#7
今日はお母さんが出勤時間が遅いので、私と珍しく一緒に朝ごはんを食べていた。
「ムツミちゃん、今日は1日何して過ごすの?」
「うーん…そうだなぁ…」
今日やることはもう決まっていた。
「私がちっちゃい頃に来ていた洋服が、どっかにあると思うの。それをキュータンに着せて遊ぼうかなって」
「あら、楽しそう」
…という訳で、私は仏頂面ペンギンに見つからないように、部屋を散策し始めたのだ。
探せば探すほど出てくる出てくる。
私は小さい頃も可愛かったから、来ていた洋服も可愛い服しかなかった。
「うーん…これもいいなぁ、あれもいいなぁ」
コスプレさせる選択肢が多すぎて、どれにするか迷っていた。
すると私の脳裏に、ある記憶が舞い戻った。
幼稚園の頃の学芸会で、私は妖精の役をやったことがある。
その衣装もどっか大事に保管してたはずだった。
部屋にはなかったので、外にある物置小屋の中だとピンと来た。
テンションの上がってた私は、勢いよく階段を駆け下りて、外へ出ていった。
「うるさいなぁ…」
一方、キュータンはと言うと、ずっと下でテレビを見ていたが、私があまりにドタバタしているのを、鬱陶しそうに感じてた。
その頃私は、とっくに物置を物色中。
お目当てのものがなかなか見つからないなぁと、すでに捨てたんじゃないかと諦めかけたそこに、
「この中のどれかだ!」
大きめの段ボール箱と、小さな段ボール箱をを見つけた。
これがゲームの中なら、アイテム取得音が流れている。
ウキウキした気分でまた、2つの箱を頭の上に、元気いっぱいに階段を駆け上がっていた。
「あーもう!!」
あまりにうるさいので、テレビに集中できなくなり、キュータンはイライラしだしたようだった。
部屋に戻った私は大きい方の箱を、カッターで中を開けようとしていた。
「よーし、中身は…」
すると……
カバンに生徒手帳、制服など…
誰かが、学校に行っていた頃に使っていた持ち物が出てきた。
そう……
これは……
…………
「さっきからなに騒いでいるんだ」
気が付くと、キュータンが隣に立っていて、箱の前で黙って座っていた私を、不思議そうに見ていた。
我に帰った私は、突然こいつが現れてビックリしていた、すると私はキュータンの顔をじっと見つめた。
「………なんだよ?」
「ねぇ…キュータン……」
「なぁ、恥ずかしいよ」
もうひとつの段ボールの中身から、キュータンを妖精に変身させることができた。
「なーにが恥ずかしいよ、私なんか前回お尻を出してるのよ!」