第22話〜 VSビッグスライム 〜
「ノア! クッション! ――」
クッション? そんな物持ってるわけ……。いや、そうか――
「「――魔物のクッションッ!!」」
僕もその答えに辿り着いき、なんか明るい光のような物が見え始めた頃に左手を下に向けて叫ぶ。
「出てこいスライムっ!!」
念じるだけでいいのだが、思わず叫んでしまった。しかも、ポ〇モン風に。
「「うわぁぁぁぁ!」」
そして、スライムが地面に着いた後に遅れて僕達はスライムのクッションに着地。
ぼよーんと少し跳ねてから、普通の硬い地面にお尻を強打。
「い゛だあぁっ!」
メアは、いつの間にか僕の右腕から離れて1人だけスタッと綺麗に着地していた。
「ノア大丈夫?」
「大丈夫」と強打したお尻を擦りながら苦笑いで立ち上がりスライムの死体を収納する。
「それにしても、よく魔物のクッションなんて思いついたね。助かったよ」
「でしょでしょ?! わたしは凄いんだからー!」
メアはそう言って、蒼い瞳をキラキラと輝かせて上目遣いで頭を撫でてほしそうに見てきた。
やっぱり、メアって頭を良いな……。
「あはは」
僕は「ありがとう」と再びお礼を言いながらメアの綺麗な茶髪の短い髪を、分け目に沿って優しく撫でる。
それにしても、さっきの湿地帯でスライム狩りしといて良かったぁ……。
ただでさえ湿地帯で歩くのが大変だったのに、小さいスライムが沢山集まって来た。
それも、『魔物の大暴走』の時のように数え切れないぐらいの量。
スライムは、この世界でも弱い方に分類される様なのでメアを背負いながらでも戦えた。
スライムの攻撃は基本的に体当たりだけのようだ。
また《不幸体質》のせいかと思い、スライムをぶった斬りながら進んで《空間収納》でスライムの死体を枕とかに出来そうと思い保管していたのが幸を成したようだ。
それにしても、頭撫でたら滅茶苦茶嬉しそうな顔をするメアはまるで小動物的な物を連想させる。
メアのその表情で、心を癒しているとビチャビチャというスライムの足音が聞こえてきた。
はぁ……またスライムかぁ。この辺多すぎない?
そんな事を胸の中で独り愚痴っていると、音が消え僕の視界が暗くなった。
「の、ノアぁ。後ろー!」
メアの震える声と共に僕は振り返り、メアを抱き抱えてバックステップで距離をとる。
「っ?!」
そこに居たのは、スライムだった。
では何故こんなに驚いているのかと言うと――そのスライムは湿地帯にいたスライムよりも何倍も、何十倍も大きかったからだ。
「で、デカい……」
僕は急いで《空間収納》で手から剣を取り出す。
これ、もっと他に出し方無かったのかな? 収納する時、鞘はあるけど手に刺さるように入っていくから怖いんだよな……。
そんなどうでもいい事を思いながら鞘から剣を抜き、正面に持ってきて正眼の構えをする。
その間に鞘を手の中に収納。
大きなスライム。ビッグスライムはビチャと1回跳ねてから僕の方にジャンプしてくる。
スライムは柔らかいので痛みはほとんど無い。
なので僕は頭上に落下してくるビッグスライムに向けて剣を振るう。
すると、見事に切り裂く事が出来た。
チート能力使わずに勝てた?! ポーラさんとの修行のおかげだ!
僕が喜んでいると、倒したはずのビッグスライムは起き上がって来た。
みると、床に斬って散らばっていたスライムが集まって再生された。
「えっ?! なんで死なないの?!」
小さいスライムは、斬ったら普通に死んだのに。
「ノアー。魔石を壊せば倒せるんじゃない?」
少し離れた所からメアがアドバイスをくれる。
え……でも魔石破壊したらお金にならないんじゃ……。
そんな事を思うも命には変えられない。
まだ、自分が落ちたところが何処なのかも把握し切れていないのだから、早く倒すに越したことはない。
「やってみる!」
僕は後ろのメアにも届くように声を張り上げてからビッグスライムに向かって走る。
「《限界突破》ッ!!」
スキルを使い、一瞬にしてビッグスライムの目の前まで移動。
ビッグスライムの反応が遅れて、避けれない間に地面を蹴ってビッグスライムに向かって飛び上がる。
ビッグスライムの真ん中ら辺にある青色の魔石を狙って振り上げるも、ビッグスライムはポヨーンと跳ねて後ろに逃げようとする。
「っ?! つーらーぬぅーけぇっ!!」
剣を振っても届きそうに無いので直ぐに剣の持ち方を変えて、魔石めがけて投擲する。
ビッグスライムは、後ろに体重が寄っていてどうやっても避けることが出来ない。
そして、僕の投げた剣が見事魔石に命中。
ビッグスライムは、魔石を貫かれたことによって動かなくなった。
「うー。疲れた……」