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第57話〜 決闘(前編) 〜

 翌日、いつもよりも少し早く自然と目が冷めた。昨日はギルトで絡まれたり、本を読んだ疲れがあったのか睡眠の質が高かったように感じた。


 気持ちいい朝を迎えられ、清々しい気持ちに浸って顔を出し始めた太陽を見上げながら伸びをする。




 部屋から出ると、リリアさんが既に起きていた。


 はっっっっっや。なんで起きてんねん。


 そんな突っ込みを胸中でしつつ「おはよう」と挨拶をする。


「あっ、おはようございますノアさん。早いですね?」


「うん、なんか。よく眠れたから」


「そうなんですね……良かったです」


「う、うん……」


 何故か気まずい空気感になってしまった。元々そんなに話してないし、あの夜は相談とかで喋れたけどいざ普通の会話をとなると、やはり僕にはまだ無理だった。


 リリアさんもリリアさんで何故かワタワタしてるし。

 なんでぇ……?もしかして、リリアさんもコミュ障仲間なのか……っ!?

 メアとすぐに仲良くなれたのは、やはりメアのコミュ力が群を抜いて高いからか!?やはりそういうことか!


 うん、リリアさん一緒にコミュ強になれるように頑張りましょう。











 リリアさんが朝食を作ってくれたので軽く食べて、早速ギルドに仕事をしに行くことに。

 行くタイミングになって、メアが眠い瞼を擦りながら起きてきた。


「んー、おはよー」


 まだ完全に目が冷めきっていないメアはふにゃふにゃとした少し掠れた声で言った。


「メアおはよう」

「メアさん、おはようございます!」


 メアの眠そうな姿をみて、僕とリリアさんは穏やかな気持ちになりながら挨拶を返す。



「じゃあ、そろそろ行ってきます」


 扉を開けながらメアとリリアさんに向けて言うと笑顔で「行ってらっしゃい。お気を付けて」とリリアさんが言ってくれた。

 その笑顔はまさに天使や女神の様な眩しい笑顔。慈愛を感じる様な微笑み。


 手を振られたのでそれに応えて僕も手を振り返す。


 メアも手をふにゃふにゃと振りながら「いってらっひゃい……むにゃむにゃ」と口が回らない様子がなんとも可愛らしかった。



 扉から出て、少し歩いた所で僕は壁に手を付き息を一気に吐き出して崩れそうになる。


「はぁはぁ……死ぬ」


 可愛すぎて死ぬ。ムリムリムリムリ。リリアさんといい、メアといい可愛すぎて尊死するっ!!


 何あの、行ってらっしゃっいって挨拶しただけの破壊力!!


 これから毎日あんな生活を送らないと行けないと思うと僕の理性が保つか物凄く不安になってきた。


「ふぅ……」


 僕は頼りになる兄の様な存在だと思われてるはず。それならしっかりとその役目を全うしないとな。


 自分の頬をパンパンと叩いて気を入れ直す。


 そして、仮面と外套を羽織り冒険者ギルドに向かう。







 ギルドに向かう道中朝の二人の「行ってらっしゃい」の場面を何回も脳内再生してニヤニヤしていたなんてことは絶対にない。


 あんな生活をこれからも続けられたらいいなと思うが、そうもいかない。僕の呪いの《不幸体質》がある限り、近くにいると命の危険がある。今でさえ、早く二人から離れないと危ないとわかってはいる。


 けれど、まだ二人の精神が不安定で危うい状態。そんな二人を放っておくなんて事も出来るはずがない。


 もし不幸な事が起こったら絶対に二人の事は守る。僕の持ってる7個のチート能力を駆使して、命に変えても。





 強い決心をした後に、ギルドの扉を開ける。


 ギルドに入ったら昨日同様賑わっていた。【任務】を今日はしようと思う。面倒くさいやらないといけないことは早めにやっといたほうが精神的にも楽だしね。


 どんな【任務】をすればいいか、昨日ギルド登録手続きや説明をしてくれた受付のお姉さんに聞こうと受付辺りを見るが、見当たらない。



 …………げ、もしかして今日休みとかかな……………。


 スゥゥゥまじかぁ。また知らない人と喋るのきついなぁ。


 でもせっかくきたし、時間を無駄にはしたくないし。

 意を決して、受付に向かう。



 向かう途中、やはり視線がグサグサと突き刺さった。

 昨日ケニーさんという脳筋筋肉ダルマスキンヘッドの顔に傷跡がある大きな冒険者に絡まれたからだろう。



 はぁ、最悪だ。





 朝から嫌な気分になりながらもトボトボと歩くと、急に肩をガシッと掴まれた。







 ……………………









 嫌な予感がしたので、無視してそのまま前に進もうと思ったが力が強くて全く動けない。








「よう、ガキ。待ってたぜ」









 あっ……終わった…………。


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