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009 結

 あれからーーヨツグチームはニッカの工房で武器を作ってもらい、フォレストに帰ったらしい。モチャはあれから協調性と言うのを知るためにどこかのパーティーに入るらしい。ほとんどダンジョンの中での活動ーー活動、と言ってもただ魔物を倒すだけなのだがーーだから、数日ーーいや、最悪数ヶ月のお別れだろう。最初の出会いはレンカとアリサの二人がいきなり襲われるーーと言っても気配を感じとった二人に見破られる、だったーー形だったが、縁とは凄いものだ。アリサはそう思っていた。

 

「……楽しかった思い出でもあり、悔しかった思い出でもある。ですか」


 サバゲー大会後、リッドに言われた言葉をアリサは夜中に日記に記していた。リッドは励ましのつもりだったのか、レンカチームの三人をレストランへと連れて行ってくれた。(支払いは誘ったリッドもち)


「また、来年もやるらしい」

 

 途中、レンカが言った。初めてにしてはかなり盛り上がったから、また来年も開催する。そう会議で決まったらしい。


「会長さんから、また俺たちで来年出てほしいって頼まれた」

「じゃあ、また来年集まりましょうか」

「二人は基本毎日会うじゃん! モチャ、しばらくダンジョンにいるけどずっとこの街にいるから! また会おうね」


 三人はまた来年会う約束ーー三人はこの街にいるから、会おうと思えば会えるのだがそこは誰も(リッドも)触れなかったーーをして、別れた。

 リッドには後日アリサがお礼をしに行ったのだが、リッドが「貸し一って事でいいぜ」と言った為、何も言えなくなり、レストランで奢ってもらった事は貸しとなった。







 翌日、街は〈イヅチ祭〉の後片つけで大変だった。〈塔支配者ダンジョンマスター〉であるレンカは勿論、〈冒険者()サポート()センター()〉社長アリサも手伝った。


「アリサ社長ー」


 声が聞こえたアリサは後ろを振り向くと、手紙を持って走ってくるヒバリの姿があった。どうやら、アリサへの手紙を渡しに来たようだ。ヒバリから手紙を受け取り、自分の部屋に入りーー手紙を受け取ったのは会社内ーー椅子に座り差出人の名を確認する。


「ーー! 『ヴァンジーク・ローズ』ってまさかフィオラルの〈塔支配者(ダンジョンマスター)〉……」


 手紙を読んでみる。それには、こう書かれてあった。


『急な手紙、失礼する。知ってるとは思うが一応名乗っておこうと思う。俺は「ヴァンジーク・ローズ」だ。みんなからは「ヴァン」って呼ばれている。〈塔支配者〉になった事があるアリサ殿は知っているとは思うが今年も八月三十一日に〈五塔会議〉が中央ドームで行われる。今年、〈シヴィリア〉からはレンカ殿が参加されるとは思うが、出来ればアリサ殿もご出席願いたい。中央ドーム管理人のエスナ殿にはすでに話を通してある』


 アリサは一息ため息をつくと呟いた。


「私に拒否権はないんですね……」


 〈イヅチ祭〉のサバゲー大会から約二週間後。年に一度、毎年八月三十一日に行われる、五つの街の〈塔支配者〉が集まる日。〈五塔会議〉が始まる。

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