表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

#4

日曜日の午後、今日も私は1日外に出ることなく、キュータンとゲームを楽しんでいた。


「ちょっと弾が飛んできてる!避けて避けて!」


「おおっ…そうか!」


今回は二人で仲良く協力プレイで進めていた、今やっていたジャンルは私はなかなかセンスがあった、

ゲーム下手くそペンギンのこいつは、からっきしだった。


「あーあ…ゲームオーバー、しょうがないわね。もう一回初めからね」


何回も付きわあされて、キュータンはヘトヘトだった。もう一回なんて言われてたまらずこう言った。


「もういいよ、一人でやりなよ」


苦手だからと言って、逃げるなんてよくない。


「ダーメ、そんな拒否権はないの。さっ…初めから」


するとチャイムがなって、玄関に誰かがやってきた。


「出たほうがいいぞ」


中断できるのが嬉しそうに、私に言った。


仕方ないので出てみた、

やって来てたのはお母さんの弟、つまり叔父さんがやって来てた。


「久しぶりおじさん!」


「久しぶりムツミちゃん。うちの近くで取れた野菜持ってきたよ」


おじさんは山の中で、小さな自動車工場を奥さんと二人でやっている。仕事がとても丁寧なので評判もよく、わざわざ遠くからたくさんのお客さんがやってくるのだ。


「おじさん、今日はお小遣いは?」


私はいつもおじさんに会うたびに、この冗談をよく言っている。


いつもならこれで笑ってくれてたおじさんが、似合わない真面目な顔で、私に提案してきた。

「ムツミちゃん、仕事見つからないなら、うちで働いてみないかい?」


「え!本当!」


「もう18歳になって車の免許も取れたんだって、初めのうちはそんな難しいことなんてさせないからさ、どうだい?」


すごく嬉しかった。本当は働きたくはなかったけど、大好きなおじさんとなら、きっと仕事も楽しいと思ったからだ。


「うん、わかった!もう明日から行ってみていい?」


「え、そんな急に大丈夫?」


「大丈夫だよ、明日からよろしくね!」


私はやっと人並みに働けると思い、すんごく嬉しかった。なんだかんだでこのまま就職決まらなかったら、将来どうなるんだろうと正直心配してたから。

それがこんなトントン拍子で進んでいって、やっと私の人生が、いい方向に動き出したと実感した。


おじさんが帰って、部屋に戻るとゲームを中断したまま、キュータンが私をずっと待ってた。


「誰が来てた?」


私はにやけ顔で答えた。


「あんたとこうやって遊んでいられるのも今日まで、明日から私も社会人なの!」


キュータンは最初理解出来なかったが、私が説明した後に、いつもの無表情の顔で、どこか嬉しそうな声色でこう言った。


「そうか、よかったな」


まさかこんな純粋に祝福してくれるとは思わなかったので、私は戸惑いながらもこう返した。


「じゃあ、明日からそんなに時間ないんだからさ、今日はとことん遊ぶわよ!」


またゲームを再開することにした。


すると、さっきまでは嫌々付き合わされて、もううんざりしてたキュータンが、

今は何故だか、いつもより楽しそうに私に付き合ってくれた。


いつもなら、テンションの低いこいつと遊んでも、あまり楽しくないけど、


なんか今日はいつもよりも、楽しく遊べたような気がした。


もう私は朝も遅くまで寝てる訳にもいかない、


今日は明日に備えて早めに寝ることにした。


「お休み、キュータン」

「…お休み…」


キュータンは、私に何かを言いたそうにしていた。でも結局何も言わなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ