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第27話〜 そんな子に育てた覚えはありませんっ!! 〜

  いかにもボス部屋の入口って感じの扉に思わず変な声が出てしまった。




  メアもセル村にずっといたので、あまりダンジョンについてなど知っているはずもなかった。





  だが、誰が見てもこれが何の扉かは分かるように目立っていたからか「このダンジョンの主がいる所……」と緊張した顔をしていた。





  ちょっと言い方が悪いが、世間知らずのメアも僕と同じくボス部屋だと思っているのなら、その扉の先はボスが必然的にいる事になる。






「……メア、行こう」

「う、うん」




  いつまでも突っ立っていたらお腹が空くだけだ。

  なら、早くボスを倒して地上に出る方が得策だ。





  少し重い扉を開ける。


  ギギィと扉が軋む音が鳴り響く。












  中に入ると、色々な種類のビッグスライムがいた。

  よく見ると、このダンジョンにいた種類のスライムたち。




  ……フラグ回収。王冠ホントに頭乗っけてるし!




「の、ノアー。倒せる?」

「任せとけ!」






  剣を落とさないように両手で持ち走りながら斬り裂くイメージをする。




  脚に力が集まるのを意識して《限界突破(ブースト)》を心の中で唱え、走り出す。




  この際、もう腹が減ってるから魔石が斬れるどうこうなんて気にしてられない。しかも油断したら痛い目に遭うだろう。






  走りながら次々と横薙ぎに剣を振るい、広いボス部屋を1周。2週した所で全体倒す事ができた。




「ノア、すごーい!!」





  メアの所に戻ってくると僕とほとんど同じ歳の女の子とは思えないくらいにキラキラとした尊敬の眼差しを向けられた。






「あたしも、ノアの役に立てるように頑張ろう!」




  メアが小声で、拳を握って頑張るぞポーズをしているのを横目に僕はこんな事を考えていた。




  うぅ……。《不幸体質》があって、7回死んだとは言え、チート能力を使ってるのなんか罪悪感が……。

  落ち着いたら正直に話そう……ってこれ何回も思ってるやつやん!







  セル村にいた時よりもそう思う回数が増えているのは、メアと一緒にいる時間が長くなり前よりお互いの事を知ったからだろうか。





  話すタイミングが難しいと考えていると、入ってきた扉の反対側に登りの階段が現れた。






  僕とメアはお互いに顔を見合わせて頷き、階段へと歩いていった。

  勿論、倒したスライムと魔石は亜空間に保管した。

  やはり、王冠を頭に乗せているだけあってキングスライムという名前だった。
































  階段を登っていると、踊り場のような少し開けた場所に辿り着いた。



「あ、ノア。宝箱だよー!」



  まだ元気が残っているメアは走って宝箱に近寄った。



「ほんとだ……」



  いや待て? 普通に考えて怪しくないか? スライムのダンジョンに宝箱があるなんて。





  もしかして、罠とかの類じゃっ……!




  メアに急いで言おうとした時にはもう宝箱を開けていた。


「あ、あれ……?」


「おぉー! ノアー! なんかキラキラしたのがいっぱいあるよー?!」


  どうやら、杞憂な心配だったみたいだ。


  メアは宝箱の中身を見て凄く興奮して声のトーンが数段階高くなっていた。






  僕も中身が気になりノアの上から覗き込むようにして見ると、キラキラとした物が入っていた。




「なんだ、これ……?」




  試しに固まって置いてあった物を手に取って、見る。

  メアも気になるのか僕の手を覗き込んできた。




  宝箱の中に同じようなのいっぱいあるでしょ?! まぁ、いいか……。




  手に取った2つの指輪をジッと 見つめると、頭の中に情報が流れ込んできた。







  【名称】絆の指輪


  【レア度】 C


  【効果】

  お互いを強く思っている時、大切に思っている時に指輪を犠牲にして1回死を避けることが出来る。


  【使い方】

  大切な人と自分の指にそれぞれ1つずつ指輪をはめる。

  はめる指は何処でも可。




  っ?! 《空間収納》やレベル確認の時と同じように自然と情報を得られる。




  えっ! この『絆の指輪』って大切に思っている人と使えば1回死んでも大丈夫ってランクはCで微妙かもしれないけど、結構使えるのでは?!





  ならば早速指に着けておこう。





  僕は1つを人差し指にはめて、もう1つをメアにあげる。




「ノアがやってー!」




  はい……? 僕がメアの指に指輪をはめろと……?


  自分ではめろよっ! と思ったがそんな上目遣いで頼まれたら断れるわけがない。



「わ、わかったよ」


  しょうがなく、メアの手を取って指輪を……薬指には勿論はめるわけなく、僕と同じ人差し指にはめてあげた。




「もうー! ノアの恥ずかしがり屋ー!」


「はっ?! え?! いやこれ別に婚約指輪とかじゃないからっ!!」



「えー? わたし別に婚約指輪とか1回も言ってないよー? それよりも、1回死ぬような事になっても大丈夫って、この指輪凄いマジックアイテムだねー!」



「〜〜〜っ!!」



「いたっ?!」


  メアが、ニヤニヤと小悪魔的な笑顔を見せながらからかってきたので反射的に頭にチョップしてしまった。




  まぁ、僕をからかった仕返しだ!




  なんかメア……ほとんど歳変わらないって分かってから滅茶苦茶いたずらっ子になったような……。もしかしなくても僕、舐められてる…………?








  メアの口ぶりから推測するに、この世界の人も手に取ったら自然とそのアイテムがなんなのかを把握出来るようだ。




  それでマジックアイテムって分かっていながら婚約指輪とか言ってきたメアさん……。いや、正確には僕に言わせた小悪魔メアさん…………。




  僕はそんな子に育てた覚えはありませんっ!!


  いやまぁ、実際育ててないからな……。




  ちょっとポーラさんに似てきてないか? と思いながらも他のアイテムはどんなのがあるんだろうと覗き込む。






  メアも大人しく宝箱を覗き込む。

  どうやら、さっきのチョップで少しは反省したらしい。











「――……ん? なんだこれ?」


  思わずそう呟いて、白い顔の輪郭の形をした物を手に取る。



  【名称】 偽りの仮面


  【レア度】 S


  【効果】

  レベル測定魔道具を使われても、自分のレベルを偽る事が出来る。

  仮面のデザインは、所持者がイメージした仮面になる。

  仮面を装着しても、視界は狭くならない。


  【使い方】

  仮面を自分の好みのデザインにイメージして装着する。

  次に、偽って表示するレベルを胸の中で唱える。

  レベルは後で変更可。

  デザインは変更不可。(所有者が死んだら変更可能)





  仮面をつけているのを忘れないように注意が必要。

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