1000文字短編「廃棄」
1000文字ピッタリの小説。1作品目です!
読めば分かるような内容になっているはずです。
タイトルの意味が分かって貰えると思います。
目が覚めた。知らない場所だ。僕は誰で、どのくらいここに眠っていたんだろう。考えることが多すぎて頭が追いつかない。
どうやらベッドの上にいるらしいが、こんな部屋は見たことない。少しこの部屋を漁ってみることにする。
«海斗»と書かれたプリントのようなものが落ちている。この部屋の主の名前だろう。それにしても、なにやら不思議だ。言葉や話し方は覚えているのに、自分の名前などは全く覚えていない。
「起きたの?」と誰かの声が聞こえるのと同時に部屋に少女が入ってきた。年は同じくらいだろう。
「はい。ところで、伺いたいことがあるんですが…」
「どうしたの? 海斗…あっ」
海斗?どうやら、家族の名前を間違えて呼んでしまったんだろう。
「僕は記憶が飛んでしまっているみたいなのですが、僕が何故ここにいるのか知っていますか?」
「うん。お母さんが倒れてるのを拾ってくれたの。ちょっとお母さん呼んでくるね。その方が早いから」
お母さーーんと声が響いた。その後、1分もせずにお母さんらしき人は現れた。
チッ…失敗したのね…
今何か言ったような気がしたが、声が小さくて聞こえなかったし気にしないでいいだろう。
「あら、目が覚めたのね」
「はい。ここに運んでくれたようで、本当にありがとうございます」
どうやら親切な人らしい。
「それにしても不思議ね…あなたのその顔立ちはどう見ても西の出身よ。ここからはかなり遠いわ」
この部屋にある鏡で確かめる。それほど違いは感じられないが…まぁこの人が言うのだし合っているだろう。
ということは、ここは東なのだろう。
「そうなのですか…では、その西に行ってみれば自分のことがもっと分かるということですね」
「そうよ。行き方は…ここからなら新幹線ね。使い方や道は教えてあげる。お金も払ってあげるから行ってきなさい」
なんて親切なんだろう……記憶がない僕にでもこの人はとても親切な人だと分かる。
僕はこの人の言うことをしっかりと聞き、西へ向かう方法を確認した。もうバッチリなはずだ。とりあえず、これからの事も考えたいので自分が身につけているものなどを一通り確認する。服の内側の表示部分に薄く«氵»と書いてあった。消えかけているが恐らく僕の名前の一部だろう。今は忘れてしまっているが。
「色々とありがとうございます。西の方に向かってみることにします」
深く頭を下げた。
「気をつけるのよー」と見送ってくれた。
その時の皆の顔は喜びに溢れていた。
どうでしたか?
タイトルの意味はある程度察してもらえていればありがたいです。
今後も1000文字の作品をあげると思うのでよろしくお願いします。
感想などありましたら是非!!