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GESU FOUR MAN ARMY  作者: 白黒 鈴
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五:金髪のイケメン



 さて、とりあえず金髪のイケメン君と女の子に、護衛を助けてみたのだがどうしたものだろうか。

 マークスはそんな事を考えながら三人を観察していた。


 生き残った護衛は、イケメン君達を庇う位置に立ちながら直ぐに剣を抜けるよう、構えている。鎧は体の要所要所を厚い金属板で守り、間接部には鎖帷子と革で覆う事で防御性と機能性を上げている。

 その他の特徴として、地味な顔にチャーリーの茶髪茶目を濃くした、栗髪栗目と表した方が適した色。今は怖い顔をしているが瞳からは警戒心と、怯えが容易に理解出来る。


 次に金髪のイケメン。騎士より低く、俺と同じぐらいの身長で金髪碧眼。顔のパーツはバランス良く整って居て爽やかな印象がある。そして中肉中背だがスマートな体。俺とは大違いで羨ましい位だ。爆発してしまえ。

 先の戦闘で汚れてはいるものの、青を基調とした服は学校の制服にも見える。腰にはベルトで空の鞘を吊り下げている。護衛が帯剣してる物に比べて鞘は細いし鯉口が小さいから細剣レイピア用か?あるいは両手突き剣(エストック)か。


 最後は女の子。イケメンの横に居て、服の裾を摘まんでいる。顔立ちがどことなく似ているので妹なのだろうか?美少女まではいかなくても、上から数えた方が早い部類に入る。

 しかし青い、いや水色に近いか?濃い水色の髪と蒼穹を写した双眸。日本だったらコスプレとかでしか見る事は無いだろう。

 視線を動かせば次は胸元に行く。胸元は見る限り大きくなく、手に収まるサイズ程度だろう。

 こちらも青を基調とした服装だが、スカートや首元のリボン等の違いがある。


 そう観察していると金髪のイケメンが口を開いた。


「◯、◯◇◯※△※@□@&〒▼〒?」


 だが、聞こえた言葉は日本語でも英語でもなく、異世界の言葉だった。何を言ってるのか全然わからず、四人は首をかしげ頭の上にはてなマークが浮かぶ。


「おいこれ、御都合主義とか主人公補正で会話出来ねぇのかよ」

「外国人だから会話出来ないのはむしろ当然じゃないかな」


 チャーリーのメタい言葉に、ギルが正論で返す。


「つまんねぇー、普通魔法やらスキルだの、自動で翻訳されるもんだと思ってたぜ」

「そんな都合のいいモノ世の中……あるね」

「え?あんの?」

「メニュー画面の環境設定に確か」


 そう言ったギルは端末をいじり、設定画面を指差して見せてくる。


「ほらここの、自動翻訳ってところ」

「御都合主義キターー!」


 画面には環境設定パラメーターが数本横に伸びているその下に、細かなチェック欄があり機能がオフにされている自動翻訳が埋もれていた。


「これで通じなかったらどうするの?絶対地球上の言語じゃないでしょ。文字も違うだろうし」


 アスカの疑う声。だがこれは当然の物である。自動翻訳といえど、元は地球上に存在する基本的な公用語にだけ対応している物であるだろう。それに相手の言葉が理解できるだけかもしれない。

 筆談をするにしても文字に関しては、仮にこちらが翻訳機能で読めたとしてむこうの言語や文法等はわからないし、ましてや日本語が相手に通じるワケがない。


「まぁ、その時は諦めて身振り手振りで会話するしかねぇな」

「あんたはお気楽だね、マークス」

「いつもの事だろ?それに手段がねぇんだからよ」

「まあね」


 ギルが呆れて肩を竦ませると、護衛が大声で指差してきた。


「Д≡Д@▽@★*☆!」


 相変わらず何言っているのかわからないので、さっさと設定を変更するとしよう。


 刹那――光と音が消えて、眩暈に近い感覚が襲われる。


「うおッ」

「ヤバッ」

「キッツー」

「はぁ~」



◆◇◆◇◆◇



「お、おい。大丈夫か?」


 なんとか立ち直ると、金髪のイケメンが困った顔で尋ねて来る。聞こえてきた言葉は、寝言を外国語にしたようなものから日本語になっていた。


「あ、言葉がわかるようになった」

「ほんとだ」


 まず相手の言葉が翻訳される、という点は解決できた。次はこちらの言葉が向こうに翻訳されて伝わるか、だ。


「で、誰が話しかけるよ?」


 すると三人の「言い出しっぺのお前が行け」と込められた視線に、渋々マークスが前にでる。


「俺らの言葉わかりますか?」

「あ、あぁわかるが…」

「聞きたいことはたくさんあるでしょうが、まずは場所を移します。これ(死体)が転がっている所に居たくないでしょう?」


 金髪イケメンの後ろ二人は、不安げな眼差しで事のなり行きを見守っている。一瞬悩んだ顔をするが、結論はすぐに出たようだ。


「良いだろう。だが、その前に残っている荷物と彼らの遺品を集めさせて欲しい」

「どうぞ。ですがお早く」


 目配せされた護衛が思い出したように動き始める。


「それとこれを」


 そう言って渡されたものは白い結晶だった。大きさは二十センチ程でそこそこ重い。


「これは?」

「あのオークが死んだ時に落とした魔結晶だ」

「魔結晶?」

「聞いた事ないのか」

「ああ」

「魔結晶を知らないとは…。君達は相当の田舎者か世間知らず、か」

「まぁそこら辺は追い追いお話しますよ。で、こいつは貰っても良いんですか?」

「オーク共を倒したのは君達だ。それを有する権利がある」

「なるほどね、ではありがたく」


 受け取った魔結晶とやらをポーチの中に押し込む。


「あぁ、後その面は外してはもらえないか?」

「面?あぁ、これか」


 ヘルメットを外し、インカム付きのヘッドセットを首に掛ける。ガスマスクを下から持ち上げるように外しながら、額あたりで親指を引っかければ強化服パワードスーツの防護フードもおろされ、不健康な顔とボサボサの髪が露になる。

 すると込もっていた湿気が飛んで行き、新鮮な空気が頬を撫で、同時に死臭が鼻腔をくすぐる。

 ダンプポーチにガスマスクをねじ込みながらも、話を続ける。


「これで良いか?」

「あ、あぁ」

「お前らも外せ」

「りょーかい」

「わかった」


 ギル、チャーリーは手際良く外し始めるが、マークスの隣にいるアスカは苦戦している。


「マークスぅ、メットが取れないよぉ」

「ハイハイ」


 アスカがヘルメットの留め具を外しきらず泣きついて来たので外す。そのままガスマスクなども外してやれば、ラピスラズリを思わせる濃い青色の双眸と、黒く癖毛のあるボブカットが窮屈な状態から解放される。


「ありがと」

「へぇ、女の子なんだ」

「これでも二十歳超「フン」――アダダ!」


 コイツ、踵で爪先をおもいっきり踏んできやがった!

 二人の光景に呆れたチャーリーが割って入る。


「いつまでイチャついてんだ。遺品の回収が終わったみたいだし、さっさと移動するで。アスカはポイントマン、マークスは殿(しんがり)な」

「わかった。あー痛かった」

「フン」


 アスカはズカズカと歩きだすが…。


「おい、アスカ。そっちじゃなくてこっちだ」


 すると綺麗な回れ右で戻ってきて、すれ違いざまに脇腹を殴られた。何故だ……。



◆◇◆◇◆◇



「ルイス様」

「なんだ」

「信用して宜しかったのですか?」

「彼らのことか」

「はい、こいつら明らかに怪しいですよ」

「それはわかっている」

「だったら何故」

「彼らの胸元に白地に赤丸の紋章があった」

「それが何なんですか?」

「確か、勇者の故郷の国旗がそうだと聞いた覚えがあってな」

「な!ではこいつらは二ヶ月前に召喚された勇者だというのですか?」

「だったら召喚した国の護衛がいるはずだ」

「こいつらは一体…」

「わからない。が、少なからず敵では無いだろう」



◆◇◆◇◆◇



 戦闘のあった場所から湖に戻るまでは大してかからなかったし、カマキラスにも遭遇しなかった。


「さて、助けてくれた事に感謝仕切れないが、これだけは聞いておかねばならない。一体君達は何者だい?」


 後半からイケメンの瞳は鋭いもので、どう答えようか迷う。


「そういうのを聞く時はまずあなた方から話すものでは?」


 すると後ろにいたギルが飄々とした態度で聞き返す。


「貴様ッ」

「やめろチェフ、恩人に失礼だぞ」


 チェフと呼ばれた護衛が突っかかろうとしたが、すぐに金髪のイケメンに窘められる。


「部下が失礼した。私はローシン王国タールベルク伯爵家嫡男のルイス・タールベルクだ」


 うわー、なかなか面倒な人達を助けちゃったよ。まぁ、ここの情報を得るならこの上ないアタリだ。


「そしてこちらが妹の――」

「ステラ・タールベルクです。さ、先程は助けていただいてありがとうございます!」


 丁寧にお辞儀してきたので、反射的に会釈してしまう。するとさっき突っかかってきた護衛が前に出てきた。


「彼は私とステラを護衛してくれている騎士だ」

「チェフ・シャイドルです。今回は窮地を救って頂いて感謝します」


 多少、棒読みな感じだが、まだ警戒してるんだろうな。まぁ、しょうがないか。とにかくこっちも自己紹介するか。


「自分は建前こいつらのまとめ役になっている、マークスというものです。でこっちが――」

「私は超絶美少女のアスカちゃんでーす!この三人は私の下僕だよ!」

「「「「は?」」」」

「え?」

「あ"?」


 気配を消して素早くアスカの背後に回り、そのままアスカのこめかみに拳――特に中指第二関節を突き出して――を当てて俗にグリグリ攻撃と呼ばれるもので締め上げる。


「いきなり変なこと言い出してんだ、この馬鹿!」

「Ginyaaaaa!」


 変な悲鳴を上がっているが、お構い無しに続ける。


「ギル、後頼む」

「はいはい」

「Nyaaaaaaa!」



◆◇◆◇◆◇



「お見苦しいもの見せて申し訳ない。あの二人はほっといて話を続けましょう」

「構わないが…いいのか」

「いいんです、いつもの事なので。そういえば、先程の何者かという質問にお答えしましょう。私達は流れの傭兵ですが、ちょっとした事故にあいましてね」


 呆気にとらわれている三人だが、ギルが代わって話を戻すとルイスは顔を引き締める。


「傭兵の方々でしたか、通りで強いはずだ。それと事故とは?」


 鋭い瞳で見られるが、ギルは飄々とした態度を崩さずに答える。


「色々と守秘義務があるので、答えられる範囲でしか話せないのですが。傭兵業を始める前は軍におりまして、そのツテで紹介された仕事だったんですよ。それで仕事していたら謎の光に包まれて、気がつけばここにいました」


 かなりぼかしているが嘘は言っていない。これでこの人はどこまで信じてくれるかな。


「なるほど。では聞きたい。何故私達を助けた?」

「何故と言われましてもね…」


 質問の意図が読めず首をかしげてしまう。何いってんだこの人。


「私達がオークに殺された後、金目の物を盗っていけばかなりの額になったぞ?」


 あぁそういうことか。


「先程も申し上げたとおり、自分達は気がつけばここにいて孤立無援の状況。それなら助けて恩を売ったほうが利益になるので。確かに金は確かに必要ですが、今はそれ以上に情報が欲しいんですよ」

「例えば、どんな情報を?」

「色々ですよ。この土地での常識的な事や歴史等々、今の自分達には圧倒的に情報が足りないので」

「その程度ならお釣りがくるな。えっと……」

「自己紹介がまだでしたね。私の名前はギル、このチームの作戦参謀やってます。ちなみにこちらのデカブツは支援サポート担当のチャーリーです」

「どうもー。ご紹介に預かりましたデカブツのチャーリーでーす」


 そう言いながら肘で小突いてくる。やめろ、地味に痛いから。睨んでも鼻で笑われた。


「まだくらくらする~」

「自業自得だバーカ」


 するとお仕置きが終わったのか、二人が戻ってきた。アスカはまだ痛がってるし、どんだけ強くしたんだよ。


「話は終わったかー?」

「もうちょっとで終わる」

「あいよー」


 相変わらず呑気なんだか適当な態度だと思ったら、ルイスの咳払いで現実に戻される。


「それでは、最後の質問をさせてもらおう」

「なんでしょう?」




「君達、本当は勇者ではないのか?」




マークス達のキャラクターイメージ

※名前 (年齢)

 元となったキャラクター名 (原作名)

 追加イメージ


マークス (20)

イメージ:黒 (DTB流星の双子)

オタクとおっさん要素増量で

アスカ (20)

イメージ:ゼーレ・フェレライ (崩壊学園)

特になし

ギル (20)

イメージ:織斑 一夏 (インフィニット・ストラトス)

爽やか要素ゼロにして根暗な悪役感満載で

チャーリー (20)

イメージ:ボリス (BLACK LAGOON)

傷を失くして気の良い兄ちゃん風で

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