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ハッピー・スノー

作者: Mico
掲載日:2008/01/28

ばぁちゃんが死んだ。



昨日お見舞いに行った時は、まだピンピンしていて、


「隆史、誕生日プレゼントは何がいいかい?」


って、来週の日曜日の僕の誕生日をちゃんと覚えててくれた。


「うーん…じゃあ、明日までに考えとくよ!」


「そうか…明日かい…」


少し寂しそうな顔をしたばぁちゃんに、小学生の僕は気づきもしなかった。




次の日、給食を食べていると先生が僕の所に来た。


「隆史くん…さっきお母さんから電話があってね、おばあちゃんが亡く…」


僕は大好きなカレーとフルーツポンチを残して、勢いよく立ち上がり、教室を走って出ていった。


後ろの方で先生が僕の名前を呼んでいた。



先生は嘘ついてるんだ!


ばぁちゃんが死ぬ訳がないんだ!


病院の3階の部屋に行けば、ばぁちゃんは僕を見てにっこり笑うんだ!



半分言い聞かせる様に、僕は頭の中で言った。




病院の階段を2段飛ばしで駆け上がって、病室に駆け込んだ。


母ちゃんがばぁちゃんの横でぼーっと座っていた。


「ばぁちゃん!」


ベッドでぐっすり寝てるばぁちゃんを起こそうと、びっくりするくらい大きな声で呼んだ。


すると座っていた母ちゃんは


「隆史…ばぁちゃんはね…死んだんだよ…」


と言って、僕を強く抱きしめてボロボロと涙を流した。



母ちゃんは嘘をつかない人だから本当に死んだんだって分かった。


「…うん。」


僕は"ばぁちゃんの死"を理解したけど、悲しいとか思わなかったし、母ちゃんみたいに泣けなかった。


だって、ばぁちゃんを見ると、ただぐっすり寝てる様にしか見えなくて、やっぱり死んでなんかないじゃん。って思った。



母ちゃんが泣き止んで、トイレに行った時、寝ているばぁちゃんに話しかけてみた。


「ばぁちゃん、今年のプレゼントは雪がいいな。

まだ今年になって雪見てないしさ…」




家には木の箱に入ったばぁちゃんがいた。


目をつぶって、ばぁちゃんが気に入ってた赤い口紅をちょっとつけて、にっこり笑ったばぁちゃんが…。



僕は、ばぁちゃんが家に帰って来てから


「おはよう」とか

「行ってきます」とか

「ただいま」とか

「お休み」とか


毎日ばぁちゃんに話しかけた。

でもばぁちゃんは目をつぶってにっこりと笑ったままだった。


たまに学校であった面白い話もするけど、ばぁちゃんはぴくりとも動かなかった。




今日も最後に「お休み」って言って寝たら、夢を見た。


赤い口紅をちょっとつけたばぁちゃんが僕を起こしに来て


「隆史、おはようさん。

今日は隆史の誕生日だろう?おめでとう。」


って僕の右手を握った。


「ばぁちゃん、ありがとう。

あ!プレゼント何っ?」


って僕が聞くと


「うふふふふ」


って笑うだけで、僕がしつこく聞いてもやっぱり


「うふふ」


って言うだけで、だんだん僕から離れて行った。


「え…ばぁちゃん?

…ばぁちゃん!!」



ガバッと起き上がって、周りをキョロキョロしたけど、ばぁちゃんの姿はなかった。


「夢か…」


そう思ってまた寝ようとしたら、何故かカーテンが少し開いていた。


不思議に思い、窓に近づくと外は雪だった。




そうだ!今日は僕の10才の誕生日だ!


さっきのは夢じゃないんだ!

雪はばぁちゃんからの誕生日プレゼントだ!



僕は窓を開けて


「ばぁちゃん、ありがとーーう!!」


と叫んだ。


「うふふふ」


ってばぁちゃんの声が聞こえた気がした。

そして右手が少しだけ温かくなった。


時計を見るとまだ5時だった。


早起きのばぁちゃんは、きっと僕に一番におめでとうって言いたかったんだと思う。


でも父ちゃんも母ちゃんも


「ばぁちゃんが"おめでとう"って言ったんだよ!」


なんて言っても信じてくれないと思うから、言わないでおこう。


ばぁちゃんと僕だけの秘密にしとこ。



ばぁちゃん、本当にありがとう。

最高の誕生日プレゼントだよ!





END



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― 新着の感想 ―
[一言] あ〜…感動しました(笑) 先は分かってるのに泣けるって何か凄いです(‐o-;)
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