表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
中学校である

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/130

094 パルクールである


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。諦めないもん!


 動画配信は私の意図した方向に進んでいないけと、バズっているのだからスカウトの目に触れるのは時間の問題のはず。

 動画の編集なんていまの私にはできないからとりあえず父親に任せて配信を続けたが、待てど暮らせどスカウトからのダイレクトメッセージは来ない。

 そんなことをしていたら、ついにネタが尽きた。スポーツそんなに詳しくないの。


「『お兄ちゃんと一緒』、今日は生放送で始まったよ~。パチパチパチパチ~。でも、やることが思い付かないんだよね~。だから、面白そうなネタを募集します! ツブヤイターのアドレスが下に載ってるから、お兄ちゃんにやってほしいことを、そこに書き込んでほしいな~?」


 なので、視聴者頼み。ジュマルと一緒に庭に出した椅子に座って配信してみた。


「うわっ……めっちゃ来てる……けど、速すぎて読めない……」


 しかしながら、私のスマホには次々とメッセージが流れて行くので読むこともできず。


「お兄ちゃん。読める?」

「無理やな。難しい漢字多いもん」

「漢字で諦めないでよ~」

「なんか英語のWばっかりやで」

「それは笑われてるの!」


 ジュマルの動体視力を持ってすれば読めるらしいが、やっぱり私の意図した放送にならない。漢字が読めないなんて、恥ずかしいわ~。


「平仮名と片仮名なら読めるでしょ? 読んでみて」

「う~ん……カワイイ、カッコイイ。パルクール。めんどい」

「めんどいって自分の意見でしょ!」


 私のツッコミにまた視聴者からは笑われているみたいだけど、こりゃ無理だ。


「ごめんなさい。ツブヤイターは放送終了後、一時停止して、皆さんのネタ提供を読ませていただきます。今日のところは、私の八つ当たりで勘弁してください。お兄ちゃ~~~ん!!」


 何かやらないことには許されないと思い、ジュマルにボールを投げ付けたり追い回したりして時間を潰す私であったとさ。


 もちろん励ましのコメントはめっちゃ増えましたよ!



 生配信後ツブヤイターを見返してみたら、励ましのコメントの前にはパルクールって言葉がやたら並んでいたので意味がわからない。なので検索してみたら、ジュマルみたいに壁や屋根を飛び跳ねる人たちが出て来た。

 「こんなのジュマルはいつもやってるよ?」とは思ったけど、私の常識がおかしくなってる。普通の人は、登下校で屋根を飛び交ったりしなかった!!


 これは使えると両親に相談してみたけど、そんなの配信したら警察に怒られるとのこと。人様の家を飛び交っちゃ、そうなるよね。忘れてた。

 なので大丈夫そうな場所を探してもらったら、映画の撮影で使った解体を予定している4軒の空き家が並ぶ場所を持って来た。マジで見付かったんだ……



「『お兄ちゃんと一緒』始まったよ~。パチパチパチパチ~。今日は、一番やってほしいと言われていたパルクールってヤツをやってみるよ~。パチパチパチパチ~」


 視聴者のネタをいくつかこなしたら、今日は大トリ。両親と一緒に撮影しに来た。


「さすがに私がやるのは危ないので、ドローンってのを使って空から撮影してみます。それと、お兄ちゃん目線のカメラも仕込んでいるので、そちらは後日放送するからね~。それじゃあ、お兄ちゃん。いってみよう!」

「にゃ~~~!!」


 解き放たれたジュマルは、1階の屋根を掴んでクルッと登る。そこから2階の屋根まで登り、次から次に家を飛び交う。

 これほど解放感のある遊びは楽しいのか、ジュマルは手加減しらず。屋根から何回転もクルクル回りながら飛び下りたり、無駄にクルクルしながら飛び移っている。猫はそんな動きしないだろ……


 視聴者用の動画は、数台のドローンで撮った映像を見せるらしいので、編集は帰ってから。ジュマルが満足してパルクールが終われば、締めの撮影だ。


「は~い。どうでしたか~? 凄かったでしょ? 生身の人間がやってたんですよ~? では、次回の『お兄ちゃんと一緒』は、お兄ちゃん目線を放送しますので楽しみにしててね。バイバ~イ」


 これで今日の撮影は終わりだと思っていたが、次回のオープニングとエンディングの撮影もやっておくとのこと。私とジュマルは並んで座り、撮影を開始する。


「は~い。『お兄ちゃんと一緒』始まったよ~。パチパチパチパチ~。今日は予告通り、お兄ちゃん目線のパルクールを放送するよ。では、いってみよう!」


 ドナリと手を前に出して、わかりやすく映像の振りをしたら、母親が私にVRゴーグルとかいう物を差し出した。


「へ? なにこれ? なになに……私もお兄ちゃん目線の映像を見ます……なんで!?」


 カンペを声に出して読んでみたら、遅れてビックリ。母親が「やってやって」って仕草をするので、私は渋々VRゴーグルを装着する。


「え~……マスクしてゴーグルまでしたら誰だかわかりませんけど、私もみんなと一緒に楽しませていただきます……やだな~。高いの苦手なのに~」


 私がイヤイヤ説明していたら、急に映像が流れた。


「キャー! ギャアァーー! ぎ、ぃやああああぁぁぁぁ~~~!!」


 その映像は、ジェットコースターなんて目じゃないほどの恐怖映像。私は女子が出してはいけない悲鳴を出し、イスから転がり落ちて、地面をのたうち回ったのであったとさ。


 ちなみにパルクールの動画は、ドローン映像が二百万再生、ジュマル目線が三百万再生、私の悲鳴映像が六百万再生を叩き出したのであった……なんでよ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ