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《不幸体質》のせいで7回死んだ僕は、神様にチート能力を7個貰ったので、人見知り&コミュ障を治そうとしたら問題だらけで難しすぎた~7回目の転生では劣等人の忌み子として嫌われる~   作者: 絶対人生負け組
第三章 2人の不憫な少女と《不幸体質》の僕

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第41話〜 『霧の宿屋』 〜

  役所を出た瞬間、さっきの受付のお姉さんが騒いでいる声が聞こえてきた。


  げ、元気だなぁ……。


  恐らく、『劣等人』にも関わらず15歳で過去最高記録のレベル《2500》を超えていた事を話しているのだろう。


  なんか、本来のレベルばれなくて良かった気がする。

  いや、絶対バレなくて良かった……。



  証明書に記載されているのは名前、年齢、レベル。それと、水晶が記憶したのか顔写真。


  うん、ハイテク過ぎるこの世界のマジックアイテム。


  これ、地球と同じくらいの技術だ。でも人が作ったんじゃなくてダンジョンの宝箱から出てくる物とは……なんかねぇ……。



  そう思うと人の身でありながらもそんな技術を作った地球人は凄いなと改めて思わされた。



  誰もいなかったが、一応周りを確認して《空間収納》で僕とメアの証明書をポケット内で収納した。

  慎重にこのスキルを使わないと変な目で見られてしまう。

  ただでさえこの容姿と服装で目立っているのに。変な力まで使い始めたら人体実験でもされそうだ。


  怖い想像を頭を振ってかき消す。




  さて、これからどうすればいいか……。


  とりあえずお金を確保したいな。メアが言っていた『冒険者ギルド』に登録して、ここにくる道中に倒した魔物の死体とかを換金するのが理想。


「ノアー、もう暗くなってきたよー?」


  メアの言葉で見上げると、空が赤くなり始めていた。


  どうしよう、お金……。でも泊まる場所も探さないと……。


「とりあえず、泊まれる場所を聞いてこよう」







  僕らはさっき出たばかりの役所に戻って安くで泊まれる宿を聞いた。


  この際今日は換金を諦めよう。門兵さん達の時みたいに宝石を上げたら暫くは泊めてくれるだろう。


  役所で教えて貰った宿に向かって歩いていると、屋台から香ばしい匂いが漂ってくる。


「うー、ノアお腹空いたね」

「そうだね。早く宿に行こう」


  お金を持っていたら、あの美味しそうな食べ物を買い食いして。食べ歩きとかしたいなぁ……。



「ここを、みぎー!」


  メアの元気な声の通りに右に曲がると、狭い通路。ジメジメしていて、少しカビ臭い。


  えーと、確かこの辺で……宿の名前がー……『霧の宿屋』だった。



  看板があるらしいので、『霧の宿屋』という文字を探して所々に苔も生えた石畳を歩く。




「え、えぇ……ここ…………?」



  この薄汚い通りは止めて! と思ってたけどやっぱりこの通路の途中にあった。


  看板も長く手入れされていないのか、埃などを被って黒く文字も霞んでいる。


「ノア入ろー?」


  セル村で長く暮らしていたメアには抵抗がないらしい。

  僕も少しの間セル村で過ごしたけど、まだ慣れていない。


  気分が下がってしまったが、あたりはもう真っ暗。

  所々に街灯らしき光があるだけ。


  今から違う宿を探す事も出来るだろうが、如何せん。メアの体力が心配だし早く休ませてあげたい。

  僕も見慣れない街並みに少し疲れている。



  一応コンコンと2回ノックをして、ゆっくり木の扉を開ける。


  ギギィと木の軋む音を立てながらドアが開く。


  ドアを開けると、人々が楽しそうに雑談しているわけもなく。ざわめく人も人っ子一人、誰もいない。


  静かな場所が広がっていた。


  僕は想像していた物と違って、思わず黙り込んでしまう。


  暫く静かな時間が流れる。




「す、すみませーん…………」


  声をかけても返事が返ってこない。


  声小さ過ぎたかもしれないが、十分聞こえる声量だったはず。


  いないのかな? とメアに目線で訴えると、両方の手のひらを上に向けて「さぁ?」と肩をすくめる仕草をする。


「すみませーんっ! 誰かいませんかー?」


  今度はメアが、僕よりも大きい声で誰かいないか呼びかける。


「五月蝿いです。聞こえてます」


  すると、暗闇の奥から憂鬱そうな声が聞こえてきた。


  その声から想像させられる姿は怖い女の人。うん、怖い人……。

  物凄く気だるそうな声で、少し掠れていて。


  まるで年寄りの魔女の様な低い声。


  目を凝らして見るが、暗くて姿が見えない。シルエットのような陰が見えるくらいだ。

  それくらい暗い。



  その陰が左右に揺れて、幽霊のような動きをしながら扉に近付いてくる。


  ゆっくり、ゆっくりと木の床を踏みしめて。その度に木が軋む音が鳴り響く。



  僕らは、互いに目を合わせてゴクリと唾を飲み込む。


  まるでホラーゲームをしている時のように、ドキドキと鼓動が早まるのがわかる。


  辺りには不気味な雰囲気が漂っている。



  パチッと音がするとともに、暗闇だった部屋に光がついた。


  暗い場所に目が慣れていたので、視界が一瞬真っ白になる。


「で、なんの用ですか……?」


  まだ視界が戻っていない状態で、不機嫌そうな声をかけられる。


  メアも言葉を発さないということは僕と同じ状況なのだろう。




  徐々に視界が戻ってきて、やっと焦点が合いその人の姿を認識すると僕は思わず目を丸くした。



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