18.村の見学と災難
18.村の見学と災難
食事を終えた後、村の中をリアンに案内してもらう。
どこの家も平屋の石造りの家だが、緑が皆無だった。
日本で見慣れた村や町には、よほどの都会を除いて、
必ずと言っていいほど植物の緑が目を癒していたが、それがない。
砂の地面に石造りの家、緑はない。
リョウ(これじゃ、エルフの住む環境じゃなくて、ドワーフの住む環境だよ。
??この世界にドワーフっているのか?)
リアンに村の植生とひよこ豆の畑について聞いたところ、この先にあるとのことだった。
村の中を5分ほど歩くと、公園に出る。
公園には、ナツメヤシとサボテン等が植えられている区画、村の井戸がある区画、
何もない野外広場の区画があるとのこと。
なるほど、村人が井戸に並び、水をくみ上げる順番を待っている。
井戸はいわゆる、つるべ井戸で、くみ上げるのに時間がかかっている。
組んだ水をちょっとなめさせてもらったが、確かに塩分が混じっている様である。
公園を超えると、そこには1件の商店があり、ここが村で唯一の店とのこと。
それから村唯一の商店の脇の道を進むと、村人の住宅街が続いていたが、
やがて住宅は尽き、畑にでる。
砂地の畑で、実際に苗が植えられているのは数区画しかない。
後は、休耕状態となっていた。
リアン「この先500mくらい言ったら海岸です。」
とのこと。
一旦村長宅に戻り、車で海岸に行ってみることにした。
村のふちを車は走りすぐに海岸に出たのだが、
サンドエルフの漁師が大きな2mくらいあるカニの様なモンスター3匹に襲われている。
我々の車をに乗っているリアンを見つけるなり、
漁師は走ってきて、
漁師1「大きな魚が網にかかったので、引き上げられず、
そのまま船で網にかかった魚ごと引いてきたら、
こいつが寄ってきたんだ。」
リアン「船に上げられない魚がかかった場合、
網を切って中の魚を捨てることになっているでしょ。」
漁師1「済まない、つい欲が出た。」
リアンが俺を見る。
リョウ「わかった、あのカニをこの荷馬車の体当たりでやっつければいいんでしょ。」
リョウは車のアクセルを踏み、巨大ガニに向け、加速していく。
車は大きな音がし、激しく揺れる。
当然1回では無理なので、何回も体当たりをする。
3匹目の巨大ガニの足がもげ、間もなく倒せるという時に、
ついにフロントガラスが粉々になり、車の正面から外れた。
そして、加速し体当たり。
鋭いカニのはさみが車内に入ってきて、俺とリアンの間をかすめる。
リアン「きゃあ。」
リョウ(危なかった。)
カニを折れた足ごと、宅配ボックスに回収する。
その様子を見て、漁師がこちらにやってくる。
リアンちゃんと…
リョウ「リョウといいます、商人をしています。」
漁師1「リョウさんか、ありがとう。
この荷馬車、強いなあ。」
降りて車を見ると、ドアミラーが両方もげ、
フロントガラスはなく、バンパーは外れかかり、
そのほかの前面の鋼板も凸凹になっていた。
あと、まずいのは、燃料タンクがやられ、側面に穴が開いている。
リョウ(まずい、ここでは車を直せない。一旦村長宅に戻ろう。)
何とか、村長宅裏の広いスペースまで戻ってきた。
リョウ「さて、車を直すか。」
リアンにその旨伝える。