風呂だから濡れて当然だし…したって何を?

 う〜む? よく解らんけど、とりあえず…


〈おう。〉


 そう答えたと同時に、急に通話モードに切り替わって、


『靖利ちゃんの裏切り者ぉっ!!』


「をわっ!? ビビった、マジビビった!」


 慌てて音量を下げる間にも、ピン子はそれが追いつかないほどの大音量で喚き散らして、


『私がいないトコで、なんでそんな美味しいコトすんの!? 私だってしたかったのにぃっ! ってかして欲しかったのにい〜ッ!!』


 ほんの一言二言でのっけからツッコミどころ満載なピン子の癇癪に、


「あ〜ゴメンゴメン、謝るからまず落ち着けって…」


 と靖利は訳もわからず平謝りだったが…


「…あれ? それよかピン子…お前、直電…?」


『あ゛あ゛〜んっ!?……あっ。』


 いつの間にか以前のように普通に話せていたことに、二人してやっとこさ気づいた。


『…靖利ちゃんだ…靖利ちゃんの声だぁ…!』


 次第に湿り気を帯びるピン子の声に、靖利も思わず胸が熱くなる。

 やはり肉声は凄い。味気ない字面とは情報量が段違いで、相手の気持ちが手に取るように解る。

 そして…互いの声が聞こえるだけで、こんなにも心が安らぐなんて…。


「あたいも…また、お前の声が聞けて…嬉しいよ。」


 目頭をいくら押さえても、自然に熱い滴が溢れ出す。

 せっかくボン子がメイクしてくれたのに、また後で怒られるかもしれないけど…この際、もうどうでもいい。

 こうして二人は数ヶ月ぶりに、互いに言葉と心を交わし合うのだった。





 まだまだ話し足りない気もするが、今は買い物の途中だったことを思い出して、靖利は早々に電話を終えた。

 ピン子も靖利相手ならもう平気で話せるようになったことだし、これからも定期的に連絡を取り合おうと約束して…。


「…ずいぶん遅かったですねー。う◯こですかー?」


 店内に戻ってみると、すっかり待ちぼうけを食わされた店員が満面の笑顔で毒を吐いた。

 これはヤバイと平謝りしつつ、さっそく見立ててくれた商品を吟味すれば…

 さすがはプロ、これがまた予想外にセンス抜群のチョイスで、靖利の趣味を的確に捉えていた!

 てっきりどんな恥ずかしい服を着させられるかと不安だったのに、完全に杞憂に終わった。

 素直にベタ褒めしてみれば店員の機嫌もたちどころに直り、独断で値引きするとか言い出したので、慌てて止めた。

 これだけ腕の良い店員さんが自分のせいでクビになったら事だし、どうせ経費で落ちるし。


「ど…どーかな、お姉さん?」


 そこへセブンが試着してきた格好を見て、これまた感心。

 センス抜群なのはもちろんのこと、中性的な彼に合わせて、見ようによってはどちらにも取れる絶妙なバランスのチョイスだし…なんと言っても、カワイイ♩

 セブン本人も気に入ってるのか、最初に着せた服のように恥ずかしがることもなかった。


「あたしのはぁ〜、いつもとはちょおーっと趣向を変えてみましたよぉ〜♩」


 とボン子が試着した格好にも、またまた唸らされる。

 生粋のお嬢様なだけに普段からハイセンスなブランド物を着こなしている彼女だが、今の服装はその言葉通り、かなりカジュアルテイスト。

 靖利の趣味に合わせたらしく、センスの良さはそのままに、ボン子の無邪気さがより強調されて…言うまでもなく、カワイイ♩

 いやはや、眼福に次ぐ眼福で、余は大満足じゃ☆

 いつもは付き添いで来てるだけだと割り切って、暇を持て余していた靖利だったが…今日はいつになく楽しい。

 先ほどのピン子との電話で、これまでの胸のつかえが解消したからかもしれない。


「あ…ごめんボンちゃん、メイク取れちゃった」


「あやや〜、じゃあすぐに直さないとぉ」


 と、ハンドバッグからメイク用品一式を取り出しかけたボン子だったが…


「…やっぱり、要らないですかねぇ〜?」


 靖利の顔をじっくり見つめるなり、手を止めてニッコリ微笑んだ。


「今のお姉さまは、過去イチとぉ〜っても魅力的な笑顔をしてらっしゃいますからぁ〜♩」


 自分でも気づかないうちにニヤケてしまっていたらしい。まあ無理もないが。


「何かイイコトありましたかぁ〜?」


「…まあな。」


 ボン子が知らない事を打ち明けても盛り下がるだけだろうと、多くは語らない靖利だった。


「そぉですか〜♩」


 そしてボン子も根掘り葉掘り訊き返さない。

 靖利の飾らない笑顔さえ見られれば、それで満足だったから。





「ったくよぉ。結局ゆっくり飲ませてすら貰えねぇじゃねーか…!」


「今日は飛び込みの仕事が多いねー…」


 いつもは熊田のなだめ役にまわる葉潤も、この時ばかりはげんなり嘆いていた。

 靖利達と別れた後、さっそく真昼間から飲み屋に入り浸って、いくらも酒を味わわないうちにニャオから別件の捜査依頼が舞い込んだのだ。


《大変申し訳ございません。検証が終了次第、休憩を再開して頂いて結構ですので…》


 通信機越しのニャオの声も心なしか控え目。

 これだけの人口過密にもかかわらず、世間の嫌われ者の刑殺は常に人材不足なため、本来なら鑑識の仕事の現場検証も刑官達に回ってくることが多いのだ。

 これにはもちろんメリットも多い。検証結果次第では即座に捜査活動に移れるし、令状発行までの手間暇も大幅に省ける。


「まぁいい、さっさと終わらせようぜ?」


「んで、今度はいったい何だい?」


《はい。この廃屋の付近を通り掛かった近所の住人から、何かが爆発したような物音を聞いたとの通報がありまして…。

 先日までは誰も居なかったはずの現場に、このところ急に人の出入りが増えたことを不審に思っていた矢先だったと…》


 ふむふむ、そいつはあからさまに怪しい。

 まるでサスペンスドラマだ。

 てな訳で仕方なしに訪れた、街外れの廃屋の地下室では…


「ぅわ…こいつはエグいなぁ」


「どいつもこいつも頭からバックリ殺られてるぜ?」


 何やら謎の機械が居並ぶ研究室みたいな広間には、上半身を食いちぎられた研究員達の死体があちこちに転がっていた。

 その周囲には各種工作機器や加工中の金属パーツが散らばり…

 部屋の中央には何かを置いていたような円形状のスペースと、引きちぎられた夥しい本数のケーブル類。

 見上げれば…部屋の天井から家屋の屋根まで一直線に大穴が穿たれ、青空が覗いている。

 ここで一体何をしていたというのか…?


「歯形がかなり巨大で鋭い…そんじょそこらの肉食獣や獣人の仕業じゃなさそうだね?」


《…検証の結果、大型の海洋生物の歯型に一致しました。》


 死体を調べた葉潤の冷静な分析を裏付けるように、ニャオは即座に解析結果を報告。


「大型か…あの鮫女、いよいよやらかしたか?」


《そこまで大型ではありません。せいぜいその半分程度ですね》


 熊田が茶化すも、ニャオは真面目に否定し、


《検索の結果、御丹摩署管内に住む鮫型獣人は鰐口わにぐち巡査だけです。

 が…ここ最近のうちに都内に移転してきたシャチ型獣人の家族が確認できました。

 それも…鰐口巡査と同郷出身の。》


「同郷?…まさか…」


 葉潤の脳裏をとある事件の記憶がよぎる。

 かつて世間とマスコミを大いに賑わせ、その後も手を変え品を変え、つい先日まで香ばしい話題を提供し続けた…あの事件。


「もったいぶらずに早よ言えや!」


 いまいちピンと来ずにしびれを切らす熊田に、ニャオと葉潤は手早く検索した資料を携帯端末に表示して見せた。


「…コイツかよ!?」


 世情に疎い熊田ですら見覚えのある、そのシャチ男の顔は…


「…あの市長がやらかしたってのか、コレを?」


「動機は明らかに怨恨…かな?」


《重ね重ね申し訳ありませんが…現場待機どころではなくなりそうです。》


 だろうな…と二人は腹を括る。


「つくづく悪運の強い奴だぜ、あの鮫女は!」


 俺達がすぐそばに控えてるときに限って、騒動に巻き込まれてばかりだからな…と熊田は愉快げに苦笑する。


《もしくはトコトン運に見放されてるか…》


「どのみち、これから怪獣大戦争勃発だね♩」


 言い得て妙だな…と皆して吹き出す。


「んで…ここでは一体何をこさえてたんだ?

 あんな大穴ぶち開けるくらいだ、どうせろくでもねぇモンだろ…」


 穴の先に垣間見える青空を降り仰ぐ熊田のそばで、現場に散らばった書類を回収していた葉潤の目に…とある資料が飛び込んできた。

 何らかの設計図と思しき、ソレに描かれていたモノとは…


《コレは…軍にも出動を要請します。》


 即座にそう判断したニャオの言葉に、全員の顔がにわかにこわばる。


「おいおい冗談じゃねーぞ…マジに戦争おっ始める気かコイツら!?」


「怪獣どころか…メカ◯ジラだったとはね!」





 そんな騒動など露知らない靖利達一行は、店の外で車を捕まえて帰路についていた。

 車窓にペッタリ貼り付いたセブンは、高速で流れる街並みを物珍しげに眺めている。

 自宅と署を往復する地下鉄にはもう何度も乗っている彼だが、外の風景が見られる乗り物は初めてなだけに、とても興味深いらしい。

 こういうところは男の子だなぁと微笑ましく思いつつ、


「せっかくだから、どっかで飯でも食ってくか?」


「おっイイですねぇ〜。もうお昼過ぎてますしぃ〜♩」


 飲みに誘われた親父みたいにご機嫌なボン子と共に、さっそく飲食店をあれこれ検索し始めたところへ、


「…ねぇねぇ、アレ何!? あの大っきいヤツ!」


 窓辺から上空を指差して、セブンが興奮気味に叫んだ。


「あぁ、メガジャンボ機だな」


 検索に夢中な靖利は振り向きもせずに答えた。

 何処ぞの宝クジみたいな名称だが、その通り巨大エイを彷彿とさせる幅広な機体が悠然と大空を舞っている。

 人間時代には利用客の減少に伴い小型化が進んでいた旅客機だが、人口過密となった昨今では再び利用者数が爆発的に増加したため、千人以上を一気に運べる超大型旅客機が主流となっている。

 動力も前世紀までのジェットエンジンから、より安全で高出力な核融合エンジンに代わり、

またAIによる完全自動操縦が実現したため、獣人にも容易に扱えるようになったのだ。


「へぇ〜っ?…あっ、また何か飛んできたよ!? 今度はいっぱい!」


 感心したのも束の間、再び目を輝かせたセブンの歓声に「…いっぱい?」とさすがに靖利達も窓の外を見上げた。


「…戦闘機じゃん。編隊飛行してる…」


「こんな街中で…変ですねぇ〜?」


 時々イベントでアクロバット部隊が街の上空を飛ぶことはあるが…どう見てもド派手なカラーリングとは無縁で無骨な塗装のあの機体は、明らかに迎撃用だ。

 いったい何がどうなって…と思い始めた矢先、


「…!? ね、ねぇ…アレは?」


 その異様な光景に不気味さを覚えたセブンはたちどころに意気消沈。

 そんな彼に指差されるまでもなく、靖利達もすぐその存在に気づいた。


「なんだ、ありゃ…UFO?」


「そのまんまな意味なら正解ですけどぉ…ずいぶん久しぶりに聞いた気がしますねぇ〜」


 運搬用や作業用のドローンが頻繁に飛び交うようになった今日では、多少奇妙な物体が空に浮いてるのを見かけても「あードローンドローン。」と誰も気にしなくなり、UFO目撃報告もめっきり減った。

 しかし、アレは…どう見ても明らかにオカシイ。

 金属製のブロックを何個も組み合わせたような、幾何学的で巨大な飛行物体が忽然とそこに浮かんでいた。

 滑空しているのではなく、街の上空にピタリと静止している。ドローンでも多少のブレは見受けられるはずなのに、微動だにしない感じで。

 先に飛んでいた巨大旅客機とほぼ同サイズな巨体だから、ドローンのようなローター飛行はあり得ないだろうが…エンジンの排熱による周囲の景色の揺らぎも見当たらず、どうやって飛んでいるのかすら判らない。

 さらに異様なのは…その中心に鎮座しているのが、生身の巨大生物…シャチだということ。

 海に棲んでるはずのシャチが、なんで空に?

 しかも、アレは…あの顔は…靖利がよく知ってる顔だった。

 忘れようとしても忘れられない…いまだに夢に出てくる、この世で最も憎らしい、あの顔は…


「…部長…!?」





 携帯端末で察知した靖利達の現在地へと猛ダッシュで急行していた熊田達の鼓膜を、けたたましい呼び出しアラームがつんざいた。

 もどかしげに懐から端末を取り出せば、ニャオからの緊急連絡が入っていた。


「なんだこのクソ忙しいときにッ!? 要はそのアホ市長がなんかしでかす前にブッコロしゃーいいんだろ!?」


《その市長ですが…先ほど、他の家族もろとも自宅で死亡しているのが確認されました。

 …あの廃屋の犠牲者達と同様に。》


「!? じゃあ…アレは誰?」


 目の前の上空に見えてきた、理解不能な形態の浮遊物を指差して葉潤が尋ねる。

 獣人である彼らの目には、その中心にイカレた目つきのシャチが居座っているのが遠方からでも確認できた。


《先ほど処刑令状が下りました。

 容疑者名は『織家小蘭華おるかおらんか』》


「居るのか居ねぇのかハッキリしやがれっ!」


「そーゆー名前だってば…」


 しょーもないコントを挟む二人には目もくれず、ニャオはさらに続けた。


《かつて鰐口巡査が引き起こした事件の被害者中、わずかに生き残った二人のうちの一人…

 …水泳部の部長です。》


「…なるほど。それで全部繋がった!」


 葉潤には疑問だった。

 いかに自分達を路頭に迷わせ、娘の自由を奪った張本人とはいえ…

 直接的には何の付き合いも無かった靖利に、かつての市長ともあろう大物が復讐など企てるだろうか?…と。

 それならそれで、彼をあの姿にしたであろうあの廃屋のスタッフ達には今後ともお世話になるだろうから、皆殺しになどすまい。


「つまり…敵さんも腹ァ括ってきたってこったな!?」


 熊田が言う通り…あのイカレたシャチ女の目には、もはや靖利への復讐しか見えていない。

 その後に自分がどうなろうとも構わない。だから家族もスタッフも全員道連れにしてやったのだ…!


「とどのつまりは…ますますヤバイってことだね…!?」


 冷や汗混じりに呟いた葉潤の目の前で…

 飛行シャチに攻撃開始した戦闘機部隊が、ワケワカラン反撃を喰らって次々と紙飛行機のように舞い散っていく。


「今の…レーザー兵器? の割にはここからでもハッキリ視認できたし…途中で軌道が捻じ曲がってなかった?」


《急いでください!》


「言われなくても、もぉ目と鼻の先だぜッ!」





「大昔のアーケードゲームでありましたねぇ〜ホーミングレーザー。実際にこの目で見るなんて…長生きはするもんですねぇ〜♩」


 浮遊シャチがいきなり放った理不尽すぎる光学兵器に大喜びなボン子の隣で、


「アーケード…? ホーミング…?」


 時々意味不明なことを口走るボン子に、実年齢の差を痛感せざるを得ない靖利だが…

 そんなことより、なんで部長がここに居るのか?

 さっきピン子は確かに、彼女は家族ともども島から逃げ出したと言っていたけど…

 それがどうして自分と同じ大都会にいるのかが、さっぱり理解できない。

 アレは今じゃ靖利よりも悪名高いお尋ね者だから、逃亡先もどっか人目につかない片田舎に決まってて、もう金輪際顔を合わせることも無いだろうと清々してたのに…。


《…見つけた…鰐口靖利…!》


 不意にすぐそばで、耳にするのもおぞましい部長の声が呪文(おまじないではなく文字通りの意味)のように漏れ聞こえた。

 驚いて周囲を見回すが…彼女の姿はいまだ上空を漂ったまま。

 ただし…激情に燃え盛る、思わず尻込みしてしまうほどの眼差しで、車内の靖利を一直線に見下ろしながら…!


「あやや〜…端末がハッキングされちゃってますねぇ」


 ボン子の言葉にさらなる恐怖を覚える。

 そこいらのスマホと違って、刑官専用の携帯端末はあらゆる通信内容が暗号化されるから、こんな芸当は不可能に近いはずなのに…!?


「…降りるぞ!」


 身の危険を感じた靖利が皆に呼びかけ、車を停めようとした矢先…

 部長が放った怪光線が、車の運転席部分を真横にピシュンッ!と一閃。

 直後、車はガコンッ!と見事な輪切りに!

 自動操縦車はそれでも見事なハンドル捌きで、前輪だけで何処へともなく走り去っていく。

 だがエンジンを失った後ろ半分はなす術なく路上でズッコケるしかなかった。

 そこから靖利達が慌てて飛び降りる。

 あ、危なかった…たまたまなんとなく全員後部座席に乗ってたから助かったけど、前に座ってたら一緒に輪切りにされてるところだった…!


 ヒィヤァ〜〜〜ッハッハッハッ!!

《…お久しぶりね、鰐口さん?》


 狂気に満ちた笑い声が上空にこだますると共に、底意地の悪そうなお嬢様然とした声がまた端末越しに聞こえてくる。

 前後のギャップの凄まじさがその異常ぶりを如実に物語る。同じお嬢様でも癒し系のボン子とは大違いだ。


《この私をこぉーんなステキな身体にしてくれた貴女に、どぉーしてもお礼がしたくってねぇ♩》


「いや、さすがにそこまで面白おかしくは加工してねーぞ?」


《せっかく身を挺して厄介者払いしてやったと思ったのに、こっちでも大活躍な上に…早速そんな可愛らしいお友達をはべらせちゃって…妬けるわねぇホントにッ!》


 朗らかに会話に興じていたかと思えば、最後で急に逆ギレ。病み方パねぇ!

 しかもどうやら、靖利が刑官になった以降の実績まで把握してるらしい。

 てことは刑殺のデータベースにまで侵入できるのか…ハッキング能力もパねぇ〜!


「お褒めに預かり光栄至極ですぅ〜♩

 まぁ〜靖利ちゃんは貴女と違ってちゃんと気配りもできる優しい子ですしぃ、人気者なのは当然でしょーねぇ〜〜〜貴女とは違って☆」


 そしてよせばいいのに横からボン子も口を挟んで、いつも以上の毒舌っぷりで部長を精神攻撃!

 見た目はにこやかだけど、どうやら部長に相当ムカついてるなコレは…。


「ッザッケんなぁ小娘がァッ!!」


 見た目はそうでも実際は人生の大先輩だが、そうとは知らない部長はいきなりブチキレてホーミングレーザーを乱射!

 ところ構わず放たれたソレが周囲のビル群を薙ぎ払い、閑静な街はたちどころに瓦礫と炎に包まれた。


「…なんかスンマセーン…」


「いや、ボンちゃんが謝ることじゃないさ」


《…なんとも豪快なお嬢様ですね。》


 いつの間にか繋がっていた携帯端末を通して、ニャオの溜息がきこえる。


「…なんかスマン。」


 靖利もついつい頭を下げる。あんなんでも一応は知り合いだしな。


「アレは元からあんな感じだったけど…色々ヤバさが激増しだな」


《という訳なので、お休み中のところ申し訳ありませんが緊急出動をお願いします。

 処刑令状は既に下りていますので》


『了解ッ!』


 一も二もなく頷き返した靖利達は揃って通信端末を頭上高々と掲げ、


『蒸〜着ッ!!』


「…とかやんなくてもフツーにお着替えできちゃいますけどねぇ〜♩」


 一足先に刑官制服にチェイングしたボン子が要らん茶々を入れる。ええいっロマンを解さん奴めっ!


「てゆーかボクの服ってやっぱりオカシイよね!?」


 先ほどまでの店舗巡りで、衣類には男女の区別があるという事実に勘づいてしまったセブンが、ミニスカの裾を押さえて赤面するが…

 宇宙では、あなたの疑問は誰にも聞こえない…。byエイ◯アン


「ところで、ずっと気になってたけど…制服から普段着に戻るときも同様に一瞬で着替えられるじゃん? アレってどーなってんだ???」


 ぬうっ、靖利までもが要らん疑問を抱きおって…東◯映◯様に謝れっ!

 きっとアレだ、そのぉ…小人さんがちまちま夜なべして繕い直してんだよ!

 今後はツマラン疑問をほざいた奴のトコにも熊ァ送りつけるからなッ!!


《…一件落着したところで状況開始です。》


「じゃあテキパキ済ませちゃいましょお〜♩」


 言うが早いか、お得意の目からビームでフライングオルカを射抜こうとしたボン子だったが…

 ビームが標的に当たった瞬間、キィンッ!という金属質な反響音と共に明後日の方向に跳ね返された。


「あっちゃあ〜、やっぱりこの程度じゃ〜歯が立ちませんかぁ…」


《光学兵器が単なる反射ではなく、明らかに物質的に跳ね返されましたね…。

 何処で手に入れたのかは不明ですが、人智を超越したテクノロジーです。》


「そもそもホーミングレーザー自体、現実にはあり得ない技術ですしねぇ〜?」


《超小型ブラックホールを発生させて力場を形成し、無理やり捻じ曲げてるとしか…?》


「ズン◯タのアルバムのブックレットにも書いてありましたねぇ〜ソレ♩」


 学術ネタで盛り上がるボン子とニャオだが、靖利にはさっっっぱり解らんし…自分だけ置いてきぼりにされて、なんか悔しい。

 仲が良いと思ってた女子が、いつの間にか他の女子グループに参加して親しげにくっちゃべってたときの、あの疎外感…。


「大丈夫、この中だとお姉さんのが一番おっきいから♩」


 セブンが要らん慰め方をするが、ンなこたぁこの際どーでもいいし何の慰めにもならんわ!

 面積ばかりだだっ広くても大概使い道のない僻地だらけの◯シアや中◯じゃあるまいし…。


「だからまた触らせて♩」


「なんで"だから"で繋がんだよ? ま、まぁ…それくらいならいいけど…もう吸うなよ?」


 …色々スゴイなチミは?

 ってか今はそんな場合じゃないし!!


「とにかくボンちゃんは今後ビーム禁止な!? 跳ね返された後どこに飛んでくるか判んねーから危なっかしいし!」


「合点承知ですぅ〜。でもでもぉ、そしたらどうやって叩き落としましょーかぁ…アレ?」


 ムゥッ確かに。敵さんは遥か上空に陣取ってるから、通常攻撃は一切無効だし…。


「大丈夫…そこはあたいにに策がある!」


 あの訳わからん機械部分はともかく、中心の部長自体は生身だから…あそこまでどうにかして接近できれば、勝機はある!


「ボクのさっきの翼は、しばらく使えないしね…」


 ……あれっ?


《策も勝機も一気に消失しましたね。》


 セブンの変身は無尽蔵に使える訳ではなく、一度使用したものと同傾向の能力は再利用できるようになるまでに多少のインターバルが必要となる。

 以前にも述べたが、一般的な獣人は獣形態のほうが通常で、人型形態のほうはいわゆる『擬態』である。

 対してセブンは人型のほうが標準形態で、変身形態は彼のイメージを具現化した姿である。

 そして変身そのものはいつでも脊髄反射的に即座に行え、回数制限等も無い。

 だが…その変身プロセスを彼の脳が理解し、以降はすぐに再利用できるようプリセットするまでには割と時間を要するらしいのだ。

 RPG等で戦闘中に新技をひらめいたとして、一度目はイベント扱いでタダで披露されるが、二度目以降はMPが必要…みたいなものと理解して頂ければ幸いである。

 そうじゃなければチートすぎて面白味がないが、よりにもよってこのタイミングで…。


《ヒハハッ、手も足も出ないようねぇ!?》


 実際に手も足も出てないのは機械に取り込まれて頭部しか露出していないイカレシャチ女のほうだが、確かにこのままでは…。

 まごついてるうちに…先ほど見かけたメガジャンボ機が現場上空に舞い戻ってきた。

 どうやら『未確認飛行物体』のせいで着陸許可が下りず、付近を旋回して待機中らしい。


《…フヒヒッ、それじゃあ私から…面白いものを見せてあげるわっ!》


 叫ぶなり、シャチ女の身体からなんか出た!

 正確にはその周囲を取り巻く機械から全方位に射出されたレーザーが、途中で捻じ曲がって寄り合わさり…まるで投網のようになった。


「投網?…まさか!?」


 そのまさかだった。部長はその網状レーザーをメガジャンボ機に投擲とうてきして…

 ゆっくり飛んでるように見えても実際にはF1カー並みの速度が出ている飛行機を、いとも簡単に絡め取った!


「をっほぉ〜今度はトラクタービームですかぁ〜っ!?」


《古典的SFドラマにも出てきますが、実際目にすると異様なほど非現実的ですね…》


 オタク知識で盛り上がるボン子とニャオ。そーゆーチミらもたいがい非現実的だけどな。


《う〜らうらうらうらららららァッ!!》


 その場で時計のように水平回転して、捕らえた獲物を円盤投げのようにグルングルンぶん回したシャチ女は、完全に勢いが乗ったところで投網を切り離す!


「あややぁ…せっかく捕まえたと思ったら…」


「どっちに投げてんだろ?」


 ボン子とセブンが小首を傾げる。

 てっきりこっち目掛けて攻撃してくると思ったのに、飛行機が放り投げられたのはあさっての方向…じゃない!


「あの方角は…まさかっ!?」


 青ざめる靖利の予想通り、ニャオが非情な分析結果を告げる。


《メガジャンボ機の墜落予想地点は…小笠原諸島です。》


 すなわち…靖利の生まれ故郷!?

 反射的に懐に手を伸ばした彼女は、そこから自分のスマホを引っ張り出す。


《鰐口巡査、任務中の個人端末の携帯や利用は…》


「やかましいッ!」


 空気を読まずにさっそく絡み始めたニャオを通信端末ごと足下に叩きつけて、靖利はすかさずスマホの電話アイコンを押す。

 呼び出し先は言わずもがな、


「ピン子! 今すぐそこから逃げろッ!!」


『もしも…靖利ちゃん!? いったい何ー』


 そこで突然ノイズが入って通話が途切れた。


「ピン子ッ!? どうしたっピンー」


 必死に呼び掛け続ける靖利の視界に閃光が奔り…南の空が赤く染まった。

 無論、夕暮れにはまだ早過ぎる。


《…機体の墜落を確認。爆発・炎上中です。》


 ニャオからの無情な報告が流れる通信端末のそばに、靖利はガックリと膝を突いた。

 前世紀の核分裂エネルギーを応用した内燃機関とは違い、核融合エンジンを搭載したメガジャンボ機は飛躍的にクリーンで安全性が増したが…

 燃料が核物質という点においては何も変わらない。

 南の空に立ち昇るキノコ雲の巨大さが、その悲惨さを如実に物語っている。


《ヒィヤァ〜〜〜ッハッハッハッ!!

 燃えろぉ、全部燃えちゃえーっ!

 この私を否定した連中なんて、お父様もお母様も…島ごとぜぇーんぶっ! キレイさっぱり消し飛んじゃえばいいのよォーッ!!》


 もはや完全にキ◯ガイと化した耳障りな罵声が通信に割り込む。

 いかに死刑否定派や反戦主義派な連中も、これほどの腐れ外道を目の当たりにすれば考えを改めざるを得まい。

 この類の輩に更生などは到底不可能であり、長々と服役させるだけムダだということを…。

 あまつさえこんな短絡的な理由で、今まで自分を手塩にかけて育ててくれた親を含め、大半は無関係な島民すべてを手にかけるとは…なんて愚かで哀れな女だろうか。


「クソが…クソがっ…クソッタレがぁ〜〜〜〜ッ!!」


 噛み切れた唇から滴る鮮血と血の涙を撒き散らして、靖利は再び立ち上がった。


「部長…織家小蘭華ッ!!

 テメーはやっぱ、あんよだけなんて情けは掛けずに、あん時全身グッチャグチャに噛みちぎっとくべきだったぜッ!」


 いまだイカれた高笑いをたなびいて、上空でグルグル狂喜乱舞し続ける社会のゴミシャチを真っ直ぐに指差して…靖利は高らかに宣言する。


「ブッッッッッッ殺スッッ!!!!」




【第三話 END】

 今回は割と盛りだくさんな内容だと思いますが、文章量自体は比較的少なめかな?

 当初は一話分で完結する予定だったのが、あれこれ盛り込んでるうちにかなりのボリュームとなってしまったので、前後編に分けたためです。

 でもその分メリハリが付いて良さげかな〜と。

 前半のほんわかムードから一転、後半はなかなかにスリリングな展開となっております。

 刑事物なのに実況見分とかやってないなーと思ったので、慌ててブッ込みましたし(笑)。


 終盤に出てくるヤバイ敵は、第一話の時点から伏線を張っておいたので、いずれ出すつもりではいましたが…ちょっと時期尚早だったかもしれず、勿体なかったかな(笑)。

 でも、次第に黒幕の影がチラつき始めるという今回のシチュエーションには適役かなーとか思ったもので。

 今作は刑事モノ以前にれっきとしたSFなので、いかにもソレっぽいガジェットも出しときたいな〜ってことで、前々からやってみたかったホーミングレーザーとかも撃たせてみました。


 あまつさえ、上空に陣取ってて通常攻撃は無効という卑怯千万な戦法。

 しかもイキナリとんでもなく悪どいことをやらかしてくれちゃってますけど。

 毎度毎度数十〜数百人単位で犠牲者が出るように心掛けてる今作としては現状最多ですかね。

 お察しの通り、今作ではあえて人命紙風船な軽ぅーい扱いになっとりまして、逆説的に命の大切さを訴える…ワケは無く(笑)。

 これもある種のエンターテイメントと割り切っとります。

 でもよくよく読み返して頂ければお解りでしょうが、だからといって人命を軽んじた者ほど悲惨な目に遭う『因果応報』システムを導入しとります。

 敵も味方も殺しまくってることに変わりないものの、大切なのはそこに愛…じゃなくてポリシーはあるんか〜?の一点ですね。

 なので遠慮なくジャンッジャンッブッ殺〜☆(笑)


 てな次第で宿敵の顔見せ程度に終わった前編ですが。

 解決編となる後編では、今のところチンピラ同然な熊田の意外すぎる過去話とかも飛び出しますので乞うご期待♩

 彼がどぼぢであんなやさぐれキャラになってしまったのかがよく判ること請け合いです。

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