神からのお誘い
自分の脳内で進む異世界モノを淡々を書き記してみました。
長い、わかりにくい、説明好きというメンドクサイ内容です。
バトル少な目?珍道中がメインです。
あとキャラ的なイメージ等もいろいろ流用しそうですが、生暖かい目で見ていただけたら・・・
例えとしてゴブリンやオークは有名な魔王スライムさんのとこのイメージです
「突然なんだけどキミ、異世界に興味はないかい?」
唐突にそんな声を聞いた私は落ちていく意識の中「行けるものなら、行って見たいが・・・」と答えた。
「なにか疑問でもあるのかな?」
「なぜ、この老いぼれを選ばれたのか。己の知る限りこういった類のものは相応の歳若いものが選ばれているはず」
「なるほど、テンプレというのを知ってるから疑問に思ったのだね。最後にキミを選んだだけでほかにも99人ほど候補として選定してるよ、若者から青年を大目に中年以上も20人ほど選んでいる」
「では、寿命が尽きるところであったワシは老人がたどり着くタイプのテンプレどおりに転生でしょうか。それとも若返って転移させられるとか」
「気が早いねぇ、話が早いからいいけど今すぐじゃあないよ。今回の試みのため、色々なパターンを検証するのが目的なのさ」
「どこかに強制転移させて、何かと戦わされたりするようなアレですか?」
「そういうのも考えたんだけど、そういうのはテンプレでどういう顛末になるか想像できちゃうから」
姿は見えないはずなのに、肩をすくめてため息を吐いてるのが見えた気がした。
「詳しくは選定した全員と一緒に話すよ、キミは気付いてないようだけど存在が魂だけだから仮初めとして・・・何歳くらいの姿がいいかな?」
「では・・・24歳がいいです」
「ちなみにその歳を選んだ理由を聞いても?」
「はずかしながら老後でも異世界転移や転生といったテンプレを楽しんでいたワシですが、その頃が一番楽しめていたからですな」
「よし、仮の肉体の構築は出来たから移動させるよ。浮遊感を感じた後、足が地に着いたらゆっくりを目を開けてくれ、若返った視覚にびっくりしないように」
「ありがとうございます」
「では、ようこそ私が作り出した世界へ」
浮遊感を感じたあと、眠りから覚めるような感覚で自分の肉体を認識できた。足の感触がどこかに立っている自分を理解すると、ゆっくり目を開ける。
そこはファンタジーでは定番と言える様な、楽園の箱庭を思わせる庭園であろう場所だった。昼寝ができそうな少し盛り上がった土の山にやわらかそうな緑の芝生、きれいに石が敷き詰められた通り道、脇には透き通る水路、その水路は中央にあるシンプルな噴水から続いていた。
そしてそこかしこに居る結構な数の若者達、噴水のそばには大人の姿があった。
「選定された100人、疑ってなかったわけではないが本当だったのか」
その言葉をつぶやいた直後、ワシを選んだ神と思える存在の声が響いた。
「さて、選ばれた100人のこれからを説明させてもらおう。出来れば箱庭の中央にある噴水の側まで来てほしい」
その言葉を聞いて見える限りの人が庭園の中央に集まり、それぞれが噴水を目にできる位置に来る。
「では、説明をする前に姿を見せるとしよう。といっても特徴もなにも君らには認知できないから光り輝く人型のようなモノでしかないけどね」
そう声が聞こえたときには噴水の上に光輝く人型の存在が浮かんでいた。
「改めまして、私はこの世界の創造主です。自分から神を気取る気はないけれど、作り上げた世界では一応創造神として信仰されているよ」
集まってきた面子は「テンプレだな・・・」とか「ありきたりだな」とかのつぶやきも聞こえるが、「やったぜ」とか「わくわくするな」と喜ぶものが大勢いた。
「まず、みなさんには私が作り上げた異世界『リ・アース』に転移や転生といったカタチで行ってもらいます」
説明がはじまると皆静かに聞きはじめた。
「いいですねぇみなさんの反応、私がこれからする説明は大事ですからね。聞き逃さないようにしておいてください。まず転移や転生については一部を除いて希望を聞いてあるのでそのままです」
ワシは聞かれて・・・あ、神様こっちをみてうなずいてるってコトは除外されてるのはワシか
「異世界の名前からわかりそうだけど、向こうの世界は君たちの世界を大体模倣して作ってある。いくつかの違いを除けば地形はほぼそのままだね」
「違いはどんなとこですか?」
噴水近くにいた若い子から問いかけられた神は「うーん、まぁいいか」といった感じでその子に顔を向ける。
「詳しく教えちゃうと楽しみが減るから、すこしだけネタ晴らしとしてまず北米とロシアにある先端は陸続き、オーストラリアがすこし南米寄りになってそこそこ広い大地になってる。君らのほとんどが故郷である日本はすこし陸から離れて一回り大きなひとつの島になってる。あとは南米かな、横幅が広くなってる」
世界のおおまかな地図が想像できたようで、わかりやすいとか助かるといった声が聞こえる。ほんのわずかつまんねぇとかもうちょっとないのかとかのぼやきもあった。
「続けるよ、次は種族に関してだけど結構がんばったから定番も含めて大抵はいるね。ただ小人族がごちゃごちゃしてたから草原の小人族という一種族にまとめた。呼び方はグラスランナーになるよ」
大抵の種族がいると聞くと若い少年たちが興奮気味に「異種族との混血とかありますか?!」とか「定番なら獣人族とかモフ耳の確認が先だ!」とかあれやこれやと質問を繰り出す。
露骨に肩をすくめた神は冷ややかな声で話し出す。
「はいはい、すこし落ち着きなさい。騒がしすぎるとここで説明終わるよ?」
長いこと生きてきたワシだが、あんな心の底からぞくりとする声を聞いたのははじめてだった。神を名乗ったのに気さくな会話しかしてなかったため、インパクトも大きかった。
「君たちの好奇心はあとで知る機会を設けるから自分で調べるように、本題を続けるよ?」
調子に乗っていたであろう若者たちは引きつった顔を上下に振っていた。
「えーと、種族に関して絶対に言っておかなければならない事がひとつ、この世界ではゴブリンやオーク、オーガといった定番のモンスター、妖魔、亜人といわれてるようなのもひとつの種族として認められている地域があるので忘れないように」
流石にレベル上げとか異世界モノの定番ネタ(内容は想像してください)をやる種族が人種のひとつと言われてざわつきだす。
「納得しにくいとは思うけど、定番的なそういうことをするろくでもないのも居れば、他種族と友好を結んで生活圏を共有しているのもいる。人間と同じだよ」
人間と同じ、そう言われて顔をしかめる人が結構居たがなにかを言い出す人は居なかった。
「さてここから、君たちが望むであろうモノの説明に入る。異世界チートについてですが」
一切の声が途切れ、ここに居るすべての目が神に集中する、なかなかお目にかかれないような現象を肌で感じた。
神が「おおぅ」ともらすと咳払いをして切り出す。
「異世界チートは基本、ありません」
ほぼ全員が「は?」という声を上げた後、「どういうことだよ!?」とほぼ全員がハモった。
「いやさ、普通に考えてごらんよ。定番とされてる剣を使う技能とか魔術を使う技能、身体能力が向上するようなものとかどうやって身に着けるのさ」
ざわついてる喧騒のなか、ひとりが切り出す。
「それはスキルとかレベルとか上げればいいのでは?」
「ソレはゲームとかの話でしょう、私が、いつ、ゲームの世界を作ったと言いました?」
若者たちはもう一度「どういうことだよ!?」と声をハモらせた。
「私は異世界そのものを作り上げたんです、そこは君たちの知る現実とほぼ変わらないんですよ。体を鍛えてなければ腕の力も走る力も持久力や環境変化にも付いていけない、ごく当たり前のことです」
マジですかー、やり込みゲームは大好きではあったからわかるっちゃわかるが・・・かなりシビアなサバイバル生活になるのか、それとも何かしらの抜け道があるのか、続きがあるなら聞きたくなってきた。やり込みという時点で年甲斐もなくワクワクしてきた。
「とはいえ、この世界は異世界として作ったのであっちの世界とは違う要素も存在します。わかりやすい代名詞としてマナというものを世界の根底に根付かせてあるんですよ。魔法や魔術、生命や精神にもつながる要素といえば大体理解できるでしょう?」
いまだざわついていた若者たちが八つ当たり気味に騒ぎだすが神は動じず、静かに見下ろしている。
そして騒いでいる一人が叫ぶ。
「魔術あるんじゃん、どこがチートがないっていうのさ!」
「魔術がないとは一言も言っていませんよ、それに先ほど言ったことを理解してないんですか?」
やれやれという感じで神は周りを見渡し、告げる。
「魔術を使う技能をどうやって修得するか、原理も理屈も知らない君たちがどうやったら使いこなせるのか。剣術も同じです、剣の重さや切れ味を理解できますか、またそれをどう扱えばいいのかも」
ここまで言われて騒いでいた全員が理解を示したのか、再び神に視線が集まる。
「ようやく理解していただけましたか、君たちが思うようなレベルとかはありませんが技術体系というのは向こうの世界にちゃんと存在しています。ここで教えるつもりがないので理解することがほぼ無理なだけです」
そして神はぐるっと全員を見回し「そろそろいいかな」と口にする。
「いま教えた内容に付随することとして、言語について教えておきます。基本的に全部日本語でオールオッケーですが、各種族での特有言語も存在するのでそっちを理解したいなら勉強してください。何より異種族と仲良くなろうとするなら彼らの言語くらいは話せないと門前払いされてしまいますからね」
「「「「「「「何ゆえ日本語?!」」」」」」」
「定番の異世界転移セットとかいう言語関係ってね、注意力が高い人だと口の動きとかに違和感を感じること多いんだよ。なのでこの世界を作ったときに共通言語として日本語をチョイスしておいたのさ、楽でいいだろ?」
なんという定番キラー、次はどんな定番をキルするのか・・・
「漢字についてはムツカシイのは使われてないよ、大の大人でもちゃんとした教育を受けてないならひらがなが普通だ。街にある商会や国の機関、教会や神殿くらいになると多少の漢字が混ざるけど普通に勉強をしていたら君らでも読める程度だから安心してほしい」
神が一息つくような動きをした後、ゆっくりと話し出す。
「正直ここまで話してからこう言うのは非難を浴びそうですが、救済措置としていくつか用意していることがあります。聞きますか?」
無言の視線、だが一部は両手を組んで「神様!」と潤んだ目で見つめていた。
「あれだけリアルな何だと言っておいてこういうのはよろしくないんだけど、今回の目的はあくまで異世界転移や転生がどう世界に作用するかを知るためなんだ。理由をばらすと異世界からの召喚をやられかねない事態が現在進行形で進んでるってのがあるんだ」
ソレって定番な勇者召喚とか、ゲスい貴族とかの奴隷にされて戦わされるとかのアレか。
「勇者召喚という定番なやつではあるんだけど、さっきも言ったけどチートは基本ないんですコレ大事。となれば呼ばれてしまった者がどうなるかわかるよね、別な方向での定番になっちゃうんだよ」
奴隷一直線、もしくは最悪なパターンもありえるのか。
「こちらの事情はおいとくとして、救済措置のほうを進めようか。チートは基本ないと宣言しましたがソレに近いものを全員にギフトとして付与します」
若者たちは一斉に歓声を上げ、喜びだすが神の雰囲気がまだ何かあることを醸し出す。
「ギフトの内容ですが、『努力が絶対に実る』というものです」
これはまた、チートじゃないというが使い方次第でチートに成り得るとんでもギフトだ。努力がどの程度のものを示すかがチートとは言い切れない要素か。
「コレをどう理解して、どうやって生きていくかちゃんと考えてください、いいですね?」
念を押すようなその言葉を聞いた皆が静かにうなずく。
「ではそろそろ次の段階へ行くとしましょうか、全員の目の前に扉を出しますのでそこに入ってください。ああ、向こうに行くための転移とかではありませんので安心してください」
次はなにが起きるのか、ワクワクが止まらん。
「扉の先では、私の権能でみなさんの使ってない頭のリソースを使った各個人向けチュートリアルのようなものが出来ます。ここで個人の欲求にそった質問なり、疑問を解消してみてください。対話する相手の知識はこの私の開示できる知識から引き出されるので現状教えられない内容以外ならちゃんと回答が帰ってきます」
その直後、それぞれの前に扉が現れた。
皆、さまざまな表情と決意をもって扉を開け、入っていく。
自分も目の前の扉に手を掛ける。
「いざ、次のステージへ」