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第23話〜 茶髪で青い瞳の女の子の衝撃的事実 〜

  ただでさえ、お腹が減っているのにと独り()ちる。





「メア、怪我とかない?」

「ないよ。大丈夫だよー!」



  メアが元気に可愛らしく返事をしてくれたので、空腹の事を少しだけ忘れることが出来た。





  さてと、死体を回収するか……。




  一応周りを警戒しながら、頭の中で『ビッグスライムを収納』と念じて手の中に収める。

  手に入る時、手のひらは影のように黒くなる。その陰のように黒い空間は、こことは違う亜空間なのかもしれない。







  実際、違う方の指で黒い所に触ると手のひらの感触はなく透き通ったのだ。


  そこから推測するに、生きている物も収納出来るのかもしれないが怖いのでまだ実践していない。







  今度弱い魔物で試してみよう。強い魔物だと吸い寄せられる時に攻撃してきそうだからね。







「あ、そういえばビッグスライムの魔石破壊しちゃったけど……売れるの?」

「多分大丈夫じゃないー? 魔石を直すマジックアイテムとかもあると思うよー!」

「な、なるほど……」





  最近メアにも助けられる事が多い気がするな……。



  メアは頭脳担当、僕は戦闘担当と役割分担した方が良さそうだ。























  ところで、さっき使った限界突破(ブースト)とは脚だけを一時的に肉体の限界を越えて強化する事ができるものだ。






  《体術S》や《剣術S》は自分の理想の動きを実際に出来るようになるスキルのようだ。





  頭に響く、機械的な声が聞こえなくなってからできる事が増えたような気がする。



  そのスキルで出来そうな事や、スキルの加減も思い通りに出来るようになってきた。









  やっぱり、あれはチュートリアルだったのかな? それとも《不幸体質》のせいか?



  いや、あの裏がありそうな神様も1枚噛んでいそうな予感がするような……。



  まぁ、それは今考えるべきではない。




「……ここ、何処だ? メアは何か分かる?」


「んー。この青い光があるって事は迷宮(ダンジョン)だと思うよー?」





  壁を見渡すと、全体的に薄い青色に発光している。

  充分明るく、メアの顔もはっきりと見える。




  それにしても、ここ迷宮なの?! えぇ、『迷いの森』とかの6大迷宮しか知らなかったんだけど……。


  ダンジョンって、いっぱいあるのかな……?









「でもなんで急に地面が崩れたんだろう?」


「多分、今できたばっかりの迷宮なんだと思うよー! 空気中の魔素って言うのを魔物が一定の量貯めたらダンジョンを創るって聞いたことがある!」


「まじか。創った魔物ってもしかしてダンジョンのボスとかだったりする……?」


「そうだよー! ノア馬鹿だと思ったけど意外と鋭いねー!」


「おいっ! 僕も結構色々な考えてるんだぞ?!」




  突っ込まないわけにはいかない。歳上の威厳(いげん)は守らせてもらうぞ?




  ……あれ? ほんとに歳上のなのか? 見た目でメアは10歳くらいと勝手に思い込んでたけど…………。






「ね、ねぇメア? メアって何歳なの……?」




  僕が恐る恐る訊くと「1()4()()だよー?」と衝撃的事実をぶち込んできた。






  全然、14歳に見えねぇぇぇぇぇえっ!!!!







「そ、そうだったの……?」


「何歳だと思ってたのー?」


「え、えっと……10歳、くらい…………?」



  だって、全然14歳に見えないんだもんっ!!








  失礼だと分かっていてもメアの純粋さに負けて、正直に答えてしまった。メアの表情を伺うためにちらりと見るとメアはプルプルと小刻みに震えていた。




  あ、あれ……。な、泣かせちゃったっ?!




「ご、ごめ――」


「ノア……わたしそんなに子供じゃないー! ノアのバカ。変態、ロリコンー!」





  謝ろうと言葉を発したところでメアに(さえぎ)られて何か変態扱いされてしまった。



  メアはポカポカと身体を叩いてくる。


  地味に痛いからやめて欲しい。



  あと、ロリコンって言葉この世界にもあるのか……? あ、神様が地球の知識でも分かるようにしたって言ってたか。














  ……いつまで叩くのメアさんや。


「ご、こめんって」




  それにしても、華奢(きゃしゃ)で細い腕に小さい体。純粋な蒼い瞳。茶髪のショートヘアも相まってとても14歳には見えなかった。



  ポカポカと叩いてきたり、緩い口調も幼く感じさせる。



 だが、本人が14歳と言うのだから本当にそうなのだろう。





  わざわざ年齢を偽る必要も無いしね。







  謝った事でメアは「まったくもー」と腕を組んで不機嫌ながらも許してくれそうだった。







  体が小さかったり、ちょっとのことで折れそうな細い腕はあまりちゃんとした量の食事を取れなかった事が原因だと推測される。





  セル村の人達も、メアも大変だったんだな……。








  そんな思いから無意識に、メアの頭に手が伸びて優しく撫でてしまった。






「――ハッ!!」




  僕は直ぐにそれに気付いたのだが、時すでに遅し。





「ふんっ! もう、ノアなんて大嫌いっ!」





  メアはそう言ってそっぽを向き、1人でどこかに歩いていった。


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