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第215話

 騎士職のクラスアップに関するお知らせ。


 この告知を音和七音おとわなおとが知ったのは、高校受験が終わった3月1日のことだった。


 内容は、闇系騎士のクラスアップに関する変更事項だったが、特に音和の目を引いたのは、


「この変更に伴い、現在カオスロードであるプレイヤーには、同クラスの「ダークロード」とシークレットの「カオスロード」のいずれかを選択していただくことができます。なお「カオスロード」をお選びいただいた場合には、シークレットへのクラスアップに必要な素材アイテムを収集する必要はございません」


 という、現在カオスロードであるプレイヤーに対する救済措置だった。


「え!? マジマジのマジで、ちょくでシークレットになれんの!?」


 それだけでも十分魅力的な誘惑だったが、何より重要なのは変更されるジョブが「カオスロード」であることだった。


 数あるジョブの中で、あえて「カオスロード」にスポットが当たった。これは、きっと「カオスロード狩り」事件は終わったが「カオスロード狩り」の余波で「カオスロード」を敬遠しているプレイヤーや、自分のように「カオスロード狩り」事件が原因で異世界から足が遠のいているプレイヤーを呼び戻すための措置なのだろう、と。


「これは、もう行くっきゃない!」


 音和は異世界ナビの画面を「移動可能な世界」に切り替えると、迷わずディサースをタップした。

 だが、このときの音和は高校合格、春休み、待望の事件解決、シークレットへのクラスアップという四種の神器に目がくらみ、すっかり忘れてしまっていたのだった。

 基本的に、自分がついていない人間だということを。


「おお! カオスアーマー、あのときのままじゃん!」


 ディサースに着いた音和は、1年半ぶりとなる漆黒の鎧を撫でさすった。


「ソードとシールドも! 懐かしー! 元気だったか、おまえたち!」


 音和は感激しながら、自分の愛剣に頬ずりした。


「よーし! いざ行かん! 我が古巣、冒険者ギルドへ!」


 勢い込んで王都の門をくぐった音和だったが、


「いやー、懐かしいなー、全然変わってないなー」


 その勢いは冒険者ギルドが近づくにつれて下火となり、


「…………」


 冒険者ギルドが視界に入った頃には風前の灯火と化していた。


 待て待ての待てだろ、コレ。


 餌につられて、ここまで来たものの、よくよく考えると「カオスロード狩り」が解決したというのは、あくまでも憶測でしかない。本当は、今も「カオスロード狩り」は続いていて、冒険者ギルドに入った途端、3大ギルドの連中が待ち構えているんじゃ?


 そう思うと、怖気が先に立ってしまったのだった。

 しかし、だからと行って、ここまで来て引き返すのもアレだし、とりあえず様子だけは見てみよう。

 もし、マジでヤバそうだったら、即座に帰還ボタンを押せばいいんだし。


 音和は異世界ナビを手に、冒険者ギルドに入った。すると、屋内は以前と変わらず冒険者で賑わっていたが、3大ギルドが幅を利かせていたときのような殺伐とした空気は薄れていた。そこかしこから聞こえてくる冒険者たちの話題に「カオスロード狩り」が出る気配もない。

 音和は胸をなで下ろしつつ、依頼書が貼られている掲示板へと向かった。そして貼り出してあるクエストの中からゴブリン退治を選びかけて、止めた。


 現在の音和のランクはDランクであり、ゴブリン退治ならば受けられる。それに、この冒険者ギルドでは、1度冒険者登録を行えば、登録が抹消されることもない。これは、家庭の事情や受験を控えた学生への配慮からであり、そのことは音和も知っていた。それでも躊躇したのは、ゴブリンは怖いと、以前見たアニメによって刷り込まれていたからだった。


「う、うん。い、1年以上、ブランクがあるわけだし、最初はもっと簡単なクエストにするべきだよな」


 音和は言い訳がましいことをつぶやきながら、コボルドの討伐依頼書を手に取った。コボルドはゴブリンよりも、さらに下位のモンスター、というより、これより弱いモンスターはいないレベルのモンスターだった。


 これを受けるのは、あくまでも肩慣らしだから。ビビってるわけじゃなくて、あくまでも肩慣らしだから。


 音和は、もっともらしい理由をこね回しつつ、依頼書を受付嬢に差し出した。そして受付での手続きを終えると、音和はコボルドが出没するというモンテス村へと出発した。移動は、まず村に1番近い街まで馬車で移動し、そこから徒歩でモンテス村へと向かうルートを選んだ。

 モンテス村は王都から15キロ程離れた場所にある山村のため、徒歩での移動も不可能ではなかったが、


「運動不足の今の状態で15キロも歩いたら、絶対に死ぬ」


 という確信から、もっとも足腰に負担のかからないルートを選んだのだった。

 それでも馬車を降りてから5キロの山道を歩かなくてはならず、歩き始めて20分も経つと足の筋肉が悲鳴をあげ始めた。


「あー、相当、なまってるわ、これ。ここのところ、ずっと勉強ばっか、だったもんなー」


 音和が1年半異世界に行かなかった主な原因は「カオスロード狩り」だったが、当時中学1年生で高校受験が迫っていたことも、ないことはなかったのだった。ともあれ、過重労働を訴える足腰をだましだまし働かせ続け、音和が目的地まであと一息というところまで来たとき、


「きゃあ!」


 女性の悲鳴と獣らしき唸り声が音和の耳に飛び込んできた。


 誰かが襲われてる!?


 音和は声がした方向へと駆け出した。すると間もなく、10数匹の狼に囲まれている少女を見つけた。少女は14、5歳で、身なりから村娘らしく、その少女を守るように1匹の白い狐が狼たちから少女を威嚇していた。


「このー!」


 音和は剣を振り回しながら、狼たちの前に立ちはだかった。


「死にたくなかったら、どっか行けー! 行かないと、本当に殺しちゃうぞ! わー!」


 音和は掛け声とともに、がむしゃらに剣を振り回した。無駄に大振りなのはあくまでも威嚇で、狼を必要以上に傷つけたくないという配慮からだった。そして、その思いが通じたのか。間もなく狼たちは走り去っていった。


「よかった。どっか行ってくれた」


 音和は剣を鞘に収めると、少女に向き直った。


「大丈夫? どこか怪我してない?」


 音和が栗色の髪をした少女に尋ねると、


「だ、大丈夫です。助けてくれて、ありがとうございます」


 少女はペコリと頭を下げた。


「いや、気にしないでいいよ。実際、なんにもしてないし」


 音和は頭をかいた。


「あ、俺は音和七音。コボルドを退治してくれっていうモンテス村の村長からの依頼で来た冒険者なんだけど、もしかして」

「あ、はい。村長は、あたしの祖父です」

「そっか、お孫さんか。それなら話が早いや。おじいさんのところまで案内してくれる?」

「はい」


 ケイトと名乗った村長の孫娘と連れ立ち、音和は村への歩みを再開した。


「ねえ、あの狐、ついてきてるけど、君のペット?」


 音和は後ろをついてくる狐を振り返った。


「いえ、違います。狼たちに襲われてるところに飛び込んできてくれて。おかげで助かったんですけど、あんな白い毛の狐、今まで見たこともありません」

「そっか。まあ、害がないならいいや。もしかしたら、君のことが心配でついてきてくれてるのかもしれないし」


 親切な狐もいるんだな。


 このときの音和の認識は、その程度だった。

 そして村に着いた音和たちは、そのままケイトの家に向かった。


「ここで待っていてください。今、おじいちゃんを呼んできますから」


 音和が客間に通されて間もなく、


「おお、よく来てくださった」


 白髪の老人が客間に現れた。


「この村の村長でテシウスと申します。なんでも、孫娘が危ないところを助けていただいたそうで」

「いえ、お気になさらず。あ、俺、いや僕は音和七音」

 

 音和が名乗ると同時に、


 ゴホ! ゴホ! ゴホ!


 村長が咳き込んだ。そして咳が止まった村長の顔は、感動で彩られていた。


「なんと! ではあなた様が、かの有名な「ハイトクノボッチート」トワナガ様でいらっしゃいましたか!」


 音和が名乗ったとき咳き込んでいた村長は、最初の「お」と最後の「おと」が聞き取れなかった。そして、かろうじて聞き取れた「とわな」から、永遠長と思い込んでしまったのだった。それは壮絶な早とちりだったが、


「はい?」


 思わず聞き返した音和の言葉を、


「おお、やはり、そうでしたか!」


 またまた自分のいいように解釈してしまったのだった。


「あなた様のような凄腕の冒険者様にお越しいただけるとは! なんたる幸運!」

「いや、だから違」

「実は、あの依頼を出した後で、隣村がワイバーンに襲われまして」

「は?」

「調べてみたところ、どうやらどこぞから流れてきたワイバーンが、南の山をねぐらにしてしまったようなのですじゃ」

「ワイバーン?」

「それで、どうしたものかと頭を悩ませておったのですが」

「いや、だから」

「トワナガ様のような勇者様にお越しいただけたのは、まさに天啓」

「違」

「できる限りの報酬は用意させていただきます。どうかコボルドとともにワイバーンも退治してくだされ」


 村長の突拍子のなさ過ぎる無茶振りに、


「はい?」


 音和はまたまた間の抜けた返事をしてしまった。すると、


「おお、引き受けてくださいますか!」


 またまた村長も自分の言いように解釈し、


「では、わしはこれで失礼しますですじゃ。トワナガ様が来たことを早く村の衆に知らせてやりたいでの。皆、ワイバーンが現れてから、生きた心地がしないまま暮らしておりましての。トワナガ様が退治してくださると聞けば、皆も安心するじゃろうから」


 大喜びで客間から飛び出して行ってしまった。


「…………」


 固まっている音和に、


「あ、あの……」


 ケイトは申し訳なさそうに声をかけた。すると、音和の首が軋みながらケイトの方を向いた。


「ねえ」

「は、はい」

「俺、ちゃんと名乗ったよね? 音和七音だって」

「ご、ごめんなさい! うちのおじいちゃん、ちょっとオッチョコチョイなところがあって」

「てかさ!」

「は、はい」

「ワイバーン退治って何?」

「え、えーと」

「てかさ!」

「は、はい!」

「ワイバーンってさ」


 前足がないこと以外、ほぼドラゴンと同形態であり、初級冒険者が遭遇した場合、死亡確率ほぼ100パーセントという。


「あのワイバーンだよね!? ドラゴンの又従兄弟みたいな!?」

「は、はい、そのワイバーンです」

「それを、俺に退治しろと?」

「は、はい。できれば」

「できるわけないじゃん!」


 無理ゲーにも程があった。


 音和は異世界歴こそ5年と長いが、活動は精々1日2時間がいいところな上、1年半のブランク持ち。カオスロードにクラスアップしたのも「カオスロード狩り」から逃げ、もとい受験勉強に専念する直前であり、レベルも101と、レベル100でクラスアップできるカオスロードとしては最弱レベルなのだった。


「てか、どうやったら俺と永遠長、間違えんの!? どう考えてもおかしいでしょ!? どういう耳してんの!? 君のおじいさん!?」

「ご、ごめんなさい!」


 ケイトは、これ以上なく小さくなった。


「あ、あの、今から追いかけていって、あたしのほうからおじいちゃんに説明しておきますから。人違いだって」

「……マジお願いします。マジマジのマジで」


 永遠長と勘違いされてワイバーン退治を押し付けられたことも問題だが、永遠長の名前を騙ったなどという噂が立ったら、それこそ本物に何をされるかわからない。最悪の場合「カオスロード狩り」後に、永遠長の名前を騙って調子に乗っていたニセモノのように、公開処刑されかねないのだった。


「じゃ、じゃあ、それはそれとして、コボルドがいるっていう洞窟の場所教えてくれる? ワイバーンはともかくコボルド退治は、間違いなく俺が引き受けたわけだからさ」

「はい」


 ケイトからコボルドの巣穴の場所を教わった音和は、


「よし!」


 気持ちを切り替え、コボルド退治に向かった。すると、さっきの狐がついてきた。


「もしかして、ついてきてくれるの?」


 音和が尋ねると、狐はうなずいた。


「人の言葉がわかるのか、おまえ? てか、人馴れしてるな。もしかして誰かに飼われてるの?」


 そう音和が尋ねると、狐は首を横に振った。


「違うんだ。てか、本当に俺の言葉がわかるんだ。あ、でも、ついてくるなら名前がないと不便だな」


 音和は少し考えた後、


「白い狐だから、シロでどう?」


 そう提案すると、


「カッ!」


 威嚇されてしまった。


「え? ダメ?」


 音和が尋ねると、狐はうなずいた。


「じゃ、じゃあ、ギン」

「カッ!」

「これもダメ? じゃ、じゃあ、ゴン」

「カッ!」

「えーと、えーと、じゃあ、ハク」

 

 ハクと言われた狐は少し考えた後、うなずいた。


「よ、よかった。じゃ、じゃあ、君の名前はハクってことで」


 音和の狐の呼び方が「おまえ」から「君」に変わったのは、狐に気迫負けしたからだった。

 ともかくも連れの名前も決まったところで、音和は改めてコボルドの巣穴へと向かった。そして、それから5分ほど歩いた先に、コボルドの巣穴らしき洞窟を発見した。


「見張りは…いないみたいだな」


 音和は荷物を手近な木の根元に置くと、中から異世界ナビを取り出した。


「行く前に」


 音和は異世界ナビ画面をアイテム欄に切り替えると、経験値アップチケットを使用した。


「これでよし、と。」


 コボルドから得られる経験値は知れているが、持っているのに使わないのは、なんだか損した気分になるのだった。そして用が済んだ異世界ナビを再びリュックにしまった後、


「発動」


 音和は極印術を発動した。すると、音和の全身に青い紋様が浮かび上がってきた。

 数ある極印の中から音和が選んだのは「月下闘印」であり、この選択は音和がほとんど夕食後しか異世界に来れないためだった。


「でも、それを抜きにしても便利なんだよな、これ。夜目がきくから、ダンジョンの中でも松明持たなくて済むし」


 準備が済んだところで、音和はハクを見た。


「じゃ、行こうか。あ、狐って、暗いところでも目が見えたっけ?」


 音和が尋ねると、ハクはうなずいた。


「そっか。なら大丈夫だね」


 音和は剣を引き抜くと、ハクとともに洞窟に入った。すると、前方から犬の頭に人の四肢を持つモンスターが現れた。数は3匹。いずれも武器を所持していたが、これも想定の範囲内。コボルドは、大抵武器を所持しているが、身長自体は1メートルほどなので、油断さえしなければ負けることはないのだった。しかし、


「ん?」


 その確信はモンスターが近づくにつれて、


「あ、あれ?」


 違和感に取って代わられていった。


「おかしいな」


 なんだか、コボルドにしては大きく見えるのだった。最初は、久し振りに「月下闘印」を使ったせいかとも思った。しかし、何度見直してもモンスターの大きさは変わらない。それどころか、近づくにつれて自分の腰ほどしかないはずの全長が肩程になり、襲いかかって来たときには、


「でかー!」


 170センチの音和の身長を頭1つ分超えていたのだった。


「これのどこがコボルドなんだよ!? あのじいさん、目まで悪いのか!?」


 確かに、特徴はコボルドと一致している。しかし、体格が違い過ぎた。

 実際、この洞窟を根城としたのはコボルドではなく、ノールというモンスターだった。このモンスターは、頭が犬である点はコボルドと同じだが、その全長はコボルドの2倍近く、当然その分だけ力もコボルドを上回る。特殊能力こそないが、その長身から繰り出される一撃は一般人であれば即死レベルであり、


「ぎゃあああ!」


 音羽にとっても十分過ぎる脅威だった。


 すくみ上がる音羽の頭に、ノールの剣が振り下ろされようとしたとき、


「カッ!」


 ハクがノールを体当りで吹き飛ばした。


「あ、ありがとう。助かったよ」


 音羽はハクに礼を言った後、


「てか、狐に吹っ飛ばされるって、もしかしてコイツラって、そんなに強くないのか?」


 そう思い直した。そして改めてノールたちを観察すると、攻撃は大振りだし、動きも獣ほど早くはない。これなら、今の自分でも十分勝ち目がありそうだった。


「よし!」


 余裕を取り戻した音和は、正面のノールに切り込んでいった。そして剣を30回振り払った後には、立っているノールはいなくなっていた。


「マ、マジで死ぬかと思った」


 音和は、その場にへたり込んだ。


「図体はデカくても、コボルドはコボルドだったってことか」


 それともシークレットになって、ステータスが上がったからか。どちらにしろ、これで依頼は達成した。

 後は、このことを村長に知らせて冒険者ギルドで報酬をもらうだけ。


 洞窟を出た音和は、そのまま村に戻ろうとして、


「でも」


 立ち止まった。


「勘違いはともかく、この村の人たちがワイバーンのせいで困ってるのは事実なんだよな」


 だからといって、今の自分が戦って勝ち目があるとも思えない。そもそも、今自分が戦わなくても村長が改めて冒険者ギルドに依頼を出せば、誰かがワイバーンを倒すだろう。なにしろSランク以上の化物が、冒険者ギルドには腐るほどいるのだから。


「それこそ、本物の永遠長とか」


 しかし、それにはタイムラグがある。今から依頼しても、冒険者が討伐に来るのは早くて2日後。引き受け手がいなければ、もっとかかるかもしれない。もし、その間に村がワイバーンに襲われでもしたら……。


 音和の脳裏に、喜んでいる村長とケイトの顔が浮かんだ。


「ど、どんなか、見るだけ見に行ってみるかなー」


 音和は誰にともなくつぶやいた後、ハクの視線に気づいた。


「いや、勝てるなんて思ってないよ。だって、相手はあのワイバーンだし」


 だが、絶対に倒せないと決まったわけでもない。


「そ、それに、たとえ殺されても本当に死ぬわけじゃないわけだし」


 この村の人たちと違って。


「うん。ちょっとだけ、ちょっとだけ」


 音和が自分に言い聞かせるように言ったところで、急に日が陰り、突風が吹き付けてきた。


 嵐?


 音和が何気なく空を見上げると、


「へ?」


 ワイバーンが大口を開けて急降下してきていた。


「ぎゃー!」


 すんでのところでワイバーンの牙からは逃れたものの、ワイバーンは音和を食らわんと追いかけてくる。


「なじぇにいいい!?」


 村長たちの話では、ワイバーンがいるのは、もっと森の奥だったはずなのに。


「ごめんなさーい! 倒すなんて嘘ですー! だから許してー!」


 前言を撤回するもワイバーンが聞き入れるはずもなく、


「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬう!」


 目前に迫る死を前に、


「こうなったら」


 音和は意を決すると、


「カオスブレイド!」


 振り向きざま漆黒の刃を撃ち放った。そして、


「や、やった?」


 漆黒の刃は見事ワイバーンに命中したが、


「へ?」


 ワイバーンは微動だにせず、


「グオオオオ!」


 むしろ怒りを買っただけだった。


「無理無理無理無理無理いいいい!」


 音和は洞窟に逃げこもうとしたが、


「ふげ!」


 石に蹴つまづいてしまった。その隙を見逃さず、ワイバーンが大口を開けて迫り来る。


「ぎゃああああ!」


 音和が死を覚悟したとき、


「カッ!」


 横から飛び込んできたハクがワイバーンの横っ面を右前脚で張り飛ばした。そして倒れたワイバーンの頭を右前脚で踏みつけると、


「カッ!」


 訳がわからず困惑している音和を一喝した。


「え? あ、攻撃しろってこと?」


 我に返った音和は立ち上がると、


「カ、カオスブレイド!」


 もがくワイバーンへと漆黒の刃を撃ち放った。しかし、やはり音和の漆黒の刃は、今回も外皮をわずかに切り裂いたのみだった。


「やっぱり、じぇんじぇん効いてない」


 怯む音和を、


「カッ!」


 再びハクが威嚇し、


「もっと撃てってこと?」


 音和が確認するとハクはうなずいた。


「わ、わかったよ」


 どのみち、ここで倒せなければ活路はない。


 音和は覚悟を決めると、


「カオスブレイド! カオスブレイド! カオスブレイド!」


 漆黒の刃を乱れ撃った。そして塵も積もれば山となる。20発目が首に直撃したところで、ワイバーンは動かなくなった。


「や、やったの?」


 音和は恐る恐るワイバーンに近づいた。するとワイバーンの生命活動は完全に停止していた。


 音和にとっては思いがけない大金星となったが、素直には喜べなかった。何しろ、この勝利はハクがいなければあり得なかったのだから。


「凄いね、君。あのワイバーンをワンパンでぶっ飛ばしちゃうなんて」


 暴れるワイバーンの頭を、片足で押さえつけていたことも、そう。


「この世界の狐って、みんな君みたいに強いの?」


 素直に感心する音和に、ハクは無言でワイバーンの頭をポンポンと叩いた。


「え? あ、持って帰れってこと? そういや、ワイバーンの素材って高く売れるんだっけ」


 音和は背負い袋からマジックケースを取り出した。

 マジックケースは掌大の収納箱で、アイテムボックスほど万能ではないが、ワイバーン1匹ぐらいならば余裕で収納できるのだった。そしてワイバーンをマジックケースに収納した後、音和は異世界ナビでステータスを確認した。すると、経験値が50000以上アップしていた。


「すげー、さすがワイバーン。5万もアップしてる。今入る経験値は10倍アップしてて、ゴブリンが5だから、ざっとアレの1000倍か」


 もっとも強さで言えば、2000倍はありそうだったが。


「でも、レベルアップまでは遠いなー」


 ノーマルジョブの場合、レベル100でも必要な経験値は12万程度。なのにシークレットジョブだと、レベル2に上げるのでさえ50万必要なのだった。

 しかしボヤいていても始まらない。


「じゃ、帰ろっか」


 音和は異世界ナビを背負い袋に戻すと、ハクとともに村へと引き上げた。そして、村長の家に帰り着いた音和が村長にワイバーンを退治したことを告げると、


「おお、さすがトワナガ様、こんなに早くワイバーンまで退治してきてくださるとは」


 村長を始め、村人たちは喜んでくれたが、


「どゆこと?」


 誤解は解けるどころか村中に広まっていた。


「言ったよね、君」


 音和はケイトをガン見した。


「俺がいない間に、ちゃんと説明しといてくれるって」

「ご、ごめんなさい!」


 ケイトは勢いよく頭を下げた。


「ちゃんと説明したんだけど、おじいちゃん、全然信じてくれなくて。それに……」


 ケイトは周りで喜ぶ村人たちを見回した。


「来てくれたのがトワナガさんだって聞いた皆が、あんまり喜んでるのを見て、言い出せなくなってしまって」


 村に来たのは、本当は永遠長じゃない。名も無い、ただの冒険者に過ぎないのだと聞けば、さぞ村人たちは落胆しただろう。

 そのことを音和も察した。


「もういいよ。このままで」

「い、いいんですか?」

「うん。村を救ってくれたのが有名人ってことで、みんな喜んでるわけだし。わざわざ本当のこと言って、水を差すこともないだろ」


 本物の永遠長が、こんなヘンピな村に来ることもないだろうし。


「バレたとしても、別に悪いことしたわけじゃないし、許してくれる、はず、だと思う。たぶん、きっと……」


 そう願うしかなかった。


「トワナガ様、今夜はぜひ我が家にご逗留くだされ。できる限りのおもてなしをさせていただきますでな」


 村長はそう言うと、


「いや、俺、すぐに帰りたいんだけど」


 という音和の声は耳を素通りし、


「皆の衆、今夜は宴じゃ!」


 勝手に話を進めてしまった。


「だから、聞けよ。人を話を」

「なにぶん、娯楽の少ない村ですから」


 ケイトは苦笑するしかなかった。


「まっいっか」


 親には卒業祝いということで、1週間ほど友人と旅行に行くと書き置きを残してある。もっとも、実際には卒業旅行に行くような親友はおろか、まともな友人さえいないボッチなのだが。


 ともあれ音和は村に泊まることにし、宴にも主賓として参加した。そして夜が更け、ようやくと宴から解放された音和は、


「ふう、やっと終わった」


 用意された客室で一息ついた。

 勘違いとはいえ、永遠長と思われている以上、迂闊なことをすれば命取りになりかねない。当たり障りなく、さりとて偽物だとバレないように振る舞うのは、結構神経を使ったのだった。


「さて、それじゃ寝るかな」


 音和がベッドに入ろうとしたときノック音がした。


「はい?」


 扉を開けると、


「誰?」


 そこには見知らぬ女性が立っていた。見た目は20歳前後で、黒髪に黒目をした、この地方では珍しい容姿だった。


 こんな子、いたっけ?


 音和は内心で小首をひねったが、いくら小さな村とは言っても全員と面通ししたわけでもない。そのため、こんな子もいたんだな。ケイトさんの姉かな? と思った程度で、それ以上深くは考えなかった。


「えーと、君は?」


 音和に尋ねられた女性は、


「ヴィラと申します。今宵、トワナガ様のお相手を務めるよう、村長に言い使ってまいりました」


 はにかんだ笑顔で言った。


「はい?」

「村長が申し上げたでしょう。できる限りの、おもてなしをすると」


 ヴィラは右手を音和の股間に当てた。


「はいいいいい!?」


 音和は大あわてで壁まで後ずさった。


「な!? な!? な!?」


 あわてふためく音和を見て、ヴィラの口元に微笑が浮かぶ。


「何を驚いてらっしゃるのですか? あなた様は、この村を救ってくださった英雄。このぐらいのもてなし、当然のことですわ」

「い、いや、それはもう十分してもらったから」

「それに、これは村のためでもあるのです」

「はい?」

「ここのような小さな村だと、村の人間だけで交わっていると、すぐに血が濃くなってしまうのです」


 それを避けるためには、定期的に外部の血を取り入れなければならないのだった。


「そして、どうせ契りを交わすのであれば、より優れた血を望むのは女として当然のこと」


 その点、英雄として名を馳せる永遠長は、血を残すうえで理想の殿方なのだった。


「いやいやいやいやいや」


 なおも尻込みする音和に、


「わたしのことが嫌いですか?」


 ヴィラはそっと体を預けた。


「い、いや、会ったばかりで嫌いも好きも」

「なら、いいじゃありませんか」


 ヴィラは音和の耳元でささやくと、


「今宵限りの遊戯と割り切り、今夜はわたしと楽しみましょう」


 音和の耳にフッと息を吹きかけた。


「か!」


 音和はヴェラの肩を掴み離すと、


「勘弁してくださーい!」


 一目散に部屋から逃げ出した。


「あー、ビックリした」


 村長の家からも飛び出した後、


「でも、これからどうしよう」


 音和は途方にくれていた。


 部屋に戻ればヴィラがいる。この場合、1番いいのは地球に避難することだが、そのために必要な異世界ナビを部屋に置いてきてしまった。かと言って、村長の好意を拒絶する形になってしまっている以上、村長に言って他の部屋を用意してもらうわけにもいかない。


「しょうがない。今夜は馬小屋で寝よ」


 音和が馬小屋に向かおうとしたとき、


「!?」


 不意に足が動かなくなってしまった。いや、足だけでなく指1本動かすこともできず、声さえ出せなくなっていた。直後、


「なーんだ」


 右手からヴィラらしき声が聞こえてきた。


「3大ギルドを1人で潰したっていうから、どれほどのものかと思えば、てんで大したことないじゃない」


 さっきとは打って変わり、ヴィラの口調は砕けたものになっていた。


「まあ、噂には尾ひれがつくものだしね」


 ヴィラは音和の顎を右手で撫でた。


「あなたもバカね。あそこで素直にわたしの誘いに応じていれば、気持ちよく逝けたのに」


 ヴィラさん? え、じゃあ、これってヴィラさんの仕業なわけ? もしかして、さっき邪険にしたから、怒ってこんなことを?


 困惑している音和の耳に、


「無駄口を叩いている暇があったら、さっさと始めろ」


 聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。


 誰? てか、どうなってんの、コレ?


「この男の噂は聞いてるだろう。時間を与えると、何をするかわからんぞ」

「はいはい」


 ヴィラはアイテムケースから棺桶を取り出した。


 か、棺桶? てか、さっき3大ギルドがどうとか言ってたけど、もしかして俺、永遠長と間違えられてる? ちょ、ちょっと待って。


 音和は人違いであることを伝えようとした。が、やはり声が出なかった。


「じゃ、お望み通り、ささっと終わらせちゃいましょうか」


 ヴィラは棺桶を開いた。すると、棺桶の内部には無数の刃物が突き立っていた。


 ま、まさか、その中に俺を?


「大丈夫、痛いのは一瞬だから」


 ヴィラの目が至福に彩られる。


 ぎゃー! だから、俺は永遠長じゃないんだってばー!


 音和は必死で訴えたが、その思いが声に出ることはなかった。そして、棺桶の中に音和が放り込まれようとしたとき、


「カッ!」


 ハクが背後から男の頭を殴り飛ばした。直後、音和がかかっていた金縛りは解け、


「わわっ!?」


 音和は、すんでのところで出棺を免れたのだった。


「ヴァレル!」


 倒れた男に、それまで闇に潜んでいた女性が駆け寄った。


「首の骨が折れてる。すぐに治療しないと」


 女性は男の症状を見て取ると、


「ザハリン!」


 仲間に呼びかけた。すると、闇の中から新たな男が現れた。


「すぐに連れ帰って治療を」

「わかった」


 ザハリンは短く答えると、負傷したヴァレルを連れて、その場から姿を消した。


「ねえ、アベルダ、これ、もう引き時だと思うんだけど?」


 ヴィラが提案し、その意見にアベルダも賛成だったが、


「相手が素直に逃がしてくれれば、ね」


 目の前にいるトワナガと、それ以上に従魔らしき狐が、それを許してくれそうになかった。


「それに」


 トワナガを仕留めるのは不可能としても、当初の予定通り、この村だけは壊滅させておかねばならなかった。


「おいで、おまえたち」


 アベルダは足元に5つの召喚陣を展開すると、それぞれからワイバーンを出現させた。


「げげ!?」


 音和の腰が引ける。1匹でも、あれだけ苦労したというのに。5匹など勝てるわけがなかった。


「しょうがないわね」


 ヴィラは面倒くさそうに頭をかくと、


「召喚」


 こちらはドラゴンゾンビを呼び出した。


「ドラゴンー!?」


 ワイバーンだけでも絶望的だというのに。


「おまえたち、この村を破壊しなさい」


 アベルダの命令を受けたワイバーンたちは飛び上がり、


「あんたは、あいつらの相手ね」


 ヴィラに命じられたドラゴンゾンビが音和へと歩を進める。


「じゃあね。その子たちを倒せたら、また相手してあげるから、がんばってねー」


 ヴィラは笑顔で手を振ると、アベルダとともに消えた。


「ちょ」


 ワイバーン5匹にドラゴンゾンビ? これを1人で倒せと?


 どう考えても無理ゲーだった。


「でも、やるしかないよな」


 音和は覚悟を決めたが、


「あ、剣」


 そこで自分が丸腰であることに気づいた。いくらなんでも、さすがに武器なしでは話にならない。


「くそ!」


 音和が部屋に武器を取りに戻ろうとしたとき、ハクが加えた剣を音和に投げ渡した。


「俺の剣!? 持ってきてくれたの、ハク!?」


 音和はハクに感謝しつつ、


「よし!」


 剣を鞘から引き抜いた。しかし、いくら剣があっても1人で相手にできるモンスターには限界がある。このままでは、たとえモンスターを全部倒せたとしても、そのときには村にどれだけの被害が出ていることか……。


 くそ、考えてても始まらない!


 音和が、まずは動きの速いワイバーンに狙いを定めたとき、


「!?」


 雷光が闇夜を切り裂き、


「え?」


 すべてのワイバーンを地上へと叩き落としたのだった。


「え? え?」


 いったい何が起きたのか。音和は訳がわからなかったが、のんびり考えている暇はなかった。


「わ!」


 音和は突撃してきたドラゴンゾンビの巨体をかわすと、

 

「この!」


 カオスブレイドを撃ち放った。そして漆黒の刃はドラゴンの脇腹を切り裂いたが、すでに死んでいるドラゴンには、さしたるダメージはなさそうだった。


「こいつを止めるにはバラバラにするしかないってことか」


 僧侶系がいれば浄化魔法で倒せるが、いない以上、手持ちのカードで対処するしかない。


 音和が追撃しようとしたとき、


「一体、何事じゃ?」


 村長が家から出てきた。


「出てきちゃ駄目だ! 戻って!」


 音和は、とっさに呼びかけた。が、そのせいでドラゴンゾンビから注意が逸れてしまった。そして気づいたときには、


「しまっ」


 ドラゴンゾンビの尻尾が音和に猛迫していた。


「が!?」


 とっさに飛び退いたため致命傷には至らなかったが、すぐに立ち上がれるほど軽いダメージでもなかった。


「く、くそ……」


 音和はトドメを覚悟した。しかし、ドラゴンゾンビは音和にトドメを刺すことなく、村長の家へと歩を進めていた。

 音和が倒されたのを見たケイトが、手近にあった石を投げつけ、ドラゴンゾンビの注意を自分に向けたのだった。その勇気は称賛に値するが、


「このままじゃ」


 ケイトさんが殺されてしまう。


「ぐ……」


 音和は立ち上がろうとしたが、体に力が入らない。


「やっぱり無理」


 なんて、


「言ってる場合かあ!」


 音和は気力を振り絞って立ち上がると、


「たとえ無理でも!」


 ケイトとドラゴンゾンビの間に割って入った。その動きは、普段の音和からは考えられない刹那の早業であり、ドラゴンゾンビは邪魔者を排除しようと右腕を振り下ろす。これに対し、


「今無理しなくて!」


 音和は剣を振り上げ、逆にドラゴンゾンビの右腕を切り飛ばすと、


「いつするんだあ!」


 渾身の力で振り下ろした刃でドラゴンゾンビを真っ二つに切り裂いたのだった。


「やった」


 ドラゴンを倒した。村を守れた。音和がそう思った直後、


「よくできました」


 眼前にヴィラが現れた。そして、


「これは、そのご褒美」


 音和の頭を抱き寄せると互いの唇を重ねたのだった。


「!?」


 突然のことに音和の頭は真っ白になり、


「んー!?」


 濃密なキスを交わした後、


「な!? な!? な!?」


 ヴィラから激しく後ずさった。


「言ったでしょ。あの子たちを倒したら、また相手してあげるって」


 ヴィラはペロリと唇を舐めた。


「そして、これで、あなたはわたしだけのもの」

「はい?」

「今のキスはね。呪いの儀式でもあったの」

「の、呪い!?」


 音和は体を見回したが、どこにも異常は見られなかった。


「そう。キスをしてから30日後に死ぬっていうね」


 ヴィラは口の端を曲げた。


「死? 3? え?」

「あなたたちが死んでも復活できることは知ってるわ。でも、この呪いは別」

「はい?」

「この呪いは、一種の永続魔法なの。そして、この呪いは死んだ人間の魂を、冥府に強制送還する。つまり1度死んだら、2度と生き返れないってこと。いえ、正確には生き返れないんじゃなく、生き返るたびに魂があの世に引き戻されてしまうの。たとえ、それが別の世界であってもね」

「ええ!?」

「そして、ここはともかく、あなたが元いた世界では、死んだ人間を生き返らせる術はないんでしょう。つまり、あなたは呪いを解かない限り30日後に必ず死ぬし、その間に1度でも死ねば2度と生き返ることはできないってことなのよ、トワナガ」

「え? いや、ちょっと待って。だから俺は永続長じゃ」

「そして、その呪いを解除する方法は、唯1つ。呪いをかけた相手を殺すことだけ」

「だから人」

「つまり助かりたければ、わたしを殺すしかないってこと」


 ヴィラは愉悦の笑みを浮かべた。


「追いかけていらっしゃい。もし30日以内にわたしを見つけ出して、殺すことができればあなたの勝ち。もしできなければわたしの勝ち。これは、そういうゲーム。互いの命を賭けたね」


 ヴィラはそう言い残すと、


「待っ」


 音和の前から消えてしまった。


「えーと」


 1人残された音和は、ヴィラの説明を再確認した。


 自分がヴィラに呪いをかけられたこと。

 その呪いは死の呪いで30日後には必ず死んでしまうこと。

 呪いは永続的なものであり、死んでも解けず、その効果は地球でも発動すること。

 呪いを解くためにはヴィラを殺すしかないこと。


「つまり、呪いを解かない限り、1度でも死ねば本当に死んでしまうし、もし死ななくても30日後には必ず死ぬってこと? あの女を殺さない限り?」


 音和の心身を、冷たい風が吹きすぎる。


「えーと」


 音和は説明を求めるように周りを見回した。しかし、当然のことながら、彼が納得できる答えを持ち合わせる者はいなかった。


「はい?」


 自分は、ただカオスロードがシークレットジョブになったというから、ちょっと来てみただけなのに。


「はいいいいいい!?」


 どうしてこうなったあああ!?


 音和、魂の慟哭だった。


 



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