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彼女の彼  作者: こはる
変な奴・・・
3/53

「おはよう、有紗!」



「おはよう……」




 恵梨……ごめんね……。




 私……朝は……元気出ないから……





 朝から学校なんて……本当、怠くて……!




 テンション上がんないから……。



 ……本当、ごめん。



「有紗は、本当、朝、弱いよね?……大丈夫?」



「…………怠い……ごめん……」



 私は机に突っ伏したまま答えた。



「分かってるけど……でも……ねぇ、有紗?……吉野くんが来たよ!」



 えっ……!?




 ……うそっ……!?




 吉野くんが来たの……!?



 私は机に突っ伏していた顔を上げた……!



「あっ!……有紗、やっぱり、吉野くんが気になるんでしょ……!?」



 私の反応を見て、からかうように恵梨が私を突っついてきた。



 ……うん……まぁ……



 ……吉野くんの反応が面白かったから、気になってるけど……




 でも……恵梨が考えてるのとは違うから。




 ちょっと……興味があるだけだし……!



 お節介くんと話してみたいなと思って……。




「別に。ちょっと興味があるだけ。私、行ってくるね!」


「えっっ……!?有紗!?」



 恵梨が私の行動力にびっくりしてる!



 ……そんなに変かな?




 だって……!



 どうして?……って思うから……




 気になるなら、確かめてみないと……。




「吉野くん、おはよう。昨日はありがとね?」



 明るく、聞いてみた。



「おはよう、佐々木さん。大丈夫そうで良かった!」



 吉野くんは……また、笑顔で返してきた。



 ……うぅん……。




 やっぱり、意味不明な感じ……。




 吉野くんは恵梨の言う通り、みんなに優しい感じなのかも?





 それに……この笑顔が……



 みんなに人気があるのかもね……。





 吉野くんの態度は……昨日と同じ感じだし……




 ……どうしてかな??




 やっぱり、お節介くんなのかも?




 ……うぅぅん……。




 ……無邪気というか……



 あまりに素直な吉野くんの反応に、戸惑ってしまう。




 だって……ありえないし……!




 大丈夫?なんて……そんなの、私に聞く人なんていないよ。




 また、夜遊びしてるの?とかなら陰で言われてるけど……。




「あれぐらい平気。でも、心配してくれてありがとね」


「女の子なんだから遅くに出歩くのは危ないよ。気を付けないとね」



 えっ……!!



 ……また、出た……!



 やっぱり……その笑顔は反則だよ。



 眩しすぎるし……!



 ……それに……



 そんな笑顔で、そんな事言われたら……



 思わず素直に頷いてしまいそうになる……。




 ……天然なのかな……?



 吉野くんと話してると調子が狂ってくる……。





「……吉野くんって、毎日、塾に行ってるの?」



 吉野くんの反応に……焦って話を反らしてしまった……!



「毎日は行ってないよ?」



 吉野くんの優しい笑顔が眩しくて、目をそらしたくなる。




 ……やばいよ……!




 腐ってる私に……




 ……その笑顔は眩しすぎるから……。




 こっちまでのほほんとしてしまいそうになる。




「そうなんだ?塾は、幼なじみの子も一緒に行ってるの?」




 その……優しい笑顔を変えてみたくなって……



 ちょっと意地悪をしてみた。




「……幼なじみって?」



 やっぱり……!



 幼なじみの子は特別なんだ?




 穏やかな吉野くんの顔が少し曇ったし……。



 ……そっか……。



 幼なじみが好きっていう、恵梨の情報は当たってるのかも……。



「仲のいい幼なじみの女の子がいるって聞いたから、一緒なのかなと思って……」


「あーー。愛奈(まな)の事かな?愛奈は、一緒じゃないよ」




 ……幼なじみの子は……愛奈って言うのか……




 なんだ……!



 やっぱり、愛奈は特別なのかも。




 愛奈の話が出た途端にガード張ったし。




 ふぅん……。




「私の家は、あのコンビニの近くだから、塾の時にまた会うかもしれないよ?」



 焦っているのを吉野くんに悟られたくたくて……気にしてない風を装った。



「駄目だよ、夜、遅いし」



 吉野くんは私の気持ちなんて、全然、気づかずに優しく言ってくれてる。



 ……その、真面目過ぎる優しさは……



 私には、居心地が悪くてこそばゆい。


 


 別に……あれぐらいなら平気だし……。



 でも……



「ありがと。気を付けるね……」



 やっぱり……吉野くんの雰囲気に……



 素直に答えてしまった。




 吉野くんって……



 私を自然に素直にさせるなんて……



 やっぱり……変な奴……。






「吉野くんと何を話したの!?」



 席に戻ると、すぐに恵梨が聞いてきた。



「恵梨……愛奈って何組の子?」



 吉野くんが大事に思ってる愛奈って……



 どんな子なんだろう……?



 吉野くんが言ってた愛奈のことが気になって、恵梨に聞いてみた。



「愛奈って、幼なじみの?有紗……吉野くんに愛奈ちゃんの事を聞いてみたの?」



 ……恵梨が驚いてる?



 ……あれっ?



 恵梨も吉野くんが気になってるの?




「吉野くんは、愛奈ちゃんの事、どうって言ってた……?」



 恵梨の勢いに……



 やっぱり!?




 ……そうなんだ……!



「恵梨……本当は吉野くんが気になるんでしょ?」



 私が聞くと、恵梨が慌ててる……。



 やっぱり……恵梨ってば……そうなんだ……!



 ……へぇ……知らなかった……。



「もって……!有紗も……!?」


「私はどうかな……?恵梨は、どうなの?」



 私より、恵梨……なんか怪しくない……?



「私は違うよ。吉野くんは、みんなのアイドルだから、気になるだけ!」


「本当にそれだけ?」



 なんか怪しいけどな……



 恵梨が思いっきり否定してるから、それ以上は聞かないけど。



 でも、吉野くんって、人気あるとは聞いてたけど……



 へぇ……アイドルなんだ……!?



 顔は、まぁ、整ってるし



 それに、優しいからかな……?




 ……それに……あの笑顔も……!



 なんか、分かる気がしてきたけど……。



「有紗は、噂に疎すぎだから……知らないんだよ!」


「噂……?だって、興味ないし……!」


「そう……だよね……」




 恵梨が私に


 気まずそうにしてる……。




 もしかして、私の噂話の事かな?



 だったら、そんなの



 気にしなくていいのに……。





 この外見だし……




 いい事言われてないって知ってるし。





 スカート丈やピアスだって



 いけないって分かってる。



 大人になってから、やればいいこともあるけど……



 中学生のこの時にやりたいから!



 だから……



 私が好きでやってる事だし




 恵梨も、噂なんて気にしなくていいのに……。


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