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彼女の彼  作者: こはる
変な奴・・・
7/53

6

 保健室に入ると、また誰も居なかった……。



 面倒だったから



 ……先生が、いなくて良かったけど。




 ……もう……!!!!



 私は、開いてるベッドに横になった。





 なんなの……!!



 ……ムカつく……!!




 海瑠にムカついて、なかなか眠れなかった。





「佐々木さん?入っていいかな?」



 あれ……?



 吉野くん……!?



 えっ……どうしたの……!?




「具合どう?」




 わざわざ……何の用……!?



 どうして……!?




「具合が悪かったのに、海瑠のせいで悪かったね?」




 あっ……!




 なんだ……海瑠のことか……。



 もしかして……?



 海瑠からさっきの事を……聞いたのかな?




 ……海瑠が悪かったって思ってる?





 だから吉野くんが……



 海瑠の代わりに謝りにきたの?





 だよねーー?



 殺すぞなんて……



 普通、女子に言わないよ?




 海瑠も少しは反省したんだ?




「海瑠のせいで……佐々木さんが保健室に居られなくなったって、愛奈が心配してたから」



 

 愛奈が……?



 ……海瑠じゃないの?



 どうして……愛奈が……!?




 あっ……!



 そっか……!



 保健室でのこと……?



 愛奈が気にして、吉野くんに言ったんだ。




 ふぅぅん……。



 愛奈は……いい子なんだ……。



 ……それにしても、海瑠、むかつく!




「気にしなくても大丈夫だから……。それに私も海瑠に言い返したし!」


「佐々木さん、海瑠を言い負かしたそうだね?」



 吉野くんが声出して笑ってるのが聞こえた。





 もう、吉野くんは天然なんだから……。




「いいよ、入って来たら?」



 私が言うと……



 吉野くんがカーテンを開けて入ってきた。




 吉野くんを見ると、まだ、笑ってる……!




 そんなにおかしいかな?



「ごめん!……海瑠に歯向かう女子は初めて見たから……!」


「嘘!?初めてなの!?海瑠って、あんなに態度悪いのに!今まで誰も何も言わなかったの?」



 本当、攻撃的だし……小学生みたいなことを言われたし……!



 なのに、何も言われないなんて……海瑠って何者……!?



「俺もそう思うよ!不思議な事に誰も言わないから、ますます悪くなるし……困ってるんだよ」




 吉野くんが笑って、おどけて言うから



 私も笑ってしまった……。




 吉野くんも海瑠に困ってるんだ。



 なんか、笑える……。



「二人とも吉野くんの幼なじみなんでしょ?面倒みるの大変そうだね?」


「そんな事ないよ。海瑠は何でも出来るやつだから。愛奈の事も、ちゃんと守ってるし。俺の役目は、二人を見守るぐらいだよ」



 ……二人を見守るって……?



 ……えっ!?



 それって……どういうこと……??




 ……吉野くんは愛奈を守らないの?




「海瑠が愛奈の事を守るって?吉野くんは?」



 ……吉野くんはそれでいいの!?



 吉野くんじゃないの……?



「愛奈は小学生の頃、女子からいじめられて……海瑠に冷たくされた女子がいじめてたんだけど……。海瑠は、いじめがあってからは、愛奈の側にいてずっと守ってる。海瑠は、いじめの事もあるけど、小さい頃から、綺麗な顔立ちのせいで色々あって、女嫌いなんだ」



 愛奈が……いじめにあってたって……!?




 だから、海瑠は……



 私に対して……



 あんなに過剰に反応したのかな……?



 ……やっぱり、海瑠はむかつくけど……!




 でも、学校って、本当につまんない所……。





 愛奈も……



 辛かったんだ……。




 海瑠も……



 自分のせいでそんな事になったら



 女嫌いにもなるよね。




 でも……吉野くんは?



「吉野くん、吉野くんはそれでいいの?吉野くんも愛奈が好きだよね?」


「佐々木さんには参ったな……。俺は……愛奈と海瑠は付き合ってるし、二人が困ってる時に力になれればいいと思ってるよ……」




 えっっ……!!



 あの二人は……付き合ってるの……!!



 ……うそっっ?




 えっ……そうなの!?




 ……吉野くんは……それでいいの!?




 それに、そんな二人の側にいて……



「……辛くないの?」


「俺は、みんなが幸せで笑ってれば……それでいいんだ」



 吉野くんは、照れくさそうに笑ってる……。




 本当に??

 


 ……いいの!?





 いい訳ないでしょ……!?




 吉野くんは……人が良すぎだよ!!



 そんなの有り得ないし……!!




「でも……」



 言いかけた私の言葉を遮って……



「佐々木さん、ちゃんと朝御飯食べてる?食べないと元気出ないよ。俺、教室戻るから。休んでるとこ邪魔してごめんね?」



 吉野くんはそう言って、保健室から出て行った。




 吉野くんは分かってて……



 二人を見守ってるの……?




 本当にそれでいいの!?




 でも……吉野くんが決めることだし……




 辛い選択でも……



 私が言う事じゃないか……。




 なんか、吉野くんの愛奈に対する大きな愛を感じて……




 落ち込んでしまった……。







「有紗、大丈夫?」


「恵梨……?」


「もう、授業終わったよ。帰ろ?」



 恵梨が私の鞄を持って迎えに来た。




 えっっ……!?



 やばっ!寝過ごした……!?




「佐々木さん、お家の人に迎えに来てもらわなくて、大丈夫?」


「……大丈夫です。自分で帰れます」


「そぉ?ちゃんと朝御飯食べてる?食べないと、力が出ないからね」


「はぁい」



 先生は、吉野くんと同じ事言ってる。



 吉野くんって、やっぱり変な奴だね……。



 お節介だし……。



「失礼しました」



 保健室から出ると……恵梨が微妙な顔をして立ってた。



「有紗、吉野くんが保健室に来たの?」



 来たけど……どうして恵梨が知ってるの!?



「来たよ……!でも、それがどうかした?」


「……ぅん……噂になってるから……」



 えっ……噂に……!?




 噂……早っっ……!!



 誰がどこかで見てたのかな……?



 でも……何のことかな?



「冬馬もショック受けてたよ……」



 ……冬馬……!



 別に、冬馬に、ショック受けられても……関係ないし!



「別に、ショック受けるようなことは何もないけど?」


「……あのね……有紗は吉野くんに告白してないの?」



 ……告白って!?



 私が?吉野くんに?



 ……どういうこと??




「してないし。えっ!?そんな噂になってるの?」




 何それ!?



 有り得ないし……!



 ……もう!!



 何なのーー!!!





 でも、その噂って……!



 きっと吉野くんにも伝わるはず……!!




「有紗は……吉野くんに告白してないの?」


「してないし……!」



 もう、どこをどうしたら……



 私が吉野くんに告白した事になるんだろう?



 ……むかつくな……。




 いつも思うけど……




 噂って無責任……。




 私の気持ちを無視して勝手だよ……!!




 こんな噂になったら……



 吉野くんに変に思われるよ……!




 あぁぁぁあ……。




「吉野くんが保健室に来たのは……愛奈が私の心配してから、様子見にきただけだよ……」


「本当にそうなの?」


「そうだよ。恵梨の言う通り、吉野くんは愛奈しか見えてないし……!」


「……そっか……ごめん」



 恵梨に言っても仕方ないんだけど……。



 もう、むしゃくしゃするな……。



「いいけど……。それより何か食べて帰らない?」


 私が言うと……恵梨が安心した顔になった。



 こっちこそ……噂のことで恵梨に言ってしまってごめん……。




 あぁあ……。



 ……吉野くんに噂のことで変に避けられたらどうしよう……。



 変に意識されても困るし……!


 ……もう!!




 ……それに……



 吉野くんのこと……ショックだったかも……。




 でも……大丈夫……!!



 ちょっと興味があっただけで



 好きって訳じゃないし……。




 だから、愛奈の事なんて……



 全然、気になってなんかないし……!


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