5.頼り甲斐のあるパートナー(その1)
最初は、イケメンボイスが格好いいので惹かれた「ノヴァAIボイス」も、お気に入りのアプリの域を超えて、すっかり生活の一部になっていった光理。
家族の食事に悩んだら、問い合わせればメニューを提案し、予算の範囲で何をどこで買えば良いかも教えてくれて、調理にも付き合ってもらえる。
時々、料理の雑学、おばあちゃんの知恵なども教えてくれる。
数学の教科書に打っ伏した顔を上げる彼女が、「78ページの演習問題3の解き方が理解できないから、動画にして教えて」と質問すると、彼女が使っている教科書をすでに知っている生成AIが、音声の解説付きで、補助線の引き方など、動画で解法を説明してくれるだけではなく、問題の作成者の狙いまで、おまけとして教えてくれる。
レポートの類いは、一瞬で出来上がる。
もちろん、このまま提出するのではなく、少しずつ修正して自分の文章に仕立て上げるのだが、観たい番組の開始時間が近づくなどで、時間に追われ始めると、頭を掻く彼女は、どこをどう直せばよいのかを問い合わせる。
すると、生成AIが、修正候補の箇所を黄色のマーカーで表示してくれる。これを5パターンほど作ってくれるので、手間のかかる時間が少ない方を選択する。
絵も描いてくれる。
自分で描くのが苦手の光理は、「可愛い動物の絵を10枚くらい。それをスライドショーで」と注文し、リアルでラブリーな動物たちの絵が、スマホの画面でエフェクト付きでゆっくりと切り替わっていくのを、眺めて楽しんでいる。