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ボドルガのギルドにて

ボドルガを目指して街道を歩く。


街道は整然と敷き詰められた石畳でできていて、とても歩きやすい。

と言っても、敷石の角は削れて丸くなっているから、街道が作られたのはかなり昔のことだと思われる。

それに、ところどころ石がはがれて、穴が開いたようになっているところもある。あまり補修はされていないようだ。

生前のリュウは街道の歴史には興味がなかったらしく、街道がいつごろ作られたかなどの知識はなかった。


途中で一泊だけ野宿をして、翌日の昼過ぎにボドルガの街に着いた。


実は、道中で二度ほど魔獣に出くわした。

ホーンラビットという角が生えたウサギのような魔獣と、イーブルディアという鹿をでかくしたような魔獣だ。


どちらも早めに視認できたので、ホーンラビットは火魔法のファイアーアロー一発で、イーブルディアはファイアーアローで弱らせてからの剣撃で仕留めることができた。

ファイアーアローは思った以上の高威力だったので、単純にうれしかった。

また、実戦で使用したせいか、火魔法と剣術のレベルが1だけアップした。


しかし驚いたのは、魔獣たちが逃げずに俺に襲い掛かってきたことだ。

地球上の動物だったら、人を見たら普通は逃げるものだ。生存戦略としては、少しでも危険から逃れるのが基本だからだ。

しかし、この世界の魔獣は迷わずに俺に向かってきた。まるで人を襲うことが本能に刻まれているかのようだ。

地球の常識はこの世界では通用しないということだろう。


リュウの知識によると、この世界の街は、魔獣の襲撃を防ぐために周囲を強固な城壁で囲うのが普通らしい。

ボドルガも石でできた高さ5メートルほどの城壁で守られている。そして、その一画に出入り口用の門が設けられているのだ。

その門に近づくと、衛兵が声をかけてきた。


「ようこそ、ボドルガへ。身分証の提示をお願いします」


「これが冒険商人のギルドカードです」


俺はそう言って、アイテムボックスから取り出したギルドカードを衛兵に手渡した。


この世界では職業ごとにギルドと呼ばれる同業組合がある。ギルドに登録すると名前や生年月日などが記載されたギルドカードが発行され、それが身分証明書代わりになるのだ。


カードを受け取った衛兵は帳簿に何やら記載する。


「Bランクの冒険商人のリュウさんですね。通行税として5千ガルダ、保証金として5千ガルダ、計1万ガルダをお納めください」


この世界の通貨の単位は「ガルダ」で、おおよそ日本円と同じくらいの価値になるようだ。

ちなみに通行税は街の重要な収入源になっている。


俺は言われたとおりに支払いをし、ギルドカードを返却してもらって街に入る。

ボドルガの街は直径3㎞ほどの円形をしていて、その中に1万人ほどが暮らしている。この世界では中規模の街だ。


今の時刻は午後3時過ぎで、夜までにはまだ時間がある。

そこで、冒険商人のギルドに寄って、依頼品の引き渡しをすることにした。


冒険商人はこの世界の花形職業で、冒険商人がいないと物資の輸送が成り立たないと言われている。

そのため、冒険商人を取りまとめるギルドの羽振りは良い。

ボドルガのギルドの建物は白い石造りの立派なもので、この一帯でひときわ目立っている。

建物の隣には体育館ほどの大きさの倉庫が設置されていて、依頼品の納品はここで行う。

俺は依頼品を納品するため、倉庫の端にある納品窓口に向かった。

窓口には数人の係員がいたので、その一人に声をかける。


「依頼品の納品だ。依頼書はこれになる。物はどこに出せばいい?」


「Bランクのリュウさんですね。えっと、荷物はワイン樽と。――それでは、私について来てください」


係員の案内に従って倉庫の中に入り、携帯用のマジックバックに保管されていた高級ワインの樽を取り出す。全部で10樽ある。

これでワインボトル3000本分になり、原価で500万ガルダ、市場価格となると1000万ガルダは下らないらしい。


ちなみに、携帯用のマジックバックはリュウが持っていたもので、馬車1台分くらいの荷物が入るようだ。

しかし、イザベルからもらった収納ギフトの容量はこの倉庫分以上あるみたいなので、これからは収納ギフトの方を優先して使うことになるだろう。


俺は係員から受取証をもらって建物の中にあるギルドの窓口に向かう。そこで依頼の完了を報告し、報酬を受け取るのだ。


ギルドの建物の中に入ると、正面奥にギルドの職員が座っている窓口が見える。それぞれの窓口は間仕切りで分けられていて、他人に内容を聞かれずに会話ができる。


俺は空いている窓口で受取証を提出し、依頼の完了を報告した。道中でホーンラビットとイーブルディアを倒したことも報告し、証拠として魔石を納める。


「リュウ様、お疲れさまでした。こちらが今回の報酬の25万ガルダです」


相手をしてくれた女性のギルド職員が、10万ガルダ金貨2枚と1万ガルダ銀貨5枚をトレーの上に乗せて差し出した。


冒険商人の報酬は、依頼品の原価の5%と決まっている。依頼人は原価を申告して、その10%を依頼金としてギルドに納める。それを冒険商人とギルドで折半するのが習わしだ。


ちなみに、原価の設定は依頼人任せだが、もし輸送時にトラブルが発生して依頼品が失われると、原価分が返金されることになっている。そのため、依頼料を安く上げようとして実際の原価よりも安く報告すると、万が一の場合には損をしてしまう。だから、ほとんどの場合で実際の原価額が提示されるのだ。


報酬を受け取った俺は窓口を離れる。


さて、これからどうしたものか?

イザベルの話だと、魔道具探しの手伝いをしてくれるパートナーがいるはずだが、どこで会えるのだろうか?

『会うまでのお楽しみ』ということで、どんな奴なのかも知らされていないので、俺としては向こうからやって来るのを待つしかないのだが…。

とりあえずは闇魔法の魔導書を探しに本屋に行ってみるか。


などと考えながら建物の出口に向かって歩いていると、俺の前に大男が立ちふさがったのである。


これが初小説になります。


是非、読者の皆様の評価が知りたいです。


☆一つでもいいので、是非ボタンを押してください。


よろしくお願いします。

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