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……あれから……
……吉野くんと話すこともなく日々が過ぎていった……。
何となく……吉野くんと関わりたくなくて……
私が吉野くんに近付かないようにしていたのもあるけど……
このまま……
何も話さないでいれば……
吉野くんの事を知らない頃に戻れるかもしれないと思って……
自分でブレーキをかけてた。
……やばい……どうしよう……!!
超ショック……!
……かなり、まずっ……。
返ってきたテストを見て……テンションが下がる……。
勉強なんてしていないから……
……当然なんだけど……。
……やばすぎるよ……。
ここまで悪いなんて……!!
「有紗、どうだった?」
……聞かれても……。
今回は相当やばいし……。
「……」
「有紗?私も……悪かったよ」
本当に……!?
恵梨も悪いのなら、みんなも悪いのかも!
良かった……!
「今回はみんな悪いかったぞ!特に!一桁の点がいた……!一桁の者は、残ってプリントするように」
……げっっ!
最悪……!!
居残りなんて……怠いし……。
嫌だし……!
……あぁぁあ……。
嘘でしょ!?
「恵梨?……居残りだった?」
「ぎりセーフだった!有紗は?」
嘘っっっ……!
恵梨……セーフなんだ……!
そんなのずるい……!!
「私。居残り……!」
「有紗、居残りなの?……だったら終わるの待ってるよ!」
そんなのいいよ……悪いし……。
「別にいいよ……!」
「……一緒に考えよう?」
だって、悪いし……!
「……大丈夫だから、いいって!」
……やばっ……!
……面倒だったから……
きつく言ってしまったけど……
恵梨は……心配そうに私を見てる。
気持ちは嬉しいけど……
やっぱ、一人の方が気楽でいいし……。
「有紗?居残りなんだ?俺も残ろうかな!」
私達の話が聞こえたのか、冬馬が言ってきた。
呼びもしないのに、人の話に直ぐ入ってくるんだから……!
「冬馬、点数、良かったの?」
「俺、11点!ぎりセーフ!」
……11点……??
なんだ……
その点数なら、残ってくれても意味ないし!
「冬馬、部活あるでしょ?」
「でも、大丈夫かよ!?」
もう、しつこいなぁ……!
「その点数なら、冬馬が居たって帰れないし!」
「適当に書いて出せばいいじゃん!?」
そっか……!!
適当にやって帰ろう……。
冬馬もたまにはいい事言う!
「早くプリント貰って来いよ!」
「だから、いいって!適当にやるし!」
私と冬馬の様子に恵梨が困ってる……。
だって……!
冬馬がしつこく言うから……。
それに大丈夫だし……待ってられると落ち着かないし……。
「大丈夫だから……二人とも先に帰ってて!」
そう言って、教室から出たけど……。
あぁあ……。
私って本当、素直じゃないなぁ……。
「佐々木さん?」
廊下をとぼとぼと歩いていたら、吉野くんに呼び止められた。
「……吉野くん!どうしたの?」
大丈夫だったかな……?
今、ぎこちなくなかったよね!?
びっくりした……!!
急に話しかけて来るから、心の準備が出来てないよ……!
「先生からプリントを佐々木さんに渡すように頼まれて……それと、教えてあげてくれって」
えっ…………!?
先生が吉野くんに頼んだの?
もう、先生……!!
ひどいよ……!!
勝手に決めて……!
しかも、吉野くんに……点数……ばらしてるし……!
「大丈夫だからいいよ、悪いし」
「どうして?遠慮しなくてもいいのに。教えるよ?」
……もう、大丈夫なのに……!
やっぱり吉野くんはお節介だよね……。
吉野くんらしいけど……。
「今、理解しないと、後で大変な事になるよ?ちゃんと勉強しよう?」
そんな笑顔で……そう言われると……
……はい……。
吉野くんは、やっぱり不思議な人だな……。
説教ぽくても……
他の人に言われたら、絶対にむかついてしまう言葉でも……
吉野くんから言われると……私でも素直にきける。
吉野くんの雰囲気のせいかな……?