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第6話〜 異世界での食事 〜

  それにしても、まだメアは僕の脚の上に乗っている。

  ずっと、同じ姿勢でいるのは正直辛いんだけどな……。





  その思いがおばさんに通じたのか、部屋にご飯を持ってきた。

  おばさんが部屋に入ってきた瞬間に鼻腔をくすぐる匂いが漂ってきた。

「こら、メア。ノアお兄ちゃんはまだ体の調子が悪いんだからどいてあげなさい」

  おばさんは、部屋に入ってくるなりメアを僕の上からどくように言ってくれた。

  おぉー! ナイスタイミング! グッジョブ!

  僕は心の中でおばさんの事を褒め称える。

  メアは、僕の顔を一瞬チラッとみて少し不機嫌そうな顔をしながら渋々といった様子でどいてくれた。



  その間に、おばさんは部屋の隅に置いてあった木の机をベッドの横に動かしてその上にご飯を置いてくれた。

  僕は、初めて見るような食事に少し期待を膨らませながら「食べていいですか?!」と空腹に耐えきれずにおばさんに話しかけた。

  おばさんは、一瞬僕の勢いに驚いた顔をしたものの、すぐに笑顔で了承してくれた。

  見た目は、完全に野菜が沢山入っているポトフや、パンだった。

  ポトフは、人参やジャガイモ、キャベツみたいな物が入っていた。



 僕は「いただきます」と両手を合わせて感謝の挨拶をして食べ始める。

  味や食感は地球と同じだった。

  馴染みのある味や食感があっただけまだマシだ。

  問題は、このサイコロの形に切ってあるお肉だ。これも、普通に牛とかならいいんだけどな……。

「あ、あの。このお肉って……?」

  確認のために、恐る恐る聞いてみると

「あぁ、ここら辺で狩れるホーンラビットの肉だよ? もしかして、肉嫌いかい?」

  とそれが普通の事だと言うように真顔で言われた。

「い、いや。別に嫌いなわけでは……」

  ホーンラビットってなんだ? 日本語に訳すと、角……うさぎ?

 地球にいた頃は、うさぎ肉とか食べたこと無かったな……。

  角が生えてるだけで地球のうさぎと変わらないだろう……多分。

  僕は初めてのウサギ肉を口に入れる。

  っ〜?! 美味しい! なんて説明したらいいのか、分からないけどトニカク美味しい!

  空腹の効果もあるのかもしれないが、凄く美味しいく感じられた。









  そして、あっという間に全部食べ終えてしまった。

  因みにパンはガチガチに硬いとかそういう訳ではなかった。

  パンの事を言った理由は、ただの偏見だが、異世界と言ったらパンが硬いイメージがあったからだ。

 流石に、給食とかででるミルクパンみたいな柔らかさではなかったけど……。

  1番近いのは、多分食パンかな……。食パンより少し硬いぐらいで、普通に美味しかった。

  食べ終わり、また両手を合わせて「ご馳走様でした」と挨拶をする。




  僕が食事を終えて顔を上げると、おばさんが不思議そうな顔で僕をみていた。

  ベッドの隣に座っているメアの方もみてみたが、何故かメアも不思議そうな物を見る目で僕の事を見つめていた。

  ……? なんだろう。僕の口に何か付いてるのかな?

  そんな事を思い、袖で口を拭うも何もついていなかった。

  不思議そうな顔をしている2人が気になったが、とりあえずお礼の言葉を言うことにした。

「あ、あの。ご飯、ありがとうございました。とても美味しかったでしゅ……」

  2人とも静かな中で、自分から何かを言うのは当然緊張するわけで、最後の最後で噛んでしまった。

  僕は恥ずかしくなって両手で顔を覆う。

  顔が熱を帯びて、多分赤くなっているだろう。

「あはははっ! そりゃ良かったよ」

  おばさんが、急に笑いだしたので僕はビックリして体がピン! と伸びた。

  それにしても、まだメアとおばさんは僕の方を不思議な目で見てきた。

  何なんだろう? あ、そう言えばおばさんの名前聞くの忘れてたや。

  おばさんの名前を知るために、緊張しながら言葉を発する。

「あの……。えっと、貴方の名前は何ですか?」

  急にそんな事を聞いて来た事を疑問に思ったのか、おばさんは首を傾げた。

「いや、その……名前聞くの忘れていたので……」

  僕が慌てて名前を聞いた理由を説明すると、おばさんは納得したようでニコッと笑みを浮かべた。

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