怪物 4
怪物 4
カオスの話を聴き終わったレイゼロ一同は深い溜息を吐いた。
まるで、カオスと同じもしくはそれ以上の苦しみを知っているかのように。クライシスハイザーはだれにも見えないほど薄く笑い、レイゼロは何かを回想し目を細め、レイズは一粒の涙を目から空気に解放した。そして沈黙が支配する。
だが、そんな沈黙も長くは続かない。レイゼロがゆっくりと目を開けるように、沈黙を破る。
「つまり、汝の出身はそこら辺の科学都市より何千倍も発展した、兵器的科学技術を持った超軍事国家であり、気候は亜熱帯、冬に氷柱が吹き荒れていて森にはおぞましい異形、町には飢餓者、都市は亡霊に支配されている。そんな国ということか。」
簡潔に、簡単に、まとめ上げてカオスに確認を取る。カオスは深く頷く。その態度にレイゼロは、「やっぱり」と言い、こう付け加えた。
「カオスよ。汝の言う世界は存在しない。」
否定だった。そこでもう二人の内の一人、クライシスハイザーがレイゼロに問う。
「オイ、そいつはいったいどォいうコトだァ?カオスはここにいるンだぜェ。それを言っちまったら、カオスの存在そのものを否定することになるぞ。・・・じゃァ此処にいンのは何処のどいつさんなのかなァ~~?答えてみろよォ。あァ!!?」
最後は何かキレ気味だがどこかカオスのことを気に入ってるように見える。レイゼロは、「まぁまぁ」となだめ、説明不足の答えに補助をつける。
「じつは、今さっきのカオスの話を『異世界の一部の情報』として、異世界検索サイトに検索をかけたんだが、結果はこの通り。」
と言い、レイゼロは何もない空気に指を鳴らす。瞬間、レイゼロの目の前に黒く透き通った掲示板が現れる。そこには、スマホのようなホーム画面があり下の方に、『異世界検索サイト』というアプリがある。レイゼロは、そのアプリをタップし、検索経歴からやたら長い単語を押すとそこにはこう書いてあった。
~☩お探しの異世界はありません。☩~
クライシスハイザーとレイズとカオスは画面をのぞき込んだまま動かない。
「え・・・・・・?私の世界なかったの・・・・ね・・・・。」
当の本人が自信のない声で納得している。
「そのアプリ、おかしいンじゃァねェのかァ?」
と、クライシスハイザー。
「ううん。このアプリは正常だよ。多分、多分なんだけど、私がカオスちゃんの手当てをしていた時、脳に多大な損傷があったの。記憶する部分だったんだけど、・・・・・」
と、レイズ。レイズの言葉に反応して、レイゼロが言う。
「うん?治したんだろ。レイズのスキル『完全治癒効果』と、『魔創者』の記憶蘇生転結魔法で。記憶は完全完治ではないのか?」
その問いの答えは、レイゼロの予想をはるかに超えていた。レイズは、重々しく言った。
「回復・・・・・しなかった。この世界の最高峰の治癒魔法が拒絶された。打ち消された。・・・・・無くなってた。脳の一部が、途切れ途切れで、・・・・だから、カオスちゃんは途切れ途切れの記憶しか持ってないと思う。でも・・・・おかしいと思って透視でカオスの体の中を見てみたの。」
いったん区切り、レイズはかたずをのみ、続ける。
「何もなかった。血液も骨も、筋肉や体組織も謎の物質が渦巻いているだけで何もない。ほんっとに何もなかった。」
客観的に見れば身の毛がよだちそうなのに、クライシスハイザーはフッと笑い、告げる。
「そんなの簡単だ。『見た目普通の物を作っているが、そう見せかけて兵器を作る』っつう悪の美学の応用だ。その謎の物質が血液モドキを作って、外に排出させてるってワケだァ。記憶が魔法で治らねェ?なら、このオレ様の能力の見せどころじゃァねェか!操縦!対象の確定条件は、『カオス』の物質!」
目を見開き、そう叫ぶ。
言葉に世界が呼応し、能力の触手がカオスの体内の物質に干渉し、操縦対象にして、記憶をよみがえらせる。
そのはずだった。
「ンな!?・・・弾かれたッ・・・だとォ!!」
クライシスハイザーの能力をもってしてもカオスの記憶をよみがえらせることはできなかった。能力もこころなしか驚いているように見える。
「ンなら、もう一回‼・・・・・・
「いや、無理だよ。多分、物質そのものに異能の力に干渉されないっていう能力があるんだと思う。だが、今オレも透視をしたが、彼女の脳には、途切れ途切れの記憶の一部の端っこに『ノティングス』に吸い込まれる描写があった。これで謎は解けた!つまり、カオスは『ノティングス』によって、異なる次元の世界に強制搬送される衝撃で記憶の一部一部を落としていったんだ。」
さらさらとレイゼロが真相を証明し、レイズに後押しを頼む。
「だから、最後に言った、『都市が亡霊によって支配された国』を検索するの。そこがカオスちゃんの最後に転移した国で、記憶の一部があるところなの。」
そこでクライシスハイザーが、問う。
「あン?じゃァよォ、しょっぱなから、『超軍事国家』で出た世界へ行きゃァイインじゃねェのか?」
「まぁ、そういう手もあるけどよ。正直あんまりおススメしないぜ。」
レイゼロがまた検索し、検索結果を見せる。そこには、下手すると前異世界の総人口以上の検索結果。
「な、言ったろ。片っ端から探すのは骨が折れるぞ。これは。光の速さで行っても1000000・・
・・・・(0が1000兆コ)年はくだらないぞ。それでも行くか?」
ここで行くほどクライシスハイザーはおバカさんではない。
「ちィッしゃァねェ。地道に脳ミソ収集と行くか・・・・。」
そう言った瞬間、クライシスハイザーの目の前に、赤紫に染まった掲示板が現れた。クライシスハイザーは原因と思われるアプリの一つ、メール(NEWマーク付き)をタップする。そこには、
拝啓、この度のカオスの『ノティングス』による転移。体内の物質などの問題に関して、カオスの出身の世界が『ノティングス』を通して、こちらの世界に感づいている模様。よって、その世界の目的及びカオスの保護、その世界による攻撃に対しての応戦。これらの仕事をする人名を此処に記す。
目的の調査:「雷槍者」ギィ・ネクロン、「皇覇者」アストロギア・L・ネーゼ、「魔創者」エンテルス、「人格者」ネロ・ディクラン
応戦相手:「操縦者」クライシスハイザー、「皇覇者」アストロギア・L・ネーゼ、
近衛騎士団団長オルゼ・クラインとその一同、「人格者」リザルドゥ・アヴォス・ヴァルツヲ
カオスの保護:「操縦者」クライシスハイザー
☩以上☩
最後の方を読んだとき、クライシスハイザーの脳内は思考を停止した。何とか、今の気持ちを言葉で表そうとし、頑張った結果
「何だこりゃァァぁァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
かくして、クライシスハイザーは不思議ちゃんなカオスの「保護者」となったのだった。
最近女子と関わることが多いから、友達から「このハーレム野郎!」と言われました。
遂に、バトルシーンかけるー!




