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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
幼児期である

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027 通知表である


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。ママではない。


 ジュマルの小学校生活より私の幼稚園生活が気になった母親に、子供たちをあやしてるところをバッチリ見られてしまったけど、先生が謝罪と擁護してくれたから事無きを得た。

 いちおう「もう頼ることはしない」とか先生は言っていたけど、頼らなくても子供のほうが「ママ、ママ」と寄って来るから、解決方法がないのよね~。


 そのせいで夕食時には、両親が毎日「幼稚園で何して来たの~?」と私への質問が増えて来た。今まではジュマルの心配ばかりだったからいい傾向だけど、探りを入れられているみたいだから気分が悪い。


「ミウちゃんがアサヒ君と別れたから、誰か他にいい感じの男いないかってなって、ユイト君とくっつけてあげた」

「「お見合いまでやってるの!?」」


 なので、ちょっと重たい話をしてみたら、私はお見合いおばさんみたいに思われてしまった。でも、ミウちゃんから言って来たのだから、罪は全てミウちゃんに負わせてやった。ミウちゃんゴメンね。

 この話のあと、幼稚園の話を聞かれることが何故か少なくなった。たぶん、娘が何をしてるか知りたいけど聞くのが怖くなったのだろう。2人で「韓流ドラマ、見せるのやめたほうがいいのかな?」とか言ってたし。


 そんなうざったい日々も終わって平和に幼稚園に通っていたある日、隣の星組の女子に私は絡まれた。


「あなたがララちゃん?」

「あい。ひろせララです。よろしくおねがいします」

「私は平良一花(いちか)。よろしく、ね……じゃなくて!」

「ん~?」


 一花ちゃんは急に大声を出すので、私は小首を傾げてる。


「ララちゃんのせいで、私の成績が二番になったじゃない! どうしてくれるの!?」

「はい??」

「だから、私の成績が下がったって言ってるの!!」

「り、りふじん……」

「それってどういう意味よ!!」


 そのままの意味と言ってやりたいけど、ナンバー2が知らないのなら言わないほうが身のため。てか、そういえばママ問題で忘れてたけど、終業式で園長先生がトップとか言ってたな。


「えっと……成績なんて発表してたっけ?」

「ママにかかれば、誰が一番かぐらいわかるのよ。フフン♪」

「情報漏洩、(はなは)だしいな」

「じょう……なんて??」

「なんでもない」


 私の記憶では、まだテストみたいなこともしてないから成績なんてないと思っていたけど、内部では勝手に評価していたのかも? それを終業式で親には教えていたのかな? いや、内部情報を得る(すべ)があると考えるのが妥当か。


「一度持ち帰ってママと相談したいんだけど、いいかな?」

「もちか……ママに言い付けるのね! 卑怯者!!」

「いや、成績なんてあったなんて知らなかったから……明日には、質問の答えを精査して発表するから今日は許して」

「せ、せいさ? えっと……今日は許してやるわ! また明日ね!!」

「あい。明日ね~」


 わざと難しい言葉で一花ちゃんを追い返し、家に帰ったら母親に質問してみる。


「ママ。幼稚園って、成績なんてあるの?」

「せ、成績……な、なんでそれを……」


 でも、なんか驚愕の表情で固まった。


「星組のイチカちゃんって子がおしえてくれた。園長先生もそんなこといってたよね?」

「そ、そう……知られてしまっては、もう隠しておけないわね……」


 何この雰囲気……私、何かやらかしてた??


 私がビクビクしていたら、母親はリビングから出て行き、しばらくしたら封筒を持って来てダイニングテーブルの上に置いた。


「これは正確には通知表と言いまして……」

「う、うん……」

「たまにママ、幼稚園に1人で行って受け取ってまして……」

「うん……」


 何故か敬語の母親の圧に緊張して、私は生唾を飲み込んだ。


「ララちゃんは、オール5を叩き出してました~。パチパチパチパチ~」


 急に梯子を外された私はずっこけそうになったけど、気合いで踏ん張った。


「オ、オール5??」


 こんな言葉に反応しちゃ、また疑われるからね!


「あ、そこからだね。一番いいって意味。園長先生からも、ありえないとか褒められたのよね~」

「……なんでかくしたの??」

「そ、それは……ララちゃんが知ったら手を抜くと思って……ララちゃんって、人と合わせるところがあるじゃない??」


 つまり、私の行動はある程度バレてるってこと? そりゃ、幼女ってどこまでやっていいかわからないから合わせるよ!


「しりたかった……」

「ゴメンね……この成績が小学校受験の強みになるから、できるだけ高い成績でいてほしかったの。ママたちはララちゃんの可能性を広げたかっただけなの~」


 私が暗い顔して下を向くと、母親もあたふたしている。確かに親として子供のためを思った行動なので、なんて言っていいか探してるだけなんだけどね。


「それって、みんなしってるの?」

「みんなって?」

「イチカちゃんは、わたしが一番ってしってた」

「いえ……他の子供や保護者には教えないって話だけど……え? そのせいでイチカちゃんとケンカになったの??」

「ううん。ママにきくからまってっていった。あしたおはなしする」

「ちょ、ちょっと待って! 幼稚園に電話するから!!」

「いい。じぶんでやる」

「怒ってる? ララちゃん怒ってるの? ママが隠したから怒ってるのね!?」

「ちがう」

「ララちゃん。ゴメ~~~ン!!」


 だって母親に任せると、裁判沙汰になり兼ねないんだもん。私は幼稚園とモンスターペアレントになり兼ねない母親のために、1人で戦うことを心に決めたのであった……


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