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#3

「あはははは、うひゃひゃひゃひゃ」


あー、やっぱり大晦日にやってるお笑い番組は最高!

急に見たくなってレンタルしてきてよかった。


それなのに、


「…………」


なんでこの仏頂面ペンギンはクスリとも笑わないんだろぉ。


「ちょっ、マジでやばいからこれ!あはははは!」


「…………」


「ええっ!そこでそんな仕掛け出てくるの?!あはははは!」


「…………」


「やめてやめてお腹痛いから!!あはははは、うひゃひゃひゃひゃ!!

あれあんた今笑わなかった?ダメよ笑ったら黒ずくめの男たちにぶたれちゃうんだからね!あはははは!!……


なんで笑わないのよ!!」


「え?」


我慢できなかった私は、とうとう爆発してしまった。


丁度いいや…いつも偉そうに説教されているから、今回ばかりは私のターンだ。


「何を急に言い出しているんだ?」


どうやら、いつも優しい私がなんでこんなに怒っているのか、ピンと来ていないようだった。


「わかんないの?せっかく私が最高に面白いと思って借りてきたDVD、マジで顔色変えずにボーと見てたじゃん」


ちなみに私がこいつの無表情にイライラしたのは、これが初めてではない。


前にも同じようなDVDを借りてきた時の話。


番組の中で笑った人はルールして、お尻をぶたれていく罰ゲームがあり、

それをキュータンと一緒にやってみたことがあった。


その時は私しか笑わなくて、こいつはノーダメージで終わった。


おかげで私のお尻は真っ赤っか。まあ嫌がってて無理矢理叩かせたのも私だけど、

思い出すとまた痛くなってきた気がする。


って…まだこいつは理解できてないような顔をしていた。


その態度にまた腹がたって、私はさらに憤慨していると、


「別にボクは見たいとは言っていない。ムツミが一緒に見ようとしつこく迫ってきたから我慢して一緒に見ていただけだよ。」


その言葉を聞いて悪いのは私のような気がした。それでもまだ怒りが収まらない。


「ていうかさあ、あんたが笑っているとこなんて一回も見たことないんだけど。あんた人生で笑ったことあるの?」


この問いに少し間をあけてキュータンは、


「記憶にない」


この事実にドン引きした。


だけど、そういえば我が家に馴染んでいるから、今まで普通に接してきたけど、よく考えたらこいつは、人の言葉理解して話せるUMAだった。

そいつが私の趣味思考を理解できる訳がなかった。


私が面白いと思ったことはみんな面白いに決まってるし、そう考えたら一気に冷めてきた。


「もういい」


ふてくされてそのまま横になって寝転がった。


私はただ一緒に楽しみたかっただけなのに、そんな突っ放されたらこっちまで嫌な気持ちになっちゃうじゃん。


本当に面白くないな。


ああ、面白くない。


なんて頭の中で愚痴っていると睡魔がやってきて、私を寝かしつけようとしてきた。


すると急に……


ゴンッッ!!


「いだーーーい!!」

「ううっ!!」


私とキュータンは頭がごっつんこさせてた。


「いたーい!なんであんた急に立ち上がってるのよ!」

「ご、ごめん。トイレに行こうと思ってて、まさか頭を浮かせて寝てるなんて思わなくて」


ふとキュータンを見ると、


大きなたんこぶが出来てた。


私も恐る恐る自分の頭を確認した、


同じくらいの大きさのたんこぶが出来てた。


「ふふ…あはははは!」


この状況がツボにはまって大笑いした。


「こんな、こんな二人揃って漫画みたいなこと起こる?!ありえないんだけど、あっはっはっはっは!!」


すると、

「大丈夫かムツミ!」


「へ?」


キュータンが珍しく慌てた表情で私を心配してきた。


「フラついたりしてないか?気分とか悪くなってないか?氷とか持ってこようか?」


あんな滅多に起こらない奇跡が起きたんだから、同じくらい爆笑するんだろうなぁと思ったら、


こいつは本当に、本当に、


「なんなのよ…アンタ……」


「!!!」


「うう…うわーーーん!!!」


面白くないくせに優しいとかマジで意味がわかんなくて泣いた。


「あーーん!あーーーーん!!」


「どうしたんだよムツミ!笑ったり怒ったり泣いたりと忙しいやつだな!」

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