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カエンの継承~未来を変える運命の遺言~  作者: トッポ店長
第1章
6/6

ピンチからの脱出

「いくぜ…化け物!」


 両手に炎を纏うフラン。


 フランはそのまま勢いよく化け物に向かっていく。

 そして、思いきり炎を纏った拳を化け物の胸に向かってぶつける。


 グオアァァァァ!!


 ぶつけた拳の力と勢いによって化け物は大きな声を上げながら後ろに退く。

 フランの攻撃は効いているようだ。


「よし、これならいける!……ていうかこれ、自分が思ったところに炎を出せるんだな。じゃあ武器っぽく形を変えることもできるのか?」


 フランは手に剣の形をした炎を出すことをイメージする。


 すると、イメージ通り両手から剣の形をした炎が出てきた。


「おお、すごい…!これで戦いの幅も広がる!」


 そんなことを考えてるうちに、化け物は体制を整え勢いをつけて突進してくる。

 フランはそれを反射的に間一髪でかわす。


「…危なかった!これは考えてる暇はなさそうだな。」


 両手に纏った炎の剣を構え、化け物に向かって立ち向かっていく。

 一振り、二振り、、、化け物はその炎の攻撃を喰らい抵抗できず後ろに退く。


「よし、ならこれならどうだ!」


 フランは両手の剣の炎を強め、両方を同時に化け物に向かって大きく振りかざす。


 化け物はその攻撃によって大きく吹き飛んだ。

 しかし、吹き飛ばされた化け物はまた立ち上がり、今度は火球をフランに向かって飛ばす。


 フランはそれを避けるが、その火球は止まることなく何度も向かってくる。


「…くそっ!近距離だとマズイからって遠距離で攻撃を仕掛けてきたか…!」


 フランは避け続けるが、次第に身体が疲れを見せ反応が遅くなる。

 これではマズイと思い、廃工場内の大きな機械に身体を隠す。


 化け物はそれでも火球の攻撃を止めない。

 辺りがあちこちと爆発し、爆風によって辺りの物が飛んでくる。


「マズイな…俺も炎は飛ばせるかもしれないけどあんなに強い炎を飛ばせる気がしない…イメージした炎を出せる…そうか、これなら…!」


 物陰に隠れているフランは思いついた武器をイメージする。

 すると、フランの両手の炎はそのイメージしたものに変わった。


 フランは勢いよく物陰から身を出し、両手の炎を化け物に向かって放つ。

 両手の炎は伸びて化け物の身体に命中した。


 化け物はそれを喰らい倒れ込む。


「よし!この炎のムチなら遠くの敵でも何とか対応できそうだ!」


 炎のムチによって化け物に対抗できることを思いついたフラン。

 フランはそのまま化け物に向かってムチを何度も放つ。


 化け物はそれを喰らいダメージによってか座り込み動けない。

 炎の攻撃がかなり効いているようだ。


「今ならいける…!最大限の火力でぶった斬る!」


 フランは両手の炎を剣に変え、今までで一番強い火力を両手に纏わせ、化け物に向かう構えを取る。

 そして、そのまま勢いよく両手の炎の剣を化け物に向かってぶつけた。


 グオアアアァァァァァ!!


 化け物は大きく吹き飛び、倒れたまま動かなくなった。

 フランは闘いに勝ったことを確信し、肩の力を抜く。


「やった…みたいだな。俺が…倒したんだよな。夢みたいだけど夢じゃないんだよな……って、急に身体が」


 今までの疲労と化け物によって受けたダメージが一気にフランに襲ってきた。

 フランはその場でしゃがみ込み、そのまま数分間動けずにいた。


 ……ブウゥゥゥン…


 あたりに何もなく静かなフランのいる場所に何かの音が近付いてくる。

 フランはその音を車の走る音だとすぐに分かった。


「車…?誰だ、こんな所に…」


 フランは動けないまま考えていると、車は廃工場の入口のすぐそばまで近付いていた。

 そして、車が止まる音が聞こえた。


 中に誰かが入ってくる。

 それも1人ではなく、6人ほどの大人数だ。


「ここか。通報を受けたという場所は。」


 リーダー格の男が部下と話しているのが聞こえる。

 リーダー格の男とその部下達は、廃工場の中の方へどんどんと入ってくるのが分かった。


 そして、フランの目の前にそのリーダー格の男と部下達は姿を現す。


「お前か、この廃工場で爆発を起こしたという犯人は。」


 リーダー格の男はフランに問う。

 この男は爆発が起きているという通報を受けてこの場所に来たようだ。


「っ…俺じゃない!化け物がこの廃工場をめちゃくちゃにしたんだ。俺はその化け物を止めるためにずっと闘ってたんだ!」


 リーダー格の男は呆れた顔でフランを見つめる。


「化け物?…ふん、そんなものが存在するはずが無いだろう。言い訳は見苦しいぞ。」


「違う!…そうだ、すぐそこに、すぐそこにその化け物が倒れているはずだ!」


「どこだ?どこにそんなやつがいる?」


「ほら、すぐそこに!……って、えっ…嘘だろ……」


 フランが指を指した方向に倒れているはずの化け物の姿はもうなかった。

 痕跡も何もかもが跡形もなく無くなっていた。


 リーダー格の男はフランが犯人だと確信し、部下に車まで連れて行かせる。

 フランは抵抗する力が残ってるはずもなく、そのまま数人の男に車まで連行された。


「しかし、こんな所を爆発させて何がしたかったんだ。どうやって爆発させたのか、何故あんなにボロボロなのか…詳しく聞かないとな。」


 腰に刀を身に付けたリーダー格の男は部下とともに廃工場を後にした。

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