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第21話〜 安全な地を求め王都へ 〜

  安全な場所と言っても、セル村はとてもじゃないが、住めるような状態じゃない。


  住めたとしても、またいつスタンピードが起こるか分かったもんじゃない。






  なら、王都マーティンに行くしかないか……。



  セル村は、マーティンの南に位置している。セル村よりもまた少し南に行ったところに『迷いの森』が広がっている。


  『迷いの森』がどのくらいの大きさなのかは知らないが、その先には確か別の国――ミナージュがあったはず。






  マーティンよりそっちに行きたいけど、『迷いの森』が邪魔なんだよな……。

  やっぱ、マーティンに行くしかないか。







「メア。マーティンの人達って僕らがセル村から来たこと分かるかな?」


「たぶん、分からないと思うよー? セル村の事は放置されてるってー」


  気になっていたことをメアに尋ねると、前にポーラさんから聞いた事だと言って答えてくれた。




  なら、安心かな。バレなければ。




「ノアー? 王都マーティンに行くの?」


  メアが不安からか、僕の服の裾をギュッと握って上目遣いで声を震わせながら聞いてきた。


「そのつもりだよ。メア、大丈夫だよ。だって、セル村から来た事を言わなければいいんだから……ね?」


  僕が(さと)すように言うと、メアはこくんと小さく頷いた。













「ノア、約束した事もう果たせそうだねー!」




  約束とは、スタンピードが起こる少し前にした王都に一緒に行こうというものだ。




「あはは。そうだね。僕が強いかは分かんないけど……」

「ノアは強いよ! わたしが今生きてるのがその証拠っ!」

「そっか……。でもまだ強くならないとね」





  メアは無邪気(むじゃき)にはにかんで励ましてくれた。

  僕はその笑顔を護るために、もっと強くなろうと口に出して自分に言い聞かせる。










「よし、じゃあ王都マーティンに行こう」





  僕が、北に向かって歩き出すとメアが「はーい」とまるで遠足にでも行くかのような楽しそうな声で返事をした。





  僕もメアも、何も荷物を持っていない。魔物の死体とポーラさんから貰った剣は『空間収納』で収納してるので手ぶらだ。







  安全な地を求めて、いざ王都へ出発だ!





















































  それから僕らは疲れたら近くの川の水を飲んで休憩したり、メアが歩けそうにない道などは僕が背負って王都マーティン目指して順調に歩を進めて行った。









































  ――のだが、問題があった。すっかり頭から抜けていた。







  食料の魔物があるのはいいが、生では流石に食べられない。



 火を通す必要があるのだが、火をつける魔道具(マジックアイテム)などは持っていない。







  多分、僕は『自然回復S』があるからお腹を壊したりしても大丈夫だろうけど、メアがね……。








  まだ王都までかなり距離はあると思うし、食べないわけにもいかない。










  考えながら、背中にメアを背負って少し道が悪い林の中を歩いていた。


「ノア、大丈夫ー? ふらふらしてるよー!」

「だ、大丈夫だよ」




  空腹で、ちょっとふらついてしまうがメアにいらぬ心配をかける訳にはいかない。





  とりあえず、何処か休めそうな場所をみつけてからだな……。











  そう考えながら歩いていると、ゴゴゴゴゴと地面の底から響いてくる地震のような音が聞こえてきた。


「うわっ?! 地震ッ?!」

「ゆれるゆれるー!」



  次第に音も大きく近付いて来ているような感じがする。揺れも大きく、動くことが出来ない。






  初めて体験するような大きな揺れに動揺している次の瞬間、足元の地面が崩れて浮遊感に襲われる。


「「うわぁぁぁぁ!! 落ちるぅー!!!」」




  僕は、咄嗟にメアを護るために胸に抱きしめて2人して悲鳴を上げて落下していく。








  おいおい、またか?! また落とし穴?! そんで落下死? もう『転生』スキルないから死んだら終わりだ。


  ――……せめて、メアだけでもどうにかならないかっ?!





  考えている間にもどんどん落ちていく。










  これも《不幸体質》のせいかっ?! いや、絶対そうだぁぁっ!!



  どうする?! どうすれば……っ?!







  混乱して、まともな思考が出来ないでいるとメアが叫んで僕に提案する。

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