第一の手記
ーー私は、死ねば幸せになると思って生きてきた。
花が咲いていた。桃色の桜、白い雲、明るい太陽……、どれも綺麗で、私には眩しかった。
花は好きだ。見てて落ち着くし、人とは違って、存在していても醜くない。
流れる雲も好き。疲れたときに空を見上げると、とても落ち着く。肩の荷が降りて、別の世界を感じているようだった。
けど、明るい太陽は嫌い。夏は暑い。それにあの眩しいものを見るととても憎く感じる。
綺麗な世界は、嫌いだ。
みんな笑顔で、みんな楽しそうで……。
だから、憎い。世界が憎い。
なんで私には他の人と一緒のようなモノが用意されていないのか。
信頼できる家族、仲のいい友達、愛のある恋人……、私の世界にはそんなものはなかったのに。
私の世界には、孤独と、裏切りと、虚無しかなかったのに。
ねえ、神様。
私はなんで、孤独なの?
なんで、私は生きてなきゃいけないの?
なんで私の心は、からっぽなの?
どうして、みんな裏切るの?
なぜ、みんな私を一人にするの?
生きてるだけで、こんなに息苦しいのはなんで?
………………。
……うん、知ってる。
答えなんて、決まってる。
全部、私が悪い。
綺麗な世界が悪いんじゃない。
心の醜い、私が悪い。
性格が皮肉れて、歪んでいて、人格が破綻している自分が悪い。
変わろうとしなかった私が悪い。
気づいたときには後戻りができないほど、私は壊れていた。
だから、誰も悪くない。
悪いのは、私だ。
だから、死のうと思った。
他人を憎むのは間違っている。
自分が悪いのだから、死ぬべきは私だ。
だから、私の幸せは、″死ぬ″ことだけだーー。