第5話 古の賢者達
とある荒れ果てた荒野
とある朽ちた遺跡
そこは朽ち果てた土塊に等しい、歴史に忘れ去られた場所だった。
そこに彼等はいた。
遺跡の奥深くには、あらゆる文明を超越した太古の者達がいた。
人々は彼等を古の三賢者と呼ぶ。
彼等はかつて多くの星々を従えた文明の生き残りだった。
文明は滅びたが彼等は健在で、世界の事象を知ることを最上の喜びとしていた。
彼等は全てを知りたがっていた。
この星を、この宇宙を、そしてかつて砕け散って全ての宇宙を。
その先に存在するだろう、至高の冠を手にするために・・・
・
一人の迷い人がいた。
迷い人は遺跡から遥か星の世界を見上げていた。
賢者達は迷い人に告げた。
-時は満ちた、決めよ
-星を彷徨う異邦人よ
-汝は帰還を望むか
そうだな、私の故郷は地球だ。
私は友と再会したい。
-神々の世界は、厄災により数多へと分かたれた
-お前の宇宙は外の世界、帰還など叶わぬ夢
-しかし我らが術を持てば、叶うやもしれん
だからどうだと?
私は帰りたいだけだ。
-望むならば与えよう。
-なれば、お前も与えよ。
-我らが望みを
ならばくれてやろう。
あいつに会えるのなら、この命さえも・・・
-いらぬ、求めるは智のみ。
-数多の宇宙で、お前は数多の事象を識るだろう。
-それをただ伝えよ。
-それこそが我らの望み
-それこそが我らの喜び
-それこそが我らの糧
そんなもの、幾らでもくれてやろう。
-さあ答えよ。
-選択の時だ。
-お前は我らの手を取るか?
取ろう、返答など初めから決まっている。
-よかろう
-ここに約定は交わされた。
-これより汝は我らの隷となった。
間違えるな
互いに利用するだけだ。
-不死者よ、その道のりは長く困難となろう。
-志半ばで力尽きるやも知れん。
-だが、それでも行くのだな?
ああ・・・それこそが私の望み
私の願い・・・
あの時、三賢者との契約を交わしフィロと共に旅立った。
・・・あれから幾つの宇宙を渡り歩いたか・・・