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第24話〜 VSアシッドスライム 〜

  メアの後を直ぐに追いかける。


「ちょっと、メア危ないよー!」


  そういえば人見知りな僕だがメアは妹のような存在……まぁ14歳でも妹のような存在なのでスラスラと話せるようになった。


  急に話しかけられたりすると、コミュ障だから言葉に詰まったりはするけど……。


  1人で成長した事を喜びながらメアの近くまで追いついた。










「――っ?!」

「えっ?! なにっ!」





  僕は直感的に反応してメアを後ろから突き飛ばす。急な事態でスキルを使うことは出来なかった。




「い、いきなり何するのノア!」


  メアが怒ってくるが、僕の腕を見るなり理解したのかあわあわと慌てだした。


「の、ノアー!その腕っ」


  僕の腕は、どこからか飛んできた酸のような物を受けてジュワジュワと音を立てながら皮膚を溶かしていった。





  メアを突き飛ばしたのは、酸が当たらないようにだ。






「大丈夫だよ」



  僕はそう言って、腕をみせるとみるみるうちに元に戻って行った。



「えぇっ?! なんでー!」


  メアが驚愕の表情を浮かべる。






  あはは……。《自然回復S》恐るべし。

  それにしても、皮膚が溶けるのってこんなにヒリヒリするのか……。




  傷口で塩を触ったり、洗剤を触った時の何十倍もの痛み。




  だが、それに比べたらこの世界に来た初日でホーンラビットにやられた、肋骨(ろっこつ)骨折の方がまだ痛かった。

  肺に骨が刺さった感覚は今でも覚えている。



  思い出すだけで、鳥肌が立つ。














  酸が飛んできた天井ら辺に目を凝らして見てみる。緑色のスライムっぽい魔物を発見した次の瞬間。





  シュッ! と音を立てて酸らしきものを飛ばしてくる。













  それを、僕は軽々と避けて《空間収納》で仕舞っていた剣を取り出し天井めがけてぶん投げる。





  見事緑色のスライムに命中して剣と一緒に落ちてきた。




「このスライムはちっさいな……」









「ノアー……。あっちにもなんかいっぱいいるー……」




  メアが震える声で僕の前方を指さしていた。


 






  メアの震える指先が指している方見てみると、緑色のスライムが大量にいた。
















  その緑色のスライム達が集まりだしたと思ったら、合体してさっきのビッグスライムの大きさになる。



  その大きさは、さっき倒したビッグスライム程の大きさ。



「まじか……」









  僕は急いで剣を拾い、正眼の構えををする。



  合体が終わったのか、緑色のスライムは大きな口のような形を作ると



  シュッ!



  と音を立てて酸を飛ばしてきた。





  僕たちが落ちたのは狭い通路。スライムは通路を塞ぐほどのデカさ。




  後ろに下がるしか方法はなかった。


  後ろに下がると同時に、さっきまで僕が立っていた所の石の床が、


  シュワシュワと少し煙を上げながら溶けていった。




「ね、ねぇメア……。あのスライムも魔石破壊しないと倒せないよね……?」


  後ろにいるメアに恐る恐る尋ねると「多分そうだよー」と予想した通りの答えが返ってきた。





  あの大きさ、多分体に触れたら溶ける酸で溶ける。



  ということは、剣も溶ける?




「っっ!!」




  緑のビッグスライムは、続けざまに酸を飛ばしてくる。




  僕はそれをサイドステップで少しずつ下がりながら思考に()ける。





  おそらく、この鉄の剣では一発勝負。




  だがこの鉄の剣はポーラさんの形見でもあるし溶かしたくはない。




  木剣もあるが、ポーラさんとのトレーニングの思い出が詰まった大事な物。

  それに、石をも溶かす酸なら勿論木も溶けるはずだ。





  《自然回復S》があるから近付くのは容易にできる。

  だか痛いのを我慢しなければならならい問題が……。



  いや、背に腹はかえられない。メアに怪我させる訳にはいかない。








  一つだけ、可能性低いかもしれないが剣を溶かさずに済む解決策も思いついた。




  そうと決まれば、すぐ行動!


  後先考えるな、なるようになる!





  僕は左右に移動するのをやめ、緑のビッグスライムに向かって走り出す。




「《限界突破(ブースト)》!」


  頭の中で念じればいいものを、僕は叫ぶ。



  その刹那、脚に血が集まって来たのか熱くなるのがわかる。




  緑のビッグスライムに向かって、地面を思いっきり蹴る。




  スキル名を叫んじゃったのは、ゲームとかで相手に向かって「ドーン!」とか「バーン!」とか擬音を思わず口に出してしまうのと同じ感じだ。


  ゲームではなく、現実では人を突く時とかの「デュクシ」という謎の言葉かな……?






  視界が流れていくのを横目に、どうでもいい事を考えていたらもうすぐ目の前にスライムが迫っていた。




「プシュっ!」

「おわっ?!」





  緑ビッグスライムから放たれる酸を剣に当たらないように、すんでのところでしゃがみこむ事で避ける。





  体勢を立て直す余裕が無いが、毎日トレーニングをしていた僕はしゃがんだ勢いを利用する。


  剣を水平に構え、脚に力が集まるように意識して叫ぶ。




「《限界突破(リミッター解除)》っ!」





  その瞬間、脚を血が駆け巡るのがわかる。


  地面を蹴ると足の筋や筋肉、靭帯(じんたい)やアキレス腱がブチブチと断裂したのか物凄い痛みに襲われる。


「くっ!!」



  一瞬の強烈な痛みに耐えながらも、緑のビッグスライムに突っ込んで行った。





  緑のビッグスライムを風のような速さで通り抜けて、剣を鞘に戻すかのように手に出来た黒い亜空間に戻す。





  脚の痛みは《自然回復S》のおかげでもう皆無(かいむ)だった。












  ――その数秒後、緑のビッグスライムは上下に別れるよう真っ二つに斬れた。






  やっぱり凄いスキルだなぁ……。《自然回復S》が何気に1番チートかも?






 


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