表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

024 結

 翌日、シヴィリアの外にひっそりと五人がいた。近くにはタイムマシンがある。


「これでオレ達が未来に戻れば終わりだ。新たな未来として始まる。オレも……消える」


 リッドはレンカが鐘を鳴らした後の未来から来た人間。その未来の可能性が一旦潰えた今、リッドの存在は消えてしまうのだ。

 それぞれ別れを告げる。寂しいけれど、生きていればまた未来で会える。


「それじゃあ、お別れだな。……ありがとな、イズチを守ってくれて」

「絶対! 儂は長く生きるからな! だから、また未来で会おうぞ! 約束じゃ!」


 リッドがスイッチをいれる。周囲が光輝く。彼らの未来を変えるための戦いは……勝利で終わったのだ。










 新たな未来、シヴィリアの広場にて。

 噴水のベンチに“彼”は座っていた。誰かを待っているようだ。


「わりぃレンカ(、、、)! 遅れちった」

コウタ(、、、)、二分遅刻だな」


 待っていたのはコウタだったようだ。「前の未来」の記憶はなくなっていた。けど、その違和感はレンカもコウタも、感じているらしい。もしかしたら、蘇る可能性があるかもしれない。

 日付は七月に巻き戻っていた。


「それにしてもレンカって時間にウルサイよなー。……あれ、いつからだっけ?」

「……いつから、だろう?」


 その時、噴水を挟んで反対側の方で声が聞こえた。とても聞き覚えのある声だった。でも自分はその声の主は知らない。


「もー、アリサ(、、、)社長! 急がなくてもケーキ店は逃げませんよ!」

「だけど期間限定で早く売り切れてしまうんですよ? なくなったと思うだけで……あぁ! 早く行きましょうヒバリさん!」


 レンカはその声の主の姿を見たかったがコウタに呼ばれ断念した。

 もしかしたら、すぐに会えるのではないかと少しの期待を抱いて。







 ここは、もう一つでもなく死ぬ間際の幻覚とも呼べる場所。リッドの本来の世界。


「リッド。よくここまでレンカさん達を導いてくれましたね。ありがとう」


 母親がリッドの頭に手をのせる。


「すっげー疲れた。もう……休んでいいかな、母さん」


 リッドがそう言うと母親は優しい笑みを浮かべ頷いた。


「私も……一緒です。これからはずっと……」


 母親ーー「ルシエ・スイレン」とリッドは目をつぶる。もうこのような世界が生まれないことを願いつつ、二人はこの世界と共に消えていった。







 幸せとなった未来。それでもやはり事件はやってくる。事件まであと約一年。これからの物語は……それまでしばしの休息。平和の物語になることだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ