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転生少女は雑貨屋になりたい  作者: conon
第一章 幼少期
6/64

1-6 希望の風

6話目です。

やっとサバイバルらしくなってきました。頑張れ真琴。

「揺れたっ。揺れた!揺れたっ!!!あ、また揺れてるっ!」


 変化。丸1日経って、待望の変化だっ!

 動く何かがあるっ!!

 石は揺れないっ!岩も揺れないっ!あんなに撓るような動きはしないっ!

 いつ風が止むか分からない。見失う前に辿り着かないとっ!


 めっちゃ急いだっ!ちょっと小石踏んで痛かったっ!

 でも最速で急いだっ!15分は掛かったっ!結構遠いじゃねーかっ!


「ッ!!・・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


 辿り・・・着いた・・・・・・。

 

---そこに合ったのは、枯れた木の枝だった。


 木の枝と表現するには些か大きいが、確かに木の枝である。

 ってか、木そのもの?

 うーんとっ、3~4m位の若い細めの木を地面に2/3位埋めた様な・・・。

 結構背が低くなってしまってるので揺れてくれなかったら絶対に気がつかなかった。

 ありがとう風さんっ!


---キィィィィィィィィィィン!!


「ッ!?・・・・また耳鳴り?」


 折角の感動に水を刺す耳鳴り。

 嫌、今のは耳鳴りというより拡声器のハウリングみたいだった。

 耳の中で直接起こるハウリング。・・・そんな感じだった。


「一体何なんだ・・・。っと、そんな事より木だよ木っ!」


 一番近い木の枝に手を掛ける。


---ポキッ!!


 完全に乾燥している。枯れてからどれ位たったのだろう。

 むぅ。燃やすにはちょうどいい感じだけど、加工できるだろうか・・・。

 朽ちる寸前。そんな感じだ。

 腰から皮袋を外し、【赤い水晶】と少し離して岩の上に置く。

 この周辺なら他にも何かあるかもしれない。


 木を中心に周辺を探す。

 木が埋まってるって事は、ここは埋め立てられてる。

 どういう力が働いたらこうなるのか分からないけど、この木もしくはこの辺はうまく埋まらなかった。きっとそういう事なんだと思う。

 いくら歩いても何も見つからない訳だ・・・。


---動かせそうな岩を崩れないように移動させる。


 今日はここで野営だ。屋根になる岩はないけど壁になる場所はあった。

 今日こそ今後の為にも火を起こす!岩を退かしながらも円形に組んで竈をつくる。

 あまり大きな岩は動かせないし、深くも掘れない。

 この周辺は、上流の川原のように持ち上げるのに少し苦労する岩ばかりで安定していない。

 暫く掘り起こしていると岩の間に何かが挟まっているのが見えた。


---朽ちかけた木の根だ。


 そっと岩を退かし、手に取る。端っこが崩れ落ちた。まるでおが屑だ。

 火口になるかもしれない。どの方法で火を起こすにしても火口は大事だ。

 今は昼過ぎ、まだ時間はあるはずだ。

 黙々と岩を退かしていく・・・。



 1時間はたっただろうか・・・。

 そろそろ枝の採取をしよう。ポキポキと小枝を折っていく。片腕で無理なくもてる量。

 続いて、太さが3cm位の枝を両手いっぱいになるくらい折る。

 完全に枯れているので少し尖った岩で勢い良く叩き亀裂に腕に力を込めるだけで綺麗に折れる。

 あまりにも綺麗に折れるので楽しい。

 最後に1本、太さ5cm位の枝を折る。

 何度か尖った岩を叩き込んで大きく亀裂を入れ、体重を掛けてへし折る。

 子供の力というのもあるが流石枯れてても5cmの枝、一瞬体が浮いた。

 

 まずは本日の収穫物を紹介しよう。

 1,朽ちかけた木の根  1本

 2,細い小枝      片手いっぱい

 3,太さ3cmの木の枝  両手いっぱい

 4,ぐるぐるに絡まった枯れた蔦 一塊


 4は、岩を退かした所にあったものだ。まだあったが挟まってて取れそうもなかった。

 収穫は上々!そろそろ火を起こす為の準備だ!

 まずは、5cmの中央に尖った岩で端の方に穴を開けるように真上から叩き込む。

 窪みを細かく叩いてへこませていく。

 3cmの枝の中からなるべく丈夫そうな物を2本選ぶ。

 そのうちの1本は、両サイド2cm位のところに浅めの切り込みグルっと一周をいれる。

 もう1本は、枝の片側を少し丸める。


 これがちょっと苦労した。削る道具がちょっと尖った岩だからだ。

 苦戦しながらも何とか少し丸める事ができた。手が痛い。

 

 そしておもむろに脱ぎますっ!

 ってのは冗談で、腰紐を外します。腰紐だけです。

 腰紐を切り込みの入れた枝の片側に強く結びます。

 先端を丸めた枝とクロスさせ腰紐を丸めた枝にくるっと一周巻きつけます。

 そのまま腰紐を反対側にきつく結びます。この時、枝を撓らせて弓の用にするのがポイント。


---完成っ!原始時代のユミギリ式火起こし器っ!!(簡易版)


 さて、試運転だ。

 まずは5cmの枝を窪ませた部分が上になるようにし、動かないように固定。

 丸めた枝をその窪みに嵌めるように立てる。

 左手に窪んだ石を持って丸めた枝の上部に添えて倒れない程度に力を掛ける。

 右手は弓状になった枝を持つ。


---そして、只管に右手を前後させる!


 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


 よしっ!動きは上々だっ!思ってた通りにできたっ!

 実はちょっと不安だった。

 小学生の時の体験授業でやった記憶を頼りに初めて作成したのだ。

 あの時は予め道具が揃ってて、体験するだけだった。

 本当は、マイギリ式の方が火起こし事態は楽そうなんだが今ある道具ではこっちしかできそうもなかった。モミギリ式?論外だ。絶対つく気がしない。


 試運転も完了したので、別の作業をはじめる。

 早く火起こしを開始してもいいのだが、獣もたぶんいない、寒くもない、料理もしないのでは焦って付ける必要もない。暗くなったら寝ればよい。

 それよりも明るいうちにやっておきたい事が他にもある。


---絡まった蔦を持って岩に腰掛ける。


 さー解くぞーっ!黙々と解く。

 絡まった毛糸を解くより全然楽チンだ。余裕余裕。


 全てを解き終わった頃には少し辺りが暗くなってきた。

 もう1時間程で火が暮れるだろう。もう少しだけ作業を進める。


 長く細い蔦を1本用意して手首が緩く通る位の輪を作って固結びにする。

 その反対側には15cm程に岩でカットした蔦を6本を固結びにする。

 反対側も同じように長い紐を結ぶ。こっちは輪を作る必要はない。

 中央の6本を広げ、別に用意した長い蔦を簡易帯靴の時の要領で編んでいく。

 目を細かくする必要はない。ネットのようになるべく幅広になるように。

 網目が解けないように結んで完成!


---投擲用スリング兼【赤い水晶】用腰止め!!


 これがあれば【赤い水晶】を手で持って歩かなくて済む。

 中央のネットに【赤い水晶】を乗せて、腰帯に引っ掛けるだけだ。

 いざという時に武器にもできる。もちろん投げるのは石ね。


 さて、時間もいい頃合だ。そろそろ火起こしチャレンジのお時間です。

 今晩は明るい夜を迎えられる!がんばるぞっ!

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