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《不幸体質》のせいで7回死んだ僕は、神様にチート能力を7個貰ったので、人見知り&コミュ障を治そうとしたら問題だらけで難しすぎた~7回目の転生では劣等人の忌み子として嫌われる~   作者: 絶対人生負け組
第三章 2人の不憫な少女と《不幸体質》の僕

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第43話〜 狂い始める思考回路 〜

「あ、申し遅れました。私の名前はリリアと言います。なんとでもお呼びください」


  女の子もとい、リリアさんは改めて自己紹介をする。

  宿屋で働いているだけあって、言葉遣いはメアよりも丁寧なのが印象的だ。

  けど、驚く様は何歳か分からないけど年相応の反応な感じで可愛らしい。


「僕の名前はノア。気軽にノアって呼んで」


「わたしは、メアだよー!」


「ノアさんに、メアさん……一文字違いで覚えやすいですね」


  確かに言われてみればそうだ。まぁ、これも何かの縁だろう。


  リリアさんの発言に何か不満でもあったのか、メアが不機嫌な顔をする。


「メアでいーよー。さん付けじゃなくていいよー!」


「で、ですが……」

  と困惑するリリアさんの言葉を遮ってメアは

「メアってよ・ん・で! 絶対に!」

  少し怒気を含んで、わかった? と言わんばかりにリリアさんの胸に指をトントンと当てる。


  メアの気迫に押されてリリアさんは「は、はいぃ……」と少し怯えて渋々返事をしていた。


  何だこの絵面……。メアの方が少し身長が低いから、妹が姉に説教しているみたいで面白いな。




「あ、リリアさん。ご飯とかって作れますか……? 僕達ご飯まだで……」

「あ、その……料理は出来るんですけど……すみません! ここに来てからは誰も来なくて食材とか全然買ってなくて……」


  全然お客さんが来なくて、大変なんだな。お金も無いから食べ物も満足に食べれていないんだろう。

  その事がリリアさんの痩せた身体から容易に想像出来る。

  ここに来てからと言うのが少し気になったが出会ったばかりの僕が聞くのは違う気がした。




  というかよくこの宿屋を見つけた役所の職員さん凄いな……。嫌がらせのつもりだったのだろうけど、寧ろこの子に出会えてよかった。



  冒険者ギルドで稼いだらこんな不憫な子達の手助けをしたいなと考えていると、グゥーと誰かのお腹の音が聞こえてきた。


「「「………………」」」


「あのう? なんで僕を見るの? 僕じゃないけど……」


  2人の顔をよく見ると、2人とも少し顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。

  どうやら2人が犯人のようだ。


「リリアさん。実は僕お肉だけなら沢山持ってるけど、料理してくれる……? リリアさんも食べていいからさ」


「え? ほんとですか?」

「うん」

「ほんとのほんとに私も食べていいんですか……?」


「うん。いいよ……ね? メアもいいでしょ?」

「全然大丈夫ー! ご飯は皆で食べる方が美味しい!」


  リリアさんはそう言われて涙ぐんでいたが、「ありがとうございますっ!」と頭を下げた後に調理場に案内してくれた。


  意外にも室内は整理整頓されていた。いや、ほとんど何も物が無いからそう見えてしまうのかもしれないが。




  ちゃんとお礼が言える人は好感が持てる。だから、優しくしてあげたくなる。たすけてあげたくなる。


  例え甘いと言われても、偽善だと言われても。優しい人は守りたい。


  優しくて可愛い大切な妹の麗奈を死なせてしまった。

  セル村では僕のことを受け入れてくれた優しい人たちを守れなかった。

  僕の剣の訓練によく付き合ってくれたポーラさん。

  この世界に来て初めて出会った優しい人達をも守ることが出来なかった。



  もうあんな思いはしたくない。悲しい思いをさせたくない。

  だから、あの時から僕は。僕に優しくしてくれた人は絶対護ると決めたんだ。


  7個のチート能力を全て駆使して護る。全員護る事は出来ないかもしれない。

  だからせめて、優しい人たちは絶対に護る。

 

  僕は傷付いても治る。何も怖がる必要は無い。

  僕が傷付いて救えるのなら喜んで傷付こう。

  傷付くのは、僕だけで十分だ。自分を犠牲にして優しい人たちを救えるのなら。






  僕はギュッと拳を強く握り、心で誓った。



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