学閥!?って、本当にあるのか・・・
会社内の国立出の派閥の話です・・・
※次話は19:00に更新予定です!
「プロジェクトの打ち上げには出なくていいんですか?」
「ああ、向こうはかまわないよ。
それよりも今後の柊君のことを考えると
こっちの飲み会に出る方が何倍も価値があるからね。」
私はそう言いながら、本社を出て、宿泊するホテルにまずは向かう。
「最近は飲み会の席にパソコンや携帯電話をもっていくと咎められるからね。」
「そうですね・・・。
この間も全社に実名と反省文を公開されてましたからね・・・。」
「それでも減らないってのが現状だよ。」
ホテルについてすぐにロビーに下りたつもりだったのだが、
すでに柊君はロビーにて待っていた。
「さすがは日本のサラリーマンだね。」
「そうですね。こんなところでポイントを落とすわけにはいかないですからね。」
苦笑している柊君。
我が社というか、どこの会社でもそうだが、
待ち合わせをした場合にはそれが仕事でも私的なことでも
上司を待たせるのはタブーにされている。
だから、どんなに疲れていようとどんなに朝が早かろうと若手は
上司を待っていることが必要とされている。
出来なければマイナスポイントとなり、評価が悪くなる。
「それじゃあ、行こうか。」
ホテルのロビーからタクシーに乗って目的の場所へと向かう。
それは本社から少し離れた場所にあった。
「国立で予約していると思うけど。」
私は出迎えに来た女将にそう告げると
「こちらでございます。」
案内についていく。私の後ろには柊が控えていた。
「皆さんご無沙汰しております。」
「おお!川村ちゃん!遅かったな!」
「もうすっかり始めちゃってるよ!」
そう言って温かく迎えてくれる。
「・・・すいません。今日は何の席なんでしょうか?」
「ああ、伝えてなかったね。
今日は南日本電機に勤めている・・・
国立大学出の集まりだよ。」
「・・・そんなのがあるんですね・・・。」
驚いたような顔をする柊君に、
「柊君は阪大学だったよね?」
「はい。」
「それならあの方とかがそうだね。」
そう言って私が紹介して回る。
みんなが新顔に興味津々であり、
更には彼が最優秀研究を受賞した柊君だと知ると
「よくやった!!」
「国立のプライドをよくぞ守った!!」
「やっぱり国立出こそだ!!」
そんな声に柊君は苦笑し続けているのであった。
その後も皆に捕まって話をしている柊君を置いて、
私は今日参加している取締役と話をする。
「町田取締役、すいません柊君がご挨拶をしておらず。」
「なーに、あれだけ話しかけられていると私にまではなかなか話かけれないだろう。
それよりも今日のプロジェクトはどうなった?」
「はい、案の定、中央研究所が出っ張ってきましたね。」
「そうだろうな。今、号令大学派閥は窮地に立たされているからな。」
「と、いいますと・・・半導体事業部が?」
「ああ、度重なる投資で苦しんでおるよ。
他の日本勢も莫大な投資をしておるし、
海外はもっと大きな投資をしているからな。
ただ、その投資をしたからと言って、
そのリターンが確実にあるわけではない。
そのためか、あいつらの旗振り役の金沢取締役が
降格されそうなのだからな。」
「後ろ盾が倒れると・・・仕方がないですね・・・・。」
「ああ、その後ろ盾に中央研究所が出っ張ってこようとしているんだろうな。
それと中央研究所も後ろ盾がなくなると火の車になるからな。」
「そうでしょうね・・・。」
「ここで名を挙げればと思っているだろうし、
それにここで失敗しても中央研究所はしっかりやった!と言って、
すべての責任はこちらに押し付けてくるんだろうな。」
「そうでしょうね。議事録を書くことにも固執してましたから。」
「どうせ、一段後ろに書くとかしようとしたんだろう。
いざという時に主担当ではなく、副担当だというために。
それと議事録に協力体制をすると記載させたかったんだろうな。」
「そうでしょうね・・・。
結局は村中プロジェクトリーダーが議事録を作成すると言っていたので、
そこら辺をうまく書いてくれるでしょう。」
「そうだな。村中はなかなかしたたかだからな。
あいつも実田大学出じゃなくて、国立出であれば良かったんだが・・・。」
「そうですね。ただ、まあ柊が加わりましたから。」
「ああ、その点は期待しているよ。
去年、我が社を世界一に導いた男だからな!
今度は単独での世界一を期待しているよ。」
「はい。全身全霊を込めて頑張らさせていただきます。」
その時にやっと解放されたようで私の元に柊が来た。
「遅くなって申し訳ございません。
照明事業部の柊と申します。」
「ああ、かまわんよ。新人は大変だろうからね。
私は町田だ。取締役をやっている。
何か困ったことがあったらいいなさい。」
「ありがとうございます。」
そう言いながらお酌をし、更に返しの酌を貰って一気に飲み干す柊。
「そういえば、町田取締役。柊は町田取締役と一緒の阪大学です。」
「おお!!そうなのか!!いや~珍しいな!
阪大学出身者は多くが関西の電機会社に行ってしまうから
なかなか会えないんだよな~!」
「そうですね。僕以外には同期ではいないです。」
「だろうなー!そもそも関西の大学出身者が少ないからな!
都大学なんかは川村くらいか?」
「そうですね・・・。
あとは、今は海外に数人行ってるくらいなものですかね。」
「それでも数人程度だろう?
今日の出席者だとあいつらは海大学、
その横のグループは宮大学と関大学、そして愛大学。
それと・・・
おお!
あっちには八大学出身者が固まっているな。
あいつらはそれぞれ10人以上いるんだし、
はぁ~ホントに阪大学は肩身が狭いな。」
苦笑している町田取締役。
「他の国立大学出身者はいないんですか?」
その柊の質問に、ああっと思ってしまう。
「柊君・・・
国立大学は・・・
日本に・・・
7つしか存在しなんだよ。」
「え!?
・・・あ!?
そういうことですか・・・。」
どうやら気づいたようだ。
“旧帝国大学”以外に国立大学は存在しない。
ここにいる人間達は選ばれた人間だということを・・・
我々が南日本電機を背負っているんだということを
今日をもって柊君は理解してくれるだろう。
その後も私の後ろについて、同じ国立出身者たちに挨拶をしていった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。