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2 勇者さま、水着ヒロインズに囲まれるひととき

 二日後──。


「どう、冥くん。私の水着姿、似合ってるかな?」


 コーデリアは豊満な胸元を突き出すようにして、妖艶な笑みを浮かべた。


 抜群のプロポーションを見せつけるかのような、色気たっぷりの黒ビキニ姿である。

 全体的に肉づきがよく、たわわなバストやむちっとしたお尻に、冥の視線は釘づけになった。


「う、うん、すごく……似合ってる」


 うわずった声で返事をしながら、ごくりと喉を鳴らす。


「……冥は胸の大きな女性のほうが好みなのですね」


 背後からぼそりとつぶやき声が聞こえ、慌てて振り返る。


「どうせ、私は大きくありませんけど」


 ユナは拗ねたように口を尖らせ、上目遣いに冥をにらんでいた。


 いかにも彼女らしい清楚な白いワンピース水着だ。

 確かに巨乳ではないが、形よく膨らんだ胸元や綺麗にくびれた腰、引き締まったお尻にいたるまで、息を呑むほど美しく女性らしい曲線を描いていた。


「そ、そんなことないよ。ユナだって綺麗だから」


「本当ですかっ」


 たちまち花がほころんだように微笑むユナ。


「嬉しいです」


「むむむ……」


 それを見て、今度はコーデリアが拗ねたような顔をした。


 ──龍王機の整備が終わるまでの間、冥たちは慰労を兼ねて海に来ていた。


 ただし海といっても、その成分は海水ではなくミルクだ。

 とろりとした白いミルクの波が、足元をさらっていくのが気持ちいい。


 甘い匂いが漂うミルクの海と一面に広がる白い砂浜。

 そして、イチゴチョコでできた赤い森。

 メルヘン世界ならではの幻想的な光景だ。


 なお、連合の整備班はその森のなかで三機の龍王機の整備を進めていた。


 現在、エルシオンの修理はほぼ終わり、サラマンドラやイカロスはあと一日程度で作業を終えられる見込みだ。

 三機の整備がすべて終わり次第、残り二つのエリアを攻める手はずだった。


 つまり、あと一日ほどは完全オフになる予定だ。


「あ、あの、あたしも……」


 シエラがおずおずと近づいてきた。

 普段の快活な彼女らしからぬ、遠慮がちな態度だ。


「な、なんだか、ちょっと恥ずかしいね。水着って……」


 すらりとした長身に凹凸のある女性らしいプロポーションを引き立てる、情熱的な赤いビキニにパレオ姿。

 ユナが清楚な艶気、コーデリアが妖しいエロスなら、シエラは健康的な色香といったところか。


「シエラもその水着、すごく似合ってるよ」


「ほ、本当? えへへ」


 シエラが嬉しそうに頬を染めた。


「これ、着てみてよかった。ルイーズが一緒に選んでくれてね──」


「冥くん、一緒に泳ぎましょ」


 言葉の途中でコーデリアに手を引っ張られた。


「お待ちなさい。抜け駆けは許しませんよ」


 コーデリアとは反対側の手を握るユナ。

 ちょうど美少女二人から左右の手を引っ張られる格好だ。


「あら、早い者勝ちじゃないですか、殿下?」


「わ、私だって冥と一緒に泳ごうとしてましたからっ」


「行きましょ、冥くん。私が先約よね?」


 微笑みつつも、しっかり手を握って離さないコーデリアと、


「冥、私が相手では……お嫌ですか?」


 不安げに瞳を揺らしつつ、やはり手を強く握って離さないユナ。


「殿下、順番にしませんか? まず私から」


「なぜあなたが先なのです? 私だって冥と一緒にいたいんですから」


「それは私も同じです」


「譲りませんからね、これだけは」


「ふふ、上等です、殿下」


 王女と英雄乙女は視線の火花をぶつけ、散らしながら、一歩も退かない。


「二人ともすごい……入っていけない……うう」


 少し離れた場所で、シエラがぽつりとつぶやいた。

 なんだか疎外感を覚えているような、寂しげな顔だ。


「やっぱり、あたしなんて魅力ないし……」


「先輩だって素敵です! 他の女になんて負けてないですっ」


 と、ルイーズが力説した。


 連合の兵士で、シエラとは王立アカデミーの先輩後輩だった少女である。

 シエラのことを先輩と慕い、これまでの戦いでも主に裏方として冥たちをサポートしてくれていた。


 ちなみに彼女は競泳水着を連想させる濃紺のワンピース水着だ。

 意外に胸がある。


「というか、勇者さまにはもったいないくらいです」


「それは勇者さまに失礼なような……」


「とにかく先輩は誰よりも魅力的な女性なんですっ。強くて、明るくて、私の憧れですからっ。自信をもってください」


「あはは、ありがとルイーズ」


(あいかわらず仲がいいなぁ)


 冥はそんな二人のやり取りを、ほっこりしながら見守っていた。

 と、


「勇者さまは邪な目で先輩を見ないでくださいね」


 ルイーズに冷たい目で見られた。


「い、いや、邪な目で……なんて……」


「さっきだって、胸元をジッと舐めるように舐め回すように舐めしゃぶるように見ていたじゃないですか」


「そこまでは見てないよ!」


 慌てて言いながらも、ついシエラの水着姿に目が行ってしまう。

 引き締まっていながらも、豊かな胸やパンと張ったお尻のラインは思わず息を呑むほど美しく、艶めかしい。


「……冥ってけっこう多情ですよね」


 ジト目でユナににらまれた。


「えっ、そ、そんなこと──」


 ぎくりとなる冥に、コーデリアが艶然と微笑む。


「まあ、英雄色を好むって言うし」


「色を好む……か。あたし、もっと色っぽくなったほうがいいのかな……」


 シエラがため息をついた。

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