表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野性刑殺  作者: のりまき
14/18

世界混沌!

【前回のあらすじ】

 靖利達のライブ会場に突然現れ、月の都を業火に包んでみせた父親・鮫洲さめずは、近いうちに靖利を迎えに行くと言い残して姿を眩ませた。

 そして数日後…予告通り、街の上空に巨大UFOが忽然と出現。中から再び姿を見せた鮫洲に、街の人々は猛抗議を繰り広げる。

 だがそれでも彼は、靖利にとっては昔のままの優しい父親だった。

 世界が父を悪く言うなら、自分も世界を敵に回してでも父を守ると宣誓した靖利は、御丹摩ごたんま署のかつての仲間達に背を向けて鮫洲とともに去った。


 しかしそれを悲しむ間もなく、月の民が突然地球に宣戦布告。

 鮫洲が引き起こした大災害により、自分達が置かれた劣悪な住環境への不満を爆発させた彼らは、自分達こそが正統な地球の所有者であると宣言。

 獣人が住まうかつての故郷・母なる惑星=地球を奪還すべく、侵攻を開始した…。





 御丹摩ごたんま署の面々は、月の民は温厚で争いを好まない人種だ…などと勝手なイメージを抱いていた。

 それは幾度か目にした月の代表や、いつぞや知り合った月からの亡命者だという占い師の老婆が、いずれも友好的で話の通じる相手だった影響が大きい。

 だが、それは単なる幻想に過ぎなかったことを、彼らは嫌というほど思い知らされることになる。


 地球侵攻を開始した月の民が最初に実行したのは『メテオフォール作戦』…別名『鳥かご墜とし』だ。

 地球と月との往来には、軌道エレベーターと称された事実上の宇宙船を用いる。

 両星の物理的な距離は約三十八万キロもあり、出発から到着までには早くとも数日間は要する。

 その間を乗客に快適に過ごしてもらうため、また万一の事態を考慮して、船内には数ヶ月は居住可能な宿泊施設や飲食スペース、娯楽設備などあらゆる贅が尽くされており、ちょっとしたホテル並みの造りとなっている。

 当然のように船体も巨大で、全長が優に一キロを超える小規模な住宅街がそのまま宇宙を漂っているような感じだ。

 地球から月への移民が開始されてから、少しずつ建造され順調に隻数を増やしていった、両星の友好の架け橋であり歴史的遺産ともいうべきソレを…

 月の民は惜しげもなく、地球上の各都市めがけて落下させたのだ。前回、小鞠が流れ星だと思った光跡の正体がコレだ。

 それは劣等人種との交流など金輪際必要ないという彼らの意志表示でもあった。


 大質量の巨大構造物による大気圏外からの絨毯爆撃により、地球各国は大打撃を受け、初日だけで全人口の実に二割が喪失。

 あまりにも非人道的な攻撃手段に、月でも多数の抗議の声が上がったが、そうした反政府的な者は反逆罪の名目で次々に捕らえられ、何処へともなく姿を消した。

 そして人々は自らの行いに恐怖した。


 無論、月の民はただ闇雲に『鳥かご』を墜とした訳ではない。

 船内に詰め込めるだけの兵士を寿司詰めにし、通常ならば生物が耐えきれないほどのGを伴う高速度で地球に最接近。だが宇宙甲虫のDNAにより身体強化された彼らならばこれぐらいは余裕で生き延びる。

 つかの間の宇宙旅行を満喫した後、兵士達は衛星軌道上で船を降り、空っぽになった『鳥かご』を最高速度で地上に墜とす。

 そして兵士達は、同じく船で運搬してきた機動兵器に乗り込み、瓦礫と化した都市に降下・占領する手筈だ。

 この機動兵器は、本来は月面で無人運転されている建設用重機に無理やり操縦席を設け、銃火器で武装した急ごしらえのもの。なぜに無人機をわざわざ有人化などという非効率な改造を行うのか定かではないが、戦争とはすなわち人海戦術がモノをいうらしい。


 だが、いくら急場しのぎとはいえ、これだけの台数をほんの数日で揃えるのは土台不可能。

 ということは…軍は以前から地球侵攻を目論み、着々と準備を進めていたのだ。

 ところが、地球には鰐口靖利というトンデモナイ怪物がいる。まずはアレをなんとかしないと…

 とか苦悩していた矢先、鮫洲がまんまと靖利を連れ去ってくれたおかげで、当面の障害は取り除かれた。

 おまけに奴が大災害を引き起こしてくれたことにより大衆の不満が募り、クーデターを遂行するにはまたとないチャンスが到来した。

 すなわち、靖利の反逆と月面の政変は決して無関係ではなかった訳である。


 はてさて、地上に到達するまでには、おなじみ『魔の大気圏突入』を敢行せねばならない。

 無謀とも思える作戦だが、突入後に『鳥かご』を墜としたのでは都市破壊に充分な加速力を得られず、また最高速度に達してからは脱出不能なため、致し方なかった。

 たとえ生身で宇宙に放り出されようと、短時間なら生存可能なほど強靭な月の民ではあるが、灼熱地獄と化す大気圏突入にはさすがに耐えられない。

 そこで、この機動兵器は宇宙服や耐熱服としての役割も担っている。


「各機、『鳥かご』の破片に巧く隠れて大気摩擦をやり過ごせ。当兵器には本来、突入に耐え得るだけの強度は…

 ブラウン、突入速度が速すぎる! 持ちこたえられないぞ!?」


《そ、それが、コントロールが効かず…減速できませんっ! 助けてください、チャア少佐ァーッ!?》


 キュボォーンッ! 一機自滅。


「クッ、ブラウン…ッ。

 おのれっ、獣人どもめぇ〜っ!!」


 せやから自滅やゆーとろがぃ。





 一方の地球側は当初、宇宙から襲い来る敵への対抗手段を何一つ持たなかった。

 『鳥かご墜とし』で無数の犠牲者を出し、直後に機動兵器の襲来を受けても、ただ指を咥えて見ているだけしかできなかった。

 手当たり次第に街が破壊されていき、ある者は兵器に踏み潰され、またある者は銃火器の一斉掃射で蜂の巣にされる。

 至る所に血溜まりと肉塊が転がり、まさに地獄絵図と化した世界を、人々はあてもなく逃げ惑った。


「ヒャッハー!!」「オラオラ逃げろ逃げろ害獣どもがッ!」「ぼやぼやしてたら轢き殺しちまうぜェーッ!!」


 あたかもハンティングを楽しむかのように獣人達を追いかけ回す月の兵士達。

 冒頭の文章に戻るが、これが月の民の…いや人間の本性だった。

 好戦的で残虐なのは、月だろうと地球だろうと変わらない。


「ヒャッハハ追い詰めたぜクソ豚野郎!」


 なんとも酷い言われようだが、追われているのはブタ型獣人だから反論のしようがない。

 袋小路に追い詰められた母親と幼い子供三匹は、一縷の望みをかけて命乞いに出た。


「お、お願いですから子供達だけは…!」


「先に撃てってかフヒャハァーッ!!」


 ズドバババババッ!


「ピギャアーッ母さグベッ!?」


 グチャブチョズニュルッ。

 子豚達は悲鳴を上げる間もなく一瞬にして挽き肉と化した。


「ブヒィ〜ッ!? あ…あ…あひゃひゃひゃひゃひゃっ!」


 あまりにも惨たらしい我が子達の最期を直視した母豚は一発で気が触れた。


「あ〜ぁ狂っちまいやがった。結構イイ女なのによぉ」


「ウェッ、お前こんなのが趣味なのか?」


「だって、月にゃこんな肉付きのイイ奴はいねーだろ?」


「…言えてるな。ヘヘッ」


 性別や生殖器官を持たない月の民にも、人並みに性欲はある。生物が繁殖する上では欠かせない要素だからだ。

 で、いったいどうするつもりかは不明だが、目先の餌に惑わされた機動兵器のパイロット達は、迂闊にも機体の外に出た。

 地球の下等種族ごとき、所詮は人類の正統後継者である自分達の敵ではない!…という慢心と選民主義的思想が招いた油断である。

 一応、周囲に人影がないことは確認したものの、戦地ではあまりにも軽率な行動だった。


「おぉ…大気が濃密だ…ながッ!?」


 深呼吸した隊員の心臓を、背中から長い鉄骨が刺し貫く。物陰に潜んでチャンスを窺っていた象型獣人が鼻先で力任せに放ったものだった。


「殺っちまえぇーッ!」ヴォオ〜〜〜〜ッ!!


 瓦礫の中の至る所に隠れていた大勢の獣人達が、リーダーの合図を皮切りに一斉に襲いかかった。


「よくも俺達の街を!」「くたばれクレーター野郎ッ!」


 口々に罵声を浴びせつつ、蟻かゾンビの群れのように兵士に噛みつく獣人達。

 いかに屈強な月の民といえども、これだけの人数に束で襲撃されてはひとたまりもない。兵装には劣っても、獣人のパワーは決して侮れないのだ!


「たっ助けヴギャアーッ!?」「ひギャア〜〜〜〜ッ!!」


 ブチブチャグチョメキャアッ!


 四方八方から噛みつかれ、引き摺り回された月の民は、あっという間にバラバラの細切れ肉と化した。


「ゔぉえっ…ペッペッ! なんだコイツら、メチャ不味じゃねーか!?」


「よっぽどロクなもん食ってねーんだろ。犬にでも喰わせちまえ!」


「んだとコノヤロ、犬型のオレをバカにすんのか!?」


「例えだ例え。ミミズだってオケラだってアメンボだってもうちょいグルメだぜ」


「畜生ムダに殺しちまったな。半殺しにして軍に突き出すべきだったか?」


「どーせ末端兵士はロクな情報持ってねーって。全殺しで丁度いいんだこんな奴ら!」


 とそこで、連中の肉片の中にキラリと光る小型の拳銃らしきモノに気づいたリーダーが、それを拾い上げる。


「実弾じゃねぇな…レーザーガンか? 御大層なモンぶら下げやがって」


 戦利品にと懐にしまいかけたところで…さっきの母豚に目が行く。

 完全に正気を失った彼女は、死んだ子豚達の肉片でジグソーパズルをしていた。


「ウフフ、またこんなに散らかしちゃって…しょうがない子達ね。お母さんがちゃんと直してあげるから…アヒャヒャッ」


 肉片から溢れ出た鮮血で両手や衣類を真っ赤に染め上げて、周囲の肉塊を拾っては繋げ、拾っては繋げ…。

 凄惨なその光景を、獣人達はただ黙って見届けるしかない。


「あらあら…ウーちゃんのお目々が無いわ? 

 宝石みたいに綺麗でつぶらなお目々が…。

 そこのアナタ、一緒に探してくださらない?」


 母豚が何気なく、銃を拾った獣人に話しかけた。

 一応あたりを見回すフリをしてみるが…目ん玉なんて肉片と一緒にそこかしこに散らばっており、どれがどれだか判らない。

 そもそも人体パズルは一体だけでも難儀するのに、子豚三匹分に月の民まで混ざってしまえば難易度マックスで、一生解ける気がしない。

 もう見ていられない…それがこの場に集った人々の共通意見だった。


「…ホラ、見つけたよ」


 手にした銃を突きつけるリーダーに、どれどれ?と母豚が顔を寄せた瞬間。

 ピシュン!…とサイレンサーを取り付けた銃のような軽い音がして、母豚の身体がその場にドサリと崩れ落ちた。

 月面製の高性能なレーザー銃が、軽く引き金を引いただけで彼女の脳天を焼き貫いたのだ。

 これからの御時世、こんな状態の彼女が生き抜くのは不可能に近い。せめて敵ではなく味方の手で葬ってやるのが彼等なりの優しさだろうか。


「あの世で子供達と仲良くな。

 …どうせ俺らも近いうちにそっちに行くだろうから、許してくれ」


 通常、道端でこんな新鮮な死体を見つけた場合、皆で美味しくお召し上がりになるのが獣人なりの弔い方であり常識である。

 この母豚はよくよく見れば、確かに月の連中が言う通り丸々肥えて、文字通り美味そうな身体つきではあったが…さすがの獣人達も気の毒すぎて食指が動かなかった。

 皆で合掌し、尊い犠牲者達を弔っていたところへ、


「遅れてすまない。

 …コレを鹵獲したのはキミ達か?」


 やっと現場に到着した地球側の兵団の隊長が、傍らに転がっている月の機動兵器をしげしげ見つめて尋ねた。

 もう街中どこもかしこもこんな酷い有様だから、いまさら誰も文句は言わないが。


「ああ。ついでにこの銃もな。

 月の連中はべらぼうに強いって聞いてたけどよ、隙を突いてみんなで襲い掛かりゃ〜屁でもなかったぜ」


 得意満面なリーダーに手渡されたレーザー銃と機動兵器に、隊長は交互に目を配り、


「…よくやってくれた。こんな状況下ではもはや兵士も民間人もない。諸君らの健闘に感謝する。今後の活躍にも期待させてくれ」


「いいってことよ。どうせくたばるなら、もっと大勢の月面野郎を血祭りにあげてやってからだぜ!

 …んで、そいつは役に立ちそうかい?」


 機動兵器を顎で指し示すリーダーに、隊長はニヤリと笑い返して、


「…大収穫さ。これでようやく月の連中と互角に渡り合える。」





 地球各地で鹵獲された月の兵器の解析は急ピッチで進み…

 ほんの数週間後には、それに対抗できるだけの武装が続々開発された。

 獣人だって本気を出せばそれくらいは作れるし、資源も労働人口も月の比ではないほど存分にあるのだ。

 現時点では衛星軌道上へ機動兵団を打ち上げるのが関の山だが、防衛力としてはそれで充分であり、月の民の地上降下作戦の成功率は目に見えて急低下した。


「…見えたぞ、『鳥かご』だ!」


 地球周回軌道上に配備されていた防衛隊が、急接近する軌道エレベーターを目視で捉えた。

 五感に優れた獣人の中には、レーダー機器以上に索敵能力に長けた者も多い。


《見つかったか…応戦するぞ!》


 地球側の機動兵器群がこちら目掛けて群がってくるのを見て、月の兵士達も機動兵器に乗り込み、ワラワラと蜘蛛の子のように船から這い出た。

 船体にもそれなりの武装は付いているが、地球側の兵器の機動力は月側を上回るため撃墜率が低く、直接対峙する以外に手はない。

 もっともこれは地球側の技術力以上に、獣人自体の運動能力が優れているためだが。


 さて、この時期になると月側の指揮官はまんまアニメに出てくるようなカッチョイイ人型兵器に搭乗していた。

 部下達の搭乗機はそれよりもダサくて低コストだが、それでもギリギリ人型に見える体裁を保っている。

 これは自分達こそが真っ当な人間だというアピールであると同時に、兵器同士の格闘戦を考慮した結果だ。

 直情径行の獣人達は銃器で応戦するよりも、直に体当たりで挑んでくるだろうと想定されたからだが…

 結果的にこの推測は的外れに終わった。


「上も下もない無重力空間で人型か? 月の連中はよっぽどのアホ揃いだなハッハー!」


 対して、高笑いと共に宇宙を自在に駆け巡る地球側の機動兵器は、搭乗ポッドに必要最低限な武装を搭載し、機体の周囲を多数のバーニアで固めた、一見してウニのような不恰好な代物。

 これは短期間での大量生産を行うため、デザイン性よりも機能性を重視した結果である。てかそもそも獣人達は普段から人型なんぞに思い入れは無いし。

 パイロットの四肢それぞれで駆る操縦桿は各バーニアに連動しており、直感的な操作が可能。FPSゲームをプレイできる程度の技能があれば、短期間の訓練でまさに自分の手足のように操れる。

 無論、格闘戦などは微塵も考慮しておらず、敵機に接近・攻撃しては離脱を繰り返すヒットアンドアウェイ戦法を基本とする。実際、野生の世界でも大半の猛獣が得意とする狩り方は、一撃必殺ではなくそっちの方だ。

 また運動性能が月側の機体とは比較にならないほど抜群なため、装甲を強化して防御力を高めるよりは逃げて避けきる設計思想となっており、そのぶん製造コストや燃費も抑えられる。

 月側の武装は当たればメチャメチャ痛くてどのみち助からない厄介な代物ばかりだが、当たらなければどうということはない。

 さらにはバーニアの噴射を目眩しに用いたり、実弾兵器であれば相殺手段にもなったりと、まさに理に適った設計なのだ。


《ええいっ、ちょこまかとうるさいハエめ!》


 縦横無尽に目まぐるしく飛び回る地球の機体に苛立つあまり、負け確定なテンプレ台詞をのたまう月の兵士だが…月にもハエっているの?


《ハアハア…お、落ち着け…落ち着いてやれば勝てるんだ! ボクにはパイロットの素質有りって判定されたんだから…!》


 一方こちらは配属間もない新兵くん。

 本来ならまだ地球の高校生に相当する養育期間の途中だが、人材不足が慢性的な月側では一定の評価基準に達した者はもれなく戦地に回されてくる。

 いわゆる学徒出陣だ。

 そして、月の民は生殖機能を持たないためクローンで増える。となれば、誰もが優等生揃いなのは言うまでもないだろう。

 だが、しかし。


《マニュアル通り、敵を照準に入れて…マークの色が変わったらトリガーを…うわっ!?》


 ちゅどーん! チンタラやってたものだから、背後についた敵に狙い撃たれて搭乗ブロックを破壊された。

 月面界隈では千年近くも大きな争いが無かったため、実戦経験のある者はほぼ皆無。

 対して地球側はこれまでに幾度となく大小様々な戦火をくぐり抜けてきており、靖利や留未が生まれる以前にも、もう第何次かも不明な世界大戦を乗り越えたばかりだった。

 地上の建造物に瓦礫が目立つのは、決して自然崩壊だけではなかった訳だ。

 そうした経験の差が大きく影響するのは言うまでもない。戦争は机上の空論では決して勝てないのだ。


《な、なんで…マニュアル通りにやったのに!?》


 直撃こそ免れたものの、紅蓮の炎と火花に彩られた操縦席で、消火や脱出装置の起動すら忘れて途方に暮れる。

 そうしてる間にも破壊はどんどん進んでいき…


《あぁあぁぁぁ…母さぁーんッ!?》


 キュボボォーン! こうしてまた一つの命が宇宙の塵となった。

 たとえクローンであろうとも、それなりの家族愛は芽生えるものだ。

 最初はペットを飼う感覚に近いが、共に過ごす時間が長くなるほど愛情が深まる。

 だがそれも、家族の誰かが命を散らすまでの儚きうたかたの夢に過ぎないのだろうか。

 …そんな部下の散り際を機体のセンサーで認識した隊長機は、


《…今のは?》


《今朝配属された新兵です》


《そうか…やはり使い物にならんな。敵に遠慮が過ぎる奴は戦場では長生きできんぞ》


 溜息一つ。新兵の死を悼んだ訳ではなく、ここ最近の戦績の悪さに苦悩しているのだ。

 戦場に長く身を置けば、誰もが心を見失ってゆく。仲間の死を悼む余裕すらないほどに。


《また兵員補充を要請しておけ。

 …今の遺伝子タイプ以外の奴でな》


 どこの国でも上官の見解は常に辛辣だ。

 そして敵の罵詈雑言はそれ以上に容赦ない。


「なんだ今の月虫野郎。やたら動きが鈍かったな?」


「おおかた新米のド素人だろ。ただでさえ人口が少ないってのに、貴重な兵力を無駄遣いしやがって…」


「つってもウチだって雑兵の寄せ集めだぜ。ペーペーの新人だって死にたくなきゃ〜もうちょいマシに動くだろ?」


「ハッハハ言えてるぜ。よしっ、この調子でもう二、三匹狩っとくか!?」


 だが、地球側が優勢なのはそこまでだった。


「…来ました! 『白い奴』ですッ!」


 監視役の兵士が叫ぶと同時に、目にも鮮やかな純白の人型機が遠方から急接近してきた。


「やはり出てきたか…ええいっ撃て!」


 隊長機の号令一下、白銀の敵機めがけて一斉掃射を開始する地球兵団だが…

 敵はまるで舞い踊るかのようにヒラリヒラリと攻撃をかわし、あたかもハリウッド映画のアクション俳優のごとく、ただの一発も被弾しない。


《フッ、相変わらずの腕前だな》《さすがは『新人類』だぜ!》


 さぞかし悔しがっているだろう地球側を尻目に、月側の兵士達は拍手喝采。

 漆黒の宇宙でわざわざ目立ちまくるように真っ白く塗装した機体を駆るのは、月側では『新種』だの『新人類』だのと呼称されているエースパイロットだ。

 それは獣人の優れた五感をも凌駕する『第六感』に秀でた特殊な存在。

 長期間を宇宙で過ごした者の中には、極々低確率でそのような人間が生まれることがある。

 宇宙空間という、五感がほとんど役立たない孤独な場所でも生存可能なように、個人の意識が飛躍的に増大し、他者の精神領域にまで接続しようと試みた結果…らしいが、詳細はいまだ不明のままである。


「クッソォ当たらねぇ!」「『白い奴』まじハンパねーって!」「背後からの狙撃もメチャガードするし!」「あんなん出来ひんやんフツー!?」「教えといて、出来るんやったら!」


 何故だか超絶懐かしく、そして後半急に関西弁でパニックに陥る地球側。

 そんな敵の動揺を第六感で感じ取ったのか、白銀の機体は挙動を変え、一直線に切り込んできた!


「マズいっ、密集しすぎたか!?」「散開しろっ、まとめて殺られるぞ!」 「ダメだ間に合わない!?」


 ますますパニクる地球側に、『白い奴』は勝ち誇ったように銃口を手向ける。

 万事休す…と思った瞬間。

 ゴッ!…バキャアンッ!!

 敵の銃器が突然暴発した!?


「ボヤボヤしてんじゃねーぞお前らッ! 早く体勢を立て直せ!」


 聞き覚えのある声色と共に、真っ赤な機体が周辺空域をかすめて翔んだ。

 第六感は持ち合わせてはいないが、新人類並みのエースパイロットなら地球側にもいる。

 今しがた何が起きたのかを説明すれば…白い奴が構えた銃口に、紅い機体が遠方から精密射撃を行い、内部機構を破壊して暴発させたのだ。

 …と口で言うのは簡単だが、実際そう簡単にこなせる芸当ではない。


「フィーッ、命拾いしたぜ…」「ありがとよ、熊田の旦那!」


 そう…白以上に酔狂な真紅に染め抜いた機体を駆るのは、かつてのエースパイロット・熊田我雄くまだがおその人である。

 無敵の白い機体の噂を聞きつけた彼は、仲間達を救うべく、刑殺からの出向という体裁で軍に復帰したのだ。


「あの白いのは『鳥かご』の護衛役だ。下手に手を出さない限り深追いはしてこねぇ。お前らは今のうちに逃げろ」


「あんたはどうすんだ?」


「もちろん逃げるぜ。コイツを沈めてから…なっ!」


 言うが早いか、熊田機は暴発した銃器に気を取られている白い奴の脇をすり抜けて『鳥かご』に急接近。

 先程と同じ要領でメインエンジンの噴射ノズルに弾丸をしこたまブチ込む!

 ドガガガガガッ! ゴバォゴッ!!


《くっ…メインエンジンがやられた!?

 『鳥かご』航行不能、作戦失敗です!》


 いかに巨大な『鳥かご』といえども、姿勢制御もままならないまま大気圏に突入すれば空中分解して跡形もなく燃え尽きるのみ。

 地上に被害は及ばない。


「ぃよしっ、ミッション完了! ザコを片付けて撤退するぞ!」


「ヒャッホゥ! さすがだな!」


 機体をひるがえして戦場から離脱する真紅の機体と僚機達。


《ええいっ…このままでは帰れんっ! せめてあの紅い奴を葬るぞッ!》


 ブチ切れた月側の機体群が熊田機を追跡し始める。


「まーだ追ってくんのかよ? しつこい連中だな…」


 呆れつつも、何機か墜としてビビらせてやるかと機体を反転させた熊田の目に、


「…何だありゃ?」


 異様な光景が映り込んだ。

 宇宙の暗闇から次元の波を掻き分けて、何者かが浮上してくる。

 虚空にポツンと突き出た三角形の背ビレと、それを左右から挟み込むように設置された…スピーカー?

 音波が一切伝わらない静寂の宇宙空間で、何故にスピーカー?

 しかも三角形の背ビレ…ということは、


「…鮫…!?」





 ご名答。やがて宇宙の深淵から全身を現したのは、一匹の巨大鮫。

 体長十メートルにも及ぶソレが、何故だかスピーカーを背負って宇宙を漂っている光景はかなりシュールだ。

 しかも…これほどの巨体を誇る輩は、熊田の知る限り"一人"しか思い浮かばない。

 それは無論…


《テメーらぁッ! 戦争なんかやめて、あたいの歌を聴けぇーーーーッッ!!》


 ホラやっぱり!

 オマージュなどという便利な言葉ではごまかしきれない完パク台詞を背中のスピーカーでがなり立てながら、超巨大な鮫型獣人…すなわち『鰐口靖利』がこちら目掛けて突進してくる!?

 どういう理屈かは知らんが、音が届かないはすの真空中で、アイドル仕込みのキンキン声があたり一面に轟き渡っている。

 しかも、宇宙服すら未着用な裸身一貫でフツーに宇宙を泳ぎ回っているという非常識極まる異様さ!

 ダラ◯アスのボスキャラだってもうちょいメカニカルな外装してるだろに。


「靖利か!? マジかよ!?」


 先程までのクールさはどこへやら、驚きつつも熊田の口元には笑みが浮かぶ。

 もう金輪際会えないだろうと思っていたのに、こんなにも早く、こんな場所で…


「何やってんだアイツ、こんな所で!?」


 次の瞬間には熊田の笑みが消し飛んだ。

 そう、ここは戦場の真っ只中。しかも真空で絶対零度…一歩間違えば確実に死が待ち構える大宇宙だ。

 おおよそ未成年の鼻タレが居ていい場所ではない。


「…いや、もう十八になったんだっけか?」


 靖利の誕生日はもうすぐだと聞いてから数週間が経っている。それならいいか…いやいや良くはねーだろやっぱ!?

 てゆーかマトモに生存できるはずも無いのに、なんで平然としていられるのか?


「ぅおいそこのノラ鮫ッ! 危ねーからとっとと失せろッ!」


 と熊田が怒鳴りつけるよりも早く、スピーカーからどこかで聞いたような曲が流れ出す。

 これは…そう、『ポリポリ』のヒット曲『警告無しに撃たないで』だ!

 そして続けざまに靖利が、悠長にナマ歌を披露し始める!


《なんだ、新手か?》《鮫?…いや獣人か!?》《スピーカー担いでる鮫なんてソレ以外ありえないだろ?》《獣人なら地球の仲間に違いない。構わん撃てッ!》


 だいぶん予想外の異常事態に混乱しつつも、隊長機の命令に従って靖利に照準を合わせる月の機動兵団。


「狙われてるぞ、とっとと逃げろっ! つーかヘタウマな歌やめれッ!!」


 靖利は『ポリポリ』メンバー中では歌唱力がかなりお気の毒なほうで(一番下手くそなのはそもそも歌という概念を知らないセブンだが)、レコーディングでもギリギリ聴こえるかどうかなレベルでミックスされている。

 なので独唱させると、まぁ聞くに耐えないほど酷くはないが、かといって耳を傾けたくなるほど上手い訳でもなく、ハッキリ言って通勤通学中の選挙演説並みにイラッとすること受け合い。

 所詮アイドルなんてこんなモンさ♩

 これで何でわざわざ戦闘中に歌おうと思ったのか?


「絶対ヘンなアニメに感化されてるだろお前!?」


《ぬむぅっ、新手の精神攻撃か!?

 えぇ〜い撃て撃て撃ち殺せェッ!!》


 ほら言わんこっちゃない。実弾だのレーザービームだのあらゆる攻撃が巨大鮫の土手っ腹めがけて降り注ぐ!


「バッキャロぃ、せめて避けるか撃ち返すかしやがれっ!」


 だが靖利は反撃もせずに淡々と歌い続ける。

 その鮫肌に攻撃が直撃して…!?


「靖利ィィーーーーッ!?」


 …結論から言えば。


《…んおっ、なんか急に痒くなったぞ? 宇宙にも蚊とかいるのか?》


 いるわきゃねーだろおバカ鮫。

 てな訳で、熊田の悲鳴は徒労に終わった。

 確かに直撃したはずのビームは、意外と凸凹が多い鮫肌の表面で乱反射し、拡散するように吸収されて消滅。

 そして実弾は曲面ばかりで跳弾効果高すぎな体表でツルリと滑った挙句、ヤスリ状の靖利のややこしで擦り下ろされて無効化された。

 ちなみに武装は一切しておらず、背中のスピーカー以外はホントに丸腰で乱入しちゃったらしい。

 下手に装甲付けずにマッパが一番強いとか、理不尽すぎて草。


『……!!??』


 こんなんもぉどないせーっちゅうねん!?的にチート過ぎる無双鮫に、熊田も月側も開いた口が塞がらない。


《ん〜…まいっか。さ、続きつづき♩》


 何事も気にしない…気にしなさすぎな大らかな性格の靖利は、またヘタウマな歌を再開した。

 どうやら背中のスピーカー状の器具は『次元振動波発生装置』…つまりは時空そのものを振動させ、そこに歌声を乗せて強制的に周囲に響かせるという、ジャイ◯ンもびっくりの恐怖の音響装置らしい。

 今いる時空自体が振動しているので、耳を塞いだ程度では遮断できず、直接脳みそを揺さぶって聞こえてくるとゆー、なんともタチの悪い骨伝導スピーカーだ。


「…ま、コレはコレで結構味がある歌声だけどよ」


 噛めば噛むほど味わいが増すスルメみたいな靖利の歌に、すっかり毒されてしまった熊田だが…


《ををを…ぷろとかるちゃあぁぁぉぉぉ…(反響)!?》《やっく・でかるちゃあぁぉぉ…(反響)!!》


 月の民が受けた衝撃はその比ではなかった。

 全てが統制された月面社会では、大衆が聴取可能なのは政府が認可した楽曲のみ。

 それもいわゆる『労働歌謡』ばかりだった。

 歌は大衆の労働意欲を高め、作業の歩調を合わせるために存在するのであって…

 断じて、愛だの恋だの夢だのという無意味で蒙昧な浮ついた代物にうつつを抜かす、怠惰で軟弱なモノであってはならないはずなのに!?

 それをこの鮫女は、どうしてこんなに堂々と楽しそうに歌えるのだろうか?

 上手くもないのに…断じて上手くもないのにっ!(←重要なので繰り返し)

 自分だったら恥ずかしすぎて死ねるっ!!


《…よしっ、今だッ!》


 意味不明なヘタウマ歌唱空間に飲み込まれたすべての機体の動きが鈍ったのを見るや、靖利は突如態度を豹変させ、方々の機体めがけて手当たり次第に突撃してきた!


《ぬおっ、不意打ちとは卑怯千万ッ!?》「戦争ヤメロっつっといて!?」


 敵も味方も口々に不満をぶちまけるが、靖利はお構いなしに次々と機体を破壊していく。

 それも搭乗席はあえて狙わず、武装や動力源のみを的確に潰している。これは…?


「文字通り戦争やめさせるために、全機行動不能にするつもりだろ。アホの考えそうなこった…」


 ネモ船長じゃあるまいし。

 呆れる熊田が言うように、たとえ先手を取って真珠湾奇襲を成功させたところで、ますます相手を怒らせてより強力な兵器を投入されるのは歴史的事実であり必然だ。


「くっそやられた!」《敵が目の前にいるというに…なんたる屈辱!?》「このまま救出待ちかよ…」


 一応、戦闘不能な敵や非戦闘員には攻撃してはならないという暗黙のルールはある。

 が、実際そんなもんクソ喰らえなのは前述の通りだし、せいぜい敵より先に救助が来るのを祈るのみである。

 戦争とは所詮、民族同士の潰し合いだ。

 たとえ同じルーツだろうと、見た目や宗教が少しでも違えば、それは『別種』である。

 そして別種に血統書を発行するなど、決してあってはならない…!

 故に、どちらかが完全に滅ぶか全面降伏して隷属するまで、決して終わることはないのだ。

 人類皆兄弟? 否ッ、明らかに違う生物を兄弟呼ばわりなど、いったい誰ができようか!?


《次はそこの真っ赤で美味そうなヤツ♩》


「…ゲ。おいやめろっ、俺だ、熊田だッ!」


 反戦を唱える割には野性の本能に従って嬉しそうに狙いを定めてきた靖利に、たまりかねた熊田はダメ元で交信を試みた。

 …が、見たところ音響装置以外は何も持っていない彼女に、果たして繋がるのか?


《ぇあ?…オッサン…? オッサンなのかッ!?》


 おお、なんとか繋がった。さっぱりワケワカランが、やるだけやってみるもんだ。


《なんでこんなトコに居んだよ!?》


「そりゃこっちのセリフだバーロー!!」


 せっかくの再会なのに感動もへったくれもありゃしない。

 …と、そのとき熊田の視界の片隅で何かが煌めいた。

 見間違い…ではなく、あの『白い奴』が靖利の背後から忍び寄ってきている!


「後ろだッ! ソイツはヤベェ、逃げろッ!」


 熊田が叫ぶのと同時に、白い機体がビーム◯ーベルみたいな手持ち武器を振り上げた!

 飛び道具には無敵な鮫肌だが、果たして…!?


《んあ? 不意打ちとは卑怯だ…なっ!》


 お前が言うな!的なセリフとともに、軟骨魚類ならではの柔軟な姿勢で身を翻した靖利は、白い奴の背後に回り込んで…ブチィッ!

 動力炉から伸びる動力伝達ケーブルを、ひと噛みで噛み切った!


「上手いっ! 鮫女らしくもなく冴えてるじゃねーか!?」


《誰が鮫女だ!?…って今はまんまか》


 熊田も思わず唸る対処法だった。

 月側の人型兵器は短期間で開発したため各部に無理が目立ち、特に関節部分の脆弱さが当初から指摘されていた。

 重機の稼働部分を見て頂ければ一目瞭然だが、ある程度の大きさの四肢を動かそうと思えば骨格の接続のみならず、動力を伝えるためのシリンダーなりケーブルなりが必須となる。

 しかも人型にこだわり過ぎたため、どうしてもスリムになりがちな関節部分際の狭いスペースにすべてが収まりきらず、動力ケーブルが装甲外に剥き出しになっていたのだ。

 この部分が破損してしまえば、当然のごとく関節が動かせなくなるため…機体は制御不能に陥り、攻撃手段を失う!


「見たかお前ら、白い奴の対処法が解ったぜ?」「いやいや解ったからってそうそう真似できるかよ、あんなん!?」「猫に鈴を付けに行くネズミじゃあるまいし!」


 などと沸き立つ熊田ら地球側の眼前で…

 ポンッ。カッ!…チュドドォーンッ!!

 白い機体がいきなり自爆!?

 どうやら機動兵器が敵に鹵獲されるケースが相次いだことから、切り札の白い機体には自爆装置が付いていたらしい。


「爆発する直前になんか飛び出たぞ!?」「また新兵器か!?」


 などと騒然とする地球側に、熊田は冷静に、


「いや…ありゃ脱出カプセルだ。パイロットを強制射出してから自爆するように仕組まれてたんだろ」


「強制て…宇宙だろうと何処だろうとお構いなしかよ?」「ヒデェ話だな。敵ながら同情しちまうぜ」「爆発に巻き込まれるよかマシだろ?」「どのみち酸欠や圧壊で死ぬのとどっちがいいんだろうな…」


 既に人道無視も甚だしい戦いになりつつあるが…元を正せば先祖は同じ人類。

 いかに別種と言い切ろうが、それで罪悪感が消えて無くなる訳じゃなし。

 人間同士の殺し合いに、兵士達は常に葛藤を抱えていた。

 それは刑殺時代から人殺しが常だった熊田とて例外ではなく…。


「…俺の機はまだ動ける。ちょっくら拾ってくるわ」


「おいおい助けてやんのかよ月野郎を?」


 不満を持つ仲間も多いようだが、捕虜の救出は義務だと軍規にも書いてあるから仕方がない。


「…それまで待っててくれるか、靖利?」


 お互い、積もる話もあるだろうし。


《へ? あ、あ〜どうだろ? まだ待てる…》


《そんな余裕はごさいません。もうすぐ次元潜航開始時刻です。遅れないよう速やかに帰投してください》


 向こうの通信に靖利以外の声が混ざった。熊田が聞いたことのない声色だが、ずいぶん落ち着き払った女性のものだ。


《ちぇっ、時間切れかよ…》


 よくは解らんが、きっと遅れたら相当マズいんだろう。ゾロ目の銀河鉄道の発着時刻並みに。


「…そりゃ残念だな」


《…オッサン…また、会えるか?》


 少し寂しげな靖利の声。


「どうだろうな…お互い生きてりゃな」


《…約束だからな?》


 そう言い残して、靖利は宇宙の暗闇に飛び込むように尾を振ると、すぐに溶け込んで見えなくなった。

 つかの間の再会だったが…思いのほか元気で安心した。どうやらお仲間もいるようだし、退屈はしてないらしい。

 あの調子なら熊田より先にやられることもないだろうし。


「つーか約束て…自分から仲間のもとを去ったことを忘れてやしないか、アイツ?」


 やれやれと被りを振って、熊田は思いを断ち切るようにエンジンを噴かす。





 靖利を回収した巨大UFOは、再び次元の狭間を航行していた。

 単なる次元航行能力…すなわちワープ航法なら、かつて熊田が乗っていた宇宙探査船も備えていた。

 SF作品でお馴染み、超長距離間を時空を繋いでジャンプすることにより、ほぼ時間経過を要さず一瞬で到達可能…という、説明されてもよく解らんが、なんかカッコいいからいっか?で済まされがちなアレだ。

 無論この船もそのくらいの芸当は造作もないが、より画期的なのは特定の次元だけではなく不特定多数の次元に潜り込めること…言うなれば『次元潜航艦』なのだ。

 SF映画に出てくる地球侵略に来た異星人のUFOばりに巨大なのは、内部にそれを可能にするための粒子加速器のようなジェネレーターを搭載しているからで…

 …え、小難しくてよく解らない?

 大丈夫、作者自身もまるで解らないから♩


「まったく。もう少しくらい待ってくれても…」


 搭乗ハッチから人化して戻ってくるなり不満タラタラの靖利だが、


《ですから次元潜航には綿密な計算が必要でして、いつでも自由に実行できる訳ではなく…》


「何度申し上げられちゃっても、ちぃ〜っとも理解できねーってんだよ、だから!」


《お待ちくださいお嬢様、お話はまだ終わっていません。》


 熊田との再会を中途半端に打ち切られてしまったことで、すっかりご機嫌ナナメな靖利を追いかける、今回が初登場の少女。

 見た目は靖利より少し若いが、黙っていれば超絶美少女・中身は詐欺なソッチとは違い、コッチは正統派の純情可憐ぶりで、柄にもなくお嬢様呼ばわりされてる靖利よりもよっぽどイイトコのお嬢様っぽい。

 特徴的なのはその長いストレートヘアーで、一見綺麗なプラチナシルバーだが、先端に行くほど闇に溶け込むように艶やかな黒髪に変化していく。

 毛染めに失敗したヤンキーなら頭頂部が真っ黒で『プリン頭』などと揶揄されるが、丁度その真逆なのでなおさら印象に残る。

 だが二人並んで立てば驚くほど似た雰囲気で、まるで本当の姉妹に見えるほどだ。

 果たして、これは偶然なのだろうか?


《そもそも、このような行為は無意味だと何度も申し上げて…》


 しかし、セリフが《》で区切られていることからお判りだろうが、彼女は人間ではない。

 ニャオ同様に、この船の制御全般を司るAIのインターフェースホログラムなのだ。


「じゃあ他に戦争終わらせる方法があるってのかよ『ハノン』?」


 靖利が呼ぶ『ハノン』とは、厳密にはこの子の名前ではなく、AIシステム全体の名称だ。

 既にニャオという前例に散々触れてきたため、"こんぴうたあ"とは何ぞ?な靖利でものっけから違和感なく馴染むことができた次第である。

 AIなので口調も似たり寄ったりだが、冷徹だったニャオよりも若干腰が低い態度ではある。そのぶん説教くさいのが玉に瑕だが。


《簡単ですよ。どちらか一方の星を根絶やしにすれば良いだけです。》


「怖っ!? お前マジ怖っ!!」


 冗談ではなく、この船の力を使えば実際簡単に出来そうだし、それ以前にハノンは冗談を口にしない。

 美麗な外見に反して、融通の利かなさはニャオ以上の堅物だ。


《ですが幹人みきひと様からは「気が済むまでやらせておけ」と仰せつかっておりますので…私としてはそろそろ諦めて頂ければ助かります。》


「ケッ…そう簡単に諦められっかよ!」


 靖利の父親である鮫洲を馴れ馴れしく下の名前で呼ぶのもな〜んか気に入らないが、他に話し相手もいないから仕方がない。

 なにしろ、この船の他の乗組員ときたら…


「…………。」


 丁度タイミングよく通路の向こうから二人並んで歩いてきた。

 が、共に世間話に興じる訳でもなく、靖利を見つければ丁寧に敬礼するだけで、そのまま無言ですれ違っていく。

 全員こんな感じで、覇気はおろか生気すらまるで感じられないのだ。


「やれやれ…父ちゃんもこんなトコでよく耐えられるな…」


 思わず溜息を吐く靖利に、ハノンは表情一つ変えずに、


《その幹人様が先程からお待ちです。》


「そーゆーコトは最初に言えよ、だから!」


 慌てて小走りに通路を進む靖利の後を、


《私もお供致します。》


 ホログラムなんだからニャオみたく先に目的地に飛んでいけばいいものを、律儀にトコトコ歩いてついてくる。わざわざ足音まで再現するこだわり様だ。

 終始こんな塩梅で従順に付き添ってくれるので、靖利もさすがに邪険にはできない。


「…それにしても…」


 靖利はハノンの容姿をしげしげ見つめ、それから自分の身体に目を移す。

 二人とも、先程の乗組員たち同様にこの船の制服を着用しているのだが…


「もうちょいどうにかなんねーのかよコレ?」


 コレがまた、大昔のSF映画やスパイ映画よろしく、体型がモロバレなぴちぴちピタピタの競泳水着みたいなデザインなのだ。

 かつて水泳部員だった靖利には慣れ親しんだ格好ではあるし、熊田ん家に遊びに行くときにもソレでいいかと訊いて彼にどやしつけられたこともある。

 だが断じて普段使いするモノではないと、この船に来てから改めて思い知らされた。

 また一つ賢くなったネ♩

 てかそれまでが以下略。


《お決めになられたのは幹人様です。いずれ靖利お嬢様をお迎えするつもりでデザインされたと…》


 むぅ。そこまで自分のことを考えてくれていたのはちょっと嬉しいかも?だが…


「…え゛? あたいに合わせてコレ?

 もしかして…父ちゃんって変態…?」


 そろそろ常識というものが身に付いてきた靖利は、ついに禁断の事実に気づいてしまった。

 そして、そんな彼と常にイチャコラやらかしてた幼少のみぎりの彼女もまた、紛うことなき純粋培養のド変態である…!


「…まいっか。トイレとかし易くて便利だし♩」


 そしてそして、それすら感じさせないほどに日頃から物事を深く考えない、軽やかオツムの持ち主でもあるっ!!


《そういうことはあまり大っぴらにおっしゃらないほうが…》


「いやいや、我が子の貴重な意見はどんどん伺いたいからね。忌憚なく言ってくれたまえ♩」


 どこから聞いていたのか、不意に通路の向こう側から鮫洲が現れた。

 悪の総元締めな割には異様にフットワークが"軽い"のも親子ならではか?


「待ちきれなくてこっちから来ちゃったよ♩」


「父ちゃん!」


 小さい子のように父親に駆け寄るデッケェ娘の背後で、ハノンがペコリとお辞儀する。


「いや何、そろそろいつものヤツが恋しくなっちゃってね」


「またか? しょーがねぇなぁ、パパッと行ってくるぜ♩」


 しょうがないという割には楽しみでウズウズしてる感じの靖利に、ハノンは淡々と、


《それではいつもの海域に転送座標を設定します。行ってらっしゃいませ。》


「おうっ☆」


 威勢良い返事とともに、靖利は再び来た道を引き返して搭乗ハッチへと駆けていく。

 その後ろ姿を見送りつつ、鮫洲はホッとした様子で胸を撫で下ろす。


「ここに来たばかりの頃は退屈してたようだけど、楽しみが見つかって良かった良かった♩」


 たとえ世紀の極悪人だろうと、愛娘に向ける眼差しはたしかに父親の愛情で満ちている。

 そんな人間らしい表情と並行して、平然と極悪非道の限りを尽くせるからこその悪人だろうか。


《いつになく張り切っていらっしゃいましたが…何かあったのでしょうか?》


「まあね。あの子もそんなお年頃になったってことサ♩」


《はぁ…?》


 父はすべてをお見通しである。





「ひゃっほぉーいっ☆」


 現場海域上空に転送されるなり、再び鮫形態に戻った靖利は奇声をあげて大海原にダーイブ!

 何の邪魔も入らない宇宙を自由に泳ぎ回るのも爽快ではあるが、海洋生物の彼女にとっては水の抵抗を掻き分けながら起伏に富んだ海中を突き進むのはアスレチック気分でなお楽しい。

 しかも此処は、靖利の生まれ故郷の小笠原近海。海の水は大都会の比ではないほど澄んでいて、カラフルな珊瑚礁が広がる一大パノラマだ。

 世界滅亡の危機に瀕した戦時中でも、それとはまるで無縁な大自然は変わらず美しい。


 さて、彼女が此処に来たのは、もちろん何の気兼ねもなく存分に泳ぎ回るため…ではなく。


(っと。忘れないうちに設置しとかないとな)


 先刻の宇宙スピーカーの代わりに背中に積んできた小型ポータルを切り離し、適当な海底に沈める。

 と、自動起動したポータルが周辺の海水を小魚などの水棲生物ごと吸い込み始める。コレは小型の次元転送装置で、周囲の物を本艦まで送り届けるのだ。

 靖利ほどの巨体はさすがに無理だが、コレ自体が発信器にもなっているため、指定時刻にそばにいれば自動的に回収される仕組みだ。


 そしてこの海水こそが次元潜航艦にとっての重要な資源となるのだ。

 海水を加工すれば、生活に必須な水や酸素、塩やミネラルがいくらでも取り出せる上、混入した生物はそのまま食糧となる。

 艦内でも水や酸素は精製可能だし、プラント区画では食用の動植物も栽培飼育している。

 しかし、あれだけの巨艦をもってしても大勢の搭乗員を養えるだけの飲食物の確保は難しいし、既存のものが近場にあるならそれらを利用したほうが手っ取り早い。


 ところが、船の存在は既に地球と月の両星に認知されているため、迂闊に接近すれば猛攻撃を喰らうことは必至。

 戦争開始からわずかな期間で飛躍的に発展した両星の武力は決して侮れず、こちらの巨艦とて無敵ではない。

 そこで工作員である靖利が単独で敵の懐に潜入し、様々な資源回収にあたっている次第だ。

 加えて…


(ここいら辺がいっぱい獲れそうかな? そーいっ!)


 大口を開けて突進すれば、周辺を泳いでいた魚類が面白いように次々口に飛び込んでくる。

 海底に蠢くウニやカニは砂ごと吸い込み、岩場に張り付いたアワビなどは胸ビレで叩き落として丸呑みにし、後から砂だけ排出する。

 なにしろ体長十メートルもあるから、収納には困らない。ひと泳ぎで充分すぎる量が口いっぱいに集まる。


(へへっ、大漁大漁♩)


 こうして巨大な投網と化した靖利は漁の達人であり、毎回豊富な海の食材を鮫洲達に提供しているのだ。

 捕獲した獲物をポータルに投げ込んだ後は、転送開始まで自由時間。久々な故郷の海を存分に堪能する。

 …ふと思い立って海上まで浮上すれば、生まれ育った島々が見える。

 いつぞやのシャチUFO騒動で壊滅しかけた故郷は、その後の復興が急ピッチで進んでいた。

 戦争で今はどうなっているかは知らないが…よもやこんな田舎にまで攻めてくる敵もいないだろう。

 近寄ってよく見てみたいのも山々だが、今の靖利は全世界から追われる身だし…あそこにはもう、家族も大親友の留未もいない。


(…みんな…元気にしてっかな?)


 つい物思いにふけってしまうが…

 ほんの少し前に、思わぬ所で熊田に出会ったことを思い出す。

 そうだな…あの御丹摩の面々がそう簡単にやられるとは思えない。

 熊田だって、なんでまた軍に復帰してるのか知らないが、戦闘機に乗ったときの神技的な操縦技術は身をもって知っているし。

 東京に『鳥かご』が落ちたという話はまだ聞かないし、きっと何処かでたくましく生き抜いていることだろう。

 …いつになったら再会できるかは判らないが。


《お嬢様、そろそろ転送開始です。速やかにお戻りください。》


 ニャオ以上に空気が読めないハノンからの通信が、感傷気分を吹き飛ばす。

 まあいい、いつまでもこんな場所にいたら決心が鈍る。

 自分はもう一生、父親のそばにいると決めたのだ!


「へーへー、すぐに戻りますよっと!」


 思いを振り切るように尾ビレを海面に叩きつけ、巨大鮫は再び海中へと没した。





「ったく、どこまで飛ばされたんだアンニャロ?」


 『白い奴』から爆発寸前に射出された脱出カプセルを追って、熊田はいまだに宇宙を飛び続けていた。

 SF作品では割とないがしろにされがちだが、無重力の宇宙空間では一旦動き出した物体は、何らかの障害物に当たるまではそのままの速度で直進し続ける。

 そのうち何処かで自然に停まる、なんてことはあり得ない。

 あのカプセルは文字通り機体からの脱出のためだけのモノで、見たところ推進装置の類は一切付いてはいなかった。

 しかし発信器ぐらいは付いてるだろうから、捕虜にするなら敵に回収される前に急いで追いかけなきゃならんし…

 最悪、見失ってしまえば、搭乗者は孤独な真っ暗闇でただ死を待つだけだ。カプセル内の酸素がいつまで持つかも判らないし。


 わずかな戦闘期間で数えきれないほどの同胞を葬り去った敵のために、なんでそこまで骨を折ってやらにゃならんのか、熊田自身にもよく解らないが。

 あるいは処刑対象者を片っ端から殺しまくるだけだった今までの自分の行いに対する、罪滅ぼしのつもりなのかもしれないが…。


「…ん? コレか?」


 レーダーに何らかの影が映り込んだ。

 戦闘空域からはかなり離れてるし、宇宙で自分以外の物体に出くわすことなどそうそう無いから、間違いないだろう。


「…いたぞ。」


 やがて目視でも確認。たしかにあのカプセルだ。

 慎重に最接近し、機体のマニピュレーターを伸ばして、腫れ物に触るように少しづつ小突いて速度を殺す。

 下手してこちらに跳ね返ってくれば巻き添えで大事故に繋がるし、はるばる救助に来たのに殺してしまっては寝覚めが悪い。


 …やっと掴めそうな速度まで減速できたので、マニピュレーターで引き寄せる。

 脱出用なので救助の便を考慮してハッチはシンプルな造りになっており、開錠するときの要領でロックレバーを回せば開けられる。

 果たして、『白い奴』のパイロットは…

 …いた。まだ生きてる。

 それが証拠に、シート上に身を縮こめてこちらに銃口を向け、酷く怯えた様子だ。

 月の連中の平均身長からすれば幾分低めの頭身だし…まさか学徒か?

 それがあんなベテランみたいな動きを見せていたというのか?

 …まあいい。そんなことより今は救出が第一だ。


《…!?》


 こっちも機体のハッチを開けて顔を見せると、パイロットの怯え方がますます酷くなった。


「銃を下ろせ。殺すつもりはない。お前を助けに来たんだ…!」


 聞こえているかどうかは知らないが、身振り手振りで必死に話しかける。

 こんなところで撃たれでもしたら二人とも宇宙の塵になるだけだし、機体が傷つけられてもお陀仏だ。月側のとは違い、こっちの機体には脱出カプセルなんて無いし。

 一応、緊急時にはシートごと射出できるようになってはいるが、裸一貫で宇宙に放り出されてどうなるというのか?

 …結局、敵も味方も非人道的であることに変わりはないし、だいたい兵器に人道を期待するほうが間違っている。


《……。》


 どうにか敵意がないことだけは伝わったのか、それとも観念したのか…パイロットは銃を下ろし、機外に放り出した。そちらにも抵抗の意思はないことを示したつもりだろう。


「…よし、そのままこっちに乗り移れ」


 身を乗り出して手を差し伸べると、パイロットはおっかなびっくりその手を握り返した。

 ガッチリ体型の熊田に比べれば驚くほど細い、まるで針金のような腕だ。まあ月の民は総じてこんな感じらしいが。

 そのぶん軽いから移動も容易だし、細いから場所も取らなくて助かる。とはいえ元々一人乗りのコックピットはもうキツキツだが。


「狭いけど我慢しろよ」


 パイロットが完全に乗り込んだのを確認してハッチを閉じた熊田は、より安心させるためにヘルメットを脱いでみせる。

 初めて見る地球人の素顔に驚いたように身をすくめた相手に、熊田はなおも語りかける。


「お前も脱げ。そんなモン付けたままじゃ息苦しいだろ?」


《…………。》


 しばらく考え込んだ挙句、パイロットは言われるままに自分のヘルメットに手を掛ける。

 固定具を外して抜き取ると…予想外に長い綺麗な髪が宙を舞った。

 中性的なのは髪型だけではなく、一見して男女の区別がつかない…いや、月の民に性別はないか。ともかくギリシャ彫刻のように繊細で整った顔立ちの…


「…あん? なんかどっかで見たような…」


 そこまで言いかけて、熊田は言葉を失った。

 見覚えがあるのも当然だ。

 何故なら、その顔は…


「お前…アイツらの…!?」


 そう。いつぞやの首脳会議に特別参加したときに見かけた、『月の代表』に瓜二つだったのだから…。




《第十四話 END》

 ここ最近、更新が遅れがちだったのが信じられないほど今回は筆がノリまくりまして。

 いつもよりだいぶん早くお送りする今話から『戦争編』突入です!

 構想としては連載開始当初からあった展開ですが、メッチャ大変そうなので、なるべくなら避けたいな〜と思っとりましたが…

 お話の流れ的に必然的にいざそーなってみれば、これがもぉ楽しくて楽しくて!(おい)

 読んでもらえば一目瞭然ですが、のっけから「オマージュなどでは済まされない」超パクリ祭りとなっております。

 キミはいくつのネタが見抜けるか?(笑)


 とまぁ、悪フザケだけってのもアレなので…

 現実世界でも世界中あちこちで戦争たけなわな昨今、自分なりのメッセージを込めて、過去作も含めていまだかつてないほどドギツイ描写をあえて散りばめました。

 可哀想だから、怖くて見たくないから…と肝心の部分をごまかしてしまえば、結局何も伝わらずに本末転倒ですので、そりゃもぉ手加減一切ナシで情け容赦なく!

 ヤ◯ザの抗争みたいな単なるタマのり合いでは全然済まされないのが戦争というヤツですので。

 これでも実際の戦争の悲惨さには、まだまだ全然及ばないとは思いますが…。


 もちろんソレ一辺倒では書いてる本人も気が滅入って仕方がないので、あちこちにほのぼのできるエピソードやおバカネタも惜しまず放り込んでおきました。

 今回はとにかく作中の登場人数が多いので、御丹摩署メンバーは靖利と熊田だけになってしまいましたが…

 そのぶん新キャラも多いですし、今回未登場キャラも次回には腹いせのようにドッと出てくる予定です。

 ラストもかなり衝撃的になっていたと思いますので、次回の種明かしをお楽しみに♩

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ