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中二病黙示録  作者: 原初
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vs光の勇者Ⅳ

 vs光の勇者Ⅳ

 

 「厨病教第4位、『操縦者』クライシスハイザー。」

 そう言い、クライシスハイザーが右腕をふるう。風が轟音を発し世界を呑み込む竜巻をつくる。決して燃え尽きぬ火が、虚無を呑み込む業火となる。視線よりも冷たい氷が時すらも凍てつかせる吹雪となる。

 原子を切り裂く風が、原子をも蒸発させる火が、原子すらも凍る氷が、世界を終焉に導く。

 「厨病教にて超亜生命体クリマトリマティーの頂きに君臨する雷撃の死神、『雷槍者ゴルドランサー』ギィ・ネクロン。」

 赤く光る高電圧の大鎌を振り下ろす。赤色の雷の斬撃は運命を穿つ雷帝の如く地面に突き刺さる。突き刺さった斬撃は消えるにとどまらず、マグニチュード10を軽く凌駕する震動を発動する。

 「このっ!ウソだろ。材料の分際でッ!!ここまでの破壊力があるなんてッッ!!」

 この数十秒で世界の半分以上が消し炭になっていた。チート並みの世界を一瞬にして消してしまう程の火力を一斉放射したのだ。そして、急にクライシスハイザーとギィの攻撃が止まった。見れば2人ともかなり体力を削られているようだった。そして、そんな疲労困憊の姿を見て世界になった瘴気男はニタリと笑う。

 「やはり、あれだけ強大な魔法を行使したらいくら元々の魔力が大きくてもつかれるだろうからなあっ!ここでお前らを絶望さしてやろう!これが我が力の真骨頂よぉっ!!」

 削れていた世界が大木を折るような音を出して元の世界に戻る。

 「何ィッ!!」

 クライシスハイザーが驚きの声を上げると、瘴気男は頼んでもないのに解説を始めた。

 「オレの真の能力は『超神速再生』っ!!傷ついた瞬間に治るという優れもの。どうよ材料っ!!絶望し、嘆け。さぁオレを褒めて奉れっ!!」

 超神速再生、意識的発動型の大規模な回復能力である。この世界では神話にしか出てこない最強のスキルである。

 クライシスハイザーは長い溜息を吐くと、瘴気男ならぬ瘴気世界に哀れみの目を向ける。ギィも同様、ゴキブリを見るような目だ。

 「つゥかよォ。『超神速再生』ッてうちでいう『極天速再生キュリメイト』の下位スキルッて見方でイインだよなァ。」

 「そうだな。・・・・でもアレの下位スキルか、・・・・・真の能力って聞いたから何が出てくるのかと思ったら、・・・・・はぁ、頭痛が痛いなあ。」

 呆れを通り越して絶望しかない。

 そりゃそうだ。クライシスハイザーもギィ・ネクロンも『この世界』じゃない世界に住んでいるからだ。

 中二病世界の最高峰。-『中二病黙示録』のスキルは下位の物でも異世界人で最終形態のチートを軽く凌駕する。『創造』と『想像』の究極。

 クライシスハイザーは大きくため息を吐くと、世界と一体化したイキリ男に向けて一言。

 「魔力ゥ?オレ様の世界にもあるが底を尽くこたァねェよ。そもそもその『程度』で喜べるなんてテメェは幸せ者だなァ。」

 腕を一振り。風を切るように虚空をかすめる。その動きで世界が狂った。

 「ぐふッ。なんだ何が起こってるっっ!!!!!!」

 イキリ男が叫ぶ。

 「・・・・操縦。この世界を。・・・・・・確定情報は『他者からの干渉がある』。」

 異形が、建物が、1割にも満たない生存者が、腐りきった世界が、怪物の手に掌握される。

 「あぁっっっ!!!『超神速再生』が発動しないなんてぇっっ!!」

 驚愕の表情をしているだろう男にクライシスハイザーは、面倒くさそうに溜息を吐くと口元を歪ませて最高の高笑いをした。

 「ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァッッ!!残念だッたなァ。アァ、残念ン残念ンだなァ。どんな気持ちだァ?せっかく登場した切り札も潰されてよォ。これだから三下はダメなンだよォ。」

 「何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!オレの再生能力は異世界級の代物なんだぞ。」

 「聞いてなかッたのかよ。何度も言わせンじゃねェ。オレ様はテメェと同じ異世界人なんだよクソが。」

 そう言い捨てクライシスハイザーは最後の締めに取り掛かる。

 (どォやらこの異形や建物にも再生能力の影響下にあるみてェだな。なら、干渉したイキリを能力を引ッ張り出して除外する。建物は修繕し、異形は特定の地域だけでしか行動できないように本能にセッティングする。空気やマナの密度もうまい具合に操縦しつつ、イキリみたいな侵入者がまた入ッて来ねェよォに基本的な生物のパラメーターも底上げしておく。さらにこのことを生存者が噂すンのは良くねェ。脳細胞にある記憶を改ざんし、この落ちこぼれ三下勇者の手柄にすりゃァいい。これで完了だ。ついでに自然も回復させとくかァ。)

 汚い星はあっという間に修正され比較的安全な星となった。今までの荒れ果ての様が夢のようだ。

 クライシスハイザーは、その綺麗な世界の床に置いてある霧がかった記憶っぽいものを空気ごと掌に載せる。

 「これがカオスの記憶でいいンだよな。」

 その問いにまたもや勝手に脳に語り掛けてくるネロが答えた。

 「あぁ、あってるはずだ。じゃぁ、それをカオスの額に当ててやれ。」

 「うるせェ命令すンじゃねェ。」

 と言いながらも、クライシスハイザーはカオスの額に記憶を近づける。すると、記憶は吸い込まれるかのようにカオスの額に入り込んでいった。カオスは小言で「お帰り」と言う。

 「で、どうすりゃこっから抜け出せるんだ。」

 ギィが問うと、今度はギィの脳にネロが言った。

 「早い話、クーガーに脱出のための異世界の門を使わせた。もうじき、自動で戻れるよ。」

 そして、ほんの数秒が経つと3人の体が薄くなっていく。

 消える瞬間、クライシスハイザーは脳裏に何かを思い浮かべた。

 「こりゃァ、面倒くせェ事になりそォだな。」

 

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