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転生少女は雑貨屋になりたい  作者: conon
第二章 少女期
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2-3 別れ

 変な弟に連れられ、鉱石を確認したところ、うちの下水を引く分は十分にあったので配管とシンクを作成した。シンク台は、明日から作成しよう。

 その後工房に戻り、伝書燕に付ける手紙を作成した。なるべく子供の字を意識しつつ、完結な文章を考えた。できる予防線はこれだけだ。面倒な事にならなければいいけど…。


───コンコン 工房のドアがノックされた。


「アデール?お茶にしない?」


「うん!今終わったから行く~!」


 ソニアお母さんが緑茶を入れてくれた。やっぱ日本人は緑茶だよねぇ~ほっとする…

 紅茶は、いい茶葉に出会えてないのでまだ作れていない。いつかできたらいいなぁ。


「手紙、できたの?」


「うん。できる配慮はしたから、たぶん大丈夫だと思う。」


「ミュリエルの我が侭で、ごめんね。」


「大丈夫!可愛い妹の笑顔の為だからねっ!」


「あのね、アデール。私達の為に無理はしなくていいのよ?私達は十分助けてもらった。貴女は、魔樹(マナツリー)を守る役目がある。もちろん、私達も一緒に役目を全うしようって思ってるわ。でも…今回みたいに危険を招くかもしれない…。もしこれで、ここの場所がばれたら…」


「ソニアお母さん!!大丈夫…大丈夫だよ!無理はしてないよ!不安がない訳じゃない、もしかしたら…そう思う事もあるけど…使命も大事だけど、エルの…ミュリエルの事も大事なの!家族が大事なの!…だから…だから大丈夫!!無理じゃない!」


「…ありがとう、アデール。流石、私の娘ね!!」


 そう言って、ソニア母さんは私を抱きしめた。くすぐったくって、暖かい。

 いい年してなんだろうね…ソニア母さんよりずっと年上なのにね。どこの世界も、母は強いし暖かい。




 翌日の朝、鳥籠を抱えたエルが私の部屋までやってきた。


「…おはよう、お姉ちゃん。」


「おはよう、エル。どうしたの?部屋に来るなんて珍しいね。」


「昨日の夜ね、お母さんとお話したの…。」


「…そっか。」


 エルは、言葉を選んでいるのか俯いたままドアの前に立っている。

 私は、エルの言葉を静かに待つ…数分の沈黙を経て、エルが口を開いた。


「…ごめんなさい。お姉ちゃんの事…全然考えてなかった…危ないかもしれないなんて…全然考えてなかった…なのに…なのに、お姉ちゃんはっ!エルのおおおおおっぐ…エ”ル”のごどおおおおお…うわあああああんっ!!ごめんなさいーーーー!!」


「エル、おいでっ!!」


 私は、両手を広げてエルを呼んだ。エルは、足元に鳥籠を置いて全力で突っ込んできた。


「…ゴフッ!ッゴホゴホ!!」


「ああっ!ごめんなさいっ!お姉ちゃん!!」


 エルが慌てて体を離し、心配そうに私を見た。

 目があった瞬間、どちらともなく自然に笑いが込み上げた。


「あははははっ!!ふふっ…ふぅ…大丈夫だからねエル。私がそうしたいって、そう思ったからそうするだけ。エルは、何も気にしなくっていいからね!」


「ありがとう、お姉ちゃん!だいすきいーーっ!!」


「よしっ!着替えてご飯食べよう!!いい匂いがしてきたよ!!」


「うんっ!お母さんが待ってるねっ!!」


 私は、急いで着替え狭い廊下を手を繋いでリビングに向かった。

 いつものように、家族5人揃って食事をし片付けもそこそこに全員で外へ出た。鳥籠を持って。


「銀の筒も良し…真鍮の筒も…よし、ちゃんと固定された。エル、いいよっ!」


「頑張って跳ぶのよ、燕ちゃん」


「元気でな」


「もう打たれんなよっ!次、落ちてきたら食うからなイッテー!!エル!!」


「エルいいぞー!もっとやっちゃえっ!」


「皆っ!いくよーーっ!!せーーーのっ!」


 エルが手の中の伝書燕を空へと投げ、燕は翼を広げ私達の頭上を3回旋回し、遥か上空まで舞い上がって南西の方へと跳んでいった。あの姿は、何度か見た上空の鳥だ…あれは、伝書燕のブルーイロンデルだったんだ…。

 顔を下げると、エルを抱きかかえるヴァン父さんと、それに寄り添うソニア母さんがいた。


 ソニア母さんに良く似た顔、ヴァン父さんと同じ髪色…親子そのものだ…。ロンもその逆で、ヴァン父さんに良く似た目に、ソニア母さんと同じ髪の色をしている。私とは全然違う。私には耳も尻尾もない…チクリと心が痛んだ…年取ると感傷的になるのかなぁ…


「アディ姉っ!!な~に考えてるんだよっ!!丸解りだぞっ!」


「え?!って痛いよ!背中叩かないでよっ!!」


「あのな…、そんな辛気臭い顔すんなっ!俺たちはあの日から家族だろ?」


「…うん。」


「見た目の違いなんか気にすんなよっ!むしろ、気にするのは獣人側なんだぞ?この耳と尻尾かのせいで人族からは獣って差別されてきた…。同じように考えて、生きてるのによ。俺たちは、一緒に生きてる。気にする必要なんて何もない!ほら、見ろよっ!かーちゃんととーちゃんが呼んでるぞっ!」


 目を向けると、3人がこちらを手招きしていた。


「ロン…、ありがとうね。」


 ロンがまたそっぽ向いた。思春期小僧め…。まぁいいか!私は3人に駆け寄った。


「あのよ…アディ姉がさ…そんなに気にするなら、別の方法だって…って、おいっ!!俺を置いてくなよっ!!!」


「ロンもおいでよーーーっ!!」


「くっそ!糞姉っ!!!全然可愛くねええええええっ!」


 伝書燕のブルーイロンデルの姿が遥か彼方に消えていった───

ロン君の苦悩は続きます。

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