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彼女の彼  作者: こはる
私の噂
40/53

39

「あーーりさっ!」



 私が朝、弱いの知ってるくせに……




 そんな能天気な声で呼んでくるのは……誰よ!?



 って言っても、一人しかいないけど……



 私はだるくて、いつものように机に突っ伏していた。




 ……うるさいな……!




「また、無視かよ……?恵梨ちゃん、有紗って本当、冷たいよな?有紗ーー!もう、噂、聞いた!?」




 うるさいよ……冬馬……!




 しかも……また、噂……?



 もう、どうでもいいし……





「今度は有紗、三股だって!!さすが、有紗!噂も凄いな!」




 ……はぁ?



 冬馬、何、言ってるの?


 ……三股って、誰が?



 もしかして私が……?




 そんなの聞いてないし……




 噂にもむかついたけど




 冬馬の嬉しそうに騒ぎ立ててる態度が、更に私をいらつかせた。



 本当、勝手にしてよって感じ



 あぁ、あたまが痛い……。




 机に突っ伏したまま、何の反応もしない私に……



「冬馬……有紗は朝が弱いから……また、後にした方がいいよ?」



 恵梨は、やっぱり私の事、よく分かってるよね。



「ちぇっ……三股なんかあり得ないし、それに、どうせ噂だし、そんな気にする事ないのに……。面白いと思ったから言ったのにな……反応、悪っ!」


 

 どこが……面白いのよ……!



 冬馬こそ、頭わるっ……!




「いいよ。じゃ、広夢に言ってみよ!」



 えっ……じゃあって……どうして、そこで広夢に言うのよ!



「ねぇ冬馬?三股って吉野くんと誰の事?」



 恵梨が冬馬に三股の相手を聞いてる。



 恵梨、お願い、そのまま冬馬を引きとめといてよ!




 それに……



 そう……三股って誰の事だろう?




 まぁ、大体は、分かる気がするけど……




「誰だろ?……なんてな……俺と海瑠だけど……あり得なくね?噂って面白いよな?」




 どうして、そんなに面白がられるのよ!?




「俺も噂の的になったし、広夢にも聞いてみよう!」



 ちょっと!



 冬馬……!!



「……冬馬……!!」



 慌てて、顔をあげた……。



 冬馬は私が顔を上げたからびっくりしてる。



「……海瑠にも聞いてみたの?」


「……びっくりした……!……海瑠は、きっと興味ないよ、噂話は嫌いだし……」



 海瑠は……そっか……



 愛奈の事があってから、噂が嫌いなんだ……。



 冬馬も知ってる……?



 ……だったら



「だったら、広夢も興味ないよ、言うのやめれば?」


「俺が興味あるし!別に、いいだろ?」



 どうして、冬馬はそんなに噂に興味があるのよ!!




「冬馬、俺の事を呼んだ?あれ?有紗……また、冬馬と喧嘩してるの?」



 あっ……広夢……!



「広夢……朝から有紗が俺をいじめるんだよ……」



 冬馬が泣き真似して広夢の後ろに隠れた。



 もう、冬馬……!



 私がいじめたなんて、感じわるっ……!



「どうしたの?……また、冬馬が余計な事でも言ってるの?」


「……広夢は……!俺が余計な事言ってるって言うんだ?……俺は、常に場を和ませようとしてるのに……!」



 冬馬は、わざと大袈裟に言ってる。



 もう、冬馬のバーーカ、バーーカ、バカ!



 今だって、広夢に余計な事言ってるでしょ!?





「有紗?どうしたの?」



 私が黙ってると……



「あのさ……有紗が三股してるって噂が流れてて……俺と広夢と海瑠の事だったから、つい、調子に乗って言って……」



 冬馬が……申し訳なさそうに言ってきた。



「えっ?三股……って?俺と冬馬と海瑠と?」



 広夢がびっくりしてる……だから、嫌だったのに……



 わざわざ知らせなくたっていいでしょ……!



「そうなんだよ!!あり得ないだろ?」



 そうよ……!



 あり得ないのに……



「へぇ……どうしてそんな噂になるのかな……?」



 広夢も不思議そうにしてる。



 だよね……。



「広夢もこう言ってるし、だから、有紗も噂なんか気にするなよ?」



 冬馬が言い出したくせに……何、言ってるのよ……!



「有紗?噂を気にしてるの?こんなの違うって分かってるから、大丈夫だよ?」



 ……広夢……ありがと……



 でも、本当に気にしてないし、だから、冬馬も無視すればいいのに……



 冬馬が騒ぐから……




「有紗?大丈夫?」


「……別に……大丈夫。冬馬が大袈裟に言うから……頭が痛くて……」



 さっきから、ずっと、頭が痛くなってて……。



「保健室には行かなくて大丈夫?」


「……大丈夫。ちょっと休む……」



 私はそう言って、また、机に突っ伏した。



「分かった。あんまり辛かったら、保健室に行きなよ?」



 心配する広夢に、突っ伏したまま頷いた。




 でも……噂の事は、広夢も気にとめてないみたい……良かった……!



 馬鹿馬鹿しい事で朝から悩ませないでよ……冬馬のばかっ……!





「おい!大変!!!一組で女子が喧嘩してるらしいよ……!?」



 廊下で誰かが言ってるのが聞こえた……!





 えっ!?



 喧嘩って?



 しかも……女子が……?



 どうしたんだろう……??



「俺、見に行ってみよ!!」



 その声に反応して、早速、冬馬が飛び出して行った。



 やっぱ、冬馬って、落ち着きないよね……



 教室の中もざわついてる……。




「誰がしてるのかな?聞いてみよう」



 恵梨は携帯で聞いてるみたい。




 誰かな……?





「有紗?喧嘩してるのって愛奈ちゃんと春菜達だよ……!」



 ……どうして……?



 愛奈が……??



「広夢……!!大変だよ!園田が喧嘩してるらしいよ!!早く!」



 戻ってきた冬馬が、今度は広夢を連れて……慌ただしく、また出て行った。



 冬馬はいつも慌ただしいけど……




 ……でも、なぜ?



 愛奈が喧嘩なんて……どうしたんだろ……!?




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