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5.私と仕事 新卒で入社をして

 大学を卒業し、入った会社は小売店で、接客業を担当することになった。私はこの選択は失敗だったと思う。なぜなら、接客業は、素早いレスポンスとお客様の話を整理する能力が求められるからだ。そして何よりお客様とは一発勝負で、長く関係性を保つ仕事ではない。集中が飛ぶ、第一印象が悪い、を自負する私にとって、この環境は地獄だった。

 そして何より、先輩や上司に迷惑をかけていた。このことが、私の心の中のもやもやをさらに増幅させる。結果的に、3か月で店舗は実質クビになり、カスタマーセンターに配属されることになった。結論から言ってしまえば、カスタマーセンターはもっと地獄だった。前述した素早いレスポンスと、話を整理する能力。これが対面以上に求められる。ADHD全体に言えることだが、頭の中も外も整理が苦手なのは言うまでもない。

 そもそもなぜその会社に入ったかというと、正直なところ消去法だった。大学4年の時、ずっと憧れがあった新聞記者を志望した。というより、文章を書ける仕事しか自分にはないと思っていたのだ。ただ、面接が全くうまく行かず、どこも不採用。その時に受かっていた会社に入った。正直よこしまな理由だったと思う。ただ、当時の私の心の中は、これ以上親を心配させたくないということが大部分を占めていたのだ。ある程度大きな企業で正社員だったし、いろいろなことができるとも聞いた。迷った末、入ったのを覚えている。

 カスタマーセンターへの配属後、何度も転職を考えた。正直カスタマーセンターで働き続けるのはおかしなことだとも思っていた。周りの人は厳しく優しくしてくれ、自分もそういう傾向があることは伝えていた。ただ、仕事は仕事、理解したとしてもやらなければならないことは目の前にある。ただ、やめるということが正解なのか、迷うところはあった。環境が変化しても受け入れてもらえるかが分からない。そして、何より自分の中のエゴもあった。「篠田くんはサラリーマンにはなれません」という言葉への反骨心が、私の転職へ踏み出す心をしぼめた。転職して、失敗して、もしサラリーマンではなくなったら、あの言葉の思うつぼだ。

 本当であれば、あの言葉を「サラリーマンになる必要はない」と受け止めるべきだったのかもしれない。ただ、その時はそのような視野の広さと心の余裕を持っていなかったのが事実だった。そんな感じで、悶々と過ごす日々を過ごしていた。

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