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《不幸体質》のせいで7回死んだ僕は、神様にチート能力を7個貰ったので、人見知り&コミュ障を治そうとしたら問題だらけで難しすぎた~7回目の転生では劣等人の忌み子として嫌われる~   作者: 絶対人生負け組
第三章 2人の不憫な少女と《不幸体質》の僕

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第65話〜 不穏な気配・リリアの胸中 〜

 ノアから白金貨を受け取った2人組は宿屋を後にすると、扉の方に視線を向けながら歩く。


「おい、あいつが今噂の劣等人か?」

「恐らくは」

「それにしても劣等人が白金貨持ってるなんておかしいよな」

「確かにそうだな」


 取り敢えずは目的を達成した2人組の男は余計な寄り道をせずに帰り、ボスに劣等人の事について報告することにした。










「ボス、ただいま戻りました」


 暗闇の中、月の光だけが差し込む部屋。スラット伸びた足、窓の外を眺め威厳のある佇まいをした細身の男に向かって報告をする。



「ご苦労」


 報告を聞いたその細身の男はそれだけ言って部下2人を下がらせると、ただでさえ細い目をもっと細めて不気味に笑う。


「調子に乗ってる劣等人、どうやって大金を手に入れたかは今はどうでもいい」


 恐らくまだ金を持っているだろう。それをどうやって奪おうか……。持っていなくてもまぁ、良いカモに出来るし、ストレス発散には丁度いいな。


「くくくくっ……」


 リリアと報告にあった劣等人の連れを使うかぁ……。あぁ、考えるだけで楽しみだ。

 リリアの苦痛の表情は最高なんだよなぁ……。

 さて、劣等人はどんな表情を見せてくれるかな……。


 男はジュルリと舌舐めずりをすると再び不気味な笑い声を部屋に響かせた。








 ■■■






 借金取りが来た次の日、もう皆いつも通り元気になっていた。

 けれど心做しか、リリアさんは前よりも元気がなさそうに見えた。

 まぁ、それもそうだろう。あんなことがあった次の日だから。時間が経てばまた元気になるだろう。

 そう思い、僕は今日も仕事に向かうのだった。







 ■■■



 ノアさんが仕事に向かってメアさんは図書館に行き、私は独りで掃除をしていた。


 静かな空間。遠くからは賑やかないつもの街の喧騒が聞こえてくる。


 ここ最近賑やかな日々を送っているせいか、今は独りになると少し寂しいという感情を抱く。

 前は独りでも全然平気だったのに、今では二人の帰りを今か今かと待ちわびている。

 私は家族ではないのに。ただの、宿屋を経営している貧しい人間。

 経営すら、怪しい所だけど。


 ノアさん達は私に凄く優しくしてくれる。家族のように接してくれる。昨日もノアさんは私のことを「家族」と言ってくれた。その証拠に私はノアさん達が来てからずっと助けられっぱなしだ。


 私が助けて欲しいと望んだものの、こんなに助けられてはどうやってこの恩を返していけばいいか分からない。

 後ろめたい気持ちが助けられる度に心を侵食していく。

 私は貰ってばかり。何も返せていない。


 いつかはきっと、二人はここから離れる。いつまでも甘えていたら私は生きていけない。一人でも生きていけるようにならないと……。



「はぁ……」


 私は人の優しさに甘えてるだけの駄目な人間だなと思いながら掃除を終わらせた。


 掃除も終わり、一通り家事は済ませたので久しぶりにおばあちゃんのお見舞いに行くことにした。


 幸いと言っていいのか、どうせ宿に他のお客様はいないし。恐らく99%の確率で来ないので、一応メアさんやノアさんが帰ってきて私が何処に行ったかわかるように、置き手紙を机の上に置いておいた。



 お花や、果物などお金がないので何も持たずに宿を出る。


 久しぶりの太陽は眩しすぎて、視界がぼやけて暗くなり頭痛もし始めて、私は気が付けば倒れていた。


「あっ……」


 あまりの貧弱さに、自分でも驚いてしまう。




 暫くすると、視界も戻り頭痛も収まったのでゆっくりと立ち上がりおばあちゃんのいる病院へ向かった。












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