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カエンの継承~未来を変える運命の遺言~  作者: トッポ店長
序章
3/6

ぶつかり合うアビリティ

 青髪の男が放った爆発により、ノエルは大きく吹き飛ばされる。

 が、咄嗟に雷を剣に纏わせ、爆風に合わせて斬撃を放ち、衝撃を抑えた。


「ぐっ…は…何だ、あの力は…爆発を起こせて液体や気体にもなれる、そして硬化することもできる…火山か何かか?」


 ノエルは青髪の男が持つマテリアルについて考える。

 しかし、ピタッと当てはまる答えが出てこない。


「ボーッとしてるとまた吹っ飛ばされるぜ…!」


 身体は煙のような状態のまま、手足だけ元の状態に戻り硬化させ、空中からノエルに向かって間髪無しに勢いよく拳や蹴りをぶつける。


 ノエルはその怒涛の連打に対して剣を振るい、衝撃を抑え全て受け止める。

 しかし、全ての衝撃は受け止めきれず、少しずつ後ろに、海の方に向かって体は進んでいく。


「やはり身体を硬化させている…それも手足だけ…変化させる場所を部位ごとに分けれるのか…」


「そういう事だ…逆に今度は俺が問う。あんたの能力は雷か?」


「答える必要がないな。」


 そう言い放った瞬間、攻撃を受け流すと同時に、身体から電撃波を周囲全体に激しく放つ。


 電撃によって上甲半全体の空気が震える。

 青髪の男は電撃をかすりながらも避けるが、かすった時の電流が身体に走る。


「はっ…やっぱり痺れるな、あんたの攻撃は。」


「それが俺の能力だ。あまり甘く見ない方がいいとだけ言っておく。」


「その力でもヤツらには通用しないとはな…ヤツらが強いのか、あんたが弱いのか…」


「さっきから何を言っている。何か知っているような物言いだな。」


「いずれ分かる時が来る…そんなことはどうでもいい、俺にはあんたと戦ってる暇はない。」


 その後も2人の激しい戦いは長く続いた。お互い多くの傷を負いながらも、痛みや疲れを表情や仕草には出さず、相手と向き合っていた。


「隊長さんは強えや…こんなにやり合っても勝負がつかないなんてな…」


「俺にこんなにも手こずっていては『時のマテリアル』は手に入れられないぞ。もうちょっと修行してから来るんだったな。」


「言ってくれるな…だがこれで最後にしてやる。」


 青髪の男は全身を硬化させ、ノエルに向かって両方の手のひらを向ける。

 手のひらに大きな力を集中させ、腕全体が震え出す。


「それはこっちのセリフだ。でも言っておくが、この船に乗っている隊長は俺だけじゃない。」


 ノエルも右手に持っている剣を構え、剣に強く激しい雷を纏わせる。剣やノエルの体にはビリビリと電流が走り、どんどんとその範囲は広がっていく。


「- 雷鳴術 雷電花火らいめいじゅつらいでんはなび -」


 ノエルは激しく雷を纏い強く光を放つその剣を、少し離れた青髪の男に向かって大きく振りかざした。


 剣から放たれた大きな斬撃は強い光と音を放ちながら物凄いスピードで飛んでいく。


「これが最後だ。- 噴火型爆破(ボルケーノ・ブラスト) - 」


 両方の手のひらに溜められた力が勢いよくノエルの斬撃に向かって放たれ、その小さな力の塊は少しずつ大きくなり、そして赤い光を見せながらスピードを上げ飛んでいく。


 お互いの攻撃が2人の間でぶつかり合い、そして大きな音を立てて広範囲の爆発が起きる。


 青髪の男は爆発と爆風を受け、船のエントランスの入口付近まで大きく吹き飛ばされた。そして、そのまま壁に勢いよくぶつかってしまう。


「はぁ……はぁ……なんて力だ。硬化が無かったら全身ボロボロだったところだぜ…」


 男は壁に壁にもたれかかったまま座り、周囲を見渡す。

 しかし、同じく吹き飛ばされたであろうノエルの姿が何処にも見当たらない。


「あいつは何処に行った…まさか海でも落ちたか。」


 少し安堵の表情を浮かべながら、少しずつゆっくりと立ち上がる。

 辺りには誰も居なくなり、風の音と波の音が静かに聴こえる。


 青髪の男はそのまま船のエントランスの入口まで歩いて行き、入口の扉を開けた。


 すると、入口を入ってすぐの所で銃や剣を構えた多くの戦闘員が待ち構えていた。


「来たぞ。全員迎え撃つ準備をしろ!」


 男は次第にどんどんと囲まれていく。

 しかし、そんなことは気にもせずエントランスを見渡して、その広さに感動している。


「すげぇ…これが世界を守る組織の戦艦か!中もめちゃくちゃ広いなぁ。それに作りもすごい。」


「構うな。今のうちにヤツを撃て!動けなくなるまで攻撃を止めるな!」


 戦闘員全員が一斉に攻撃を仕掛けようとする。

 その時、ある男がエントランスの奥の扉の方からドンッ!と音を立てて扉を開け、中に入ってきた。


「ちょっと待ったァ!!」


 男が大きく声を上げる。


「この船の凄さ分かってるじゃねぇか!いい目を持ってるなぁ!お前あれだろ、例のアレを盗みに来たっていう侵入者だろ?」


「あ、ああ…そうだが。自己紹介しなくて済むなら楽なもんだ。あんたももしかして…隊長さんか?」


 中に勢いよく入ってきた男、それはベイクだった。


「おお、そんなオーラが出てたか!それはとても嬉しいことだ。俺はよ、今日とても大事な日でな。遅れると色々と問題があるんだ。」


「大事な日ねぇ…でもそれを聞いたからってまた今度取りに来る訳にはいかない。こっちにも色々事情があるんだ。」


「だよな…引き下がってはくれねぇよな…仕方ない、到着までにさっさと終わらすか。大丈夫かな…時間。」


「時間は待ってくれねぇぜ。俺もあんたをさっさと倒してあのマテリアルをいただく。」


 お互いがお互いに向かって構える姿勢を作る。

 ベイクも青髪の男もさっきまでとは見違えるほど顔つきが変わる。


「じゃあ手加減はなしだぜ。息子の笑顔見るためにこの仕事やり切ってやる!」

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