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あっっっっ…!!
……げっっ!!!!
……どうして……!?
どうして海瑠が一緒にいるの……!?
「あれ……海瑠だ……!」
えっっ?
冬馬……?
海瑠と知り合い……!?
「海瑠!!」
冬馬は海瑠の方に走って行った。
冬馬、海瑠と仲がいいんだ……?
……なんか似てるし……!
女心が分からない者同士で……気が合うのかも?
「有紗、樹枝くんだよ!やっぱ、格好いいよね?」
恵梨が海瑠を見て目を輝かせてる……。
確かに、海瑠は超美少年だけど……
……むかつくし!
顔が良くても、一緒に騒ぐ気になれないよ……
「でも、海瑠って性格悪いよ……」
「……知ってる。愛奈ちゃん以外の女子には冷たいし……」
やっぱり……!
海瑠の性格の悪さも有名なんだ……!
海瑠は好き嫌いがはっきりしてて、敵を作ってそうだしね。
……あんな性格の悪いのに……どうしてみんなは騒ぐのかな?
……人気あるのも分かんないし!
私だったら、あんな奴は絶対嫌!!
海瑠を見てたら、吉野くんと目が合ってしまった。
……慌てて反らしたけど……どうしよう!?
「佐々木さん……!さっきはありがとう!」
私の態度が悪かったのに……吉野くんは近づいてきてくれて……
……吉野くんは……。
……もう……!
それに、お礼なんか言わないでよ……。
純粋な気持ちで、愛奈の事を知らせた訳じゃなかったから……。
そんな、爽やかに言われたら……
私でも……
胸が痛くなってくるし……。
私は吉野くんにいいよって手を振った。
吉野くんは……嬉しそうに笑ってる。
きっと……
愛奈が大丈夫だったからだね。
……ふぅ……。
もう……そんな笑顔を振りまくのはやめてよね。
……私……単純だから、勘違いしてしまいそうになるから……
……あぁあ……
頭が痛い……。
……気持ちも悪いし……。
「恵梨……やっぱり具合悪いから、保健室に行く……」
「……有紗……?」
「一人で行けるから、大丈夫!」
ずっと、無理にテンションを上げてたから……気分が悪いかも……
……気持ち悪い。
……もう、駄目だ……。
廊下に出ると……
なぜか……海瑠が立ってた。
……具合悪いし……関わりたくないな……。
知らない振りして、海瑠の前を通り過ぎようとしたけど……
「おい……!」
何故か海瑠に呼び止められた……!
……もう、むかつくな……!!
私、おいって名前じゃないし……。
「おい!待てよ!」
知らない……!!
海瑠は、通り過ぎた私を追いかけてきて
私の肩を掴んできた。
……ちょっと、何!?
なんなのよ!!
「ちょっと待てよ!」
海瑠の態度にむかついてきて……
海瑠の方へ振り向いた。
「何の用……?」
「お前、広夢に気があるんだろ?」
……何、それ!?
「別に……ないし!」
もう、なんなのよ!!
聞くにしても……!
もう少し聞き方があるでしょ……!?
嫌な感じ……!!
「だから、愛奈に近づいてきたんだろ!?」
「愛奈ちゃんに近づいてないし!変な言いがかりつけないでよ!」
「保健室にいただろ!?」
「具合が悪いからいたんですけど!」
「さっきから嫌な感じの女だなぁ!言い方があるだろ?」
海瑠の言い方に……カチンときた!
……むかつくし!
「そっくりお返ししますが!」
「チッ……!」
海瑠が舌打ちした……!
本気で……感じ悪っっっ……!!!
「今度、愛奈に近づいたら、殺すぞ!」
海瑠は……
捨て台詞を吐いて……行ってしまった
……!!!
なんなのよぉぉ!!!!
むかつく……!!
しかも!!
全部、言いがかりだし!!
二人とも……
愛奈、愛奈って……!
なんか、涙が出そう。
なんでなのか分かんないけど……。
泣きそうになった。