第8話〜 5つの国、6大迷宮 〜
「すみません、ポーラさん……。僕の住んでいた所は周りに町も村も何も無くて、迷宮などについてよく知らないので、迷宮の事など、この世界の事を教えて頂けませんか?」
僕が興味津々で訊いて来た事に驚いたのか、ポーラさんは目を丸くした。
そりゃ驚くのも無理はないと思う。今まで、静かな暗い人だったのが、急に目を輝かせて質問してきたのだから。
だが、ポーラさんはすぐに「そんな事ぐらい、いくらでも教えてあげるよ」と笑顔でいってきた。
おぉう。やっぱり、見かけによらず優しい人だな。この村でも多分人気なんだろうなぁ。怒ったら怖いけど……。
「んー。何から話したらいいのか改めて考えると難しいね。この世界は色々分からないことだらけだからね」
「ふくざつな世界なんだって。前にポーラが言ってた」
ポーラさんが、何から話すか頭を悩ませている時に、メアが複雑な世界と言うことを教えてくれた。
それにしても、複雑って難しい言葉をよく知ってるなぁ……。
僕がメアの知識に感嘆していると、ポーラさんはこの世界の説明を始めた。
「まずはそうさねぇ……。この世界には主に5つの大きな国があるのさ。その5つの国は今は戦争こそしてないが、今にでも他国を攻め入って我が国の領域を広げたがってるのさ」
ポーラさんは、まず国の事から話し始めた。
主な5つの大きな国、それは東西南北の方角で分かれているという。
土地の形などはよく知らないのでどこが広いとかわからない。
取り敢えず、日本の九州のような形だと思っておこう。
東西南北にそれぞれ4つの国。
北の国『キヴィアル』
南の国『ミナージュ』
東の国『ヒューストン』
西の国『ニューハート』
そして、その4つの真ん中に位置する国。
王都『マーティン』
北と東は王が男性で、南と西は女性だそうだ。
王都の王は夫婦で2人。男女平等にする為の政策なのだそうだ。
王は、地球で言うと天皇兼総理大臣みたいなものだと僕は勝手に想像している。
そして、この村は王都マーティンの南に位置し、名を『セル村』と言うらしい。
王都マーティンとか言うけれど、東西南北全部王都って事だよね。
王都イコール日本の県ってイメージして欲しい。王イコール県知事的な……。
セル村は、マーティンの領域なので王都マーティンと呼ぶのが一般的らしい。
あぁ、なんかややこしいなぁ……。覚えないといけないことがいっぱいあり過ぎて脳が疲れるなぁ。
「あの、さっきポーラさんが言ってた『迷いの森』ってなんですか?」
「っ?! ノアあんた、『迷いの森』を知らないのかい?!」
疑問に思っていた事を質問してみると、ポーラさんは驚いて本当に知らないのかと凄い形相で聞いてきた。
その顔に僕は狼狽えたが「はい」と答えるしかなかった。
すると、ポーラさんはまじかコイツみたいな目で見てきたが、はぁ〜とため息をつくと頭を振りながら説明を始める。
「世界的に有名なんだがね……。『迷いの森』は6大迷宮が1つ、1度入ったら死ぬかクリアするまで出ることは出来ないと言われている迷宮さ。聞くところによると、来た道を戻っても迷って出られないらしい」
へぇ……だから、迷いの森って言うのか。
「でも、あまり深くまで森に入らなければ戻れるらしい。だからあたしらは森に入ったすぐの所で狩りをするのさ」
狩り……。やっぱりこの世界では養殖とかしてないのかな……。生きていくためには、またあんな苦労して魔物を殺さなければいけないのか。
「あんたも気になってると思うけど、この国が所有する大迷宮は2つあるよ。さっき言った『迷いの森』と、王都マーティンの真ん中にある天まで伸びる塔。神の門を意味する『バベルの塔』の2つ。『バベルの塔』は『迷いの森』と違ってちゃんと帰還できるよ。他の国の4つの大迷宮はよく分からないんだ」
おおぅ? 中々に、覚えることが多くて結構大変だな……。記憶力はいい方だと自負していたけど頑張って覚えよう。
「もう、あたしが知ってることは全部話したよ。こんな田舎だからあまり情報には詳しくないんだ……ごめんよ」
「いえ、貴重な情報ありがとうございます」
僕は、ポーラさんの説明を聞いていて少し気になったことがあったが、聞こうとは思わなかった。
ポーラさんは、この世界について説明している時たまに、俯いて歯を食いしばりながら言っていた。僕には言えない、秘密があるのだろう。
それに、全部人から聞いたような口ぶりや他の国の事をあまり知らない所から推測するに、世間の事をよく知らないのだろう。
まぁ、この田舎のような村だからそんなに情報は得られないのもあるかもしれないが、僕はどうにもそれだけではない気がした。
けれど、知ってしまったらもう僕はここには居られなくなりそうな気がしてならなかった……。
もうすぐ、テストが近いので投稿出来ない週があるかもしれません。すみません。
でも、なるべく投稿するように頑張ります!