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第131話

 事件の始まりは、体育の授業後の噂話だった。


 更衣室での着替え中、


「そういえばさ、中学のとき黒洲くろすっていたじゃん。あの中二病全開の。覚えてる?」


 隣のクラスで、同じ剣道部員だった下北不由美は、軽い調子で秋代に切り出した。


「ええ、あの娘がどうかしたの?」

「あいつの姉貴が行方不明なんだってさ。しかも黒洲が言うには、姉は自分の見てる前で突然消えたって」

「目の前で消えた?」


 秋代と小鳥遊は顔を見合わせた。


「そ、でも誰も信じてないみたい。元が元だし。あんたたちが消えて、一時期大騒ぎになったじゃん。あれに便乗して、注目集めようとしてるだけだと思われてるみたいでさ。それが元で、今引きこもってんだって」


 黒洲の話題はそれだけだった。しかし内容が内容だけに、秋代と小鳥遊は本人に事情を聞くべく、放課後黒洲の自宅を訪問した。

 永遠長と木葉が同行していないのは、居ても足しにならないどころか、邪魔にしかならないという判断からだった。もっとも、永遠長の場合、どうせ声をかけても来なかっただろうが。


 秋代は黒洲家のチャイムを押した。そして応対した母親にインタ-ホン越しで用件を告げると、


「ごめんなさい。今、娘は誰にも会いたくないといって、部屋から出てこないの」


 母親から予想通りの返事が返ってきた。そこで秋代は、


「行方不明の娘さんのことで、もしかしたらお力になれるかもしれないんです。会うだけ会わせていただけませんか?」


 と、母親に希望を匂わせることで、なんとか黒洲命くろすめいの部屋の前までたどり着くことに成功した。しかし、


「面会謝絶」


 黒洲から返ってきたのは、断固とした拒絶だった。


「でも、命」

「あ、お母さん、後はあたしたちが話しますので。そのほうが、彼女も落ち着いて話せるでしょうし」


 そう秋代に促され、


「そうですか。それじゃ」


 母親は心配しながらも、1階に降りていった。そして母親の姿が見えなくなったところで、


「開錠付与」


 秋代が部屋の鍵を開けた。そして、


「久しぶりね、黒洲さん」


 まず秋代が部屋に入り、


「お、お邪魔します」


 その後ろから遠慮がちに小鳥遊も続いた。


「え?」


 ドアを開けて入ってきた秋代を見て、黒洲は戸惑いを隠せなかった。


「な、なんで?」


 ドアの鍵は確かにかけたはずなのに、だ。


「ちょっと魔法を使ったのよ」


 秋代は、しれっと言った。


「ま、魔法?」


 黒洲は魔法という言葉に一瞬興味を引かれたが、


「そ、その手には乗らないのであります。そうやって自分に話を合わせておいて、散々イジっておいて、後で笑い者にする魂胆なのでありましょう。そんなつまらん作戦には引っかからないのであります」


 すぐに警戒心を取り戻した。


「そんな気ないわよ。てか、そんなに暇じゃないし。ねえ、小鳥遊さん」

「そうです。私たちは、ただ純粋に、あなたの話が聞きたいだけなんです。もし、あなたの話が本当なら放っておけないから」

「う、嘘なのであります。そうやって自分を騙そうとしても、そうは問屋が下ろさないのであります」

「あ-もう、面倒くさい。じゃあ、証拠を見せてあげるわ」


 秋代は書棚にあったマンガ本を手に取ると、


「閃光付与」


 光らせてみせた。


「な……」


 黒洲は思わず目を見開いた。なにしろ、それは彼女が長年待ち望んだ、奇跡が実現した瞬間だったのだから。


「ね、これで、わかったでしょ。あたしたちの言ってることが、本当だってこと」

「ワーッツ!?」


 黒洲はベッドから飛び起きると、秋代から光る漫画本を引ったくった。


「本当に光ってるのであります! 種も仕掛けもないのであります!」


 黒洲は血走った目で、光る漫画本を睨め回した。


「魔法!? い、いや、それにしては、呪文の詠唱がなかったのであります! わかった! 超能力!? 超能力でありますな!」


 黒洲は秋代に詰め寄った。


「お、落ち着きなさいってば。今のはクオリティ。魂の持つ潜在能力だから、確かに超能力みたいなものね」

「クオリティ?」


 黒洲は感動に目を潤ませた。


「ほ、他には? 他には、どんな力があるのであります!? 魂の力ということは、もしかして自分にも使えるのでありますか!? そこんところ、ハッキリさせてもらいたいのであります? さあ! さあ! さあ!」


 黒洲は鼻息を荒らげた。


「お、落ち着きなさいって。あわてなくても教えてあげるわよ。でも、その前に、あなたの話を先に聞かせてちょうだい。あなたの目の前で消えたって言う、お姉さんの話を」


 秋代がそう言うと、黒洲の顔から熱が引いた。


「……あれは、先週の金曜日のことでありました。自分が我が家に着いたとき、姉上が帰って来るのが見えたのです。そして姉上は「命も今帰り?」と声をかけてきた直後、突然消えてしまったのであります」


 黒洲は手で顔を覆った。


「みんな見間違いだと言いますが、自分は確かに見たのであります。あれは絶対に姉上だったのであります」

「なるほどね。誰かにさらわれたわけじゃなく、突然消えたわけね」

「だとしたら、やっぱり異世界に連れ去られた可能性が高いってことなのかな?」


 小鳥遊の異世界という言葉を、黒洲の耳は聞き逃さなかった。


「異世界? 今、異世界と言ったでありますか!? 言ったでありますな!? 異世界と! 嘘や言い間違いではありませんな!? 本当に、本当にあるんでありますか!? あるんでありますな!? ありますな!?」


 黒洲は今度は小鳥遊に迫った。


「だから、落ち着きなさいってば。今は、それどころじゃないでしょうが」


 秋代は小鳥遊から黒洲を引き離した。


「もし本当に異世界に連れ去られたんだとしたら、問題は、どこに連れ去られたかってことね」


 秋代はあごを押さえた。


「あいつの力で見つけ出せればいいんだけど」

「あいつ?」

「永遠長っていう、あんたと同じ中二病患者よ」

「それなら大丈夫じゃないかな」


 小鳥遊は黒洲を見た。


「黒洲さんとお姉さんは姉妹。つまり血の繋がりがあるってことだよね。だったら「その繋がりから姉の居場所を特定できるのではないか? と考えた。そして試してみたらできた。ただ、それだけの話だ」って、永遠長君なら、きっとそう言うと思うよ」


 小鳥遊が永遠長の口真似をし、


「確かに、言いそう」


 秋代は嫌そうに眉をひそめた。


「それじゃ、さっそく、あいつにメールするわ」


 秋代は鞄から異世界ナビを取り出した。


「なんでありますか、それは? スマホ? いや、タブレットですかな?」


 黒洲は異世界ナビを凝視した。


「黒洲さんにも渡しておくわね。これは異世界ナビと言って」


 小鳥遊は黒洲に異世界ナビの説明をすると、ナビ画面から新しい異世界ナビを召喚した。


「うおおおおおおお!」


 感極まっている黒洲に異世界ナビの操作法を教えた後、秋代たちは黒洲宅を後にした。


 そして30分後、小鳥遊たちに指示された通り、黒洲は「移動可能な異世界」の項目にある異世界のうち「ディサース」をタップした。すると、


「ふおおおおお!」


 そこで黒洲が目にしたのは、壮大に広がる緑の大地。そこかしこから漂う野性の芳香。そして街壁の奥に垣間見える、中世ヨ-ロッパ風の建築物の数々だった。


「ふぁいやああああ!!」


 黒洲は異世界の大地を転げ回った。これこそ、まさに黒洲が思い描き、恋い焦がれてきた理想の世界そのものだった。


「これなのであります! これこそ自分が追い求めていた、ファンタジ-なのであります!」


 黒洲は、夢見ていた理想郷を目の当りにして、感動に目を潤ませた。そして異世界の空気を満喫したところで、


「では! いざ行かん! 未知なる冒険へ!」


 黒洲は期待と興奮に胸踊らせて、街に踏み込もうとした。そのとき、


「待てい」


 背後から呼び止める声がした。


「む? 記念すべき、我が冒険の第一歩を邪魔立ていたすは何奴か?」


 黒洲は振り返った。すると、そこには秋代と小鳥遊、そして見知らぬ同年代の男女6人が立っていた。しかも、その全員が戦士や魔術師風の装備を携えて。


「オオオ! アメエエイジイイイン!」


 黒洲は感動に身を震わせた。


「それ! それ! 本物の鎧でありますか!? 剣も!? コスプレ用のニセモノじゃなくて!?」

「当たり前よ。あたしたち全員、冒険者なんだから」


 秋代があきれ気味に言った。


「冒険者、キタアアア!」


 黒洲は再び感動に打ち震えた。


「あー、もー、とりあえず紹介しとくわ」


 秋代は疲れた顔で頭をかくと、永遠長たちを紹介していった。

 その説明によると、永遠長と加山が騎士職、朝霞が魔術師の他は、土門と禿を含めて全員魔法戦士という編成だった。


「ずいぶんと、魔法戦士が多いパーティーでありますな」


 黒洲は眼鏡越しに永遠長たちを観察しながら、率直な感想を述べた。


「魔法戦士が6人もいて、回復役が1人もいないとは、どういうことなのでありますかな?」

「ど、どういうことって」


 凄味を利かせて詰め寄る黒洲に、秋代はたじろいだ。


「貴公ら、すべからく同じパ-ティ-なのでありましょう? であればバランスを考えて、普通は戦士、僧侶、魔法使いと、ジョブはバラけさせるのが常識でありましょう。それが、いくら万能キャラの魔法戦士とは言え、6人も同じジョブとは、ありえないチョイスだとは思われなかったのでありますかな、秋代氏?」

「い、いいのよ、これで。やりたい奴がやりたいキャラをやればいい。それが、うちのギルマスの方針なんだから」


 秋代の答えに、黒洲は手で顔を覆った。


「フワッツ! アンビリイイイバブウウ! 役割分担ブッチ切って、全員同じジョブなんて! 貴公ら、いくらなんでも、ファンタジ-RPGをナメ過ぎなのであります!」


 黒洲は、ビシッ! と秋代たちを指さした。


「いや、これは、もはや異世界への冒涜に他ならないのであります! まったく、嘆かわしい限りなのであります!」

「て-か、無駄に英語混ぜるの、やめてくれない? 聞いてるほうが頭痛くなってくるから」


 秋代は、こめかみを押さえた。


「て-か、あんた、何1人で勝手に行こうとしてんよ。言ったわよね、あたし。ディサ-スに着いたら、あたしらが来るまで、その場で待機してろって」

「た、確かに言われましたが、それは殺生というものでありましょう。これだけの宝の山を前にして、自分に動くなと言うのは、死ねというも同じ」

「て-か、あんた、ここに来た目的、完璧に忘れてんじゃないの?」


 秋代は黒洲にジト目を向けた。


「目的? もちろん忘れてなどいないのであります。自分の目的は、この異世界を探索して、1日でも早く1人前の冒険者に」

「違うでしょうが! あんたは、ここにお姉さんを捜しに来たんでしょうが!」


 そう秋代に言われて、


「あ……」


 黒洲は我に返った。


「そうでありました。すっかり忘れてたのであります」

「たく、それじゃ、本題に入る前に連れを紹介しとくわ」


 秋代はそう言うと、黒洲に永遠長たちを紹介した。


「ほう、貴公が永遠長氏でありますか。今回、姉上を探し出せるのは、貴君の力添えが大きいとのこと。感謝するのであります」


 黒洲は永遠長に頭を垂れた。


「異世界絡みの可能性がある以上、異世界担当として放置しておくことはできないから動いた。ただ、それだけの話だ」


 永遠長は淡々と言った。


「小鳥遊たちに言われて、もうリアライズは済ませたそうだな。クオリティはなんだ?」


 永遠長から放出される威圧感に、


「ま、魔法であります!」


 黒洲は「サー、イエッサー!」と直立不動で敬礼した。


「ほう」


 永遠長は黒洲を興味深げに見やった後、彼女の右腕を掴んだ。


「少し、じっとしていろ」


 永遠長は目を閉じた。


「え-と、何をしてるでありますか?」


 黒洲は困惑しきりだった。


「大丈夫だから、ちょっと、そのまま待ってなさいな」


 秋代がそう言った直後、


「もういいぞ」


 永遠長は黒洲から手を離した。


「何かわかったわけ?」


 秋代は、とりあえず訊いてみた。


「そいつと繋がっている人間がラーグニーにいた。おそらく、そいつが姉だろう」

「姉上は、姉上は無事なのでありますか!?」


 黒洲は永遠長に詰め寄った。


「今のところは無事でいる」


 境界で確認したので間違いなかった。


「てか、ラーグニーって言ったら、あの砂漠の世界よね?」


 秋代の脳裏に、忌まわしい記憶が蘇る。


「嫌なら来るな。別に、おまえがいなくても、なんの問題もない」


 永遠長は異世界ナビを取り出した。


「い、行くわよ。決まってんでしょ」


 秋代は嫌悪感を押し殺して、ラーグニーへの移動ボタンを押した。


 そしてラーグニーに着いたところで、黒洲は周囲を見回した。すると、今度の世界は周囲を砂に囲まれた砂漠地帯だった。


「まずは、あんたの服ね。その格好じゃ、すぐ熱中症になっちゃうわ」


 黒洲と合流した秋代たちは、そのまま街に向かった。秋代たちの後ろを歩きながら、黒洲は全員の身なりをマジマジと観察した。すると、ここでは全員、帽子にマントにズボンにブーツという、代わり映えしない画一的な服装だった。


「ここでは全員同じ格好なのでありますな」


 今度は、どんな装備かと期待していただけに、黒洲は拍子抜けしていた。


「当然よ。ここは太陽が降り注ぐ灼熱の世界だもの。鎧なんか着てたら、それこそ火傷しちゃうわよ」


 秋代は、この世界のことを簡潔に説明した。そして黒洲がもっとも興味を持ったのは、やはり魔動銃と魔法銃だった。


「見たいですぞ! 欲しいですぞ! 撃ちたいですぞ! どうすれば手に入るでありますか!」


 黒洲は鼻息荒く、秋代に迫った。


「あわてなくても買ってあげるわよ。魔銃がないと、この世界じゃ命がいくらあっても足りないから」


 秋代たちは、まず黒洲の衣服を買い揃えると、次に魔法銃と魔動銃を買い与えた。


「おお、まるで西部劇に出てくるガンマンのようで、カッコいいのであります」


 剣と魔法だけでなく、ウエスタンまで堪能できるとは! 


 黒洲の頬は緩みっぱなしだった。


 後は、この銃の破壊力を試すのみ!


 黒洲は早速、砂漠に出現するワームとやらを見つけるために街を出ようとしたが、


「待てい」


 秋代に止められてしまった。


「どこ行くつもりよ、あんた?」

「決まっているのであります。この銃の試し撃ちなのであります」


 真顔で言う黒洲に、


「あんたねえ」


 秋代はこめかみを押さえた。


「ここに来た目的、また完全に忘れてるわね」

「忘れてないなどおりませんぞ。ただ、試したい衝動が抑えきれないのであります。それはそれ。これはこれというやつなのであります」

「そうじゃ。それはそれ。これはこれじゃ!」


 どさくさに紛れて木葉が便乗したが、


「バカは黙ってなさい」


 秋代に一蹴されてしまった。


「では行くぞ」


 準備が整ったところで、永遠長は呪文の詠唱に入った。そして、その詠唱が終わった瞬間、永遠長たちは砂漠の只中に移動していた。そして、そこから500メートルほど離れた岩山の上には、城塞らしきものがそびえ立っていた。


「……見るからに頑強そうな砦ね」


 秋代は眉をひそめた。あの中から人1人を助け出すとなると、なかなか骨が折れる作業になりそうだった。


 永遠長は黒洲の腕を掴むと、改めて砦の内部を調べた。


「そいつの姉は、あの砦の地下にいる。どうやら地下室に閉じ込められているようだ」

「閉じ込められてるってことは、やっぱり今回の件は、異世界人による拉致誘拐事件だったってこと?」

「それは、砦にいる連中に聞けばわかることだ」


 永遠長は砦へと歩き出した。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」


 秋代はあわてて永遠長の前に回りこんだ。


「このまま乗り込む気? まだ、あそこには黒洲のお姉さんたちが」

「それならば、もう助け出した」

「え?」


 秋代は、永遠長の指差す先を見た。すると、少し離れた場所に5人の人影あった。

 その中に姉の姿を認めた黒洲は、


「あ、姉上!」


 姉のもとに駆け寄った。そして姉であるゆいも、


「命? ホントに命なの?」


 妹へと走り出し、2人は互いの存在を確かめ合うように抱き合ったのだった。


「いつの間に……」


 どうやって、とは聞くだけ時間の無駄であることを、秋代はこの数ヵ月で学んでいた。おそらくは、黒洲を通して姉の居場所を探し当てた直後に、転移魔法か何かで牢獄から移動させた。そんなところだろうし、実際その通りだった。


「さっさと帰るがいい。巻き添えで死んでもいいなら話は別だがな」


 永遠長はそう言い残すと、その場から姿を消した。


「あ、ズルいぞ、永遠」


 木葉は永遠長を追いかけ、砦へと駆け出そうとしたが、


「待てい」


 秋代に後ろ襟を掴み止められてしまった。


「何すんじゃ、春夏!?」

「それは、こっちのセリフよ。さっきの永遠長の言ったこと聞いてなかったの? トバッチリ食らう前に、さっさとここを離れんのよ」


 せっかく助け出した人たちを、永遠長の戦いの巻き添えで死なせてしまったのでは、目も当てられなかった。

 そして間を置かず、砦から爆音が聞こえてきた。


「ほら、さっさと行くわよ」

 

 秋代は木葉を連れて、永遠長が助け出した人たちの元へと歩いていった。すると、


「春夏? 春夏よね!?」


 1人の少女が秋代に声をかけてきた。見ると、それは中1でクラスメイトだった沢渡さわたりだった。


「沢渡? なに? あんたも誘拐されてたわけ?」


 秋代がそう言った直後、砦が閃光に包まれた。そして砦の消滅とともに、周囲に爆風が吹き荒れる。そして爆風が収まったところで、永遠長が秋代たちの前に再び転移してきた。


「あんたねえ、いくらなんでも、やり過ぎでしょ」


 さっそく小言を言う秋代に、


「あれは俺じゃない。連中がやったんだ」


 永遠長は憮然と答えた。


「おそらく、秘密保持のためにな」

「そこまでして守りたい秘密が、あの砦にあったってこと?」

「あくまでも可能性の話だ。今となっては確かめようがない」


 永遠長は、やはり憮然と答えた。異世界の移動法が見つかると思った矢先に自爆されたのだから、当然といえば当然だった。


 永遠長?


 そんな永遠長の様子を、沢渡はけげんそうに眺めていた。

 そして、その視線に永遠長も気づいたが、なんの反応も示さなかった。


 その後、助け出された5人は、秋代たちが提供した異世界ナビによって無事地球への帰還した。


 だが、この事件は地球の命運に関わる計画の、始まりに過ぎなかったのだった。







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