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彼女の彼  作者: こはる
私の気持ち……?
9/53

 吉野くんの優しい笑顔に負けてしまった。



 まっ……いいか……。



 先生が頼んだことだし……




 ……教わらないのも逆に変だし……。



 

「じゃあ……吉野くん……よろしくお願いします」




 吉野くんは私の言葉に、また、笑顔になってる。




 そんな吉野くんの反応に嬉しくなってるし……私って単純……。





「こちらこそ。役に立てるように頑張るよ」



 吉野くんは、真面目だなぁ……。

 


 私の方が頼んでるのに真剣に答えてくれて……




「そんなに頑張らなくてもいいよ。それより、私が馬鹿すぎるからって呆れないでね」


「大丈夫。こつさえつかめば、すぐに分かるようになるよ」


「つかめればでしょう?自信ないな……」



 教えるなんて……面倒なはずなのに……



 やる気になってくれてるし……



 真剣に頑張らないと!




 吉野くんは真面目だな……



 優し過ぎるし……。



 みんなに人気があるっていうのも、今なら分かる気がする。





 私は、吉野くんと一緒に教室に戻った。




 すると、すぐに冬馬が寄ってきた。



 もう!



 冬馬……やっぱり待ってたんだ……。




「広夢!?どうしたんだよ?」


「先生に佐々木さんの勉強を教えるよう言われたんだよ。冬馬も一緒に勉強しない?」



 ちょっと……!



 吉野くん……!面倒だから冬馬を誘わないでよ!




「俺!?まじ、勘弁してよ!授業以外で勉強したくないし!……有紗?まじで勉強する気!?」



 ……する気だし……!!



 別に、いいでしょ!?



 人がせっかくやる気になってるのに!



 放っておいてよ……!




「冬馬……!有紗は先生から言われてるんだから仕方ないでしょ!ほら、邪魔しないで部活に行くよ!」



 恵梨が私の様子を見て……



 無理矢理に冬馬を連れ出してくれた。




 恵梨、ありがと!



 後でお礼するから……!



 私は、心の中で恵梨に手を合わせた。




「えっ帰るの?……みんなも一緒に勉強すればいいのにね?」



 えっ……!?



 吉野くん……本気で言ってるの!?



「……無理でしょ?みんな、出来るなら勉強したくないし……」


「そうかなぁ……?」



 吉野くんは残念そう……。



 そっか……!




 お節介っていうより、吉野くんは素でずれてるんだ。




 でも、そういう所が……



 ほのぼのしてて……いいんだけど……。



 ……なんて……。





 私も……



 早く終わらせて帰ろう!




「じゃ、プリントやってみよう?最初の問題からやってみて……?」



 吉野くん……ごめん。



 実は…………




「……うん……。ごめん、最初から、全然、分かんないんだけど……」


「そうなんだ?ここはね……Xをここに……」



 やっぱり、いい人だなぁ……。



 最初から分からないと言っても……馬鹿にしないで教えてくれる。




 ……でも……



 あの……




 吉野くん……!?




 真剣に教えてくれてるのは、分かるけど……




 ちょっと、顔が近くない?




 やばいよ……!




 問題は聞いても分かんないし……。



 ていうか……!




 どきどきしてきて……



 私……



 だんだん……顔が赤くなってない!?




 それに、なんか暑いし……!




「分かったかな……?」



 吉野くんが私に聞いてきた。



 私に振り向いた吉野くんの顔が……



 ……本当に近くて……!!




 わざとやってない?



 男の子と二人っきりになったぐらいで、こんなに動揺するなんて……!!




 こんなこと今までないのに……!




「綺麗な爪だね?」



 もう……!



 人の気も知らないで……!




 吉野くんが私の指を見て言ってきた。



「爪は磨いてるから……。こんなことばっかり興味があっても、駄目だよね……?」



 吉野くんは、私の手を見てたんだ……!




 びっくりした……!



 じっと見つめてるから焦ったよ……!!




 でも……吉野くんが近すぎて……!



 吉野くんに……



 私の心臓の音が聞こえてないかな……?



「佐々木さんは、いつも全体的に、手入れが行き届いてるよね?」



 吉野くんは……普通にしてるのに……



 私ばっかり……焦ってドキドキしてない……!?



「……この情熱が勉強にまわれば、天才になれるかもしれないのにね?って思ってる?」



 平然を装って、明るく言ってみたけど……



 吉野くんは、真剣な顔をして私を見てる。



 何……??



 どうしたの……?



 そんなに見つめると……勘違いしてしまいそうになるから……見ないでよ。




「佐々木さんは将来、こういう道に進もうと思ってる?」



 そういう意味で見てたんだ……!



 本当に吉野くんは真面目なんだね。



 もう、私ばっかり、焦って……!



 馬鹿みたいだし……。



「……まだ何も考えてないよ。吉野くんは?」


「俺は……医者になりたい……って、思ってる……」



 そうなんだ……!



 吉野くんは、将来はお医者さんになるんだ……



 なんか、吉野くんらしい。



「……吉野くんらしいよ。優しいし真面目だし、吉野くんなら、きっと、いいお医者さんになれるよ」


「困ったな……!医者の事は誰にも言った事なかったのに……。佐々木さんって、馬鹿にしないで何でも聞いてくれるから……言いやすいのかな……?」



 えっっ……!!



 逆だよ……!!



 吉野くんの方がちゃんと話を聞いてくれてるよ。




 でも……



 吉野くんは、私の事をそんな風に思ってくれてたの?




 吉野くんって……




 初めからそうだよね?




 外見なんかで、人を判断してないし……。




 だから……吉野くんの話は素直にきけるのかも?




「吉野くんの話を馬鹿になんてしないよ。他の人もそうだと思うし……」


「ありがとう。佐々木さんは真っ直ぐだよね」



 そう言って、吉野くんが私に笑いかけてきた。



 えっ……!



 その笑顔は反則だよ……!



 それに……

 



「そんなことないから!それに性格ひねくれてるし!」



 真っ直ぐとが……



 そんなこと……言われると



 照れるよ……!




 ……顔が熱くなってきてるのが分かる……!



 もう……!



 吉野くんは天然なんだから……!!




 吉野くんに私が動揺してるって事が伝わったかな?



 ……どうしよう……?



「もう、変な事言わないでよ!早く続きしないと……帰れないよ!」



 私が焦ってると……




 吉野くんは……私を見て笑ってる!



 私が焦ってるのばれてるし……!




 もう、調子狂うな……!!



 もしかして、遊ばれてる!?



「そうだね、続きは……?ここまでは分かった?」


「……うん」


「だから、この次も同じように考えたら、出来るよ」




 問題を見てるのに……




 どきどきして……問題が頭の中に入っていかないよ……!




「だからね、さっきと同じだよ?ここをこうすれば……考え方は同じだよ?」




 吉野くんが、一生懸命教えてくれてるのに……!



 しっかりやらないと……!




「ねっ?出来た!」


「本当だ!凄い、解けたよ!!」


「次も同じだから、一人でやってみて?」


「分かった。やってみる!」




 凄い……!



 難しい暗号の様な数式が……




 簡単に解けた。




 分かってくると……



 案外……簡単なのかもしれない……。



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