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「見てんなよ!……ブス!」
じっと……愛奈を見てる私に……
海瑠は謝るどころか……
ブス!って…………!
ちょっと……信じられない……!
そんなこと言うなんてあり得ないし……!!
「見てないし……!自意識過剰じやないの?ばかみたい」
私は海瑠を無視して……
そのまま保健室から出て行った。
何あれ!!
なんなの……!?
愛奈を見てたのが、気に入らないのか何なのか知らないけど!
ばかみたい……!!
ムカつく……!
「有紗、もう大丈夫なの?」
教室に戻ると、恵梨が聞いてきた。
「うん、少し寝たから平気だよ!」
でも……教室に戻ると、なんか、まただるくなってきた。
……それにしても……
さっきは……むかついた……!
でも、あの子達が吉野くんの幼なじみなのかな?
「恵梨?吉野くんの幼なじみの男子は海瑠って子?」
海瑠達が気になって、恵梨に聞いてみた。
「そうだけど……。有紗?愛奈ちゃんを見に行ってたの?」
……やっぱり……
あの子が愛奈なんだ……。
で、もう一人の幼なじみは……
あの海瑠……!!
あいつと吉野くんで愛奈を取り合ってる……。
「違うよ。偶然、保健室で愛奈に会ったから……」
……愛奈を見たけど、普通だったし意外過ぎて……幼なじみってずるいって思った。
それに、なんか、いい子ぽかったし……
あんな子が、吉野くんにはお似合いなのかも……。
「えっっ?樹枝くん、具合悪いの?」
「ううん、愛奈の方たけど……」
恵梨が心配そうにしてる。
……あれっ……!?
そっか……!
海瑠って、かなりの美少年だったし!
恵梨はアイドルが好きだから、海瑠の事が気になるのかも?
じゃ……吉野くんのこともそんな感じなのかな?
そうだ……!
吉野くんに愛奈の事を知らせてあげないと……
「吉野くん!」
私が呼ぶと……吉野くんが
「佐々木さん、体はもう大丈夫なの?」
吉野くんが心配そうに私を見てきた。
……そんな……!
心配してくれてたんだ……。
そんな風に、吉野くんに見つめられると……
やばい……焦るし……!!
「もう、大丈夫。それより保健室に愛奈が寝てたけど、行かなくていいの?」
「えっっ?愛奈が……!?」
いつも、穏やかな吉野くんの顔が白くなった。
……そのまま吉野くんは、教室から、飛び出して行ってしまった。
えっ……!
そんなになの……!?
そんなに愛奈が大事なんだ……!?
なんだ……
ちょっと……
吉野くんの反応を見ようと思っただけだったのに……。
吉野くんが、あんなに慌てるなんて……
そんなこと思ってなかった。
……なんだよ……。
全然……勝ち目ないじゃない。
……えっ?
勝ち目って……?
私……??
……どうして??
私……吉野くんが好きなの……?
「吉野くん、行っちゃったね……?」
「うん……慌てて行ったよ……」
恵梨もショックを受けてるのかと思ったのに
思ったより平気そうにしてる。
「有紗、だから教えたのに……!吉野くんは駄目だよって……」
「……違うよ。全然、好きじゃないし……!」
……ちょっとはショックだけど……別に、本当に好きじゃないし……。
「よしよし。元気だして。相手が悪すぎだよ。」
「……別に。落ち込んでなんかないし……!」
……違うし……!
でも、恵梨……?
……恵梨はどうなの?
恵梨は平気そうにしてる。
吉野くんのことは、私の勘違いだったのかな?
「あれ?有紗、広夢と仲が良かったっけ?」
わっ……!
冬馬……!!
冬馬って……いつも、タイミング悪いし……!
私の気分が悪い時ばかり話し掛けてくるし……
「冬馬、広夢って……誰のこと言ってるの?」
「吉野広夢だけど……?さっき有紗、話してたっしょ?」
そうなんだ……!
吉野くんの事か……。
「吉野くんと……別に仲良くなんかないし……!」
冬馬って……本当にタイミング悪すぎ。
今、吉野くんのことを話すのは……気分的に嫌なのに……
だから……何も……今、吉野くんの事を聞いてこなくても……いいのに。
「そっか?……なんか広夢とあった?」
「別に……何もないし……」
「有紗……?」
……しつこいし……。
冬馬がそんなだから、冬馬のことを彼氏には見れなくなるのに……分からないのかな……。
「冬馬……まだ有紗、具合が悪いみたい……」
恵梨が、私の空気を読んで、冬馬に言ったけど
「そっか?だったら、もう少し保健室で休めば?……大丈夫かよ?」
冬馬……うざい……!
あっ……!
吉野くんが戻ってきた……!