#4
日曜日の午後、今日も私は1日外に出ることなく、キュータンとゲームを楽しんでいた。
「ちょっと弾が飛んできてる!避けて避けて!」
「おおっ…そうか!」
今回は二人で仲良く協力プレイで進めていた、今やっていたジャンルは私はなかなかセンスがあった、
ゲーム下手くそペンギンのこいつは、からっきしだった。
「あーあ…ゲームオーバー、しょうがないわね。もう一回初めからね」
何回も付きわあされて、キュータンはヘトヘトだった。もう一回なんて言われてたまらずこう言った。
「もういいよ、一人でやりなよ」
苦手だからと言って、逃げるなんてよくない。
「ダーメ、そんな拒否権はないの。さっ…初めから」
するとチャイムがなって、玄関に誰かがやってきた。
「出たほうがいいぞ」
中断できるのが嬉しそうに、私に言った。
仕方ないので出てみた、
やって来てたのはお母さんの弟、つまり叔父さんがやって来てた。
「久しぶりおじさん!」
「久しぶりムツミちゃん。うちの近くで取れた野菜持ってきたよ」
おじさんは山の中で、小さな自動車工場を奥さんと二人でやっている。仕事がとても丁寧なので評判もよく、わざわざ遠くからたくさんのお客さんがやってくるのだ。
「おじさん、今日はお小遣いは?」
私はいつもおじさんに会うたびに、この冗談をよく言っている。
いつもならこれで笑ってくれてたおじさんが、似合わない真面目な顔で、私に提案してきた。
「ムツミちゃん、仕事見つからないなら、うちで働いてみないかい?」
「え!本当!」
「もう18歳になって車の免許も取れたんだって、初めのうちはそんな難しいことなんてさせないからさ、どうだい?」
すごく嬉しかった。本当は働きたくはなかったけど、大好きなおじさんとなら、きっと仕事も楽しいと思ったからだ。
「うん、わかった!もう明日から行ってみていい?」
「え、そんな急に大丈夫?」
「大丈夫だよ、明日からよろしくね!」
私はやっと人並みに働けると思い、すんごく嬉しかった。なんだかんだでこのまま就職決まらなかったら、将来どうなるんだろうと正直心配してたから。
それがこんなトントン拍子で進んでいって、やっと私の人生が、いい方向に動き出したと実感した。
おじさんが帰って、部屋に戻るとゲームを中断したまま、キュータンが私をずっと待ってた。
「誰が来てた?」
私はにやけ顔で答えた。
「あんたとこうやって遊んでいられるのも今日まで、明日から私も社会人なの!」
キュータンは最初理解出来なかったが、私が説明した後に、いつもの無表情の顔で、どこか嬉しそうな声色でこう言った。
「そうか、よかったな」
まさかこんな純粋に祝福してくれるとは思わなかったので、私は戸惑いながらもこう返した。
「じゃあ、明日からそんなに時間ないんだからさ、今日はとことん遊ぶわよ!」
またゲームを再開することにした。
すると、さっきまでは嫌々付き合わされて、もううんざりしてたキュータンが、
今は何故だか、いつもより楽しそうに私に付き合ってくれた。
いつもなら、テンションの低いこいつと遊んでも、あまり楽しくないけど、
なんか今日はいつもよりも、楽しく遊べたような気がした。
もう私は朝も遅くまで寝てる訳にもいかない、
今日は明日に備えて早めに寝ることにした。
「お休み、キュータン」
「…お休み…」
キュータンは、私に何かを言いたそうにしていた。でも結局何も言わなかった。