4話目
4話目です。よろしくお願いします。
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放課後。
いつも通りに下駄箱へ行くと、文目ちゃんは居なかった。
「…?」
普段なら、もう来てる時間なんだけどな…。
靴を履き替えて外へ出てみると、校門のところに、文目ちゃんはいた。
足元には、野良犬だろうか、言ってしまえば薄汚れた犬がちょこんと座っていた。首と胴体は、まだ繋がっている。
「………」
後ろ姿のため、文目ちゃんの表情は窺えないが、その右手に鋸が握られているのを--------僕は目に捉えた。
「文目ちゃんっ!」
思考が回らないまま僕は飛び出して、文目ちゃんの右腕を掴んだ。
「ひっ……うぁ…桜野さん…。」
文目ちゃんは、一瞬だけ驚いたような傷付いたような表情をしたあと、また無機的な表情に戻ってしまった。
「……文目ちゃん、それは…駄目だよ。」
「……、そうですか。」
思ったよりもかなりあっさりと、文目ちゃんは頷いた。本当に小さく、微笑している。
「"これ"は、駄目なんです、ね。」
「え?」
「私の周りには、そういうのを教えてくれる人は、いませんでした。から。」
文目ちゃんは、そう言って。
しっかりと掴んでいたはずの右腕を、僕の手のひらからするりと抜いて。
鋸をスクールバックの中へ収納した。
「まあ、もう、隠しても隠しきれませんし…ね。この際なので、喋っちゃおう、と、思います。内緒の内緒の内緒、ですよ?」
人差し指を唇に当てるようにしながら、文目ちゃんは言う。
「私と、私を産んでくれたお母さんの話。です。」
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4話目でした。
次の話でやっと親展起きそうですねえ。
のろのろ進みます。椚田文目の口調と同じくらいのろのろです。
小説のキャラはこんなんですが、R:Cはよく『早口で何言ってっか聞こえん』と言われます。