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第179話

「なんなのよ、もー!」


 沢渡は周囲に立ち込める爆煙を吹き飛ばすと、


「まったくもー。泥だらけになっちゃったじゃない」


 服についた汚れを払い落とした。自身の繰り出した光弾を食らい、なおかつ地面に激突したにも関わらず、沢渡の体にはスリ傷1つついていなかった。


「誰だか知らないけど、あたしにこんな真似して、タダで済むと」


 沢渡は空を見上げた。すると、


「え!?」


 そこには異世界に隔離したはずの永遠長が浮かんでいた。


「永遠長!? なんで、あいつが!?」


 イグザムに施した結界は、神の力によるもの。人間ごときに、ましてや他人の力が使えない永遠長と天国に、解除できるわけがないのだった。


「マジで永遠長なの? どうやって、あそこから?」


 いや、今そんなことはどうでもよかった。重要なのは、永遠長が目の前に現れて自分の邪魔をした、ということだった。


 沢渡は飛び上がると、永遠長と対峙した。


「よくもやってくれたわね」

「それは、こっちのセリフだ。この落とし前は、きっちり取らせてやる」

「永遠長ごときが偉そうに」


 沢渡は鼻で笑った。


「まあいいわ。あたしも、ちょっとぬるかったなって反省してたとこだったから。やっぱ、やるからには徹底的にやらないと」

「それは同感だ。もっとも、手遅れだがな」

「随分とデカい口叩くじゃない。もしかして、またオーバーロードの力ってやつ? あの口だけ女じゃあるまいし、たかが1.1倍になったぐらいで、あんたごときがあたしに勝てると本気で思ってんの?」


 沢渡は笑い飛ばした。


「オーバーロードは使わん。使うまでもない」

「……たかが結界を破ったぐらいで、随分と調子に乗ってるみたいね」


 沢渡は頬を引きつらせた。


「だったら思い出させてあげるわ。身の程ってやつをね!」


 沢渡はさらに上空に飛び上がると、


「これもかわせるもんなら、かわしてみなさいよ!」


 杖から閃光を放出した。さっき転移で凌げたのは、撃ち出したのが球体だったから。ならば放出し続ける光線、それも常盤学園に向けて撃ち放つものであれば、転移も回避もできないはずだった。

 それに対して、


「…………」


 永遠長はその場に漂ったまま、まったく動く気配を見せなかった。


 バカな奴。


 沢渡は、ほくそ笑んだ。大方、バリアで防ごうと考えているのだろうが、神の1撃を人間ごときの力で防ぎきれるわけがない。それこそバリアごと消し飛んで終わりだった。


 あー、スッキリした。


 沢渡が溜飲を下げるなか、光線が永遠長に直撃した。と思った瞬間、


「!?」


 光線が折れ曲がり、空へと駆け上がっていった。


「跳ね返した? そんなバカな……」


 人間の力で神の攻撃を跳ね返すことなどできない。いや、それ以前に「反射」の力を持つ禿がいない今、そもそも永遠長に受けた攻撃を跳ね返すことなどできないはずだった。


「バカはおまえだ」

「なんですって!?」

「クオリティは、人間の思いの具現したもの。であれば「反射」を使える人間が、禿以外にいたとしても不思議でもなんでもない」


 親や他人に反発して生きている人間など、それこそ世界にはいくらでもいるのだから。


「「回帰」にしても同じことだ。過去を悔やみ、人生をやり直したいと思っている人間など、それこそ腐る程いる」


 ならば「回帰」のクオリティは、何も土門の専売特許と決まったわけではない。にも関わらず、土門たちを始末しただけで「回帰」と「反射」を消し去れたと考えた沢渡が浅はかなのだった。


「もっとも、今のは「反射」ではないがな」

「じゃあ、なんだってのよ?」

「別の力だ」

「だから、それが何かって聞いてんのよ!」


 沢渡は杖から真空波を放ったが、永遠長に霧散されてしまった。


「なるほど。あの女の力を取り込んだにも関わらず平然としていたのは、自分の身体で受け入れきれない力を、別の受け皿に分散させていたからだったわけか」


 永遠長の視線が、沢渡の握る杖に注がれる。


「御名答。あたし1人じゃ、さすがにパンクしちゃうからね」


 そこで沢渡は、自分の身体で受け止めきれない力を、あらかじめ用意しておいた複数の杖に分散して収納。それを必要に応じて使い分けることで、風花の力をフル活用しているのだった。


「もっとも、それがわかったところで、どうにもならないんだけど!」


 沢渡は杖を振り上げた。しかし、


「え?」


 何も起きなかった。


「どうした? 何かするつもりじゃなかったのか?」


 永遠長は冷ややかにあげつらい、


「う、うるさいわね!」


 沢渡の顔から余裕が消える。


「もしかしてガス欠? 使えないわね!」


 沢渡は杖を投げ捨てると、新しい杖を召喚した。


「今度こそ終わりよ! くたばれ! クソ永遠長!」


 沢渡は杖の力を開放したが、


「な……」


 やはり不発に終わってしまった。


「な、なんで?」


 1度も使っていない杖に、エネルギー切れなどあり得ない。だとすれば……。


「これ、あんたが」


 沢渡は永遠長を睨みつけた。考えられることは封印だが、そんな力を使えば沢渡にもわかるはずだった。


「来ないなら、こっちから行くぞ」


 永遠長は沢渡の眼前に転移すると、殴りかかろうとした。が、寸前で蹴りに切り替え、そのタイムロスが沢渡に冷静さを取り戻させることになった。


 そのままダメージを転換してやる。


 自分の攻撃で永遠長が吹き飛ぶ光景を思い浮かべ、沢渡は内心でほくそ笑んだ。しかし、


「ぶぼ!?」


 顔面を蹴り飛ばされた沢渡は、


「な!?」


 ダメージを永遠長に転換できないまま、


「ぐが!」


 再び地面に激突したのだった。


「あんなものに触るのは、靴越しでも気分が悪い」


 永遠長は不快そうに言い捨てた。


「な、なんで?」


 転換の力は確かに発動したというのに。


「おまえが俺に移し替えたダメージを、俺がもう1度おまえに戻した。ただ、それだけの話だ」


 永遠長の説明を聞き、


「ダ、ダメージを戻した?」


 沢渡の額から冷や汗が流れ落ちる。そのとき、


「少し遅れちゃったみたいね」


 天国が運動場に瞬間移動してきた。


「天国さんも無事だったのね」


 小鳥遊が、天国の帰還に安堵の笑みを見せる。


「ええ。分校の方を先に片付けてたから、少し遅れちゃったけど」


 天国は大阪校。永遠長は広島校の襲撃者を撃退した後、本校にとんぼ返りしてきたのだった。


「でも、実際問題どうやって戻って来れたわけ? クオリティは使えない上、結界で閉じ込められちゃったんでしょ、あんたたち?」


 秋代が尋ね、


「もしかして楽楽って娘の力?」


 小鳥遊が自分の推測を述べた。


「その前に」


 天国は周囲を見回すと、


「まず、こっちを片付けないとね」


 天国は「共有」で、永遠長のクオリティを発動させた。すると、ゴーレムが動きを停止し、空を飛んでいた魔法少女や契約者たちが地に落ちた。


「これでよし、と」


 天国は軽く息をついた。


「今のって封印?」


 秋代は眉をひそめた。


「いいえ。力を回収したの。流輝君の「移動」のクオリティを使ってね」


 天国は両掌の上に、ゴーレムの動力源となっていた魂と、魔法少女と契約者から取り出した風花の力を浮かび上がらせた。


「永遠長の…て、移動!?」


 秋代と小鳥遊は顔を見合わせた。


「そんなに驚くことじゃないと思うけど」


 天国は苦笑した。


「私のクオリティが「共感」から「共有」に変更したとき言ったでしょ。クオリティは、その人の1番強い思いが具現化したもの。だったら、強く1つのことを思い続ければ、クオリティを変更できるのではないか? と、流輝君は考えたって」


 そして天国同様、永遠長も実現させたのだった。自身のクオリティを「連結」から「移動」に。


「そう言えば、事あるごとに言ってたもんね。異世界に移動する方法って」


 秋代は、いったん納得した後、


「て、それってつまり、永遠長の奴、異世界を移動できる力と引き換えに「連結」の力を捨てたってこと? バカじゃないの?」


 呆れ顔で言った。移動の力が欲しければ、それこそ「移動」のクオリティを持つ者を探し出して、連結すればよかっただけの話だろうに、と。


「流輝君にとっては、それが最優先事項だから。他力本願じゃ、いつまた力が使えなくなるかわからないわけだし」


 「連結」でなくなれば、もうチート、チート言われなくて済むからせいせいする、というのも大きかった。というか、それが1番の理由であるとさえ言えた。


「で、その「移動」の力で沢渡の張った結界を、よそに移動させてから戻って来たってわけ? てか、もしかして、あのときの話って、それだったわけ?」


 秋代は昨日の食堂でのことを思い出していた。

 そして、この天国たちの会話は沢渡の耳にも届いていた。


「クオリティを変更した? 移動?」


 あらゆる力が使える能力を捨てて、移動できるだけの能力を選ぶ。

 沢渡にも秋代同様、永遠長の選択が理解できなかった。

 しかし、そのこと自体は沢渡にとって好都合だった。何しろ、もっとも厄介だと思っていた障害が労せず排除されたうえ、代わりに得たのは「移動」という、取るに足りない力だというのだから。


 正体がわからないからこそ警戒もしたが、タネさえわかれば恐れるに足らず。


 沢渡は再び飛び上がった。


「永遠長の分際で、よくもやってくれたわね」


 沢渡は魔鏡少女の力で、自分の四方に攻撃を跳ね返す反射鏡を出現させた。そして反射鏡により守りを固めたところで、新たな杖を取り出した。


「でもタネさえわかれば、こっちのもんよ」


 沢渡は杖の先にエネルギー弾を生成すると、


「これが賢い戦い方ってやつよ。あたしとあんたじゃ、頭の出来が違うのよ」


 永遠長の元へと転移させた。風花の作った異空間を介しての転移であり、この攻撃を防ぐ手段は永遠長にはないはずだった。


 自分の安全を確保した上で、確実な方法で仕留める。

 沢渡は、この方法に絶対の自信を持っていた。しかし次の瞬間、


「え?」


 永遠長の元に送ったはずのエネルギー弾が沢渡の眼前に舞い戻り、


「は!?」


 大爆発したのだった。


「きゃあああ!?」


 風花の力を取り込んでいるためダメージはなかったが、


「な、なんで?」


 沢渡は理由がわからなかった。


「おまえと俺の位置を入れ替えた。ただ、それだけの話だ」


 永遠長は淡々と答えた。


「い、入れ替えた? ど、どうやって?」


 沢渡には意味不明だった。


「今のおまえと同じだ。あの空間を経由して、俺とおまえの居場所を入れ替えたんだ。あの世界には1度行ったことがあるからな」

「な?」

「つまり、おまえの魔法少女の力は、俺には通用しないということだ」

「そ、それで勝ったつもり?」


 沢渡は不敵な笑みを浮かべた。


「できれば、まだ使いたくなかったんだけど、こうなったら仕方ないわ」


 沢渡は異空間から切り札を召喚した。柏川を含む20人の魂を埋め込んだ、巨大ゴーレムを。


「このゴーレムにはね、20人の魂が封じ込めてあるの。つまり、普通のゴーレムの20倍の強さってことよ」


 問題は、その20人の力を、いつどのタイミングで発動するか。その取捨選択をする司令塔に当たる機能が、このゴーレムにはまだ備わっていないことだった。しかし、それも沢渡自身が頭脳になれば解消される。

 もっとも、この場合、沢渡はゴーレムと絶えず行動を共にしなければならないが、この場合さしたるデメリットではなかった。


「要は、永遠長の奴をブッ殺せりゃいいのよ」


 沢渡はゴーレムの右肩に乗ると、


「やれ、ゴーレム、炎上!」


 ゴーレムに指示を出した。すると、


『炎上』


 ゴーレムの前方に巨大な火柱が上がった。


「まだまだ、こんなもんじゃないわよ」


 燃え上がる運動場を見下ろし、沢渡はほくそ笑んだ。そしてゴーレムに、さらに「加速」「鉄壁」「再生」「強化」のクオリティの発動を命じた上で、


「ゴーレム、脚光」


 足から四方に光線を撃ち放った。

 光線はバリアに阻まれ、校舎への被害はなかったが、でなければ校舎の半分は吹き飛んでいるところだった。


「どう? これでわかったでしょ。攻撃も防御も万全。このゴーレムがある限り、あんたごときがどう足掻いても、あたしには勝てないのよ」

「ああ、よくわかった。おまえが救いようのないバカだと言うことがな」


 永遠長の目は、あくまでも冷ややかだった。


「永遠長の分際で!」


 プライドを傷つけられて気色ばむ沢渡に、


「そのセリフは聞き飽きた」


 永遠長は面倒臭そうに言い捨てた。


「ゴーレム、脚光!」


 沢渡は怒りの形相でゴーレムに命じた。しかし、ゴーレムは微動だにしなかった。


「どうしたのよ、ゴーレム? 脚光よ、脚光! さっさとしなさいよ!」


 沢渡は再度命じた。しかし、やはりゴーレムに動く気配はなかった。


「な、なんで? どうしてよ!?」


 動揺する沢渡に、


「どうしてもクソもない」


 永遠長が言い捨てた。


「さっき、調がゴーレムを無効化するのを見ていなかったのか?」

「え?」

「それと同じことをやった。ただ、それだけの話だ」

「あ……」


 色々あり過ぎて、スッカリ忘れてしまっていた沢渡だった。


「土門たちのことといい、そんな鳥頭の分際で、よく人類を導くなどとホザけたものだ。身の程知らずにも程がある」


 永遠長は疲れた息を吐いた。


 こ、こうなったら。


 沢渡は、風花の異空間へと転移した。勝ち目が薄い戦いを続けるほどバカではない。ここは一時撤退して、体制を立て直すのが得策だった。


「もう遊びは終わりよ。次は確実に、速攻で仕留めてやる」

「おまえに次などない」

「な!?」


 沢渡は、あわてて振り返った。すると、背後に永遠長が立っていた。


「どうやって、ここに!?」

「どこまで言っても鳥頭だな」

「なんですって!?」

「さっき言ったはずだ。この空間を利用して、俺とおまえの位置を入れ替えたと。ならば出入りもできる。簡単な理屈だ」

「ま、また「移動」の力を使ったってわけ?」


 沢渡は忌々しそうに歯噛みした。


「移動! 移動! 移動って! いい加減うっとうしいってのよ! なんだってのよ、もう!」


 沢渡は地団駄を踏んだ。


「人がせっかく! 世直ししてあげようってのに! 邪魔ばっかして! マジウザいってのよ! このクソ永遠長が!」


 沢渡は永遠長を睨みつけた。


「あんたなんか、小3のときに死んどけばよかったのよ! そうすれば、こんなことになんなかったのに!」


 その場合、沢渡は今もラーグニーに幽閉されていたかもしれないのだが、そういう自分にとって都合の悪いことは早々に忘れ去るのが沢渡なのだった。


「言いたいことは、それだけか? なら、そろそろ終わりにしてやる」


 永遠長の全身から殺気がにじみ出る。


「ここに来たのも好都合だ。ここなら、おまえをどうしようと誰にも見咎められる危険はない」

「だ、誰に向かって口聞いてんのよ。永遠長ごときが」


 そう言い返してから、沢渡の頭に名案が浮かんだ。


 沢渡はほくそ笑むと、再び常盤学園へと転移した。そして、


「まとめて吹っ飛ばしてやる」


 神の力を全解放した。


 沢渡は気づいたのだった。永遠長の「移動」能力にも限界があるはずだということを。そして、自分が永遠長にいいようにされたのは、球っころだの閃光だのと、ショボい攻撃ばかりだったからだということに。

 しかし、もしその攻撃がこの町、いや日本全土を吹き飛ばす規模の攻撃で、それも全方位に向けて放出するタイプの攻撃であったとすれば?


 さすがの永遠長も、そのすべてを「移動」させることは不可能であり、町を、日本を守るためには防御に力を使わざるを得なくなる。そうなれば、あわよくば永遠長を倒せるかもしれないし、仮に倒せなくとも逃げる隙ぐらいはできるだろう、と。


「吹っ飛べ!」


 沢渡は全方位に破壊の光が放出した。そして光が消えた後、


「あー、スッキリした」


 沢渡の周囲からは、すべての物が消え失せていた。

 人も建物も大地も、そして青空さえも。


「え!?」


 沢渡は改めて周囲を見回した。すると、足元に地球が浮かんでいた。そして、


「は!?」


 沢渡が自分の身に起きたことを理解するより早く、


「!?」


 沢渡の視界は再び常盤学園の校舎内に切り替わると同時に、


「な!?」


 永遠長の靴底が沢渡の眼前に飛びこんできた。そして、


「ぶげ!」


 永遠長の蹴りを顔面に食らった沢渡は、


「うげ!」


 地面に激しく叩きつけられたのだった。


「自分の攻撃を、他人はいつでも黙って食らうと思っている。まだにバカの極みだ」


 沢渡が大技を繰り出そうとしていることに気づいた瞬間、永遠長は沢渡を大気圏外に放逐したのだった。

 沢渡の攻撃を無効化する、最善の方法として。

 

 永遠長は沢渡の下へと急降下すると、


「ぶげべばべばべ!」


 さらなる蹴りの雨を沢渡に食らわせた後、


「カオスブレイド」


 漆黒の刃を沢渡の土手っ腹に突き刺した。さらに2度、3度、4度、5度と、漆黒の刃は沢渡の体へと突き落とされ、その都度沢渡の口から苦痛の叫びが上がる。


「も、もう止めて」


 沢渡は涙ながらに訴えた。体の傷は神の力で回復する。だが、その際に受けた痛みは消えることなく、沢渡の心に刻まれ続けていくのだった。


「謝る! 謝るからー!」


 沢渡は必死に懇願した。しかし永遠長の手が止まることはなく、


「カオスハンド」


 作り出した漆黒の両椀で沢渡の体を掴み上げると、沢渡の体を真っ二つにヘシ折った。


「ぎゃあああ!」


 沢渡の口から絶叫が上がるが、永遠長の攻撃が止まることはなく、


「ぎえ! ひぎゃ! ぶえ!」


 両腕、両足を漆黒の手で握り潰していき、


「謝ってやるって言ってるだろお!」


 ついには沢渡の口からドス黒い本性が吐き出された。


 容赦なく沢渡を痛めつける永遠長を見ながら、


「……なんだかんだ言って、沢渡のこと相当頭に来てたのね、永遠長の奴」


 秋代がしみじみ言った。


「拾ったハンカチをゴミ箱に捨てられて、わざと落とした消しゴムを奴隷呼ばわりして拾わせられて、嘘のラブレターで呼び出して笑い者にして、やってもいない罪をなすりつけられて、助けられたにも関わらず感謝するどころか自分の金儲けのために利用しようとして断られたら逆ギレされて、挙げ句の果てに氷河期の世界に閉じ込めて、罪もない子供たちを巻き添えにして凍死させようとした。そんな真似をされて、秋代さんなら笑って許してあげられる?」


 天国は冷ややかに尋ねた。


「……ガソリンぶっかけて火だるまにしたところで、ツルハシで体中滅多打ちにして、燃えカスは踏み潰してから肥溜めにブチまけるわね」


 秋代は淡々と答えた。そして常盤学園の生徒たちも、沢渡を容赦なく痛めつける永遠長を見て、しみじみ思っていたのだった。なんだかんだ言いながら、自分たちは手加減されていたんだなあ、と。


 そんな学生や魔法少女たちが見つめる中、沢渡は理不尽さに身を焦がしていた。


 なんであたしが、こんな目に遭わなきゃならないのよ! と。


 あたしは悪くない!

 悪いのは全部こいつじゃない!

 こいつがあたしの言うこと黙ってきいてりゃ、こんなことにはならなかったのよ!

 それに、あの異世界人ども。あいつらがあたしを誘拐しさえしなければ!

 天国もそうよ! あいつが、あたしを自殺させようとしなければ!

 学園長もそうよ! あそこで、あの女が永遠長を倒してさえいれば!

 朝霞もそうよ! さっさと永遠長の奴をブッ殺してれば!

 秋代もそうよ! あいつが邪魔しなければ! それに、永遠長に他人の居場所がわかる力があるなんて、あたしに教えさえしなければ!


 あたしは、こんな目に遭わなくて済んだのよ!


 そうよ! 悪いのはあいつら! 全部あいつらのせいじゃない! なのに、どうしてあたしがこんな目に遭わなきゃなんないのよ! フザけんなああ!


 沢渡が心の中で絶叫した直後、永遠長が彼女の中から風花の力を取り出した。と同時に、沢渡は息絶えた。自分の行動の責任を、最後まで他人に転嫁し続けて……。


 沢渡は死んだ。

 これで戦いは終わった。


 皆がそう思ったときだった。


「永遠長!」


 突然、関が永遠長の目の前に現れた。彼女も他の魔法少女同様、天国に力を奪われていたのだが、それでもなお永遠長を殺せる機会を伺っていたのだった。そして、自身の「透明」のクオリティで姿を消したまま、永遠長に近づいていた。携帯していたナイフで、永遠長を刺し殺すために。


「死ねえ!」


 関のナイフが、永遠長の背中へと突き出される。が、その刃は永遠長の体に突き刺さる前に、バリアに弾き返されてしまった。


「そういえば、まだおまえが残っていたな」


 永遠長は右手の中に、再び漆黒の刃を生み出した。


「くたばれ、クソ野郎!」


 関は吐き捨てた。


「逆恨みも、そこまでいくと感心する」


 永遠長は関へと漆黒の刃を突き出した。しかし、


「!?」


 漆黒の刃は関の体に届く前に弾き返されてしまった。と、同時に、関の隣に同年代の少年が姿を現した。その顔を見て、


「井出君?」


 関は惚けた表情でつぶやいた。7年ぶりの再会となるが、その顔には確かに小3で同級生だった井出智之いでとしゆきの面影があった。


「ほ、本当に井出君なの?」


 魔法少女の力を得た後、関は引っ越したという井出の行方を追った。しかし引っ越した先で、井出は行方不明になっていたのだった。


「ああ、そうだよ。久しぶりだね、純ちゃん」


 井出は関に優しく微笑みかけた。


「井出君」


 感極まり涙する関の体を、


「無事でよかった」


 井出の右手が貫いた。


「え?」


 理由がわからず惚ける関を、


「裁きを受けることが免れないなら、せめて僕の手で苦しませずに逝かせてあげたかったからね」


 井出は優しく抱きしめた。


「ど、どうして?」

「それは、君が悪だからだよ」

「あ、悪?」

「そうだよ。君は仲間たちと共にこの学園を襲って、生徒たちを殺そうとした。それは悪であり、悪は裁かれなければならないんだよ」

「そ、そんな、私は井出、君のため、に」

「たとえ、どんなに親しい人間のためであっても、悪は決して許されることではないんだよ。でも、すまない。許してくれ。僕がもう少し早く君に会いに行っていれば、君にこんな真似などさせはしなかったのに」


 井出は無念さを噛み殺した。


「井…出……」


 その言葉を最後に、関の目から光が消えた。


「ゆっくりお休み。それが君にできる、僕からのせめてもの愛だ」


 井出は関のまぶたを静かに閉じた。そして息絶えた関を抱き上げると、


「久しぶりだね、永遠長、元気そうで何よりだ」


 永遠長に笑いかけた。たった今人を殺したことなど微塵も感じさせない、爽やかな笑顔だった。


「君とも、ぜひ話がしたいと思ってたんだ」

「おまえと話すことなどない」


 永遠長は、つっけんどんに言い捨てた。


「だろうね。君には、本当に酷いことをしてしまったからね。謝って許されることじゃないのはわかってるけど、謝らせてくれ。すまない」


 井出は頭を下げた。


「本当にバカだったと思ってるんだ。この右腕のことも、今では愚かだった自分への戒めだと思ってる。ただ同じクラブの仲間だというだけで、その言葉を疑いもせず、君のことを悪だと決めつけるなんて。本当に、あの頃の僕は浅はかで愚かな子供だった」


 井出は後悔をにじませた。


「その謝罪というわけじゃないけど、1つ朗報がある。あのとき、君を悪と偽った鳥飼と当時の担任だった田中は、僕が責任を持って裁きを下しておいた。自分のやったことを棚に上げて君を悪者にした鳥飼も、教師でありながらイジメを見て見ぬふりをしていたばかりか、女生徒に邪な感情を抱いていた田中も万死に値する悪だからね。今頃は、地獄で自分たちの愚かさを反省してることだろうさ」


 井出は澄み切った瞳で、平然と言ってのけた。


「……昔から正義バカだったが、今はそれに拍車がかかったようだな。プロ野球という道が閉ざされて、最後に残った正義にすがったというところか」


 永遠長は皮肉った。


「真の正義に目覚めたと言って欲しいな。右腕が使い物にならなくなって、ようやく僕は物事を正しく見ることができるようになったんだ。その意味でも、君には感謝しているんだ。だからこそ、君を誘いに来たんだよ」

「誘い?」

「そう、僕たちの仲間にならないかってね」

「断る」

「即答だね」


 井出は苦笑を漏らした。


「せめて、くわしい話を聞いてから決めてくれないかな? これは君にとっても悪い話じゃないと思うんだけど」

「おまえの主観に興味はない」

「それが、異世界人を地球人から守ることだとしても、かい?」


 井出の言葉に、永遠長の眉がかすかに揺らいだ。


「異世界の存在を知った各国は、その権益を独占しようと躍起になっている。今は異世界への移動手段が限られている上、君という強力な抑止力があるから大人しくしているが、それもいつまで持つか危ういところだ。特に、君を最強たらしめていた「連結」の力がなくなったことを各国が知れば、きっと連中は、これ幸いと異世界の権益を手に入れるために、本腰を入れて動き出す可能性が高い」


 永遠長の脅威は去った。たとえ異世界に手を出しても、もう自分の国がゾンビだらけになることはない、と高をくくって。


「そして、そうなって困るのは異世界人だ。おそらく地球人は、当初は異世界人と友好関係を築こうとするだろう。そして関係を深め、異世界の魔法や技術を我が物とした段階で牙を剥く」


 かつての中国が、大国と渡り合えるようになるまで、じっと息を潜めていたように。そして、そうなってからでは遅いのだった。


「だから、今の内に地球人を殲滅する。この先、異世界人に危害を加えられないように、徹底的に。僕たち「イレイズ」がね」


 井出の声に一段と熱がこもる。


「あのギルド戦での演説を聞いて、僕は確信したんだ。君も僕たちと志を同じくする同志だってね。君も異世界が地球人に蹂躙されるのは許せないと思ってるんだろ? だったら、極悪非道な侵略者たちから異世界人を守るために、僕たちと力を合わせて戦おうよ」


 井出は、まっすぐ永遠長を見つめた。その目には、過去のしがらみも負の感情もなく、ただただ澄み切っていた。


「おまえの言うことには一理ある」


 永遠長から返ってきた言葉に、


「じゃあ」


 井出の表情が和らぐ。


「だが断る。俺の流儀は、あくまでも正当防衛だ。何もしていない相手に危害を加えることは、俺の流儀に反する」


 永遠長はキッパリ言い切った。


「つまり、もし地球人が異世界に手を出せば、僕たちとの共闘もあり得る。そういうことだね?」


 あくまでもポジティブな井出だった。


「……あるいはな」

「今は、それが聞けただけで十分だ」

 

 井出は満面の笑みを浮かべると、


「それじゃ、今日のところは失礼するよ。彼女を早く弔ってあげたいからね」


 井出は関の亡骸に優しい眼差しを向けた直後、永遠長たちの前から姿を消した。


 そして永遠長と井出の交渉が終わったところで、


「さてと」


 天国は沢渡に歩み寄った。そして沢渡の死体に両手をかざすと、


「リザレクション」


 アバタールの力を発動した。すると、


「う……」


 絶命していた沢渡が息を吹き返した。


「な、何やってんのよ、あんた!?」


 あわてる秋代に、


「何って、見ての通り沢渡さんを生き返らせたんだけど? あのままじゃ、それこそ流輝君が殺人犯になっちゃうもの」

「そ、それはそうだけど」


 力を失ったとはいえ、沢渡を生き返らせたら、また何をしでかすか知れたものではなかった。


「それなら大丈夫」


 天国は沢渡の魂を肉体から取り出すと、


「回帰」


 ラーグニーにさらわれる前の状態まで時間を巻き戻してから肉体に戻した。


「これでよし、と」

「これでよしって。あんたは、それでいいわけ、永遠長?」


 秋代は永遠長を見た。


「よくはない。が、どうせ何度殺しても、調が生き返らせるから時間と労力の無駄でしかない。それに、たとえ正当防衛であろうとも、これだけの人目の中で沢渡を殺したら、警察で無駄な取り調べを受けたあげく、正当防衛の可否について裁判で争うことになりかねない。そんな無駄な時間を、こんな奴のために使う気などさらさらない」

「それは、そうかもしれないけど。こいつ野放しにしたら、また何するかわからないわよ?」

「そのときは今度こそ始末する。ただ、それだけの話だ」


 人目につかない場所で、天国にも生き返らせることができない方法で。


「それに、俺に悪意を持つ人間など、それこそ世界中に腐る程いる。そいつらを1人残らず始末していたら、それだけで人生が終わってしまう。俺は、それほど暇じゃない」

「まあ、確かにそうだろうけど」


 秋代としては釈然としない結末だった。


「てゆーか、今あんたが使ったのって「回帰」よね?」


 天国に尋ねた。


「ええ」

「てことは、もう他の「回帰」を使える人間を見つけたってこと?」

「ああ、そう言えば、まだ言ってなかったけど」


 天国がそう言ったところで、


「呼ばれず飛び出て、ジャジャジャジャーン」


 寺林が運動場に現れた。両隣に、土門と禿を連れて。


「つ、土門君!?」


 これには秋代だけでなく、木葉や小鳥遊たちも驚きを隠せなかった。


「ど、どういうこと?」


 秋代は天国を見た。


「簡単に言うと、土門君たちが沢渡さんにさらわれたとき、実は流輝君、2人のこと追跡できてたの」

「え!?」

「でも、もしあそこでそのことをあなたたちに話して、仮に連れ戻すことができたとしても、また沢渡さんに連れ去られて、今度は何をされるかわからなかった」


 そこで見つけられないフリをして、とりあえず沢渡を安心させた。そして沢渡の注意が完全に土門たちから外れたところで「連結」によって粉々になった2人の体を再結合。その後、寺林が回収した2人の石化を永遠長が付与の力で解除した後、天国がアバタールの力で生き返らせたのだった。


「そ、そうだったの」

「本来、人に手を貸すのはルール違反なんだけど、それが今回の依頼を永遠長君が引き受ける条件の1つだったんでね。もし土門君たちの身に何かあって、それが自分の手に負えない事態だった場合、可能な限りで手を貸すってね」

「そんな約束してたの、あんたが?」


 秋代には信じられなかった。


「土門には借りがあった。だから返した。ただ、それだけの話だ」


 朝霞に洗脳されていたとき、元の記憶を取り戻すきっかけを作ってもらった借りが。


「その上で、このまま学園に戻るか、アメリカに留学するか、2人に選択させた。回帰の力を持つ土門は、味方にとっては心強いが、敵にとっては脅威だからな」


 そのため、いつまた誰に命を狙われるかわからない。


「土門たちが、このまま地球に残るつもりなら問題ない。だが、こいつらはいずれラーグニーに行くつもりでいる。ならば、地球での争いに巻き込まれるのは無駄でしかない」


 そこで永遠長は、土門と禿にアメリカで言うところの証人保護プログラムを提案したのだった。つまり、これまでの経歴を捨て、別人として生きることを。名前を変え、別人として医学を学んでも、いずれモスに移住するつもりなら、何も問題はないだろう、と。

 しかし2人はその申し出を断り、これからも常盤学園で学ぶことを選んだのだった。


「なるほどね。でも土門君たちのことはともかく、帰って来る方法があったのなら、あんたたちはさっさと帰って来ればよかったでしょうに」


 秋代は天国に尋ねた。


「そうなんだけど、その場合また沢渡さんが何か仕掛けてくるかもしれなかったでしょ? それなら、異世界に島流しにされたままだと思わせておいたほうが、得策と判断したってわけ」

「なるほど。確かに、そうね」

「それに流輝君が、その前にやることがあるって」

「その前に?」

「ほら、ラーグニーの1番の問題って水がないことでしょ? そして今回私たちが送られた世界は、氷に閉ざされた世界だった」


 つまり水は山ほどあるわけで、その水をラーグニーのために活用できないかと考えたのだった。


「それに、どうやら人類は滅亡した後で先住民はいないみたいだから、それこそもしラーグニーの人たちが望むなら、その世界に移住するのも1つの方法だって。だから、本当に移住が可能な環境か調べてたってわけ」

「で? 可能だったわけ?」

「もう少し詳しく調べてみないとなんとも言えないけど、ラーグニーの科学力があれば暮らすことはできるんじゃないかと。少なくとも、下手をすれば何万年もの航海をするよりは、よっぽど現実的だと思う。それでなくても水は山程あるわけだから、少なくとも乾きで苦しむことはなくなるし、暖房施設さえ完備すれば、ラーグニーよりはよほど快適に暮らせるだろう。と、流輝君は考えて、それも込みで現地調査を済ませた後で、ラーグニーに相談しに行ってたってわけ」

「ホント、転んでもタダじゃ起きない奴ね」


 秋代は横目で永遠長を見た。


「そんなことはどうでもいい。それより、まだやることが残っている」

「やること?」

「あいつらの始末だ」


 永遠長は契約者と魔法少女に視線を走らせた。


「そういや、まだあいつらが残ってたわね」


 沢渡のインパクトが強すぎて、すっかり忘れていた秋代だった。


「そう言えば分校襲ってた連中って、今どうしてるわけ?」

「石化して放置してある。ただ幽閉しただけだと、クオリティで逃げるかもしれんからな」

「なるほど。で、こいつらの始末は実際どうするわけ? ここを襲った襲撃犯てことで警察に引き渡す?」

「さっき言った通り、こいつらの魔法少女と契約者としての力は奪ったが、クオリティは残っている。その状況で警察に引き渡したら、また何をするかわからん」


 特に契約者は。


「じゃ、どうするわけ?」

「なら、魔法少女はマリーに任せるのです!」


 沙門が名乗りを上げた。


「どんな理由があろうと、魔法少女が悪に加担するなど言語道断なのです! マリーが、その性根を叩き直してやるのです!」

「つまり、マリーさんが新しいマジックアカデミーの学園長に就任するってことね」


 天国が言った。


「学園長?」


 沙門の頬が熱気で紅潮する。


「そうなのです! マリーが学園長になって、魔法少女たちを教育し直すのです! そして、どこに出しても恥ずかしくない、立派な魔法少女に鍛え上げて卒業させるのです!」


 沙門は、ムフーと鼻息を荒げた。


「いいだろう。なら魔法少女たちのことは、おまえに任せる。力と一緒に学園長権限も戻しておけば、連中はおまえに逆らえなくなるから好きなように教育するがいい」

「まあ、魔法少女のほうはそれでいいとして、契約者だっけ? あいつらはどうするわけ?」


 秋代が尋ねた。


「とりあえず、イグザムに連れて行って強制労働させる。発電設備や居住施設を建設するのに、人手はいくらあってもいいからな」

「……反逆者はシベリア送りにする、どこぞのヤバ気な独裁者的発想ね」


 それでも悪魔と契約するような連中には、いい薬にはなりそうだった。


「そして、その後は奴ら自身に選ばせてやる。何もかも忘れて元の生活に戻るか。それとも力を持ったまま生きるかを。ただし、その場合、次に何か犯罪を犯した場合には、沢渡以上の目に遭うことを覚悟した上でな」

「まあ、それはそれでいいとして、1つ気になってることがあるんだけど?」

「なんだ?」

「あんた「連結」じゃなくなったのよね? なのに、なんでカオスロードの力が使えるわけ?」


 秋代は今さらながらに尋ねた。


「「移動」の力で、カオスロードの力を地球に移動させた。ただ、それだけの話だ」


 永遠長は事もなげに言った。


「……どうしてかしらね? なんでもできる「連結」から「移動」しかできなくなったはずなのに、むしろチートっぷりが加速してるみたいに感じるのは」

「気のせいだ。おまえの言う通り、もはや俺は「移動」しかできなくなった。いわば、そこらにいる超能力者と同じになったんだからな」

「普通の超能力者は「ジョブシステム」を地球に運んだりできないっての」


 秋代は冷めた目で言った。


「もっとも、それ以前から俺はチートではなかったがな」


 永遠長は不本意そうに念押しした。


「まあいいわ。とにかく、これで一件落着ってことね。ま、本当に1件が片付いただけなんだけど」


 ともかくも、風花を元凶とする契約者と魔法少女の問題は、風花と沢渡の無力化によって一応の解決を見た。

 しかし、永遠長の「連結」という抑止力を失った世界は、これ以後大きく動き出すことになるのだった。




 今回で常盤学園編は終了となります。

 後、加筆修正によって、予想以上に話数に隙間ができてしまったので、次から羽続が学園裁判所の裁判官になるまでの話を入れます。

 これも読まなくとも本編に支障はないので、興味のない方は209話にお進みください。

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