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1.事故を起こしてしまった

1.事故を起こしてしまった


その日も、宅配業をしている白犬遼しろいぬりょうは、夜遅くまで働いていた。

クリスマスと年末で、荷物の量が多くなっており、夜遅くまで荷物を配達をしていた。


「これですべての荷物が配達できた。あとは不在だった荷物を事務所にいったん戻して、

やっと家に帰れるな。」


そう思って、車を運転していたが、睡魔が突然やってきて一瞬意識が途切れてしまった。

フロントガラスに強い対向車のライトとクラクションで意識が戻った瞬間、体を強い衝撃が襲った。


「あっ、事故を起こしてしまっ…。」


--------------


次の瞬間、こうこうと太陽が照り付ける中、強い蛇行の衝撃で、慌ててリョウはブレーキを踏む。

車はさらに蛇行の衝撃が強くなり、バランスを崩しそうになったが、何とかその場に停止することができた。


「?? さっきまで夜、車を運転していて…そうだ、対向車にぶつかった??はず?? 

昼? しかも夏の太陽程明るく、日差しが強い??」


落ち着いて車の外の景色を見ると一面に砂の丘が広がっている。


「?!何なんだ?」


ドアを開けて外に出てみると非常に暑い。

木どころか植物や人工物は全く皆無のところにいた。


「今、12月で冬…じゃないな。8月?でもジメジメした暑さじゃないな。」


リョウはこの時ふと思った。


「あっ、そうだ携帯…」


慌てて制服の胸ポケットからスマホを取り出す。


「圏外だ。時間は22:40、12月22日。でも、違う時間だよな。

あっ、そうだ、カーナビを確認しよう。」


カーナビはついさっきまで荷物を配達していた、狸川市の地図が出ている。


「明らかに違うよなあ、ここ。鳥取の砂丘かと思っていたが、違うよなあ。」


少しリョウは考えたのち、少し車で走ってみることにした。

ゆっくりアクセルを踏んで走ろうとしても、車は進まない。

砂を巻き上げ、空転するだけの状況となっていた。


「前に見たテレビのクイズ番組で、そういえば、タイヤの空気を減らして砂漠を走るというのがあったな。」


そのことを思い出し、リョウは慌てて荷室の工具箱を取り出す。

そして、空気入れのノズルの部分を使い、順々にタイヤの空気を抜いていく。


「大体これくらいでいいかな?」


4つのタイヤの空気を減らし、アクセルを少しずつ踏んでいく。

やがて、車は前進しだした。


--------------


車は砂の丘の傾斜の緩いところを選んで進んでいく。

場所が場所なのであんまり速度を出せず、30~40㎞/h位でゆっくりと走っていく。


運転している間、リョウはなんでこうなったのか考えていた。


「あの瞬間、死んだ…よなあ、俺。

死んでここに来た?天国や地獄ではなく?

日本じゃないとすると、ここはどこ?私はリョウ。

夢じゃない、非常にリアルで、特に暑さと乾燥の感じ方は、これは夢じゃない。」


ガソリンは、ほんの3時間前くらいにセルフスタンドで入れたので、

満タンに近かった。


「それにしても暑いなあ。急に昼になって暑くなって、クーラーかけたいが、

どのくらい走らなければいけないか、わからないから燃料は節約したいからなあ。

もう30㎞近く進んできたことになるのか。」


「ヘクション!」


リョウは鼻にむずがゆさを覚え、

やがて、空気にわずかながら湿気があるのが感じ取れた。


「水があるのかな。誰か、何かあるかもしれない。」


徐々に湿気が強くなってくる。


車は砂の山を越えると、そこには海岸線が広がっているのが見えた。

ゆっくりと砂山を降りていき、車を海岸線の近くで止めた。


リョウは車から降りていき、靴を脱ぎ、波打つ水の中に入る。

そして、水をなめてみる。


「やっぱり海水だ。」


リョウは少し淡水を期待していただけに残念だった。

海岸線を見渡すと、砂と海水だけで、貝や海藻などは一切見当たらない。


とりあえず、この海岸線を走ってみよう。

リョウは車に乗り、海岸線を走りだす。


学生の頃、ドライブで北陸の砂の海岸線を車で走ったことがあったが、

その時のことを思い出す。


6㎞位走ると砂山は途切れ、平坦な砂地が広がり、大きな20m以上の岩が海岸とその平坦な砂地の間にあるところがあった。


「この岩はいい日よけになるな。少し車を停めて休もう。」

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